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スクールランブルの奈良くん萌えスレッド

1 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/08 18:39 ID:wfYrsoOt
サンデー関連の「大河(MAJOR)」「耕太(美鳥の日々)」スレッド
の真似をして、こっちも立ててみました。
主人公たちの影で密かに人気上昇中の奈良くんの魅力についてとことん
語り合いましょう!

2 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/08 18:41 ID:k4xcTjak
未だ2(略

3 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/08 18:42 ID:KcYOwaQL
3ゲットオ

4 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/08 18:42 ID:M7bjy5kK
3ゲト

5 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/08 18:42 ID:KcYOwaQL
>>4


6 名前:4 :03/08/08 18:43 ID:M7bjy5kK
ゲトし損ねた…。
ヽ(`Д´)ノ ウワァァァァァァァァァァンン

7 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/08 18:50 ID:lHEQDtEp
>>1
氏ね

8 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/08 19:40 ID:+XRjWipT
>>1がもし男ならオレとは脳の仕組みが違う

9 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/08 19:49 ID:LuXnLWvj
本スレで萌え萌え言ってたのはネタじゃなかったのか、それともこのスレごとネタなのか

10 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/08 20:21 ID:MSEiMW2S
>>1は作者

11 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/09 02:58 ID:Dwzkuy9m
本当に作ったのか!

漏れはショタで現在(サンデーだけど)耕太萌えだが
奈良には何も感じなかったなぁ。

同じマガジソならネギ坊主の方がなんぼかイイだろ

12 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/09 03:34 ID:LE2iPscl
>>1
( ゚д゚)ポカーン

13 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/09 08:00 ID:uUu0BZl0
だれ?

14 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/09 17:23 ID:SBbGPZan
ワロタ。スクラン初の萌えスレがナラケンかよw

15 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/09 23:51 ID:Le23see8
       ,..-''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`゙ヽ、
       ,.-'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
     /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙i,
      |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:-'"゙i,
     .!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; -'''"ミミミミミミi
     lシ""""""""""""""´      ミミミミミ|
     |           ,,,,,,,,,,,,...-  ミミミミ|
     | ,,;;;;;;;;;;,、   ,.-='==- 、 ___,,...-'´`゙!
    /!´    `ヽ___l         }_r'´   ,. !.|   
   [| ゙!       |⌒!         |      〉 !  俺に萌えろ
    ヽ、|      ノ i:.ヽ、    _.ノ     ' /
       |`ー‐ '´   !::.   ̄         r'"
      i,      , |:::            '1
        ゙i,                 |
       ゙、  ,...____.,,,._         /  |`ヽ
        ゙、   ー  ゙     / / ./  ゙、
         ヽ         / '/     iヽ、
           ヽ、    ,../  /     ∧ ゙ヽ、
              /`゙゙T''"     /     /     ゙ヽ、__
           /    !    /     /         `ヽ,
           ,ィ'    |    /    /            i,  ヽ
          / |    |  /   /             |  


16 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/10 00:28 ID:VNfaXhtf
>15
奈良だ・・

17 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/10 01:06 ID:k3boec1S
ついにキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
「キャラネタ&なりきり板」にまで奈良くんが・・・。

「■スクールランブルに出演している奈良健太郎です■」
http://etc.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1060444922/


18 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/10 23:44 ID:YbpbvxY9
キモイ


19 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/10 23:54 ID:k3boec1S
奈良くんのパンツを脱がせて、チンポ舐めてみてー。
そして、おしっこも出してもらって飲んでみたいなー。
どんな味がするんだろうなぁ。

20 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/11 21:57 ID:Pv8rn3eF
保守ageてみる

21 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/11 22:12 ID:o2VpcnoZ
幕張関連のAAはもうしばらくお待ち下さい。

22 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/12 02:11 ID:VjFLAepr
奈良くんに「1万円あげるから、君の尿と精液を売ってよ」って
頼んだらすぐに「うん、いいよ」って言ってくれそう。

23 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/13 05:22 ID:9AE5JQzs
奈良・・・君のケツに俺のチンポ突っ込みたい・・・

24 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/13 22:36 ID:vUvlKAY/
>>23
激しく同意

25 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/14 20:55 ID:pldG4+Mc
保守してやる

26 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/14 20:59 ID:BE3dTgc4

      \∧_ヘ     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ,,、,、,,, / \〇ノゝ∩ < 1000取り合戦、いくぞゴルァ!!       ,,、,、,,,
    /三√ ゚Д゚) /   \____________  ,,、,、,,,
     /三/| ゚U゚|\      ,,、,、,,,                       ,,、,、,,,
 ,,、,、,,, U (:::::::::::)  ,,、,、,,,         \オーーーーーーーッ!!/
      //三/|三|\     ∧_∧∧_∧ ∧_∧∧_∧∧_∧∧_∧
      ∪  ∪       (    )    (     )   (    )    )
 ,,、,、,,,       ,,、,、,,,  ∧_∧∧_∧∧_∧ ∧_∧∧_∧∧_∧∧_∧
      ,,、,、,,,       (    )    (    )    (    )    (    )

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141 名前:山崎 渉 :03/08/15 10:49 ID:XnOt2rSJ
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン

142 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/16 02:56 ID:nxdfFJ+L
奈良くん・・・ハァハァ

143 名前: :03/08/16 02:58 ID:FtJhIUey


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197 名前: :03/08/16 03:03 ID:f8MyxDgx


198 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/16 21:40 ID:yR69xJBp
荒らすな!キチガイどもめ!

199 名前:  :03/08/16 23:41 ID:T4CW27sd
 

200 名前:  :03/08/16 23:41 ID:T4CW27sd
  

201 名前:  :03/08/16 23:41 ID:T4CW27sd
       

202 名前:  :03/08/16 23:42 ID:T4CW27sd
     

203 名前: :03/08/16 23:55 ID:8AKNXEQ2
奈良くん…ハァハァ

204 名前: :03/08/16 23:58 ID:8AKNXEQ2
奈良くん…ハァハァ 6

205 名前: :03/08/17 00:03 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ 1

206 名前: :03/08/17 00:06 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ 4

207 名前: :03/08/17 00:06 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ 5

208 名前: :03/08/17 00:07 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ

209 名前: :03/08/17 00:07 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ

210 名前: :03/08/17 00:07 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ

211 名前: :03/08/17 00:07 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ

212 名前: :03/08/17 00:07 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ

213 名前: :03/08/17 00:07 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ

214 名前: :03/08/17 00:08 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ

215 名前: :03/08/17 00:08 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ

216 名前: :03/08/17 00:08 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ

217 名前: :03/08/17 00:08 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ

218 名前: :03/08/17 00:18 ID:m5F90N1c
奈良くん…ハァハァ 1

219 名前: :03/08/17 00:19 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ 4

220 名前: :03/08/17 00:19 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ 5

221 名前: :03/08/17 00:23 ID:m5F90N1c
奈良くん…ハァハァ 1

222 名前: :03/08/17 00:23 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ 2

223 名前: :03/08/17 00:23 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ 3

224 名前: :03/08/17 00:25 ID:m5F90N1c
奈良くん…ハァハァ

225 名前: :03/08/17 00:25 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ

226 名前: :03/08/17 00:25 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ

227 名前: :03/08/17 00:25 ID:m5F90N1c
奈良くん…ハァハァ

228 名前: :03/08/17 00:25 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ

229 名前: :03/08/17 00:25 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ

230 名前: :03/08/17 00:25 ID:m5F90N1c
奈良くん…ハァハァ

231 名前: :03/08/17 00:25 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ

232 名前: :03/08/17 00:25 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ

233 名前: :03/08/17 00:26 ID:y/XVVd38
奈良くん…ハァハァ

234 名前: :03/08/17 00:26 ID:18fMRNYD
奈良くん…ハァハァ

235 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/20 15:24 ID:e8o8bjEa
        ,..-''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`゙ヽ、
       ,.-'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
     /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙i,
      |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:-'"゙i,
     .!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;-'''"ミミミミミミi
     lシ""""""""""""""´     ミミミミミ|
     |           ,,,,,,,,,,,,...-  ミミミミ|
     | ,,;;;;;;;;;;,、   ,.-='==- 、 _,,...-'´`゙!
    /!´    `ヽ___l         }_r'´   ,. !.|   
   [| ゙!       |⌒!         |      〉 !  >>198ありがとう
    ヽ、|      ノ i:.ヽ、    _.ノ     ' /
       |`ー‐ '´  !::.   ̄         r'"
      i, //// , |:::   ////     '1
        ゙i, ///       ///       |
       ゙、  ,...____.,,,._         /  |`ヽ
        ゙、   ー  ゙     / / ./  ゙、
         ヽ         / '/     iヽ、
           ヽ、    ,../  /     ∧ ゙ヽ、
              /`゙゙T''"     /     /     ゙ヽ、__
           /    !    /     /         `ヽ,
           ,ィ'    |    /    /            i,  ヽ
          / |    |  /   /             |  

236 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/20 22:54 ID:c7L1yq9t
今回の奈良の水着姿に萌えた!

237 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/21 00:44 ID:xVkr4wmU
奈良の水着、白だからあおこが透けて見えそうだな・・・

238 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/21 01:04 ID:m9dmUJjw
奈良タンは烏丸とは違って感情豊かだから(・∀・)イイな。
リアルで居そうだ、こんな子。

239 名前:これ奈良? :03/08/21 18:10 ID:tKgfg1r4
,、-‐‐- 、        _,、-‐ー‐-、._
     \   ,、-''"´::::::::::::::::::::::::::::`‐、
 い  ボ `、/..  ::::::::::ィ::::::::::::::::::::::::::ヽ
 う  .ク   ',:::::::::::.....,.../ |';......::..........:..::. ',
 ん  に   ',:::::::イ:/.;/  |.';ト:::|l:l';::::::::::::::::i
 で  何    i::::::;'lヘ/   | l リ_レi::::::::::::l
 す  を   |::::;'.「ト:iヽ  -‐7'iフ‐、 l::::::::::l
 か. す    |';l:l  L;!     l::::::ノ l::::',ヽ
 ?  る   .|  ',   、     `‐ ノ|l 丿 ,、-‐ー、
    っ   l   ヽ  r-‐ー、   ニ-く /     ヽ
     て   l     >、`‐--' .,、 '    7         ',
',       /    i  `‐- '´ 、 ノ _,、'´        ',
..ヽ、__.,ノ       ',     ヽ ,' ´    ヽ,     ',
             ', ヽ            ',    '、
             ',  ',              `、.   `、
                `、. `、       ,     `、     `、
               `、. `、‐    .. ``    'i、     ',
                ヽ ヽ     ::::.....    lヽ    i
                 ',  ヽ             l'´   ノ
                 ヽ. ヽ          l   /
                  `‐、.i          l_,、ァ'´
                    ノ、 丶    __lニ/
                   / `〉`‐--‐''"´    .l'´
                 /i  /   l       l
               ,、-'´  l/\  /_      l
            , -'´     l   >'´   ``‐、   l
           /        ゝ'´       \ l


240 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/21 18:11 ID:bDZy65ng
>>239

違う。それは「サンデー」の「美鳥の日々」の真行寺。

241 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/21 21:22 ID:rWd+QU8c
>>239

確かにAAでは耕太と奈良の区分けが難しいね・・・

242 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/21 21:23 ID:hmwMX2XA
       ,..-''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`゙ヽ、
       ,.-'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
     /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙i,
      |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:-'"゙i,
     .!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; -'''"ミミミミミミi
     lシ""""""""""""""´      ミミミミミ|
     |           ,,,,,,,,,,,,...-  ミミミミ|
     | ,,;;;;;;;;;;,、   ,.-='==- 、 ___,,...-'´`゙!
    /!´    `ヽ___l         }_r'´   ,. !.|   
   [| ゙!       |⌒!         |      〉 !  呼んだか?
    ヽ、|      ノ i:.ヽ、    _.ノ     ' /
       |`ー‐ '´   !::.   ̄         r'"
      i,      , |:::            '1
        ゙i,                 |
       ゙、  ,...____.,,,._         /  |`ヽ
        ゙、   ー  ゙     / / ./  ゙、
         ヽ         / '/     iヽ、
           ヽ、    ,../  /     ∧ ゙ヽ、
              /`゙゙T''"     /     /     ゙ヽ、__
           /    !    /     /         `ヽ,
           ,ィ'    |    /    /            i,  ヽ
          / |    |  /   /             |  

243 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/21 22:40 ID:KmkjoQyz
>>242

お前はいい加減うざい。なくなってくれ!

244 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/22 22:20 ID:hyCCuNu7
ここ、荒らし多いもんな・・・
アンチ奈良の仕業だろうな

245 名前: :03/08/22 22:58 ID:GubQhRvN
nara kun moe--- 3

246 名前: :03/08/22 22:59 ID:TBNyz4NU
nara kun moe--- 6

247 名前: :03/08/22 22:59 ID:zscTPbfz
nara kun moe--- 9

248 名前: :03/08/22 23:04 ID:ne7ulN4Z
nara kun moe--- 6

249 名前: :03/08/22 23:10 ID:ne7ulN4Z
nara kun moe--- 1

250 名前: :03/08/23 10:23 ID:yPC6dkqf
奈良くんカワイイ 7

251 名前: :03/08/23 10:49 ID:RQX6Npb7
奈良くんカワイイ 9

252 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/24 02:32 ID:zOM8Zce5
意味不明の文章の羅列ばかりで虚しい・・・

253 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/24 23:48 ID:aoKmTOZf
ここ、荒らしばかりで機能していないな。
他の「耕太スレ」や「大河スレ」はきちんと機能しているのに。

254 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/24 23:52 ID:c2Y2JAP1
>>253
需要が全くないから。
そんなことも解らずに勝手にスレ立てた>>1は万死に値するぞ。

255 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/24 23:57 ID:CQQH6AOD
美鳥スレも大河スレもワンパターンの自作自演じゃん。腹抱えてワラタよ。

256 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/25 00:02 ID:d927lEAW
美鳥スレじゃなくて耕太スレだな。美鳥スレは>>1が天然荒らしをやってるところだった。スマソ。

257 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/25 22:47 ID:xq6Q0EMk
そして誰もいなくなった・・・

258 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/25 23:25 ID:Z56wFTFj
>>257

「アンチ奈良くん」の責任だな。
あいつらを死刑に処するべきだ。

259 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/27 00:48 ID:YLzLH3Pk
ここは、荒らしたアンチ奈良の馬鹿野郎に始末させるべきだな

260 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/27 01:08 ID:wdrd/X9x
,、-‐‐- 、        _,、-‐ー‐-、._
     \   ,、-''"´::::::::::::::::::::::::::::`‐、
 い  ボ `、/..  ::::::::::ィ::::::::::::::::::::::::::ヽ
 う  .ク   ',:::::::::::.....,.../ |';......::..........:..::. ',
 ん  に   ',:::::::イ:/.;/  |.';ト:::|l:l';::::::::::::::::i
 で  何    i::::::;'lヘ/   | l リ_レi::::::::::::l
 す  を   |::::;'.「ト:iヽ  -‐7'iフ‐、 l::::::::::l
 か. す    |';l:l  L;!     l::::::ノ l::::',ヽ
 ?  る   .|  ',   、     `‐ ノ|l 丿 ,、-‐ー、
    っ   l   ヽ  r-‐ー、   ニ-く /     ヽ
     て   l     >、`‐--' .,、 '    7         ',
',       /    i  `‐- '´ 、 ノ _,、'´        ',
..ヽ、__.,ノ       ',     ヽ ,' ´    ヽ,     ',
             ', ヽ            ',    '、
             ',  ',              `、.   `、
                `、. `、       ,     `、     `、
               `、. `、‐    .. ``    'i、     ',
                ヽ ヽ     ::::.....    lヽ    i
                 ',  ヽ             l'´   ノ
                 ヽ. ヽ          l   /
                  `‐、.i          l_,、ァ'´
                    ノ、 丶    __lニ/
                   / `〉`‐--‐''"´    .l'´
                 /i  /   l       l
               ,、-'´  l/\  /_      l
            , -'´     l   >'´   ``‐、   l
           /        ゝ'´       \ l

261 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/29 00:33 ID:HmfWuzKC
ここはアンチ奈良や今鳥&花井萌えのアフォが荒らしたんだろ。
「改蔵」風にいえばその痕跡が残っているな。

262 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/08/29 01:11 ID:4FBnTb0F
そろそろスレストだな

263 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/05 22:27 ID:AgFIKcnJ
その割にはなかなかスレストされないしdat入りもしないね。
奈良の人気がすごいからかな?(w

264 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/05 23:48 ID:asZxo37R
>>263

ならクンのパワーはすごいよネ!

265 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/06 16:53 ID:ZApHY8YM
烏丸攻め奈良受けの同人誌を誰か作ってくれない?
マジで作ってくれたら1万円出してでも買うぞ! 

266 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/06 17:13 ID:aY5+8XbX
奈良づくし

267 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/06 19:47 ID:M/4bCx2+
純粋な奈良ファンもいるんだからからかうのやめれ

268 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/06 19:58 ID:hP/i8992
>>267
奈良荒らしが何か言ってるぞ(プ

269 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/06 22:32 ID:RzPSo/0V
>約1名
奈良とか耕太とかの特定キャラが嫌われてるんじゃなくて、 お 前 が 嫌われてるんだって気づかないんだろうか。
 お 前 が スレの使い分けができず、空気が読めてないから叩かれてるんだよ、分かるかい?
それとも気づかない フ リ してるだけなのか?

270 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/08 07:47 ID:0jkcu26O
ttp://www.ro-ch.net/bijou/source/20030908060239_a.jpg
これはなかなかいいと思うんだがどうだろう?

271 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

272 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

273 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

274 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/10 23:47 ID:c2/HmQKg
奈良関連のスレッドばかり荒らすのはやめろよ

275 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/10 23:48 ID:w9tJsWrX
なにがなにやら・・・

276 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/10 23:49 ID:ONZQVG2I
レスがつくと落ちないからなぁー……
しかもageるからなぁー……
どうする? この駄スレ。

277 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

278 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

279 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/13 22:42 ID:HkiVmiYP
無駄にageてみるテスト・・・

280 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/17 20:47 ID:RJYGCNdi
今回の奈良の浴衣姿と寝顔に勃起しちゃいました♪

281 名前:迫水天馬 :03/09/17 22:20 ID:QjDp0+Pa
>>280

じゃ今度は俺の浴衣姿を見せてやろうか?
トランクス、チラッと見せてやるぞ(w

282 名前:シロッコ ◆TPTkWPO/.c :03/09/17 22:29 ID:TNo4AMnU
>>281迫水キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

283 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

284 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

285 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

286 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

287 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

288 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/24 23:18 ID:D/XCrhWf
もう少し輪郭線の強弱をはっきりし影の陰影付けが上手くなったらもっと(´д`;) できないかな

289 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

290 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

291 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/25 23:10 ID:O8sRRrKo
age

292 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/09/26 00:17 ID:55J2W+h2
コミックス派には奈良なんてなんのことやら・・・

293 名前:迫水天馬 ◆v4j2CmP.c6 :03/09/26 12:37 ID:xfjMi8bq
>>292

第3巻を買えば解ると思うぞ(w
なかなかの美少年だ(w

294 名前:星沢裕介 ◆F8fEF2zGfs :03/09/26 22:00 ID:a1Xuczei
天馬君、調子に乗り過ぎ・・・

295 名前:あぼーん :あぼーん
あぼーん

296 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/02 00:34 ID:zlWXJ3cr
伏線が効いてまいりました!!

297 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/02 21:23 ID:1ehMwN3v
なりきり迫水がいなくなるといなくなったで少し寂しいね(藁
彼が暴れまわっていたときはどこのスレッドも賑やかだったのに
今は閑散としているし。

298 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/03 16:22 ID:1od6w0qZ
ロボットスレで星沢のなら飲めるなんていうコメントがあったけど
奈良のも飲めるかな?

299 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/05 02:53 ID:DeGTxkDc
>>297
何となく同意できる。
うざい部分もあるけど消えたらレス数も伸びなくなって
しまったし・・・。

>>298
俺は飲める!

300 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/05 22:43 ID:o4yTflvW
美少年とは思わないけど、

とここまで書いて42号読み直したら、美少年ですた。
可愛い印象しか無かったんだけどなぁ

>>298
飲める

301 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/06 21:25 ID:VY6yd9jI
>>300
君は偉いね!

302 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/08 00:47 ID:pDgG/3CY
>>300
可愛いしよく見ると犯したくなる男前の美顔だしね。
逆に沢近や烏丸には萌えない。

303 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/09 20:44 ID:TXIrIfPt
本スレッド、新しいのが立ったんだけど、こことキャラネタのスレッドが
リンクされていなかったので叱り付けておきました。

304 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/09 22:14 ID:l1ciIma0
>>303
お疲れです。

305 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/09 23:05 ID:f8sejfqu
>>303-304


306 名前:迫水天馬(新) :03/10/11 20:46 ID:kWBUhprR
迫水天馬 ◆v4j2CmP.c6がしばらくの間旅に出ることになったので
その間、僕が暴れまくることになったよ♪
ヨロピクねっ。

307 名前:迫水天馬 ◇v4j2CmP.c6 :03/10/12 19:54 ID:6O7Xmkvn
>>306
おい、俺になりすますんじゃねーぞ!
奈良のチンポかますぞ!!

308 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/15 20:45 ID:cK2+Zj3v
なりきりキャラたちが謝罪した今、このスレッドはどうなるんだろう?

309 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/15 23:17 ID:xZ0Li5cO
ここみたいになるとか
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1062945260/

310 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/19 22:26 ID:HHvI3His
おいっ!沢近萌えスレッドがたってしまったぞ!
ここも頑張らないとやばいぞ!
スクールランブルの沢近愛理【・▽・】萌え!
ttp://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1066468195/l50


311 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/24 06:50 ID:nPRdIFzA
保守

312 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/10/29 14:15 ID:gLcA/oBY
今日は奈良くんで妄想した

313 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/11/05 22:49 ID:98ZVo5D4
〔ロボットボーイズ〕迫水天馬だぜ!〔サンデー〕
http://etc.2ch.net/test/read.cgi/intro/1065956870/l50

ここに行けば、奈良君なりきりに会えるよ^^

314 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/11/21 21:45 ID:XIT1Z6BU
                 , ..:::´:  : : :.:.:.:.: : :.:.:.:.:.:.::.:.::::::.:.\
               ,..:´::.:.: : :     . .:.:. . .    : :.:.:::.::ヽ
              /::/::.:.: : : . : :.:.:.:.:.:::::::::::::.:.:.: : : .  : :.:.:.: ::',
             〃//:::::::.:.:.:::/::::::::/:::::::::::::::::.::.:.:: :  :.:.:.: ::',
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ ///:::::::::::::::::::/l::::::〃:/l:::::::::i:::::::::.:.: :  :.: : :.:!
             レ':/:::::/:::::::::,へ|::/ //  !::::::ハ:::::::i:.:.: : :  : :.:.l
    し    通   {l l||:::/::::l::::/ ぇレ\l|    !::l| l|::::ll::.:.:. : : . : :.:.l
             | { {/レ1ハ/ / ,_)::::lヽ   Nj  !|::::!|:::||:.:i:.:.:.:::::/
    ま    報    | /:::::l{hl| {  {L_::j     テ〒ミ、ラll:::l::.:.:::/〉
             | /:::/:yヽj   ゞ='       ,ヘ)::::lヾ} !::l|::::/_/ ̄ヽ
    す       /:::/::/::::::|  ::::::   ,    lヒ=ン } l|/l/:::l``ヽ:::',
            ./:::::::〃::::l:::',            ` ̄´ /リイ::::::i:::!  }:::}
    た      /:::://_ム__.ヽ   f⌒ヽ        /i:::::|::::::l:::l  j:::j
\__________, --y'⌒ヽ´ ̄ヾ`ヽ  /\   ノ    , ィ'´:::::::l|::::l::::::l::::!. ノノ
    , ---7  /     ヽ  ヽ ゙、    ー─ァ"「ト、 /:::::::j|:::::!:::::l:::::l ´
   ノ   l  (⌒ ー' / |   ヾ.、        /  j | \:::/ !::::|:::::|::::::!
  厂l   |  `r一"  l    ヽ\    /   //    Yl::|::::'::::::!::::i:|
  ! |   |   j,     ゝ、    \`ヽ、__,//    }|::|::::::i:::::!:::l::!
  | {    {   )_      ヽ ..__  `ー─一'     /::!::l:::i:::|::::l、:}::}
  ゝ_ゝ‐一' ̄ ̄  `‐- ∠    ))         | /::/::/l::|:::l::::!}:}::!
    \         | !`ー‐''"  ∩ ∩      !/::/::/ /:j::::l、}ノl:{
      `ーァr-─‐--1 j  /    l l  | |     |::/::/ /::/::::l }:l l:|
       /,イ| |   //_/      ! !__」 l      !;'::/ /::/:::::/ l:| |:!
      {l | !|ゞニ ,/´      /:::::::::::::ヽ   /::::/ /::/::::/  !|  !|
      リノ{l| l; |}        (::::::::::::::::::::::)/:::::/ /::/::::/   ノ! ノl
       ノl  /          ー---‐ァ'::::::/ /::/::::/   ノ ( }

315 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/11/23 15:43 ID:uMuSr6GZ


316 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/11/25 22:47 ID:p2Do0KXC
┘  ☆
ヽ|  /     Oジャマダー!!      
 ―  = /ヽ┐☆ 
\○)  =◎彡 ◎

317 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/11/25 22:48 ID:p2Do0KXC
┘  /☆
ヽ|        Oジャマダー!!      
 ―  = /ヽ┐☆ 
\○)  =◎彡 ◎

318 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/11/27 23:14 ID:EgnHLMCZ
 

319 名前:1/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:13 ID:RA/3NDb8
 空腹があまりにも長時間続くと胃が痛くなる。播磨拳児は今、それを己の身
で味わっていた。とは言えそれも自業自得である。この数日、従姉弟である刑
部絃子から提供される朝飯と夕飯はともかく、昼飯を全く食べていないという
のが長時間の空腹の理由であるからだ。
 ではなぜ昼飯を食べないのかと言うと、これもまた至極当然の理由で「お金
がない」からである。
 ではなぜお金がないのかと言うと、これもやはり至極当然の理由で「夏休み
遊び呆けていた」からである。
 とは言え、本人は己の想い人である塚本天満と一緒に遊べたというだけで十
分幸福であり、あまつさえほとんど両想い状態――少なくとも当の本人はそう
確信している――にまで踏み出せたのだから、バイトをサボったりバイトを辞
めたりといった行為に何らの後悔も抱いていない。
 愛は全てに勝るのだから。
 だが、それはそれでやっぱり空腹は辛い。胃がきゅうっと収縮してキリキリ
と痛み出し、際限なく食料を求めだす。

320 名前:2/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:13 ID:RA/3NDb8
「もっと食物を! もっと食物をお与え下さいご主人様!」
 胃袋の悲痛な叫びが、播磨の耳に届く。
 ああ、すまない。残念だがそれに応じることはできない。せめてあと六時間
ほど待ってくれれば何とか食料は確保できるのだけれど。
「六時間も待っていられません! もう水では誤魔化されませんぞ! っつー
かパンも買えんのかこのごくつぶし!」
 胃袋の癖に何を偉そうに――腹立ち紛れに自分の腹を拳で殴った。がつんと、
一発強烈に鋭い奴を。
「――――ぐぉぉぉぉぉ……」
 単に自分が痛いだけだった(当たり前である)。播磨は腹を抑えて蹲り、自
分の愚かさを嘆いた。
 さて、そんな珍妙というか怪奇というか、奇妙奇天烈な行動を取る播磨拳児
をじぃっと見つめる少女が二人。一人は播磨の行動に首を傾げ、何をやってい
るのだろうかと考え、もう一人は播磨のアホそのものの行動に引いていた。

321 名前:3/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:13 ID:RA/3NDb8
 首を傾げているのが、塚本八雲。引き気味になっている方がサラ・アディエ
マスである。
 塚本八雲は、播磨の想い人であるところの塚本天満の妹であり、この学校で
一、二を争う人気を誇る一年生である。運動神経抜群・スタイルよし・ルック
スよし・頭も良く、性格は控え目で大人しく、まさに大和撫子といったところ。
 おまけにそんな天下無敵の美少女であるにも関わらず、今だ浮いた噂の一つ
とてない、ここまで揃っていれば彼女の人気が高いのもある意味必然と言えよ
うか。
 実際、彼女にアプローチをかける男子生徒は引きもよらない。だがしかし、
振っても振ってもその悉くを「ごめんなさい」の一言で葬り去る塚本八雲は、
さながらスクール・スイーパー(学校の掃除屋)と言えた。
 さて、何故塚本八雲は恋人を作ろうとしないのか。
 一つには「恋愛オンチ」ということもある。そして取り立てて好きな男性が
いない、というのも上げられる。だが、もう一つ決定的な理由が彼女には存在
する。

322 名前:4/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:13 ID:RA/3NDb8
「自分を好きな異性の心が視える」

 八雲は、世間一般で言う超能力者だ。自分に好意を抱いている――その好意
が彼女の内面であれ、外見であれ――男性の心が、彼女には視えてしまうのだ。
 これは、彼女にとって辛いものだった。
 もちろん彼女は、思春期の男性が誰しも彼女の内面よりは、外見を求めてい
ることは理解できる。性的衝動というものも、それなりに理解できる。
 だが、話し掛けてくる男子生徒が――時には教師まで――片っ端から自分の
顔なり、胸なり、足なりを観察して内心で快哉を叫んでいるのを視てしまうと、
とてもではないが、仲良く朗らかに会話をすることなど出来なかった。
 それでも八雲がこれまで男嫌いにならずにいられるのは、月齢周期で力の増
減があり、よほど強い好意を抱いていない限り、見えなくなる時期があるのと、
生来の人の良さであろう。
 さて、前置きが長くなったがそんな塚本八雲は今、水飲み場で蹲っている播
磨拳児に話し掛けようとしていた。しかも、何か具体的な目的があって――と
いう訳ではなく、世間話をしたい、ただそれだけの理由で、だ。

323 名前:5/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:14 ID:RA/3NDb8
 サラ・アディエマスは自分の親友である塚本八雲が、男子生徒に自分から話
し掛けようとする、という事に正直驚いていた。
 彼女は自分でも認めている通り、「男の人に慣れていない」ので、男子生徒
が話し掛けて、それに応じることはあっても、自分から男子生徒に話し掛ける、
という事は余程の用事でもない限り、滅多にないことだからだ。
 だが。
「ねー、八雲。ホントーにあの人とお話するの?」
「うん……」
 一年と二年、茶道部と帰宅部、そして女子生徒と男子生徒では、行動範囲も
時間割も何もかもが違う、普通に話し掛けることができそうな時間帯は、昼休
みにしか存在しない。
 それは理に適っていると言えるのだが――。
「でも、あの人不良……っぽいよ」
 っぽいどころか、何しろサングラスに口ヒゲに顎ヒゲである。おまけに身長
も高いわ、体もゴツいわ、どこからどう見ても、立派な不良生徒であろう。

324 名前:6/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:14 ID:RA/3NDb8
 おまけに変だ。
 自分で自分の腹を殴り、自分で痛がっているし。
 そんな訳で、サラは八雲が彼に話し掛けようとすることに消極的反対を行っ
ていた。男に慣れた女生徒ならいざ知らず、八雲は男に慣れていない、言って
しまえば初心(うぶ)な女子高生だ。
 男に慣れていないお嬢様が、女に慣れた不良に引っ掛けられて堕落の道を辿
る――ドラマに山ほどある光景である。
(いざとなったら私が八雲を護ってあげなきゃ)
 サラはそう決心していた。今やサラの頭では、播磨拳児は不倶戴天の敵とい
うイメージが作り上げられていた。
 八雲は蹲る播磨に一歩一歩恐る恐る、といったように近付き、

「あの――」

 とやはり恐る恐る声をかけた。
「あん?」

325 名前:7/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:14 ID:RA/3NDb8
 ……ここで播磨拳児の弁護をしておこう。彼は先ほども言った通り実に空腹
だった、そして自爆ボディーブローをかましたため、体も痛かった。従って、
そんな状況で話し掛けてきた八雲を「ブチ殺すぞ人間」的視線で睨んだとして
も、多少は仕方ないことだと思えなくもない。
 睨まれた八雲はいい迷惑だが。
 彼女はビクリと全身を震わせ、播磨の悪鬼そのものといった顔を見て、酷く
怯えた。咄嗟にサラが一歩前へ踏み出し、播磨の視線から八雲を遮った。
 予想を越えた外道だった、とサラは思った。八雲をこんなに怖がらせるなん
て。
 ――上等よ、かかってきなさいっ!
 サラは、そんなことを考えて胸を張って播磨と対峙した。
 播磨は、ようやく二人を視認し――というか、一人を認識して、パニックに
陥った。殺気など一瞬で明後日の方向に吹き飛んでいた。
「てててて、天満……もとい、塚本さんの妹さん!」
 それはサラが「へ?」と声を漏らして脱力するほどの劇的な変化だった。
 心なしか背丈というか、等身まで低くなったような気さえ起きるほど、目の
前の不良が怖くなくなっていた。

326 名前:8/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:15 ID:RA/3NDb8
 サラの影から八雲はこっそりと播磨を覗いた。播磨は大変なうろたえようで、
「てっきり別の誰かと間違えた」とか「お腹が空いて気が立っていた」とか、
ともかく必死に言い訳していた。
 何しろ他の女子生徒ならいざ知らず、自分の想い人の大切な妹さんである。
「話し掛けたら凄い形相で睨まれた」と妹が言った男子生徒を姉が好きになる
訳がない、とにかくしどろもどろに播磨は言い訳を並び立てた。
 八雲は最初のパニックが収まり、ようやくサラの背後から抜け出て播磨と向
かい合った。
「本当に面目ねぇ!」
 そう言ってぺこぺことお辞儀を繰り返す播磨に「もういいですから」と八雲
は手で制した。サラの方はすっかり毒気を抜かれた感じで、二人の様子を見守
っていた。

「それで、その――」

327 名前:9/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:15 ID:RA/3NDb8
 八雲がまず最初に話したのはキリン(ピョートル)のことだった。ピョート
ルは元気か、と播磨に問うと、「遊びたがってもらっていた」と播磨が言った。
「判りました、じゃあ今度サラと一緒にまた、遊んであげることにします」と
八雲は言い、「そうしてくれたらアイツも喜ぶ」と播磨は応じた。
「……」
「……?」
 会話がたったこれだけで止まりそうになったので、サラが慌ててフォローに
走る。
「あのー。さっきお腹が空いたって言ってましたけど、お昼はどうしたんです
か?」
 播磨は「ああ、食ってねえ」と答えた。
「お弁当、忘れてきたとか――ですか?」
 サラは八雲が次の会話を思いつくまで、もうちょっとフォローに回ることに
した。

328 名前:10/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:15 ID:RA/3NDb8
「いやー、弁当作らねぇし、金もねぇしな。バイト代が入るまで水飲むしかね
ーんだこれが」
 力無く播磨は笑った。その口振りから察したサラは、それ以上踏み込むのを
止めにした。
 次に口を開いたのは八雲だった。
「あの、バイト代が入るのって……」
「……今週末」
 ずどーん、と播磨の両肩に空腹の重みがのしかかった気がした。ちなみに本
日は水曜日。即ち「木・金」と二日を空腹のまま凌がねばならない訳である。
「大変ですねー」
 とサラが言った。
 ここでタイミング良く、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。実質五分
間の会話は、それなりに和やかに終わることができたようだ。
「じゃー、俺もう行くわ」
 次が体育だったことを思い出し、播磨は憂鬱になった。
「あ、はい。じゃあ私たちもこれで……」
「先輩、さよーならー」
 サラはにこやかに手を振り、八雲はぺこりと可愛らしいお辞儀をした。

329 名前:11/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:16 ID:RA/3NDb8
 放課後。
 部活動が終了して、いつものように八雲はサラと共に帰ることにした。当然
話題は、昼休みの播磨拳児に集中する。
「最初は不良かと思ったけど――」
 サラは播磨の評価を一番最初の最低ランクから、かなりの上方修正を加えて
いた。
「話すといい人っぽかったよね。動物好きみたいだし、話も合うんじゃない?」
 その前に八雲は話のネタを用意しておくべきだと、サラは考えたが。
「うん……」
 八雲は、播磨の心の声が最後まで聞こえなかった事に、安堵と、そしてわず
かばかり――多分本人も気付いていないくらいの――失望を感じていた。
 それから、サラにフォローしてもらわないと話す事も思いつかない自分自身
への苛立ちも感じていた。
「で、明日もあの人と話してみる?」
「うん、話したいこと……あるし」

330 名前:12/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:16 ID:RA/3NDb8
 伊織のしつけについて話したかったし、キリン以外の動物についても話した
かった。キャンプの話もしてみたかったし、姉である天満の話もしてみたかっ
た、エアコンを直してくれたお礼も言いたかったし、それ以外の話もしてみた
かった。
 そして八雲は、そのために明日はほんのちょっと早起きして、播磨との会話
を弾ませるための「とっておき」を用意しようと決心した。
 サラにそのことを言おうとは思ったが――何故だか、それは無性に恥ずかし
い行為である気がした。
 どうせ明日にはバレるというのに。
 サラと別れ、姉と自分のために夕飯を作り、予習を行い、時代劇を見て、風
呂に入り、明日の準備を行い――目覚ましをちょっと早めにセットした。

 翌朝。
 三つ並べられたお弁当箱を見ても、天満は何ら関心を抱かなかった。以前に
もそういう事があって、すわ八雲にも好きな男の子が!? ……と意気込んで
尾行してみたものの、単に猫にあげる分だった、というオチがついてしまった
ことがあるからだ。

331 名前:13/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:16 ID:RA/3NDb8
 もし天満が寝ぼけ眼でなく、ばっちり目覚めていた状態で三つ目の弁当箱を
覗き込んでいたら、八雲の微笑ましい企みは露呈していたかもしれないが。
 三つ目の弁当箱は、二人の弁当箱より遥かに大きく、魚に野菜に肉にご飯と、
内容も盛り沢山だった。
 ……作り終わって、八雲はほんの少し後悔した。もしこれで食べて貰えなか
ったらどうしよう、などと昨日は思いつきもしなかった考えが頭をよぎる。
 だが、賽は既に投げられてしまった。
 八雲は何故だか他の誰にも見られたくないその弁当箱を、カバンの底に慎重
に入れて、学校へ向かった。

 昼休みになった。
 他の男子生徒の昼食の誘いは、サラに悉く撃墜してもらい、カバンの中の自
分の弁当箱と、播磨あての弁当箱を持って、いざ出陣。
 サラは、八雲の心を覗いたかのように何も言わなかった、何もからかおうと
しなかった。ただ、優しい眼差しで彼女を見つめていた。

332 名前:14/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:16 ID:RA/3NDb8
 果たして水飲み場に、播磨拳児はいた。
 傍から見ていると、胸焼けがするくらいの勢いで水を飲み干す。もちろん、
水に慣れてしまった胃袋は、別の物、栄養価が高い固形物を求めていた。
「ふー……」
 辛い。こうなったら、明日は学校をサボってバイトするしかないか――など
と考えていると、昨日のように八雲とサラがこちらに向かって歩いてくるのが
見えた。
 今度は粗相はすまい、と考えながら播磨はにこやかに手を振った。

 サラは昨日と同じくニコニコしながら、播磨に手を振り返し、八雲も昨日と
同じように無表情で小さくお辞儀をした。
「こんにちは。今日もお昼なしですか?」
 口火を切ったのはサラだった。播磨は悄然としながら、
「うむ――」
 と時代劇風に呟いた。
「八雲」

333 名前:15/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:18 ID:RA/3NDb8
 サラが肘で、彼女を突っついた。その感触に押されたように八雲は一歩前へ
と進み出る。播磨は、彼女が弁当箱を二つ持っているのを見て、
「意外に食うんだな」
 などと実に失礼なことを考えていた。
 八雲は、自分の心臓が驚くほど高鳴っていることに不可思議なものを感じな
がら、ゆっくりと弁当箱を差し出した。
 その間に様々な考えが頭を通り抜ける。水で腹が膨れていないか、味付けは
この人の好みに合っているか、嫌いなものは入ってないか、リサーチすれば良
かったのかもしれない。けれど、もうそれは全部遅くて、今やるべきことは、
今言うべきことはただ一つ。
 サングラスで、目の動きまでは判らなかったものの、サラは確かに播磨の口
が呆気に取られたようにポカン、と音を立てて開くのを見た。
 ――よし、手応え有り。
 サラは心の中でそっとガッツポーズを取った。究極兵器、手作りお弁当の威
力に勝るものなど、この世には存在しないのだ。

「――お弁当、どうですか?」

334 名前:16/16「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:18 ID:RA/3NDb8
 播磨は呆気に取られて八雲を見つめていた。
 八雲は自分では制御できない感情を持て余しながら、顔を赤らめて播磨を見
つめていた。
 九月に入ったというのに、セミが鳴いている。まるで夏に舞い戻ってきてし
まったような、まるで夏の残滓のような、ちっぽけなお昼の出来事だった。




                      <続いたり続かなかったり>

335 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 :03/12/13 19:19 ID:RA/3NDb8
>319-334
という訳で播磨×八雲のこんなイベント欲しいですよ小林先生!
ってな感じの妄想SSでした。タイトルは某SF小説からのいただきです。

336 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/13 19:30 ID:1PJptbLy
(・∀・)イイヨイイヨー!!
続きキボンヌ!!!

337 名前:紅茶花伝 ◆EucRAerisc :03/12/13 19:33 ID:atoVNbUg
お弁当イベントキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
八雲フラグ、立っちゃったらまずいですなぁ…w

文頭一文字空けといい三点リーダーの使い方といい、素人さんじゃありませんな?

338 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/13 20:06 ID:euRX7uQH
しかし播磨脳内では「天満ちゃんが俺のために妹さんに弁当を持たせてくれたんだ!」
とか妄想爆走すること間違いなし
ああ八雲哀れなり


339 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/13 20:15 ID:K6AN7ZLA
>335
ロリッ娘と結ばれるアレですな。

ともかくGood Job!

340 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/13 21:12 ID:oZ4Nrnjw
>>335
乙です〜
八雲の内面描写が(・∀・)イイ!!
マガスペでこういう話やってくれないかなぁ……

341 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/13 22:04 ID:Q/A6Yhhj
>>335
あの光源氏計画の小説ですな。
なにはともあれ、おつー

342 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/13 22:31 ID:GNhY7e9H
上手いですな。
かつ
美味ですた。

               ☆ _n
   _、_            ( l    _、_
 ( ,_ノ` )      n ☆   \ \ ( <_,` )
 ̄     \    ( E)      ヽ___ ̄ ̄ ノ   グッジョブ!
フ     /ヽ ヽ_//          /    /



343 名前: :03/12/14 13:04 ID:dc7p7cZA
司んどけ

344 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/14 16:38 ID:hqvVZFSE
>335
GJ!
本編でこういう話書いてくれないかなー

345 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/15 13:09 ID:vtCXIY3q
 

346 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/15 18:48 ID:n1t4lqta
続きが欲しいでつね

347 名前:紅茶花伝 ◆EucRAerisc :03/12/18 01:23 ID:tWx7gu0Y
ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1071678104.lzh
ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1071677392.lzh

圧縮元ファイルが見つからなかったので大体同時期に出たっぽいやつをまとめ。

348 名前:紅茶花伝 ◆EucRAerisc :03/12/18 01:55 ID:tWx7gu0Y
ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1071680091.lzh

もう少し見つかったので追加。

349 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/18 02:33 ID:1P0Kgsfk
>>347-348
ご苦労。
褒美に898(はぐヤン)金貨やるよ。

350 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/18 04:28 ID:aLJIkDg0
       ,..-''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`゙ヽ、
       ,.-'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
     /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙i,
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     .!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; -'''"ミミミミミミi
     lシ""""""""""""""´      ミミミミミ|
     |           ,,,,,,,,,,,,...-  ミミミミ|
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351 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/19 00:00 ID:EHYwbPkJ
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352 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 01:58 ID:ibNQZMIw
 沢近愛理はモテる。
それは主観的にも客観的でも分かっていることだった。
美人でスポ−ツ万能、プロポーションはモデル並み、これでもてないければ一体誰がモテるというのだろうか。
これは沢近ファンクラブ(そんなものがあるらしい)のbP、ここでは匿名希望の男の弁でもある。
 さて、そんな沢近愛理には浮いた話がいくつかある。
学校内に彼女と共に休日を過ごした男性は意外に多い。
だがしかし、彼女が決して尻軽女とうわけでは断じてない。
外国育ちの彼女は、一般的日本の高校生の恋愛観と少しズレていた。

「デートでしょ、別に付き合ってなくてもするわよ?ただで遊べてこっちは得だし」

と三人の友人の前で話しているのを聞いて、自分の勘違いとうぬぼれを粉々にされた男子は多数存在する。


353 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 01:58 ID:ibNQZMIw
 彼女は、某友人からは病気と言われているが、本人にしてみればよく分からないらしい。
ある意味で異性に積極でも恋愛オンチなのかもしれない。
 そんな彼女なわけだが、実は今、クラスに気になる男子生徒がいたりする。
たまに気になるよりも、気に障ったりする男子生徒が。

「・・・・ハリマ君、なんだか死にそうな顔ね」
 友人の塚本天馬の席でお話に花を咲かせていた彼女の目に入ったのは、背中が煤けていそうな播磨だった。
「あー、そういやぁなんだかこの頃元気がねえな」
「え、そう?」
「オメー隣の席なんだから気づけよ・・・」
「えへへへへ・・・・」
「フーン、なにかあったのかしら」
「そういえば、昼飯時にフラフラとどっかに行くのを見るな〜」
「・・・・彼は己の体と闘っているのよ、絶え間なく襲う空腹感という敵と」


354 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 01:59 ID:ibNQZMIw



「空腹? お腹をすかしているってことよね」
「・・そう、彼が食事をせずに水でお腹を膨らましているのが目撃されているわ」
「目撃ってオイ・・・」
「今、食べ物を買うお金がないほどの貧乏という情報もあるわ」
「情報って・・・なんでそんなことが分かんだよ」
「319を見たから・・・」
「・・・ハァ?」
 その後、沢近は晶と美琴の会話のなんともなし聞いていた。
「ふ〜ん、そうなんだ・・・」
 もうすぐ天高く馬肥ゆる秋、もしくは食欲の秋、とにかくお腹が減る昼前の時間はのんびり過ぎていく。

355 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:00 ID:ibNQZMIw
「くっ、さすがの俺の胃でもそろそろ逆リミットブレイクだぜ・・・!
 しかしこれも俺に与えられた試練! 待っていてくれ天満ちゃん!」
意味不明な言葉と共に、やはり今日も今日とて水で腹をふくらます播磨。
力強い言葉とは裏腹に、お腹からはエマージェンシーコールが鳴り響いていた。
「ご主人様!タンパク質、炭水化物、その他もろもろ足りません!」
 ええいやかましい、俺の胃なら少しは耐えんか。
「無茶言うなワレェ! シバキ倒すどおどりゃ〜!」
「く、うるせぇー! ガタガタ言うな!!」
「・・キャッ!」
 ・・・・キャッ? はて俺のストマックはそんな軟弱な悲鳴をあげるだろうか?
と、そんなわけもなく、彼が後ろを向くとビックリした顔をした、見知ったの女子がいた。
「・・・変な顔だなオ」メキャ!
 鋭くも美しい渾身の右が播磨にめり込む。
「・・・なにしやがるこのクソおん」グシャ!
 的確に、確実に脳天を直撃する膝。
 播磨、ノックダウン。

356 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:01 ID:ibNQZMIw
「・・・なにか御用でしょうか、サワチカサン」
「まったく、ほんと失礼な男ね」
 いきなり渾身の右や必殺の膝を繰り出すのは失礼ではないのか、などという疑問はうっちゃる播磨。
この場合、さすがの播磨も命が惜しい。
「・・・・で?」
「で、ってなによ」
「イヤイヤイヤ、だから俺になんか用があるんじゃねえのか」
 周りには播磨しかいなく、こんな所に沢近に用があるとは思えない。
素の表情で沢近に問う播磨。なんとなく、その表情で沢近は恥ずかしさが襲った。
「・・・・な、なんでこの私がアナタに用があるのよ」
「そりゃそうだ、じゃあな」
 ステステと去っていく播磨、愛理は慌てて
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ・・・!」
 と呼び止めた。
 ヘ? なんですか? といった風にデフォルメされた三頭身播磨(謎)が振り返る。
「ねえ、お腹すいてる?」

357 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:02 ID:ibNQZMIw
「そりゃあ空いてるが・・・」
 ここで、名探偵ハリマは閃いた。この女は俺を笑いに来たのだ、と。
 高飛車なコイツのことだ
「ご飯がなければ、お菓子を食べればいいのに、オホホホホ!」
 などと首ちょんぱな女王のような発言をするに違いない、と
(くっ、なんて女だ。それに比べれば天満ちゃん、君はなんて優しいんだ!)
 その目には、播磨以外に見えない、天子に囲まれ、光に包まれた天満が神々しく輝いていた。
 思考回路が飛びまくっている播磨だが、彼はきっかり3秒後に驚愕することになる。
「それなら、私の弁当食べない?」
「・・・ハァ?」
 播磨にとって、かなり意外な言葉だった。

358 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:02 ID:ibNQZMIw

「・・ウチのシェフがね、なんだか張り切っちゃって。・・・ちょっと余ってるのよ」
「・・・・」
「それで、アナタお腹空かせてるみたいだし、捨てるのはもったいないし」
「・・・・」

 ああ、もう!
 沢近は少しイライラしながらまくしたてた。
「お腹減ってるんでしょ! ハイこれ、食べるの!? 食べないの!?」
 そう言って、弁当箱を差し出す、というか突きつける。心なしか頬が赤い。
「た、食べるけどよ、いいのか?」
「いいわよ、私はもう食べちゃったから」
「なんか知らんが・・・あんがとよ」
「・・・・・フン」
 沢近は、無意識に播磨から顔をそらした。


359 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:03 ID:ibNQZMIw

 地面に腰を下ろし、ガツガツと音を立てて弁当の残り物を食べる播磨。
ひさしぶりの水以外の昼食に、胃の中の隊員(?)も大喜びのようだ。
ちょこん、と何気に播磨の横にしゃがんだ愛理がその食べっぷりに驚き半分、あきれ半分、
そしてほんのちょっぴり喜びを含ませた表情で見ていた。
それにしても播磨は本当に嬉しそうな表情で食べている。
しかし―――
「ねえ、アナタなんで箸を使わないの?」
「・・・あん?」
そうなのだ、播磨は箸を使わずに弁当を食べていた。
から揚げはまだいいが、サラダまで手づかみとは普通ではない。
「だから、箸」
「いや・・・そりゃあ・・・」
「もしかして使えないの?」
「んなワケねえだろが!」
「じゃあなんでよ」


360 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:05 ID:ibNQZMIw
「・・・この箸、お前のだろ」
「・・・そうよ?」
それがなにか? 私のは使いたくないといううのだろうか。
なんとも失礼な、と愛理は思ったが
「お前が使った後なんだろ」
「・・・・・あ」
 途端に愛理は赤面してしまった。
 そう、播磨がそれを使ったら、厳密には箸を口運んだら、それはそう、いわゆるひとつの
 間接――
「使わないでよ! というか、使ったら怒るわよ!?」
ガシ、と播磨の襟を掴み、脅す愛理。目が据わっていて、本気と書いてマジだ。
「お、落ち着け! 元々俺は使ってねぇ!」
 生れ落ちた女なの阿修羅の気迫にビビる播磨。
一応、彼は回りに恐れられる不良であることをここに明記しておく。

361 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:07 ID:ibNQZMIw
 きょとん、とした顔で播磨を見る沢近、気がつけばそれもそうである。
顔の赤さがにさらに磨きがかかってしまった。
(落ち着くのよ、・・・そう、この場合はやっぱり謝るべきよね・・・・)
 ふう、と一息をつき、心を平静に戻す。
 そして落ち着いたコトで、もうひとつの事態にも気づく。
「・・・・・・・・・」
「・・・・なんだよ」

 播磨 の 顔が 近い。

「え・・・あ・・・キャー!」
 ドンッ、グシャ、ベチャ
「・・・・・ぐは!」
「・・・・あ」

362 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:07 ID:ibNQZMIw
「ゴメンね、えっとその顔が近くにあったらつい・・・・」
「・・・・気にしてねえよ」
 フォローになってないフォローを入れながら、二人で教室に戻る。
 沢近に突き倒された(ドンッ)播磨はでっかい石に頭をぶつけて(グシャ)
 さらに残っていたオカズは地面に落ちた(ベチャ)
「ホントごめんね、その・・痛む?」
「心配すんな、どってことねえ」
 その後、なんともなしに二人は無言になる。沢近は、少しだけ、いずらい
 ちなみに播磨は元々気にしていなかったりして、沢近どうのよりもご飯を食い損ねたことが悔やんでいたりする。


363 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:08 ID:ibNQZMIw
「あ、そういえば・・・お弁当どう? 美味しかった?」
「ん? ああ、美味かったな」
「ふーん・・・」
「そうだな、玉子焼きが・・・」
「玉子焼き? 実はそれ私が・・・」
「マズかった、一個だけ妙にな。ありゃあ多分失敗したな」
「・・・・あっそ」
「なに怒ってんだ?」
「知らないわよ!」
 フンッ、と首をそっぽみ向ける沢近。
 播磨拳児、タイミングの悪い男。

364 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:10 ID:ibNQZMIw
(ふー、それにして明日はどうすっかなー。金もねえし、今日見てえな事も起こらんだろうし)
「・・・ねえ、明日もご飯ないの? それだったら、その、また恵んであげてもいいいわよ?」
(また水か、さすがにツレえゼ)
「シェフに頼んでちょっと多めにしてもらえばいいことだし・・・って、勘違いしないでよね」
(・・・カツアゲは主義に反するんだがなー)
「その、クラスメイトだからよ。そう、そうよ! クラスメイトだからよ!」
(紐子は・・・無理だ、殺される)
「その・・リクエストとかあれば一応、聞くけど・・・」
(はぁ〜天満ちゃんの手作り料理が欲しいぜ」←かっこに注目
「・・・ええっ!!!!」
「ん、どうした?」
「ど、どうしたじゃないわよ、アナタ本気!?」
「なにがだ?」
「なにがって・・・・そんないきなり」
「はぁ?」

365 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:11 ID:ibNQZMIw
 キ〜ンコ〜ン〜カ〜ンコ〜ン♪

「おう、授業が始まっちまうゼ!」
 フフフ、俺の(違います)天満チャンが待ってるぜ!
といった風にドギューンと播磨は駆け出した。その姿はまさに愛・戦士。
 一方、かたや沢近はチャイムの音も思考の外、グルグルと困惑と驚きが回っていた。
(ええと、播磨クンは私の手作り弁当が欲しい・・・のかしら?
 でも私のとは言ってないし。でもこの場合私しかいないじゃない!?
 そうすると・・・ええと、その、播磨クンは・・・ええっ!?
 そ、それよりも私は作ってあげるべきかしら?
 って、なんで作ってあげなきゃいけないのよ!
 でも欲しいって言ってたし・・・以下ループ)

366 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:12 ID:ibNQZMIw
 その日の沢近邸の厨房に
「ちょっと! カレーって弁当に出来るのっ!!?」
 という意味不明な叫びがこだましたと言う。



(つ、作ってしまったわ・・・)
 やってきた運命の日。目の前には不恰好ながらも燦然と輝く手作り弁当が。
(でも・・・すでにあの日から何日か経ってるし)
 結局、彼女が食べられるレベルのおかずを作れるようになるまで、少々の時間を要してしまった。
ナカナカの重労働デシタ、とは厨房のシャロル=ポッテム三世氏談。
 ご飯はドライカレー、玉子焼きにエビフライ、野菜炒めにミートボール。さらにカレー風味のからあげ。
見た目はともかく、味はそこそこ、なにより自分の持てる力をそそぎ込んだ弁当である。
(で、どうするのよコレ)
 そりゃあ渡すしかない。ないのだが困ってしまうのが女の子。
彼女を知る友人たちが聞けば、笑いつつも意外に思う、沢近の女の子らしい一面であった。

367 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:13 ID:ibNQZMIw
 あの日と同じように、校舎裏へと向かう。
心臓はフルマラソンを走り終えた選手の用に動悸し、頬は焼けるように熱い。
表情が硬くなっていくのが自分でもありありと分かる。
(な、なんでかしら、デートに比べればどうってことはないじゃない)
 どうってことはない、どうってこたはない。
自分にそう言い聞かせながら進む。近づくにつれて、自然と早足になっていった。
恥ずかしさからか、なにかへの期待からなのか。それは自分でも分からなかった。

 そこの校舎を曲がればたどり着くところで、沢近の耳に誰かの声が聞こえた。
「――お弁当、どうですか?」
 見たくなかった、見ずにはいられなかった、そして見てしまった。
沢近は、そこに数秒立ち尽くしたあと、くるりと回れ右をした。
そして、決して振り返らなかった。

368 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:14 ID:ibNQZMIw
 あれって天満の妹よねー、確か料理が上手だったっけ。
 ・・・・播磨君、全校生徒に羨ましい、って言われるだろうなー
 あ、でも、播磨君の前でそんなこと言える人なんていないか。
 この事って天満知ってるのかしら? 知ってたらあの娘驚くでしょうねー

 はー、そういえば昨日って本の発売日だったじゃない、買い忘れてたわ。
 あ、それに秋の新作をまだ見てなかったっけ、帰りに寄る予定だったっけ、すっかり忘れてた。
 それに・・・ふう、この数日間料理の修業に追われてたから、やりたいことが一杯あるじゃない。
 まずは本屋、それから洋服見に行って、その後アクセでしょ?
 それから、それから・・・・

「・・・・・もう最悪、雨まで降ってきたじゃない」

 沢近愛理の頬を水滴が一つ、伝った。
 また一つ、また一つ、それは決して留まることはなかった
 雲ひとつない青空だけが、彼女を見ていた。

369 名前:「THE DOOR INTO SUMMER」 SIDE・SAWATIKA :03/12/19 02:17 ID:ibNQZMIw
・・・漏れにはSSなんてムリでした。
319サン、スマソ

370 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/19 02:20 ID:77O+hzQz
ご苦労様です リアルタイムで読むことが出来ました
いいかんじです 続き期待していいですか?

371 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/19 02:22 ID:UxGlxEo0
萌え死にますた

372 名前:紅茶花伝 ◆EucRAerisc :03/12/19 02:23 ID:ypCmbeRd
うああ…なんつーか、切ないですよ。滅茶苦茶。
GoodJobです!

でも出来ればsageて投稿された方がいいかなーとか。
しかし沢近やったら強いですな。

373 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/19 02:23 ID:eXDN7pzu
>>352-368
狂い悶えました。
喜びでな!

374 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/19 03:06 ID:vlTl1HRF
まさか奈良スレなんかでスクラン分が補給できようとは・・・
ごちそうさまでした。

375 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/19 04:40 ID:JrVSkoZW
ごっつぁんですた。ハートブレイク沢近たん( ´Д`)ハァハァ

しかし奈良スレがこんなに活性化するとは
奈良も草葉の陰で喜んでることだろうな。

376 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/19 10:18 ID:PaoD9zM9
癒されますた(・∀・)ありがとう。
沢近も播磨もかわいいなぁ。

きっと奈良も浮かばれますね

377 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/19 18:19 ID:y6r5l5BP

 ネ申 降 臨 

378 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/19 18:40 ID:o4BeaWZO
なんで泣くのさ?

379 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/19 21:34 ID:Qwzxl/XP
沢近自身もわからないのさ…

380 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 00:53 ID:Nra+9vn0

 夏の終わりを惜しむかのように
 命を急ぐ蝉達が競い鳴く―――
 そんな、夏の終わりの物語。

「もう限界だ」
 語りかけた女性はの表情はかんばしくない。諦めの表情と、嘆息の表情
を足して二で割り、少しの同情をこめた、そんな表情。語りかけられた男
といえば、下に俯いたまま返答の言葉を発することなく打ちひしがれていた。
「…」
「これ以上は私でも騙し通せない」
「…」
「君も分かっているのだろう?」
「…」
「どうるすんだい」
「……どうしよう」
 いくつも瞳が、それぞれの視線の高さから男を見上げ、見下ろしていた。

381 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 00:55 ID:Nra+9vn0
 ミーン ミーン ミーン
 じー じー じー

 未だ夏の名残を残す蝉たち。それは必死に鳴くことで、自分の命を
永らえさせようとしているのか、それとも失うからこそ精一杯鳴いて
いるのか。
 ちょっと文学的過ぎるかな、そんなことを考えながらサラ・アディ
エマスは朝の校舎を進み、茶道部の部室へと歩く。その横にはいつも
のように、彼女の日本での最初の友人で、一番の親友でもある塚本八
雲がいた。
 いつもなら、この二人が歩いていると多数の男子生徒に囲まれてし
まうが、さすがにこんな朝早くでは誰もいない。久方ぶりの静かな時
が、二人の間をのんびり歩いていく。
「ジッサイ、あっという間にすぎていくねー、日本の夏は」
「うん…」
「夢から起こされるみたい。変にサビシーね」
「そうだね……」

 ミーン ミーン ミーン
 じー じー じー

 蝉の音は、いまだに止むことがなかった。

382 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 00:56 ID:Nra+9vn0
「「おはようございます」」
「おはよう」
 部室に入った二人を迎えたのは、先輩でもあり茶道部部長の高野晶
だった。一見、硬質なイメージを与える晶だが、付き合えば付き合う
ほどに、その見えない柔らかさが見えてくる。いまのあいさつにも、
その柔らかさがこもっているのを二人は感じた。
 普段なら、これから朝のお茶会が始まるのだが、今日はいつもと予
定が違った。いつも用意されているお茶セットが出ていない。二人が
疑問に思い、その疑問を口にしようとする。する前にしかし、さきに
晶の口が動いた。
「待ってたよ・・・これから体育館へ・・・」
「「? ? ?」」
 晶の言っている意味が分かっても、意図が分からなかった。そんな
二人を置いておいて、晶は言葉を続けた。
「先生と……それからもう一人いるから……」
 二人は戸惑うことしか出来ずに、黙って顔を見合わせた。

383 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 00:57 ID:Nra+9vn0
 三人の前に体育館がそびえる。朝の練習をしている運動部はいない
らしく、音はしない。音はしないのだが、八雲には誰かがいるような
雰囲気を感じ取った。
 なんだろう…? そう思っていると、すでに晶は体育館の思いドア
を開けていた。鉄製のドアは、重みと年数によって、すこしきしんだ
音を響かせながら横に動いた。

「あ……」
 その中にはいくつもの瞳、そしてその瞳の中央には
「……どうしよう……」
 一人の男が途方にくれていた。周りには無数の動物たちが彼を囲んでいる。
 狸、猫、ウサギといった小動物から、羊やカンガルー、キリン、果てはゴ
リラ、トラという猛獣まで。およそ普通の高校の居るとは思えない動物たち。

 日常の中に、非日常の出来事だ起こる。
 夏の終わり、忘れられない小さな戦いが始まる―――。

384 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 00:59 ID:Nra+9vn0
 ことの始まりは小さな事、いや、彼にとっては大きなことであろう。
 播磨拳児は、彼が恋する少女に振られてしまった。厳密には彼女が楽しく
異性と食事しただけだったのだが、彼にとってはただごとではなく、ショッ
クな事だったのである。
 その後、傷心の播磨は引きこもり、漫画家になり、ヒモもどきになる。男
としては情けないのだが、普段の彼の強さの分だけ反動で弱くなってしまった
のだ。
 そして彼は、最終的に人との交わりを捨てた。

「もう人は信じられねえ、信じれるのはお前たちだけだぜ…」

 彼の新しい友人は、動物たちだった。そうして彼らと付き合っているうちに、
播磨に異変が起きた。最初は気のせいかと思ったが、ソレは間違いなく聞こえた。
 動物たちの言っていることが分かる。
 それがなぜ可能なのかは未だ分からないのだが、彼らを心の底から信じること
ができた播磨だからこそ出来たことであるのは間違いない。
 その後、彼はその力を使って迷ええる人々を救済するために、占い師となった。

385 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:01 ID:Nra+9vn0
 長い紆余曲折を経て、播磨は学校に戻ることにした。ただし、代償として
担任教諭に誤解され、クラスメートの女性にシャイニングウィザートを極められ
たりもしたが。
 とにかく、彼は学校に復帰した。もちろん復帰の理由も彼の愛しい人のおかげ
であり、ためでもある。彼の人らしい単純すぎる思考である。
 そんな人のいい彼だからこそ、苦しい時にそばにいた彼らを捨てることなど
出来なかった。いや、元からその選択肢などなかった。
 従兄弟であり、学校の教師である刑部絃子に拝み倒して協力してもらい、彼ら
を学校で動物を飼うことまでこぎつけたのは、幸運であった。

 しかし、それは夏休みの間だけ。
 学校が始まってしまえば、当然生徒が多数登校してくる。千人を超える生徒達
の千の視界を盗むには彼らは多く、大きすぎた。またしても播磨は窮地に立たさ
れる。
 かくして物語りは冒頭へ――

386 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:02 ID:Nra+9vn0
「移送…ですか?」
 サラはそこに居た茶道部顧問の刑部絃子にたずねた。彼女はいつものように冷
静な表情でうなずく
「いつまでも体育館に置けんだろう。とりあえず、矢神神社に移す」
 それで来てもらった、と付け足してから、彼女は視線を外して続けた。
「しかしそれも時間の問題だな、スグにバレる」
「動物園は……?」
「ダメだ!」
 そう尋ねたサラの声をかき消すかのような大声が響く。播磨が叫んだのだ。
「今さらこいつらを他人に預けられるか!」
 気分は親子か兄弟か。そう言いながら播磨は動物たちに抱きつく。
「しかし、それはエゴだぞ。播磨君」
 絃子の的を射た忠告も、播磨の耳には聞こえなかった。
「ともかく、朝早くのうちに運ぼう。彼らは播磨君の言う事を聞くのだからそんなに
難しいことではない。ぐずぐずしていると、生徒たちが登校し始める」
「「「はい」」」
 移送はつつがなく行われた。

387 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:04 ID:Nra+9vn0
 動物たちを運んでる道中のこと
「ねえねえ八雲」
「…なに、サラ」
「なんで播磨先輩の動物たちをかくまうのに、刑部先生が手伝ってるのかな」
「・・・」
 そういえばそうである。学級担任というわけではない。確か担任は名前は覚えて
ないが男性であったはず。まあ、名前に関しては、おそらく誰も知らないのだがら
それは置いておく。
 とするとしかし、どんなつながりだろうか?
 播磨さんは茶道部ではないし(当然)、他に二人をつなぐとしたら、花田先輩だろ
うか。播磨さんが花田先輩に相談して、それを刑部先生に相談…なんか変だ。
「分からない…」
「うーん、ま、絃子センセイって人気があって話しやすいからかな。なんとなくこ
ういう事だ得意そうだし」
 一応の納得する答えを出すと、サラはまた真面目に動物たちを移送させていく。
八雲がチラとその二人の視線を送ると、口喧嘩をしているのか、なにやら大声で播
磨が叫んでいる。
(…二人の…つながり…?)
 八雲の思考は、晶の呼び声によって中断された。少し気になったが、気にせずに、
あるいは気にしないようなのか――八雲は元の仕事へと没頭した。

388 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:06 ID:Nra+9vn0
 無事に動物たちを運んでから一週間。毎日のように八雲は矢神神社へと赴き、
サラと一緒にピョートルや動物たちと触れ合った。日中から動物たちをやたら出
すわけには行かないので、夜中に行くことが多かった。
「妹さんを暗い夜道に独りで歩かせるわけにはいかねぇ!」
 という播磨の宣言とともに、八雲は毎晩のように送ってもらった。少し、恥ずかし
いのだが、先方の優しさを断るわけにもいかず、それに帰りの会話は姉の話題が多く
楽しかったので、播磨の言葉にに甘えたのだ。
 もっとも、播磨にしてみれば女性を守るのは常識であるのだが、それ以上に八雲は
天満の妹である。それはつまり、将来の義妹になる女の子ある。さらに、送りに行け
ば、自然と塚本邸に着き、運がよければ天満と一緒に食事など…というやましい気持
ちもある。

389 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:08 ID:Nra+9vn0
 今日も、ピョートルと遊んだ後に播磨に送ってもらっている。会話の話題は天満の
小さいころの話。しきりに播磨はメモを取っていたのだが、八雲は何をしているのか、
何のためにしているのか、気づかずに終わった。
 そして、――八雲にしてみれば――いつの間にか家についていた。
「…毎日スイマセン」
「いいってことよ…んーと…」
 キョロキョロとあたりを見渡す播磨
「? どうかしたんですか?」
「え! あ、いやあ、てん…塚本サンはいないのかなーとな」
「姉でしたら…今頃は寝てると思いますけど…起こしましょうか?」
「いや、そんなことをするわけにはいかねぇ! ぐっすり寝てるのを起こすのは可哀想だ」
「はあ…」
「そんじゃあここらへんで、てん…塚本さんにヨロシク!」
「はい、さようなら」
 播磨に手を振る八雲。彼が向こうを向いてからも、なんとなく玄関に立って彼を見
る。結局、八雲は播磨が視界から見えなくなるまでずっと見つめていた。

390 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:10 ID:Nra+9vn0
 事件はその次の日に起きた。姉が見ていたニュースから、あまり良くない情報が
流れた。
 そして、すぐに塚本家の電話が鳴った。

 高校の茶道部部室内。現在、この領内の状況は悪い。
「山狩りか…クソッ」
 播磨の独白が響く。その声に、誰も声をかけることができない。
「…大変なことになっちゃたね、なんとかしないと…」
 その後サラの搾り出すような声を出す。その場に居る全員がなんとかしたいと思っ
ている、しかし、誰もいい案を出すことが出来ない。
 バン!
「晶ねーちゃん!劇 大成功だったぜ! ありがとー!!」

 突然扉が開いき、大声がこだまする。やってきたのは小さな少年である。修治だった。
「修治君、また来たの?」
 突然の来訪者に驚きながらも、冷静に晶の問いかける。しかし、その問いにこたえる
ことなく、修治は場の妙に暗い雰囲気に一人グチた。
「なんだよ! シケてんな皆! 夏だぜ!!」
 だからどうした、と言う人間はいなかった。やはり状況が状況なだけに、皆元気がで
ない。なんだよ一体…と修治は文句を言いつつさりげに八雲のそばへと行く。
「劇って?」
 いままで黙っていた播磨が尋ねる。
「動物劇です。地元の催しで高野先輩が脚本を担当したんですよ」
 それ聞いた播磨はあごに手を沿えながら、しばらく考え込むような姿勢をする。4人が不

思議そうに見守る中、播磨はつぶやいた。

391 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:12 ID:Nra+9vn0
「良んじゃねーか? ソレ」
「え?………………あ!!」
 どうやらサラも何か思いついたらしい。
「なんだよ、俺一人が分かんねえよ! 兄貴、説明しろよ!」
「つまりね修治君……」
 文句をたれる修治に、今までの経緯を晶が話す。その間にサラと播磨は二人でボソボソと

なにか話している。その様子を見た八雲が、少し不機嫌になったが、それは周りの人間も、

八雲自身も気づかないことだったので、これといった事態は起こらなかった。

「ふーん、大変だな八雲ねーちゃん」
「……え、あ、うん」
「…なにボッとしてんの」
「…そうかな」
 播磨とサラの会話に視線を送りっていた八雲だが、二人がこちらを向いたので、慌てて視

線をはずす。そして、サラは全員に向かってしゃべりだした。
「あの、先輩と私が思いついたんですけど…」

392 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:28 ID:Nra+9vn0
 サラが喋りだした提案は、なんとも言えない作戦だった。
「え……ほ……本気かよ…!?」
「………………」
「え、やっぱダメかな…?」
「…そうでもないわ」
 沈黙を守って作戦を聞いていた高野晶が突然しゃべりだした。
「た、高野先輩…」
「ただし、大筋だけで、細かいところにまだ穴がある。でも、その作戦でいきましょう」

 その後、夕方まで5人で話し合いを続けた。決行は、次の日曜日にテレビが来るらしいという晶の出所不明の情報から、当然と日曜日となった。

「それじゃあ各自、準備を怠らないように」
「「「「おー!」」」」

393 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:30 ID:Nra+9vn0
 二人が部室を出ると、すでに日は暮れていた。遠く西の空は紅い。世界は青から闇へ
と変化しようとしていた。
「ホントに上手くいくのかな。ね、八雲」
「うん…でも成功させないと」
「…そだね…あ、播磨先輩だ」
 サラは視線の先に播磨を捉えた。ポケットに手を突っ込みながら校門に向かっている。
「…ねえ八雲、播磨先輩と一緒に帰らない?」
 突然のサラの提案に、八雲の心臓が跳ね上がる。
「え…なんで…」
「ホラ、作戦についてまだ話したりすればいいじゃない」
「でも…」
「いいから、ホラ……ってアレ?」
「…?」
 サラの言葉を不思議に思い、播磨の方向を見ると、いつの間にやら刑部絃子が隣に居た。
そして、二人で帰っている。顔を見合す二人。好奇心が沸いた。

394 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:31 ID:Nra+9vn0
「サラ…ダメだよ」
「いいから八雲、二人の関係が気にならないの?」
「…そういう問題じゃなくて」
「いいから、見失うわよ?」
「……」
 二人は結局、好奇心に従った。播磨拳児と刑部絃子というありえそうもない組み合わせ
は、街を抜けて進んでいる。様子を見ると、なにかしゃべっているようだ。
「サラ…やっぱり」
「しっ…何か聞こえるわ」
 とっさに八雲は黙ってしまった。結果それが二人の声が聞こえるきっかけとなり、耳そ
ば立てる行動に移ってしまう。二人の声は風に乗って、何とか聞こえてきた。
「…というわけだ絃子」
「拳児クンにしてはなかなかの案じゃないか」
「……拳児クン?」
「……絃子? 二人って、学校だと播磨君と刑部先生だよね?」
 おそるおそる尋ねるサラに、コクコクと八雲は頷いた。
「……あ、行っちゃう」
 今度は八雲が先に動いていた。

395 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:33 ID:Nra+9vn0
 独りで布団に入ってから、今日のことを思い出す。
 あの人は、播磨さんは、刑部先生とどういう関係なのだろうか?
 なぜ二人でマンションに入っていったのか、あれはなにを意味するのか?
 学校と二人でいるときの呼び方が違うのはなぜか、なにか理由があるのか?
 考えれば考えるほど、答えは一つの方向へと収束していく。マンション、呼び方、
それはつまり、その、二人はそういう関係なのだろうか。
 ガバッ、と布団をかぶりなおす。自分で考えたことに赤面してしまう。もしかし
たら一緒に住んでいるのかもしれない、いや、単に先生の部屋に用があったのかも
しれない。いやしかし…
 でも、しかしが何度も頭の中を行き来する。しかしやはり、答えは一つになてし
まう。それを認めた瞬間。八雲は悲しくなった。なぜかは分からない。ただ胸が痛
かった。張り裂けそうだった。なぜか、急に今までの播磨との少ない記憶を思い出
している自分がいた。播磨で一番印象に残っていること、それは初めて同年代の男
性で、心の中が視えなかったコト。
「…そっか…視えなかったんだ…」
 八雲はそっと、誰にも知られずに泣いた

396 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 01:38 ID:86tIze27
(*゚∀゚*) =3

397 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:41 ID:Nra+9vn0
 決行の日、作戦は上手くいった。無事にレポータなどのテレビ局などを追っ払う
ことに成功したのだ。細かいミスもあったが、もともと神社に動物などありえそう
もない話である。はやばやと決着はついた。これで当分は大丈夫だろう。
 八雲は昨晩からずっと沈んでいたのだが、作戦を精一杯することで、その感情を
押し込めていた。精一杯しないと、感情があふれてしまいそうだから。
「上手くいきましたね…」
「ああ…」
 語尾にウホまでつけて、播磨は完全にゴリラになりきっている。しかしだが、作
戦が上手くいったのだが、微妙に播磨の顔は冴えていなように八雲は見えた。今回
はだませても、いずれ限界が来る。それを感じているのかもしれない。
「あの…」
 元気を出してください、と声をかけようとした八雲の声が、大声でかき消された。
「待ちなさいガキ供! そうはいかないわ!! 説明してもらうわよ!」
 さきほどのレポーターがピョートルを連れて戻ってきた。
 ばれた!
 全員に緊張が走る。そしてその脇には猟銃を持ったハンターが。

398 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:43 ID:Nra+9vn0
 麻酔銃で動物を狙うハンター。
(ダメっ!)
 八雲は夢中で前に立ちはだかった。
「や…八雲!?」
 誰かが叫ぶ声が聞こえたが、誰の声かは確かめることができなかった。
「ど、どくんだキミ!」
「妹さん! 危なえからやめろ!」
 播磨の叫びが聞こえた。やめられなかった。やめることなどできなかった。やめ
るわけにはいかなかった。これが、これがアノ人に出来るせめてもの行動だから。
 ハンターを抑えながら、無言で播磨を見る。頼みます、と
「!!………わ、わかったぜ!!」
 播磨はそう言うと動物たちへと向かっていった。それを見た八雲は、再びハンター
の前に立ちはだかる。絶対に邪魔をさせるわけにはいかなかった。八雲は生まれて
初めて、人の邪魔をするすることに全力を尽くした。

399 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:43 ID:Nra+9vn0
「動物達もわかっているんだろう……だから……」
 一呼吸着いてから、晶は続けた。
「自分達に害がないと示すために…播磨君に迷惑をかけないために芸を……」
「お前たち……………」
 播磨のグラサンの奥から、とめどない涙があふれた。
 ポン、と播磨の肩をたたく人がいた。
「絃子…」
「…もう…いいだろ。動物園には話をつけておいた」
「………」
 播磨は無造作に絃子の手を払うと、ゆっくりと、彼らのところへと向かった。その
状況をカメラマンが撮ろうと動いたが、レポーターが黙ってそれを止めた
「や、やめるんですか!? 良い映像なのに」
「……いいのよっ…」

400 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:44 ID:Nra+9vn0
 入社して一年目のことだった。一番いい映像を撮ってきた、30も年上の先輩に聞
かされたことだ。
「俺たちゃあ、大衆に全てを見せる意思と義務をもたなきゃなんねえ、それは分かる
か?」
「もちろんです」
「そして、この世には撮らなければいけないもの、撮ってはいけないものがある。そ
れも分かるか?」
「そりゃあもう、勉強しましたから。なにが禁止かはよく分かってます」
「クックック、そうかそうか。じゃあ最後に一つだけ教えてやろう。撮るべき映像な
のに、撮ることができない映像もあるんだぜ、この世にゃあ」
「???どう意味ですか? 撮る事が出来ない…?」
「…そこに立ちゃあ分かる。撮るべき映像なのに、撮ることができない映像があるっ
てことがな」
「よく…分かりません。教えてください!」
「それは自分で考えな、お譲ちゃん」
 ―――その時は全然分からなかった。今は少し、分かるような気がする。
 確かにこれは撮れないわ。世界中のだれでも撮れやしないわよ、こんな映像。

 その場に居る誰もが、静かにその光景を眺めていた。

401 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:45 ID:Nra+9vn0
 動物園。
 そこに播磨拳児はいた。今日も、じっと全員の様子を眺めている。
 さらにそれを眺める八雲とサラ。
「播磨先輩…毎回、同じ順番で見て回ってるんだって」
「…」
「なんでかな、これが一番いいはずなのに、さみしいね…」
「…うん」
 そこからやや遠く、喫茶店の中から覗いていたのは、晶と修治だった。
「兄貴って、いつまでああしてんだろ。これが一番アイツらに一番いいことだろ」
「…そうね…それは間違いない」
「ったく、いつまでああしてんだか」
「…例えばの話」
「ん?」
「例えば将来、八雲さんに修治吾君以外の彼氏が出来て、結婚するとする。どう思う?」
「…なんだそりゃ」
「例えばの話、将来の話よ」
「…イヤだ。ムカつく」
「そうね…でも、その人と一緒になること、それが彼女にとって一番の幸せだとしたら?」
「……」
 修吾は答えられなかった。
「そういうこと。一番いいことでも、一番幸せでも、誰もが嬉しいわけではないわ」
「…よく分かんねえ」
「それいいのよ…まだ」

402 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:46 ID:Nra+9vn0
「あの、播磨さん」
「…妹さんか」
 そのあと、二人は黙ってしまった。お互いが、何を言っていいのか分からない。
「これで…良かったって分かってるんけどよ」
 先に話したのは播磨だった。悲しみよりも、さびしさが強い言葉だった。
「…それに、いつでも会うことが出来るしな」
 内容に反した、暗い言葉だった。
 八雲は一度うつむく。そのあと、ぐっと前を向いた
「でも…みんな幸せだと思います」
「そうだな…ここなら飯の心配も」
「違います…その…播磨さんが精一杯みんなの為に行動したことに…一生懸命なんとか
しようとしたことに…皆喜んでいると思います…。誰かが自分の為に精一杯してくれる
ことは、幸せなことだと思います…。えと…つまり…その…上手くいえないんですけど…」
「ありがとヨ」
 播磨の言葉が八雲に触れ、沁みこんだ。
「そうか、そうだな。コイツら幸せなんだよな」
「…そうです、播磨さんにそんなに想ってもらえて…うらやましいくらいです…」
 言ったあとに、八雲の顔が紅くなる。自分が言った言葉の恥ずかしさに、身動きが
取れなくなる。…のだが
「うし、それならいっちょ元気だすかー!!」
 どうやら播磨は聞いてなかったようだ。八雲としては、喜ぶべきか、悲しむべきか
「あーそういやあ、妹さん、まだ…」

403 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:46 ID:Nra+9vn0
「やあ、拳児クン」
 突然の来訪者だった。
「なんだ…絃子かよ」
「君の泣いている顔でも見ようと思ったのだが」
「誰が泣いてんだよ!!」
「昨日の君」
「……くっ!」
「そんなことより、もう大丈夫そうだね。それならこれは教えなくてもいいかな」
「なんだよ、言えよ」
「ここの動物園ね、アルバイト募集だそうだ。体力自慢ならなおヨシ」
「ホントか絃子!?」
「さんをつけんか!」
 グシャ。
 肘を播磨に上に叩き落す絃子。播磨は激痛にうずくまって身動きできない。両手で
おさえてうなるだけだ。
 二人の様子を見て、そっと八雲が離れようとする。顔は笑っているが、それは面白
さや喜びだけでは出来ていない。しかし、そこに
「八雲さん、うちのバカ従兄弟が世話になったね。教師としてじゃなく、個人として
礼をいう」
「あ、いえ…そんな」
 あわててペコリとお辞儀する八雲。お辞儀してから、先ほどの言葉を反芻する。
 ……はて、従兄弟?

404 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:47 ID:Nra+9vn0
「あの…」
「ん〜?」
「ぐ、ぐおおお…ギブ…ギブ…!」
 いつのまにか播磨にコブラツイストを極めている絃子。しかし、それに気づかな
い八雲は、自分の疑問を投げかけた。
「従兄弟って…その」
「ああ、これは秘密にしてくれ。実はこバカとは従兄弟でな」
「ええ!!」
 いつの間にか近くに居たサラが驚きの声をあげる。どちらかといううと、その声
の大きさと、突然の登場に八雲はビックリしてしまった。
「そうなんですか…あ、だから同じマンションに住んでるんですか?」
「まあ、イロイロ事情があってね。家賃もろもろ折半で…って、なんで知ってるのかな?」
「え!? あ、アハハハハハ」
 サラの乾いた笑いが木霊した。
「…まあ、よしとしよう」
 フフ、と絃子も笑う。
「ス、スイマセン」
 八雲だけが、正直にかしこまって謝っていた。それでも、周りに誰一人として
気づかないが、心の中は今までも比べようがないほど晴れ渡っている。
 そうか、従兄弟だったのか。自然と顔が笑ってしまった。
 ちなみに、忘れられている播磨は、そろそろ白い世界へと旅立とうとしていたが、
その場の二人は気づかず、一人は気づかないフリをしていた。
「…グフッ」

405 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:48 ID:Nra+9vn0
「死ぬかと思ったゼ」
「やわいな、鍛えているのかい?」
「んだとう!?」
「まあまあ…」
 サラがなだめて、その場は一応、落ち着いた。
「そうだ、とりあえず打ち上げみたいなもので、中華料理屋に行くとしよう」
「あ、いいですね、八雲もいいと思わない?」
「…あ、はい」
「よし、決定だな。料金は全てケンジ君が持ってくれるそうだ」
「……なにぃ!! んなもん聞いてねえぞ!?」
「当たり前だ、言ってない」
 お、オノレェとうめく播磨。と、そこに
「それな私たちも頂こうかしら」
「そうだな、はら減ったし。兄貴ワリィな」
「うお、いつの間に増えやがった!?」
「フフフ、心配するな。なんらな貸してあげよう。利子はいつも通りだ」

406 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:49 ID:Nra+9vn0
「それじゃあ私とサラはタクシーと予約を入れてこよう」
「ハイ!」
「修治君、喫茶店の会計をしなくちゃ」
「オウ!」
 4人が二組ずつ、それぞれ歩き出した。結局、播磨と八雲だけがその場に残されて
しまった。動物を眺め、たまに話しかける播磨、なんともなしにそれを見ている八雲。
 一方の離れた二人組のひとつは
「しかし、ケンジ君もまた災難というかなんというか」
「? なにがですか?」
「なに、幸せものだな、とね」
「ハァ…」
 さて、私はどうするかな、そう思うと自然と笑みがこぼれてしまった。いやはや、
困ったものだ。
 隣で急に笑い出した絃子を不思議そうな顔で見ながら、サラは自分の友人のことを思っ
た。あの子、上手くやってる…わけないか。そう思うと、サラも少しだけ笑いがこみ上
げてきた。

407 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:50 ID:Nra+9vn0
「さっきの…」
 急に話し出した修治に驚きつつも、表情は崩さずに晶は尋ねた。
「なに…?」
「さっきの八雲姉ちゃんの一番の幸せの話」
「…それがどうかした?」
「それってさ、超簡単じゃん。俺が八雲姉ちゃんの彼氏になって、結婚して、
そんで姉ちゃんを一番幸せにすればいいんだよ」
「…」
「なんだよ、黙んなよ」
「…ごめんね…でも…そうね、それでいいのかもね」
「そうさ!」
「そうね、それなら…」
 晶はスッ、と静かに修治の前に、視線を合わせた。至近距離の顔に、修治は少し
紅くなる。
「修治君がさっき言ったことをずっと本気で思うなら、応援してあげるわ」
「ホントか!? 晶ねーちゃん!」
「ええ」
「うっしゃあ! 晶ねーちゃんがいれば鬼に金棒だぜ」
 そう言うと、修治はガッツポーズを決めた。
「でも、でもなんでだ? なんで協力してくれんの?」
「…それは秘密…」
「ふーん」
 興味のなさそうに答えると、修治は駆け出した。
「急ごうぜ! 俺腹減った!!」

408 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:51 ID:Nra+9vn0
 ―――なぜか、と聞かれたら、思い出したから。

 晶を一番に幸せにするよ
 それなら問題はないだろう?

 また、少し、あの人を思い出す。
 なぜかしら、男はみんな同じなのか、それとも彼らが特別なのか。

 晶は笑った。周りの人々が気づかないほど小さく笑った。

「修治君」
「…ん?」
「まずはイイ男になることね」
「応!」
 今はとりあえず、このままでいい。それがいい。
 心にそっと、秘めた晶の誓いだった。

409 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:52 ID:Nra+9vn0
「あーそうだった」
 像を見ていた播磨が八雲に言った
「こういうのは柄じゃねえんだが、一応な」
「?」
「妹さん、アリガトよ。妹さんのおかげでイロイロ助かった」
 前の自分なら、機能の自分ならこの言葉で満足したかもしれない。
 でも今日の自分は、今の自分はこの言葉で満足できなかった。
「あの…」
「ん?」
「前から言いたかったんですけど…」
「な、なんでしょうか」
 じっと見られながら、真摯な言葉をかけられて、思わず直立不動、さらには敬語
で応える播磨。
「名前、私、八雲です」
「…はぁ」
「…私、姉さんの妹ですけど…妹さんじゃなくて、その…八雲と呼んで…くれませんか」
 顔を真っ赤にしながら、やっとのことで八雲は言葉をつむいだ。
 そして、じっと播磨を見る。
「…ああ、ええと、それもそうだな」
 なんとなしに、播磨も恥ずかしい。
「ええ、コホン、それでは僭越ながら…」
「…」
「…ええと…」
 パォーン!! パォーン!!
 故意か偶然か、そのとき像が大きな声で鳴いた。
 残念ながら、播磨がなんと言ったかは、周りの人間に聞こえなかった。
 ただ一人、一番近くに居た女性をのぞいて…

 もう蝉の声も少ない。熱い季節は終わった。
 静かで少し寒く、時に暖かい季節がやってくる。

 fin

410 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 01:54 ID:MvdOUevX


411 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 01:54 ID:Nra+9vn0
 つまり、今月の話に感動して、妄想力があふれたと。
 ……ダメだ中途半端。
 変なところは気しないでくだはい、お願いします。
 二日連続でナニしてんだと問い詰めたい。
 もうこんな時間、受験生は寝ます。

412 名前:彼の人の隣に起つは誰が人ぞ :03/12/20 02:05 ID:Nra+9vn0
398-399の間は不自然だけど無いという罠
つまり、今月のマガスペを見ている人じゃないと分からない二重の罠
…スンマセン。

413 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 02:48 ID:7J/kI+Fo
長編オツ━━━(゚∀゚)━━━!!!!


414 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 02:51 ID:2c0B6pLu
乙です。
いいね〜ぇ(´∀`)

415 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 02:52 ID:Q3qzIDkL
勢いがあって良し

416 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 03:13 ID:6nZ936HD
乙であります!
萌え転がりますた(´∀`)

417 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 03:49 ID:FP3RwxM4
「The door into summer」 邦題:夏への扉 ロバート・A・ハインライン

うん、いい小説ですよね。青春モノだし(笑)

スクールランブル読んでると、また夏への扉よみたくなるなぁ

418 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 03:51 ID:86tIze27
(*゚∀゚*) =3 途中で切ってしまってすんまそん
すげーよ何かあちこち神が一杯だよ

419 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 04:32 ID:5WZM+Ijf
あまりにも良質のSSを幾つも貼られるとなまじ絵が想像できるだけに
「こんな出来事が本編でもあった」とあとから思い込んでしまうからこわい
多分、3ヵ月後辺りはこっちのSSが本編だと思っているかもしれぬ・・・職人さん乙

そうか。晶は修治と絡ませたら合いそうだね
そのうち修治のことが好きな、修治と同じクラスの女の子が出てきたりとか・・・よくある話だ。

420 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 06:44 ID:NoHyP0Ka
「スクールランブル SS」でググって、先頭に出た検索結果のあまりの出来におもしろいSSを読むことを諦めていたが……

GJ!!

421 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 08:35 ID:CEeE4E7J
(´Д`;)よすぎる


422 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 09:46 ID:lMb+n00L
>>387
花井のことを、花田先輩と表記されてるのは、
コレは八雲にとって、花井のことなど名前もハッキリと覚えていない
ストーカーかなんかだとでも思っていることの表れなのだろか?

花井・゚・(ノД`)・゚・。




と一瞬、脳内で思ってしまって、ワロタ(゚∀゚)

423 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 10:44 ID:enpqZamP
>>411
乙〜
本編の雰囲気損なわずに上手く膨らませてて(・∀・)イイ!!
既存の伏線っぽいのから、うまく想像を働かせて補完してると思ったよー

体調気をつけて、受験ガンガレヽ(`Д´)ノ


424 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 12:25 ID:3dh3dPI7
>>418
一杯かよ(;゚Д゚)

425 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 13:59 ID:d8X6SZdb
な、なんでこんな急に良スレになってるんだ!?
戸惑いつつもGJ

426 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 14:02 ID:Oc/G9qcV
拉致してきました

231  名無しさんの次レスにご期待下さい sage NEW!! Date:03/12/19 20:54 ID:MOlBhWQH
八雲「おはようございます」
播磨「よぉ、妹さん」
八雲「……あの」
播磨「ん?」
八雲「わたしの名前、前に言いましたよね?」
播磨「ああ、確か……八雲、だっけ?」
八雲「はい……おはようございます、播磨さん」
播磨「え? えーと……おはようございます、妹さん」
八雲「……妹じゃなくて、ちゃんと呼んでください」
播磨「はぁ……八雲さん?」
八雲「さん付けはおかしくないですか?」
播磨「や、八雲……ちゃん」
八雲「…………(///)」


427 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 14:07 ID:r+dpoMZD
>>426
萌えるけどキャラが違う気がする

428 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 15:44 ID:eAeMmbKL
次はどんな作品がいいのか考えてみる。
…季節もので体育祭? 文化祭?
現実合わせでクリスマス?

429 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 16:52 ID:VW+4VNgq
激しくクリスマス沢近キボン

430 名前:紅茶花伝 ◆EucRAerisc :03/12/20 17:08 ID:fy/onGMB
クリスマスや正月もいいんだけど原作で踏み込んでない時系列なだけに…

431 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 17:15 ID:qpTeijPQ
そん時どうなってるかわかんないしね

432 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 17:20 ID:6N/BU96r
>>430
そうだな、ここは沢近さんにゾクゾクした夏休みを回想してもらおう

433 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/20 17:34 ID:MQQhgyhE
>>432
 そ れ だ

434 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 02:31 ID:BLbJ/6QJ
お絵かき掲示板に沢近のゾクゾク回想キター!
ゾクゾクのしすぎで播磨をやつれさせる沢近萌え。

435 名前:「予告編」 :03/12/21 03:00 ID:G2bqgs13

 …それは 此処ではない どこか
    今ではない いつかの物語…


 風の強い日だった
  悲劇は突然 舞い降りた

 《ツカモト王国・王宮》
 第一王女テンマ「八雲、ここから絶対出ちゃダメだよ!」
 第二王女ヤクモ「姉さん、ここを開けて! 私も…」
 テンマ「後はお願い、八雲…」
 ヤクモ「…姉さん? 姉さん!?」

436 名前:「予告編」 :03/12/21 03:00 ID:G2bqgs13

 混乱の狼煙は 世界を巡る―――

 《サドーブ帝国・女王の間》
 兵士A「イトコ陛下! ツカモト王国が魔族によって攻撃を受けたとの報告が!」
 皇女イトコ「…近衛兵に緊急連絡、至急集合せよ と」


 《ショウリンの里》
 拳闘士ハルキ「なんと、ヤクモ君の国が攻撃を受けている!?…こうしちゃいられんっ!」
 師父「こりゃ、待たんかハルキ! どこに行こうというのじゃっ!」


 《聖コバヤ寺院・星見の間》
 大賢者「…大狂魔星が666年振りに輝くか…ついに時が来たというのか…」
 司祭A「大賢者さま…それではあの伝承が」
 大賢者「………アキラをここに呼んで参れ」

437 名前:「予告編」 :03/12/21 03:02 ID:G2bqgs13

 ――――そして、旅立つ若き者達

 イトコ「ケンジ君、そういう理由だからちょっと行ってきたまえ」
 傭兵ハリマ「どんな理由だ! ったく、用件がそれだけなら俺は帰るぜ」
 イトコ「そうか…ツカモト王国に行ってもらいたかったんだが」
 ハリマ「おいイトコ、さっさと内容を教えろ!」


 師父「スオウ、分かっておるな」
 拳士スオウ「おう、あのバカを連れて帰ればいいんだろ?」
 師父「…とりあえずはな」
 スオウ「……?」


 大賢者「…アキラよ」
 占師アキラ「私にも星が見える、分かっている」
 大賢者「頼むぞ…」
 アキラ「…」

438 名前:「予告編」 :03/12/21 03:03 ID:G2bqgs13
 ―――再会、そして出会い、そしてまた再会

  《ウィザード街道》
 ハリマ 「ゲェ! てめえは!」
 女剣士サワチカ「ちょっと、女の子に対してテメェとはなによ?
         と・も・か・く、お久しぶりじゃない、ハリマ」
 ハリマ 「なんでここにいやがる!?」
 サワチカ「別にいいでしょ、それよりも大変そうね、手伝ってあげるわ」
 ハリマ 「けっ、女の手助けほど邪魔なもんはねえよ」


  《レスアマの森》
 アキラ「…しかし、強いつっても女の子の一人旅は感心しないぜ?」
 旅人イチジョウ「でも、約束したんです。だから、探しに行かなきゃいけないんです」
 アキラ「…オトコ?」
 イチジョウ「…えと、その…はい」


  《ニーシー山・中腹》
 ハリマ 「あ? 誰だ…ゴフゥッ!」
 サワチカ「バカッ! アカデミーで一緒だったスオウ・ミコトでしょっ!」
 スオウ 「ははは、相変わらずだな二人とも」
 サワチカ「で、そちらはドチラ?」
 スオウ 「あ、こっちは…」
イチジョウ「あ、私イチジョウっていいます。えっと旅人…でいいのかな」

439 名前:「予告編」 :03/12/21 03:04 ID:G2bqgs13

 分かっていた事実 しかしそれでも人は悲しみ、叫ばずにはいられない

 アキラ 「ごめんなさい、我々の気づくのが遅かったわ…」
 ヤクモ 「……あの、姉さんは? 姉さんは!?」
 アキラ 「…あなたしか見つかってないそうよ」
 ヤクモ 「そんな、そんな…」


 サワチカ「こんな…ヒドイ…これがあのツカモト王国?」
 スオウ 「これじゃあ誰も…」
 ハリマ 「くっ、テンマちゃん!! どこだー!!」
 スオウ 「おい、ハリマ!! いまさら探したって…!」
 サワチカ「…いいのよ、今はアイツの好きにさせておいたほうが」
イチジョウ「…ハリマ君」

440 名前:「予告編」 :03/12/21 03:05 ID:G2bqgs13
 出会うべくして出会った若者たち。
 そこから、新たなる運命の扉が、今――。

 アキラ 「今ここにいるのは偶然ではないわ。私たちがここにいるのは意味があること」
 サワチカ「なにアキラ、それって運命ってやつ?」
 アキラ 「…違うわ、運命ではなく私たちの意思よ」
 スオウ 「意思…」
 ハリマ 「そんなことは俺には関係ねえし、知らねえことだ。
      とにかく、俺は行くぜ。テンマちゃんが待っんだ!」


 ――旅立ちと、新たなる仲間

 ヤクモ 「…私も行きます」
 ハリマ 「妹さん、女の子にこの旅は危険なすぎる。ここに残って…」
 ヤクモ 「ヒーリング程度なら出来ます…。もう、何も出来ないのは…」
 サワチカ「いいじゃない、もうその娘に何を言っても無駄よ」
 スオウ 「そうそう」
 アキラ 「…それに、このパーティーのほとんどが女の子よ」
 ハリマ 「…うっ!」
 ヤクモ 「スイマセン…ありがとうございます」

441 名前:「予告編」 :03/12/21 03:07 ID:G2bqgs13

 幾つもの戦いの合間に表れる、安らぎの時間
 ほほえましく、くすぐったい一時

 ハリマ 「ここはカレーだ!」
 スオウ 「ぜってー肉じゃが!」
 サワチカ「もう、なにも道端で騒がなくても…アキラなんとかしてよ」
 アキラ 「…私は肉じゃが」
 サワチカ「あ、あのねえ…」
イチジョウ「え、カレーじゃないんですか?」
 サワチカ「………はぁ、ヤクモ、なんか言ってやって!」
 ヤクモ 「…カレーです」
 サワチカ「…………は?」


 ヤクモ 「あの、ハリマさん…おにぎりです」
 ハリマ 「す、すまねえな」
 サワチカ「ほら、この肉あげるわ」
 ハリマ 「…お、おう」

 アキラ 「フム、興味深いわね…どう思う?」
 スオウ 「私が思うに、覗きは悪趣味だぞ」
イチジョウ「でも、結局スオウさんも覗いてるんじゃ…」

442 名前:「予告編」 :03/12/21 03:08 ID:G2bqgs13

 ――かつての友 現在の敵
          そして待ち受ける悲劇――

 スオウ 「このバカ! なにふざけてやがる!」
 ハルキ 「ヤクモ君を手に入れるためなら…私は悪魔にすら魂を売る!!」
 スオウ 「…こっ、このバカヤロウ!!」


 ヤクモ 「サラ…そんな」
 サラ  「ヤクモ、なんで…なんでアナタが私の敵なの…?
      ずっと知らずに…いたかった…」


 アキラ 「これはどういうつもり?」
 アソウ 「何を言うかな、どうもこうも、オレは元々こっちの側だけど?」
 サワチカ「!! 騙したのねっ…!」
 アソウ 「オレは嘘は言ってない。そっち勝手に勘違いしたんだろ」


イチジョウ「イマドリ…君……なんで…こんな…痛いよ…」
 イマドリ「あ〜も〜、しつこいなあ……離せよ」
イチジョウ「…イマドリ…君…どうし…て」
 スオウ 「イチジョウ!? しっかりしろ! ヤクモ、回復を! 早くっ!」

443 名前:「予告編」 :03/12/21 03:09 ID:G2bqgs13

 伝えたい想い 伝わらない想い

 ヤクモ 「ハリマさんにとって、いつまで…私は姉さんの妹なんでしょうか」
 ハリマ 「…へ?」
 ヤクモ 「…ごめんなさい、なんでもありません…今のは…忘れてください」


 サワチカ「アンタはいつも…いつもそうやってヤクモのことばかり…!」
 ハリマ 「…は? オマエなんか変だぞ?」
 サワチカ「知らないわよっ! バカ…ッ! バカ…ッ!!」


 アキラ 「ごめんなさい…やっぱり私はあの人しかいないの。
      …たとえ、もう会えないと分かっていても…ね」


 スオウ 「お前馬鹿か! まだアイツのこと信じてんのか!? アイツはお前を…!」
イチジョウ「ウン、バカですよね私って…きっとバカだから、まだ信じてるんです…」
 スオウ 「…馬鹿だよ、ホント」

444 名前:「予告編」 :03/12/21 03:10 ID:G2bqgs13

 いくつもの決着の果てに、彼らはなにをつかむのか?

 ハルキ 「変だな…なんでか分からないのだが、最後にミコトの顔が浮かんでしまった」 
 スオウ 「…バーカ」
 ハルキ 「…ミコト、お前まさか、泣いてるのか?」
 スオウ 「…血が目に入ったんだよ、ばーか…」


 ヤクモ 「…サラっ!」
 サラ  「私ね…ヤクモと出会えて、友達になれて良かったよ…? だから…」
 ヤクモ 「しゃべらないで…いま、いま治すから…!」
 サラ  「だからね、今すごく嬉しいんだ、エヘヘ…」
 ヤクモ 「サラ…! ダメっ!」
 サラ  「結局…ヤクモの笑顔が見れなかったなー…それが…残……念…」


イチジョウ「…これで良かったと思います」
 アキラ 「本当に?」
イチジョウ「…私、バカですから。これ以外思いつかなかったんです」
 アキラ 「それで後悔は」
イチジョウ「絶対にしません、絶対に」
 アキラ 「…そう」
イチジョウ「…ハイ」

445 名前:「予告編」 :03/12/21 03:11 ID:G2bqgs13

 いくつもの想い、いくつも願い
 それをあざ笑うかのように、物語は残酷なまでに進む。

 ハリマ 「テンマ…ちゃん…な…ぜ…?」
 カラスマ「これで、決着だね――」
 テンマ 「ごめんなさい…ごめんなさいっ…ごめんなっ…」

 この長い物語の終焉に待つのものは はたして―――

446 名前:「予告編」 :03/12/21 03:13 ID:G2bqgs13

 語られることのない、もう一つのスクールランブル
 若者たちが織り成す、美しくも悲しい物語。

 あなたは この物語の真の結末を 見ることができるだろうか?
 あなたは この物語の真の結末を どのように思うのだろうか?


 School Rumble -another world,another story-
 『ENDLES STORY』

 乞う 御期待




 「今だから言えるけど……私ね…本当は…本当はハリマのこと……」

   coming soon…

447 名前:「予告編」 :03/12/21 03:14 ID:G2bqgs13
なんつって
三日連続創作の漏れはバカですか。イヨッ、ダメ受験生!
しかも三点リーダー大杉。
てなわけで作りません、むしろ誰かこんなの作ってください。

448 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 03:19 ID:VVefroOu
高野「……という脚本なんだけど」
花井「ウム、なかなか面白い話になりそうだ。何より、適材適所(主に八雲)の配役が素晴らしい!」
播磨「全く持って同意だ! 姫役に合うのはやっぱり彼女(天満)しかいねえ!」
今鳥「えー俺って悪役なの〜?」

周防「……予告編だけでほぼ完結してる事には誰も突っ込まないのか?」

449 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 07:35 ID:pQn69V1J
俺もつくってほすぃ〜

450 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 08:57 ID:V59hxhHX
誰か、播磨と謎のお姉さんの仲に嫉妬する八雲のSS書いて。

451 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 10:08 ID:tkORWvAZ
>>447
がんばろうな。兄弟

452 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 15:42 ID:BkX3/aG9
誰か、播磨と謎のお姉さんの仲に嫉妬する沢近のSS書いて。


453 名前:1/10「Knockin’on Heaven’s Door」 :03/12/21 17:30 ID:l2fmo8mr
 塚本八雲は、時折授業をサボってしまう。
 決して、意図してのことではない。彼女は成績優秀だし、学校の授業をサボ
ろうなどとは考えたこともない。
 ただ、眠ってしまっているのだ。睡眠不足、という訳ではない。本当に、彼
女自身にも全く判らないのだが、突然スイッチが切れたように意識が真っ暗に
なり、気付いたら深い睡眠状態に落ちている。
 朝・昼・夕方・夜……時間帯に限らず、それは突然彼女にやってくる。子供
の頃から、これだけは治らない。
 塚本八雲は世間一般で言う美少女のカテゴリに属する人間であるから、そん
な彼女が学校でとはいえ、無防備に寝てしまうというのはハッキリ言って危険
な状態である。
 花井春樹――塚本八雲にベタ惚れしている男――が、目覚めのキスをかまそ
うとして、睡眠状態の八雲にブン投げられたお陰で、誰も彼女には手を出さな
くなったが、危ないことには関わりない。

454 名前:2/10「Knockin’on Heaven’s Door」 :03/12/21 17:30 ID:l2fmo8mr
「……という訳なんですよ」
 八雲の親友であるサラ・アディエマスは目の前で首を傾げている播磨拳児に
そう解説した。
「……はあ」
 播磨は、まだ判らない。帰り際に突然彼女に呼び止められ、有無を言わさず
中庭のベンチまで引きずられ、眠っている八雲の前でそう解説されても、自分
に何をさせたいのか、彼はイマイチ判らない。
「だから、八雲が起きないんで。先輩が連れて帰ればいいと思うんですよ」
「起こせば……」
「起 き な い ん で す」
 強調された。スッゲぇ睨まれた。播磨は、女の子にそういう風に強く出てこ
られると、非常に弱い。
「家まで、送ってあげないと」
「わーったよ! ……ま、仕方ねーか」

455 名前:3/10「Knockin’on Heaven’s Door」 :03/12/21 17:30 ID:l2fmo8mr
 先日の動物の件といい、キャンプでのことといい、塚本八雲にはそれなりの
お世話になっている。ここで義理を返さねば、男が廃る……播磨はそう考えて、
サラの提案を快諾することにした。
 まあ、基本的には人が良いのである。
「で」
 播磨は腕を組みながら、すぅすぅと寝息を立てている八雲を見た。
「……どうやって連れて帰ろうか」
「先輩が、おんぶしてあげればいいと思いまーす!」
 ニコニコ顔で、サラはそんな事を言った。
「おんぶ、か……」
 そう言えば、彼女の姉に当たる人間――つまり、播磨の想い人である塚本天
満――にも、おんぶをしたことがあるな、と播磨は思い出した。
「これも縁(えにし)ってやつか」
「えにし?」
「や、何でもねーよ。それより、手伝ってくれ」

456 名前:4/10「Knockin’on Heaven’s Door」 :03/12/21 17:30 ID:l2fmo8mr
 サラに手伝ってもらって、何とか八雲を背負う。
「大丈夫ですか?」
「あー、軽い軽い」
 引越しのバイトで背負っているアホみたいに巨大な箪笥だの本棚だのに比較
すれば、八雲は軽すぎるくらいだった。
 これだけドタバタしても、八雲は未だに目を覚まさない。
「本当に目を覚まさねぇな、妹さん……もとい、八雲ちゃん」
「遅くまで起きてるとか、そういうのじゃないみたいなんですけど……」
 播磨の首筋に、少し温かい空気が流れる。すぅ、すぅと規則正しい八雲の寝
息が耳元でくすぐったい。
「天満ちゃんも、こんな風にちっこかったよなぁ……」
 ぼそり、と播磨は呟いた。
「ん? どうしました先輩?」
「いや……別に」
 ただ、懐かしいと思った。

457 名前:5/10「Knockin’on Heaven’s Door」 :03/12/21 17:31 ID:l2fmo8mr
 八雲が目覚めたのは、サラと播磨が歩き出してしばらくしてからの事だった。
「あ、八雲。大丈夫?」
 寝ぼけ眼の八雲は、今だ状況を把握できない。ああ、私また寝ちゃったんだ
――サラに申し訳ない、という気持ちがまず最初に八雲の気持ちを占めた。
 次に、自分の状況を把握しようとして――困惑した。
(……あれ、どうして私……動いているんだろう)
 歩いてもいないのに、どうして風景が流れていくのか。歩いているサラと、
何故並行して動いているのか。
 自分が、人間の首に手を絡めていることに気付くと、混乱は頂点に達した。
「え……!?」
「あ、ほら暴れたら危ないよ!」
 サラの忠告に、八雲は動きを止めた。

458 名前:6/10「Knockin’on Heaven’s Door」 :03/12/21 17:31 ID:l2fmo8mr
「ん? ああ、起きたか八雲ちゃん」
 くるりと振り向く首、八雲の顔の十数センチというところに播磨の顔があっ
た。
「は……りまさん!?」
 ようやく八雲は自分の置かれた状況を理解した。瞬時に、八雲の顔は真っ赤
に染まった。
「あ……の……私!」
 慌てて降りようとして、八雲は足をばたつかせる。
「わっ、危ねぇ、危ねぇ!」
 播磨は慌てて態勢を必死で立て直す。サラは悪戯っぽく笑って、
「ほらほら、播磨先輩が困ってるよ」
 などと八雲の感情をさらに煽り立てる。
「おい、こら。落ち着け、落ちちまうって!」
 そう言って、播磨は一層強く八雲の両足をしっかりと握り締めた。八雲はそ
れでもしばらく抵抗していたが、やがて自分が暴れると返って迷惑であるとい
うことに気付き、大人しく播磨に従った。

459 名前:7/10「Knockin’on Heaven’s Door」 :03/12/21 17:31 ID:l2fmo8mr
 それでも、自分の置かれた状況のせいで、顔は真っ赤だ。心臓は先ほどから
ドクンドクンと、鼓動が高鳴って止まらない。全身に微かに震えが走る。
 自分の鼓動が、播磨の背中に伝わっていないか、自分の感情が、自分の想い
が播磨に伝わっていないか、怖くてたまらない。

 一方で――。
 温かい背中に、ひどく安堵を覚えてしまう。首筋のわずかな汗の匂い、男の
人の匂い、普段はどうしようもないほど苦手なのに――播磨の匂いは、無性に
心地良い。
「……」
 相変わらず、播磨の心は見えない。きっと何かを考えているはずなのに、何
も八雲に教えてくれない。それは酷く悲しい。播磨は、八雲のことを少なくと
も異性として好きではない、という証なのだから。
 でも、いいのだ。

460 名前:8/10「Knockin’on Heaven’s Door」 :03/12/21 17:32 ID:l2fmo8mr
 播磨は優しい。もしかすると誰に対しても優しいのかもしれないけれど、今
の播磨の優しさは、全て自分に向けられている。
 それだけでいい、それだけで今の自分は満足だ。きっと、播磨の優しさは、
いつか――自分以外の誰かに向いてしまうのだとしても。きっと、そうなった
ら、播磨は自分のことなど目もくれないだろうとしても。
 それでも良いのだ。
 重要なのは、自分が播磨拳児という人を、どう想っているかなのだから。ど
う想っているか、なんて……答えは決まっている。

 気付けば、サラは何時の間にか煙のように消えていた。気を利かせてくれた
のかもしれない。もしかすると、後ろの方でこっそりと覗いているという線も
棄てきれないが。
「播磨さん」
「んー……?」

461 名前:9/10「Knockin’on Heaven’s Door」 :03/12/21 17:32 ID:l2fmo8mr
 ひどくのんびりとした口調で、播磨は応じる。カアカアと気の抜けた声で鴉
が鳴く。
「えと、その――ごめんなさい」
「いいってことよ」
 夕焼けが淡い橙色の光で、街の景色もろとも播磨と八雲を染め上げていた。
「……ありがとう、ございます」
「……」
 八雲は、ちょっと離れかけていた両腕を再びしっかりと播磨に絡ませた。
 それから、頬を播磨の首筋に当てる。
「ごめんなさい、もう少し――もう少しだけ」
「ん? ああ、大丈夫。八雲ちゃんの家まではもうすぐだからな」
「はい、だから……もう少しだけ、このままで」
 サラは、本当に気を利かせて(播磨のことを信頼しているのもあるが)、既
に別の道から帰ってしまっていた。夕焼け空の下、住宅街を歩く二人とすれ違
う人間はほとんどいなかったし、二人を注意深く眺めるようなこともない。

462 名前:10/10「Knockin’on Heaven’s Door」 :03/12/21 17:32 ID:l2fmo8mr
 けれど、もしこの二人に関心があって、中でも塚本八雲という少女に関心が
あって、普段の彼女をよく知っている人間が今、播磨の背中に抱えられている
彼女を見たとするならば、間違いなく驚愕したに違いない。



 塚本八雲の、彼女が自分の身を預けた播磨に向けている表情は。
 紛れもなく、恋する少女だった。



                              <続くのか>

463 名前:「Knockin’on Heaven’s Door」 :03/12/21 17:34 ID:l2fmo8mr
>453-462
そんな訳で第二弾です。元々、「THE DOOR INTO SUMMER」の終わり
はこのシーンで終わらせようと思っていたのですが、想像以上に長くなった
せいで、やむなくカット。
仕方ないので、別シーンとして書き直してみました。

タイトルの元ネタは曲だったり映画だったり。
「知ってるかい? 天国じゃ皆が海の話をするんだぜ」

464 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 17:40 ID:pQn69V1J
イイ(´Д`;)

465 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 18:03 ID:9EFpxHhX
これでぼくは次の週
次の次の週まで戦い続けられます。
感謝です。

466 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 18:08 ID:iwizuATO
            i、 〈l〈l r,==¬
           -=| |=‐  |.|   |.| o o o   
     /       i7 |.| 「/   L===」      
    〈        ゙'            
    /      、ー--‐へ、 (⌒\   
.  , '      l`i‐r-ゝ  v   \\、ヾ;  ヽーァ─      乙>>453
  /イ    :ト、!│| ! , ij   u \ヽリ   ∨    
  │,イ   | u | | l∠ニ  u    ト、     ヽ  / 
   l/ | ,イ |─ァつ_ ~U~ u/;⌒i   |:: \   ヽ /
    レ W f/ ノ ,.- // ./ j v |:: u \  V   
         { /つ ィ .// /   u  |::v /ヽ.  i  
        l /つ/ レ'  〈__,.ヘ   | ̄7  ヽ |  
        ヽ ヘ'v ー-、 ノ  ヽ  | /   
          \ ij 0 ヽ.   `ー' | r‐¬ |   
           \ ノ O \    |_!o ol_|    
             ヽ     \    ヽ ̄


467 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 18:08 ID:k71ZfO1a
GJ

468 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 18:16 ID:6F8f3Hp/
あなたは俺を萌え殺すために送り込まれてきた刺客ですね。

469 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 18:25 ID:xkxZQWrB
これでまた数日は闘える・・・年末年始はこういうサポートがありがたい。
職人さんありがとう。もう奈良スレの面影はないけれど、各スレの役割が決まっていいね!

ふと、24日の夜もここか本スレを彷徨うのだろうかとか考えてしまった・・・_| ̄|○

470 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 18:34 ID:dPdk7eSB
GJ!
思わず天国への扉を叩いてしまいましたよ。

471 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 19:19 ID:nBHBci6/
(*´∀`*)ホワワーンとしますね。

472 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 19:52 ID:J/Kbtj/T
ああ・・これで明日から生きていける・・・
ありがとう・・・。

473 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 20:03 ID:zK0XB5ma
神の仕事だと断言できる

474 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 20:24 ID:oKMCJT9L
むしろこれで死んでしまう。

475 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 20:26 ID:fYcYI+cp
「知ってるかい? 天国じゃ皆が海の話をするんだぜ」
ノッキンオンへブンズにもあったな 至高の名作映画だよ この映画も

476 名前:After School Days :03/12/21 20:53 ID:GFefHjSa
「……なのよ」
「あらそうなの」
 放課後、一日の勤めから解放された学生たちが息を吹き返したように
お喋りに興じ始める。
 ここ、2-Cもその例外ではなく、授業中のぴんと張りつめた空気とは
一転して、穏やかな空気が流れ始めたのだが――
 ガン、という叩きつけるようにしてドアを開ける騒々しい音で、唐突
にそれは打ち破られる。
「……なにしてるの、播磨君」
 沢近愛理のじと目の先にいたのは、肩で大きく息をしている播磨拳児
だった。
 いつも無駄に空回りしてるのよね、と思いながらも、なんだって私は
こんなヤツが気になるのか、と二つの思考が同時にスタートする彼女。
「てん……いや、ツカモトサンが何処にいるかシリマセンカ」
 一世一代の決意(もう何度目か)を胸に、イントネーションから口調
まで何かが間違っている播磨。ただし、その瞳に浮かぶのは本気の色で
ある。サングラスの下だから誰にも見えないけど。

477 名前:After School Days :03/12/21 20:55 ID:GFefHjSa
「……天満ならさっき図書」
 何故か少々むっとしている自分に困惑しつつ、それとは態度に見せず
に返事をする沢近。
「そうかわかったすまん」
 最後まで聞き終わらないうちに、一息にそう言って駆け出す男・播磨。
 が、すぐに引き返してきて、ぺこり、と頭を下げてからまた走り出す。
妙なところで義理堅い男である。
「……」
 その竜巻のような勢いに呆然としていた沢近に、晶が声をかける。
「よかったの?」
「……何がよ」
 憮然とした表情の沢近に、そう、とだけ答える晶。何なのよ、と言いか
けた沢近だったが、あら、という晶の声に視線をそちらに向けると。
「天満じゃない」
 どうしたのよ、と尋ねれば、
「返すつもりの本を忘れてきちゃって」

478 名前:After School Days :03/12/21 20:56 ID:GFefHjSa
「ほんと、あなたって……」
 あはは、と呑気に笑う天満に毒気を抜かれた恰好になる。
 しかも。
「ああ!」
「今度は何よ」
「……本、家に忘れてきたみたい」
「……あー」
 さすがにもう、声にならない。抜けてる抜けてる、とは思っていたけれ
ど、いつも想像の斜め上を駆けていく、と呆れるやら感心するやらの沢近。
「一度帰ってまた来る?時間的には余裕だけど」
「……うん、そうする」
 しょげた声を出した天満だったが、そのコンマ一秒後には、でもこれって
いい運動だよね、などと素晴らしくポジティブな思考で動き出すのが彼女ら
しさである。
 そんなこんなで、軽い足取りで教室から出て行く天満を見送ってから、
それじゃ私たちも帰りましょう、という沢近に、
「いいの?」

479 名前:After School Days :03/12/21 20:57 ID:GFefHjSa
 再び問いかける晶。何がよ、と今度は視線だけで抗議する沢近。
「播磨君、図書室で待ちぼうけよ」
「いいのよ、あんなヤツ」
 旅行での一件(海パン――中略――あわてんぼうの播磨君)を知っている
二人だけに、それで十分なはずだったのだが。
「彼、ずっと待ち続けるタイプよ」
「いいじゃない、ちゃんと天満も戻ってくるんだし、一時間やそこら……」
「彼女のことよ、どんな予想外の事態にも巻き込まれないとは言えないわ」
 友達のわりにずいぶんな言いようである。
「それは、そうだけど」
 否定はできないようだ。
「もし戻ってこなかったら、明日まで待ってるわよ、彼」
 いくらなんでも、と言おうとして、ふと播磨の様々な奇行が頭をよぎる。
「……そうかもしれない」
 少なくとも、その可能性はゼロではない……どころか高いような気がする。
「そうね」

480 名前:After School Days :03/12/21 20:58 ID:GFefHjSa
 それで、いいの?、と畳みかけるようにして訊いてくる晶。そのいつも
ながらの無表情に、さすがに言い返せない。
「分かったわよ。行けばいいんでしょ、行けば」
「私はそうしろとは言っていないわ」
「アンタね……」
 何か言ってやろうかと思った沢近だったが、結局何をしてもかないそうに
ないので諦めた。賢明な判断である。
「もう、あの馬鹿……」
 どうして私が、と、やけに縁があるのよね、あいつとは、という二つの
思考がまたも競争を始めている。
 どちらが勝つのか、というのはまだまだ定かではないのだけれど。
 そんな彼女の後ろ姿を見送りながら、わずかに晶は微笑む。
「余計なお世話、かしら」
 そう言って窓の外を見る。秋の陽射しはもうずいぶんと傾いているけれど、
夕焼けまでにはまだ間がある。
 さて、と心の中で呟いて。
 ベストポジション探してデジカメ片手に歩き出す彼女の姿があった。

続かない。

481 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 21:05 ID:9EFpxHhX
つづきが・・・ほしい・・

482 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 21:16 ID:Cq0fUeFp
「―痛っ」
「きゃっ。 大丈夫ですか、先輩?」
「珍しい。 君でも動物に嫌われることはあるのだな」
「…きっと妬いているのよ」
「―――!」

「ニャー」

483 名前:After School Days :03/12/21 21:20 ID:GFefHjSa
なんかこう、訳も分からずやきもきしてしまう沢近の姿を想像する、
という辺りで勘弁してください。
数日前に1-3巻初めて読んで、突発的に……


484 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 22:06 ID:ToAy/vSc
>>483GJ!!
萌え過ぎて息が出来ません(;´Д`)ハァハァ

485 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/21 23:44 ID:1JhOq4Kz
>>453
あなたはぁ〜とんでもないものをー盗んでいきました。

  俺  達  の  こ  こ  ろ  で  す  

486 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 00:02 ID:PLlQlZGb
ここの職人に触発されて、隣りの席の子のSSを書いてみるも、途中で挫折。
キャラが薄い、というかないよ、ママン_| ̄|○

487 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 00:06 ID:yRpVTEnR
>>486
自由が利いて逆に書きやすいと思うんだが

488 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 00:14 ID:ZiKTehfK
ぐはぁ・・・・・・・
切ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!

489 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 01:51 ID:GJomKxc7
>>483
晶をわかってるネ〜(*´д`*)

490 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 02:07 ID:jCKPRLaH
本スレを一歩出てみるといっぱい神がいました。

沢近SSサイコー!!!!!

491 名前:483 :03/12/22 02:33 ID:SbtPd2Rk
続けて、みましょうか……(モニタの前でガクガクブルブルしつつ

492 名前:After School Days - 2 :03/12/22 02:35 ID:SbtPd2Rk
 そして。
「……うわ」
 普段なら絶対に出さないような、そんな言葉を思わず口にしてしまった
のは、その図書室の前についた直後である。
 感じるのだ。
「居るわね、これは」
 騒音を嫌う図書室、その構造上普通の教室より若干厚めの扉となっている
のだが、それを通してさえ伝わってくる圧倒的存在感。どう考えても、
まともな人間なら回れ右よね、と思ってしまう。
 しかし、ここまで来て引き返す、というのは沢近愛理のプライドが許しは
しない。プライド以外にも理由はあったりするのだが。
「……」
 ともあれ、ドアに手をかけ、そろそろと開ける。
 と。
「……っ!?」
 およそこの世に『念』というものが存在するならば、これこそまさにそう
だろう、という視線が沢近を貫いた。言うまでもなく播磨である。
 普通の人だったら気絶するわよ、と思ったものの、あの子だったら大丈夫
なのかしら、と天満のことを思い浮かべる。
 脳天気を絵に描いたようで、信じられないくらいにポジティブで、そして。
 そして、播磨の思い人。

493 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 02:35 ID:3+uzAn56
>>491
おねがいいたします!

494 名前:After School Days - 2 :03/12/22 02:35 ID:SbtPd2Rk
 そこまで考えて、またしてもいらついている自分に気がつく。理由の分か
らない苛立ちに、理不尽よ、とこれまた腹を立てる沢近。
 そんなことにはお構いなしに、やってきたのが心の女神(誰のだ)天満ちゃん
ではなかったことに心底落胆した播磨は、ふう、と溜息をつきつつ椅子に腰を
下ろす。
 その態度にまたイライラがつのり、とフラストレーションのインフレを
起こしつつある沢近。思わず叩きつけるようにしてドアを閉めてしまう。幸か
不幸か、委員さえ席を外しており(決して誰かさんの無言の圧力に屈したわけ
ではない。断じて)、視界の中には二人きり、抗議の声は上がらない。
 しばしの沈黙。
 その間にも沢近の中では数多の思考が駆けめぐっているわけなのだが、当然
と言えば当然のように、播磨はまったく気がつかない。それ以前に、何故彼女
がここに来たのかもまったく分からず、疑わしげな視線を投げかけるのみ。
「……」
 視線が交差した瞬間、思わず顔をそらしてしまう沢近。対する播磨はますます
わけが分からない、という様子である。
「……何か御用でしょうか」
 いきなり下手である。さすがの彼も彼女に対していろいろとまずいことをした、
という自覚はあるらしい。
「天満は来ないわよ」
 なんだかよく分からないペースに巻き込まれたまま、調子の取り戻せていな
かった沢近は、結論だけを口にした。
「そうか、ありがとよ……って、何!?」
「っ、ちょっ、そんな大声出さないでよっ……って大丈夫?」
 納得しかけてから思わず立ち上がった播磨だったが、そのまま魂が抜け落ちた
ように膝から崩れ落ちた。男泣き。
「またか、またなのか……」

495 名前:After School Days - 2 :03/12/22 02:37 ID:SbtPd2Rk
「もう……ちょっと、泣かないでよ!別に一生来ないとか言ってるわけじゃない
んだから!」
「え……」
 まるでふぬけたように弱々しいその姿を見て、そんなのあんたらしくないで
しょうが、と思いながら、どうにかペースを取り戻して事情を説明する。
 で。
「なるほど、そういうことか」
「そういうこと、よ」
 あっさりと復活した播磨に少しばかり眩暈を覚えつつ、説明を終える沢近。
「つまり遅くはなるが待てばてん……じゃない塚本は来るわけだな」
「そうね」
「そうか」
 沈黙。
 それを伝えてくれたことはありがたい、と播磨は思う。思うのだが、ならどう
してその用事が済んだあともこいつはまだここにいるのだろう。
「まあそのなんだ、俺はこのあと塚本と大事な話があってだな」
「ふうん」
「いやそうじゃなくてだな……」
 こういう時、どう説明すればいいのかまったく分からない播磨である。いっそ
すべて話してしまうか、と思ったものの、この女にだけは話せねえ、と本能が
告げている。
「……だから、言ったじゃない。来ないかもしれない、って」
 そして沢近自身も、どうして自分がここから離れられないのかよく分かって
いない。むしろ、用事も済んだのだからさっさと帰る方が自然なのに、何故か
理由までつけてここにいようとしている。

496 名前:After School Days - 2 :03/12/22 02:38 ID:SbtPd2Rk
「いや、来るね」
 しかし、播磨は確信を持って答える。
「どうしてよ」
 またしてもかちんと来た沢近も、語調が強まる。
「そりゃ確かに天満ちゃんはちょっと……そう、ちょっと抜けてるところもある」
 天満ちゃん、などと口走っているが、すでに二人とも気づいていない。
「だけどな。あの子は約束を破るような子じゃねぇっ!」
 別に約束などしてはいないのだが。実はまだ立ち直っていなかった播磨である。
「っ……でも、あの子はあなたのことなんて全然見てないじゃない」
「ああそうだ。だから……だから振り向かせるんじゃねぇか、自分の手で!」
 先にリミッターの外れていた沢近に引きずられるように、播磨も普段なら絶対
に口にしないようなことを口走る。
 その言葉に突き刺されたように感じながら、沢近も言葉を放つ。
「あなたが天満を見てるように、あなたのことを見てる人だっているんだからっ!」
「あぁん?この不良でろくでなしの俺を?どこの誰がだ」
「私よっ!」
「……は?」
 そこで播磨の方が我に返る。今、この女は何と言った?
「私はね、播磨君。あなたのことが……」
 ことが、何なのだ。そこまで言ってから、沢近も我に返る。
 私はあなたのことが。
「……」
「……」
 いつの間にか播磨は立ち上がり、沢近は詰め寄っていて、顔が触れあうほどの
距離にいた二人。先ほどとはまるで違った風に、視線が交錯する。

497 名前:After School Days - 2 :03/12/22 02:39 ID:SbtPd2Rk
「……」
「……」
 やがて、どちらからともなく後ろに下がり、播磨は椅子に倒れ込むように座り、
沢近はドアにもたれかかる。
「あのだな」
 どうにかして収拾もつきそうにない事態を納めようとする播磨。
『冗談よ冗談。忘れて。むしろ忘れなさい。忘れないと……分かるわね』
 平時の沢近ならその程度は口にしていたかもしれない。
 けれど今は。
 たった今気がついてしまったこのよく分からない気持ちと、自分自身のプライド
と、その両方を天秤にかけて。
「私はね、播磨君――」


<……続ける?>

498 名前:After School Days - 2 :03/12/22 02:41 ID:SbtPd2Rk
ここで綺麗に終わるべきか。
一応〆というか爽やか風味のエンディングもありますが……

それにしても。
な ん て 恥 ず か し い ん だ

499 名前:493 :03/12/22 02:43 ID:3+uzAn56
邪魔してごめんなさい。。

ぜ、ぜひつづきを!

500 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 02:46 ID:WKLminaP
>>498
理性は終われと告げてるが本能は続けろと訴えてる

501 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 03:05 ID:tDuUjTLQ
続けなくてイイ。

502 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 03:29 ID:OaQDUf0l
>>498
おいらが萌え死ぬ前に、是非つづきを。

503 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 04:12 ID:WD4ZQA9f
夜中に読みふけってしまった
ここまできたら勢いでいっちゃえ

504 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 04:19 ID:LEsFPusD
法悦じゃあ! 此処はエルドラドじゃあ!

505 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 07:43 ID:5O1NjWer
播磨の行動に多少違和感を感じないでもないがすごく(・∀・)イイ!! GJ!!
ただ個人的にはここでやめておいてもらいたい。


506 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 07:55 ID:d2oIJeEo
「もう、あの馬鹿……」


一度で良いから、言われてみたい台詞だ。

507 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 11:01 ID:HeOHRuOE
>>498
続けて欲しいような、妄想の余地を残して星jかbqンrfjkdさんg、ジャrkds、rンf;dmんdsgんh

508 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 12:59 ID:KyANzto4
一条「登山しませんか?」
今鳥「は?」
「さあ行きましょう」
 ぐわしっ。
「待てよ、冬だぞ」
 ずるずる。
「だからこそですよ」
 ずずずずず。
「俺、登山具、持ってないんだけど」
 ずざざざざざ。「今鳥さんの装備も用意してあります」
 今鳥、電柱にしがみつく。
「寒、い、のは、嫌、なんだけどおぉぉあ!?」
 電柱から引きはがされた。
「遠慮しなくても良いんです!」
 今鳥、担がれる。
「…花井さんに聞きました、バイトをさぼってクラスの女子と合宿に行ってきたって」
 じたばた。
「私もしたいです」

509 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 13:01 ID:KyANzto4
 以上です、続きません。
 一条がもう少し積極的だったら、と思った途端に書いてしまいました…。

510 名前:Silent birthday. :03/12/22 14:04 ID:gMzn1PTL

「…む」
 刑部絃子は職員室のいっかくで、突然うでを降り始めた。
その行動に疑問を持った隣に座っている古典教師の一坂がたずねる。
「どうしましたか、刑部センセイ」
「ああ、いえ、ちょっとこのごろ、腕時計が止まるんですよ」
 そう言って、振った腕にはめられた時計を見る。現時刻は5時47分、
しかし、長針は6と7の数字の間を指している。都合、15分も止まっ
ていたことになる。
「はあ、そうですか。ちょっと貸してもらえますか?」
「ええ、どうぞ」
 銀色にコーティングされた腕時計をはずし、一坂に渡す。一茶かは
老眼をはめ、まじまじと見つめたり、耳に近づけたりする。
「ふむ、どうやら中の歯車が欠けたかなんかしましたな」
 この発言に、絃子は怪訝な顔をする。その顔に気づいた一坂が、
私はこれでも時計に詳しくてね、よくバラすんですよ、と続けた。
「知り合いに腕のいい修理工を知っていますが、ご紹介しましょうか」
 しばらく考えた末、絃子はお願いすることに決めた。

511 名前:Silent birthday. :03/12/22 14:05 ID:gMzn1PTL

「「せんせー、さようならー」」
「もう暗い、気をつけて帰りなさい」
 はーい、と元気よく女子生徒達は駆けていき、その後を笑い声が続く。時
刻はすでに7時過ぎ、まだ学校に残っているのはブラスバンド部ぐらいだろ
うか、校舎の中から「宝島」の軽快な演奏が止まずに響いてくる。
 結局おそくなってしまった。ほんとうは5時上がりだったのだが、文化祭
のプログラム作りを手伝うはめになってしまったのが誤算だった。
 担当の西脇教諭にお願いされたのだ。今日は結婚記念日で早く帰らないと
嫁にドヤされる、代わってくれないか、と。その後、刑部先生にご予定がな
ければ…と言われ
「まあ、これといった予定はありませんが」
 と言った瞬間、彼は大量のプリントを渡し、颯爽と帰ってしまった。まだ
了承もしていないのに、である。
「…」
 結果、予想以上に時間がかかり、この時間になってしまった、といううわ
けだ。

512 名前:Silent birthday. :03/12/22 14:07 ID:gMzn1PTL

 帰り道を歩くと、前方からカップルが腕を組んで歩いてきた。なんともな
しに視線を送ると、自分と同年代だろうか。いまさらうらやましがる歳でも
ないのだが、それ以上眺めるのはやめた。
 そのあと、酔っ払いにからまれるも一撃で撃退し、うっとしい呼び込みも
一眼で黙らせる。そのうち、まわりんは誰もいなくなっていた。
 閉店セールに賑わう大型スーパーの前に着いたとき、なにかを思いついた
絃子は、しずかに中に入り、目当てのものを買うと、やはり静かに家路につ
いた。


「…ただいま」
 返事はない。分かっていることだった。播磨拳児はこの頃バイトにせいを
だしているようだったし、ほかにこの家に自分を待つ人などいないのだ。
 無言で服を脱ぎ、シャツにショートパンツという軽装に着替える。少し寒
いので、ヒーターのスイッチも入れた。
 席についてテレビをつける。無駄な知識を放送する番組が流れてきた。最
初は黙ってみていたが、絃子はつまらなさそうにチャンネルを国民放送の
ニュースに変える。番組で偉そうに披露されていた知識は、絃子にとって、
半分は知っていることであり、もう半分はどうでもよかった。
 無意味な時間が過ぎる中、絃子は無言でバッグから手帳を取り出す。今日
の日付には「部予算の会議」という言葉の下に2桁の数字と「誕生日」とい
う言葉が書かれていた。

513 名前:Silent birthday. :03/12/22 14:08 ID:gMzn1PTL
 帰りに寄ったスーパーの袋から、ケーキとシャンパンを取り出す。我なが
ら女々しい、いや――
 たぶん、同僚や友人、茶道部のコたちにこの事実を伝えれば、彼女らはプ
レゼントをくれたり、ケーキを作ってくれたり、もしかしたら誕生日パーティー
なんかを催してくれたかもしれない。しかし、なんともなしに絃子はそれを
伝えなかった。理由は…分からない。なんとなく、そう、本当になんとなく
伝えなかったのだ。
 そのくせ、いま少しだけ、自分は寂しさを感じている気がする。自分でも、
わがままな子供か、と言いたくなる。
 ケーキを一口食べたが、甘くなかった。シャンパンは開ける気にならなかっ
た。ケーキはゴミにすて、シャンパンは冷蔵庫に適当に放り込んだ。



 そういえば、ここにはいない人物だけは、間違いなく自分の誕生日を知っ
ているはずであることを思い出した。あれは、たしか自分がまだ子供で、ア
レはもっと子供のころの話だ。

514 名前:Silent birthday. :03/12/22 14:10 ID:gMzn1PTL
「イトコ姉ちゃん!」
「…なにかな、ケンジ君」
「これやる!」
 少年は、自分の顔を赤くして、右斜め下を向き、大声で叫んだ。
「これは?」
 彼が差し出したのは、白い花だった。しかし、それは花束でなく一本だけ
が、むき出して少年の手に握られていた。
「今日って誕生日だろ? だからやる!」
「…ありがと」
「へへへ、これはただの花じゃないんだぜ!」
 そう言うと、少年は どんな花か知りたい? という表情でこちらを見てき
た。苦笑しつつも、絃子は尋ねた。
「そう、どんな花なのかな」
「これは、空き地の原っぱで一番でかくて、一番きれいな花なんだぜ!」
 そう言った少年の顔は、自信と達成感であふれていた。見れば、服がかな
り汚れており、頭にははっぱがついている。かなり一生懸命探したことが、
みてとれた。
「そうか…ありがとう」
 また、少年は恥ずかしそうに笑った。自分も、知らずに笑っていた。

515 名前:Silent birthday. :03/12/22 14:11 ID:gMzn1PTL
「…おや?」
 絃子はテーブルの上にうずくまって寝ていたようだ。テレビからはニュース
が淡々と流れている。知らず知らずのうちに寝入ってしまったらしい。
 それにしても、ずいぶん懐かしい夢をみた。こんな夢を見るとなると、ます
ます自分が子供っぽいと思う。しかし――
 しかし、それ以上に播磨の過去に笑ってしまった。そうか、ケンジ君にも
純情な少年時代があったのだな、と。
「…なんだよ、やっと起きたのかよ」
 突然、目の前に今の播磨拳児が現れた。すこし、驚く。しかし、時間を
見れば自分が帰ってから大分経っている。これぐらいな驚くことでもない。
「気もち悪いな、なんだよ笑ったり、ボケっとしたり」
「…君の顔よりはマシだ」
 あのころにくらべて、現実の彼の人の、なんと可愛げがないことか。いや、
それは自分も同じか。
「私はシャワーを浴びてもう寝るよ。後はよろしく」
 すっ、と立ち上がり、着替えを取りに自室へと向かう。そのとき、播磨が
声をかけた。
「あ、イトコ」
「…さんをつけろ」
 その言葉を無視して、播磨はゴソゴソろポケットをまさぐり始めた。何か
を出すかと思いきや、あれー? などと言いながら、全てのポケットを調べ
はじめた。怪訝な顔で、なにをしているんだい、と尋ねようとした瞬間
「お、あったあった」

516 名前:Silent birthday. :03/12/22 14:13 ID:gMzn1PTL
 播磨はポイッとラッピングされた箱を投げてよこした。それを上手にキャッ
チした絃子。あまり大きいものではない。
「…なんだい、これは」
「まあ、いわゆる誕生日プレゼントってやつだな」
「…」
「イヤーまーなんつーかな! そのお世話になってると言えばなってるしよ!」
 恥ずかしいのか、年甲斐もなく顔を赤くしてまくしたてる。顔は右斜め下向
き、そして大声。それはまったく変わっていない、あのころと同じ癖だった。
「プ…ククク…アッハッハッハッハ!」
 我慢できずに笑ってしまった。そうかそうか、結局変わっていないのだ。
見た目は変わっても、内面はまったく変わっていない。それが嬉しくもあり、
可笑しかった。
「なんだよ! 笑ってんじゃねえよ!」
「アハハハハ…はあ、いや、スマナイ、スマナイ」
 ひとしきり笑い終わると、絃子は時計を見た。
「それじゃあ、これからディナーにでも行こうか」
「なにぃ! 俺はそんなもんまで払えねえぞ!」
「心配するな、プレゼントのお礼みたいなものだ、私がもつ」
 その言葉に、播磨はほっと息をつく。それなら行くぜ、と言い播磨は準備
のために自室へと向かった。絃子も準備のために自室に向かった。

517 名前:Silent birthday. :03/12/22 14:14 ID:gMzn1PTL

「…珍しいじゃねえか、化粧にドレスなんて」
「まあ、たまにはな」
 玄関を出ると、少し寒い。秋の夜と寒風で体が震えた。
「薄着なんだろ、上着もってここいよ」
「フム…」
 絃子はしばし考えた後、スルリと播磨の腕に自分の腕をからませた。
「これでよし、まあ我慢できる」
「………よしじゃねえ!」
「なんだい、恥ずかしいのかい。こんな美人に腕を組まれて幸せだろう?」
「あのなー、てめえ今日はなんかおかしい…」
「今日は私の誕生日だ、文句を言うな」
 そう言われれば播磨はぐうの音もでない。仕方なく、このまもの状況で歩き
出した。しかし、マンションを出たところでふと気づく、確か俺が帰ってきた
のは12時過ぎではなかったか?
「いや待てイトコ、もう12時は過ぎてるぜ、もう誕生日じゃねえ」
「おや、しかしこの時計を見たまえ、まだ12時は回っていない」
 そう言うと、播磨の前に腕の時計をかざした。確かに12時をまわっていな
い。
「これで文句はあるまい。それに、男はいつまでも文句を言うもんじゃないだろう」
 播磨は、あれぇ? と思いながらも納得し、結局イトコと共に歩き出した。

518 名前:Silent birthday. :03/12/22 14:18 ID:gMzn1PTL

 次の日に職員室で一坂が寒いですなぁ、と絃子に話しかけた。そうですね、
と絃子は笑みで返す。珍しい、と一坂が思っているとふと、絃子の腕に目が
行った。
「おや、時計を買ったんですか」
「いえ、まあ、男性からのプレゼンントですよ」
「それはそれは、うらやましい」
 一坂は笑顔でそう言うと、自分の席についた。そして、おや、と思った。
絃子の机の上に、昨日の壊れた腕時計が置かれている。
「その古い時計は…どうしましたか」
「…ええ、まあ、イロイロですね」
「まだ壊れているようでね、修理工に渡しましょうか?」
「…有難いんですか、遠慮させてもらいます」
 やはり笑いながら、絃子は答えた、わけありかな、と一坂は思ったが、変
な詮索をせずに、そうですか、とだけこたえた。そして、目の前の書類整理
を始めた。
 腕時計の時間ちょうどにチャイムが鳴った。イトコは担当教室に向かう。
新しい時計は確実に時を刻んでくれているようだ。まだ腕に馴染まないが、
それも時間の問題だろう。颯爽と、彼女は職員室をあとにする。

 机の上に残された時計の針は、その様子を黙って見送っていた。役目の
終え、最後に主人の役に立ち、静かにたたずむ腕時計。
 その針は11時59分で止まっていた――。

 fin.

519 名前:Silent birthday. :03/12/22 14:19 ID:gMzn1PTL
超姉萌えを目指してみました。
しかし、イトコさんは言葉遣いがムズカシイ。

520 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 14:19 ID:yRpVTEnR

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フ     /ヽ ヽ_//        <      ッ >  フ     /ヽ ヽ_//
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   /,. ノ      l 'uu       /∨∨∨∨\      |┃  ガラッ    もらった
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(        /     /\ \/( ,_ノ` )/( <_,` )ヽ/\≡   )   人 \
 ヽ      |   /   \(uu       /     uu)/  \


521 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 14:20 ID:NWP7i+wT
(・∀・)イイ!!
素晴らしいです!

522 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 14:20 ID:BVzu61Oy
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!

523 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 14:21 ID:PLlQlZGb
誕生日ギリギリの時間で止まる腕時計(;´Д`)ハァハァ

というわけで、グッジョブ!!

524 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 14:22 ID:sIXV5l/Q
神様GJ!

お絵かき職人やらSS職人やら最近スクランスレに数多の神が集結していますね。


525 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 14:32 ID:gMzn1PTL
これでSS3(4?)個目…なにしてんだろ、受験生な俺。
それでも足りないスクラン分は自給自足しないと死ぬので…。
ゴメンナサイ。

てか、俺たち感想はやすぎッス。

526 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 14:34 ID:d94pyRvd
ふと思ったんだが・・・ここはもはや奈良は関係なくないか・・・・・?
いや・・思っただけだスマン・・

527 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 14:38 ID:y4YuI0xG
>>519
乙です〜
各キャラの性格を上手く掴んでますなー
相変わらずオチも良いし、(;´Д`)ハァハァでつ。

>>526
お絵かき板にショックを受ける奈良の様子が……w

528 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 14:56 ID:TMd3SZL+
>527
あれ見てて思ったのだけれど、
奈良と麻生って、意外と組み合わせると相性いいんじゃないか?
播磨らの非常識人間に振り回される奈良と、
それをなんとか丸く納める影の実力者、麻生。

529 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 16:26 ID:BgWxWwf3
スクラン系スレこそまさに神の住まう場所、ヴァルハラだ・・・・

530 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 17:20 ID:83nuMBVS
GJ!

531 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 17:48 ID:PHChDCsn
神キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! グッジョブ!!
超姉萌え最高でつ(*´д`*)ハァハァ

532 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 17:55 ID:PLlQlZGb
一応隣りの席の子のSSを書いてみたので投下します。
神と比ぶるべくもないほどできが悪いので、メ欄にNGワード(隣子)を入れときます。
神のSSの余韻を残したい方は、読まないほうがいいでせうw

533 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 17:56 ID:PLlQlZGb
播磨拳児という男はどういった人間か。
殆どの生徒は、怖くて乱暴な不良というイメージを持っているだろう。
だが、「殆ど」ということは、そう思っていない例外の生徒も中にはいるということである。
そんな例外の一人が存在しているのが、2−C、つまり、播磨拳児本人がいるクラスである。
本来、播磨拳児は優しい性分である。
ただ、それ以上に喧嘩っ早く粗野で馬鹿なため、よくよく誤解を受けてしまっているだけだ。
よくよく考えると誤解じゃないかもしれないが、少なくとも、「筋は通す」男であり、無闇な暴力はふるわないのだ。
そんなことにいち早く気付いたのは、日ごろから播磨の身近にいることの多い、隣りの席の女の子だった。


「でも、あんたも災難よねー
 よりによって、あの播磨君の隣りの席になっちゃったんだもの。」

時は昼放課。
クラスではいくつかグループが出来、昼食を取っている時間帯である。
そんな折、そのグループの中の一人が言い放った言葉に、微苦笑しながら彼女は答えた。

「そうでもないよ。
 私、播磨君の隣りの席になれて結構よかったと思うよ。」

先程の発言に同意し、彼女も同様に答えると思ったグループの面々は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして驚いた。

「ええー!!
 だって、あの播磨君だよ。
 もう既にヤクザから引き抜きの依頼がきてたりとか、一度声をかければ近所一帯の暴走族が集まるとか……
 この前まで学校を休んでたのだって、何処かの組の抗争に巻き込まれたどころか、わざわざそれを潰しに行ったって話じゃない!」

到底信じらる話ではないのだが、言った本人も、それを聞いている皆も、不審に思う様子はない。
そんな皆を無責任だと思いながらも、心の片隅で皆が知ろうとしない播磨の一面を知っている、
そんな優越感を心の片隅で感じながら、彼女はそれ以上播磨に拘ろうとせず、新しい話題を振っていった。

534 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 17:58 ID:PLlQlZGb
彼女が播磨を意識するようになったのはいつからだろうか?
席が決まった当初から意識はしていたが、それは好意とは程遠く、むしろ正反対に位置するものであった。
しかし、「好き」と「嫌い」は似たもの同士。
ベクトルが正であれ負であれ、それは大きな力。
意識し続けた結果、播磨が真面目だったり、ちょっと抜けていたり、美術が上手、運動が得意などといった意外な一面を発見したのだ。
それは、彼女にとって、まさしく人間ルネサンス。
もっといろんな面を知りたい、そんな思いが徐々に強くなり、何時の間にか、それが「好き」という感情に摩り替わっていったのだった。


「でも、どうやって播磨君に好きになってもらえるんだろう。」

昼放課が終わり、席に座って次の授業が始まるのを待つ中、吐息混じりの疑問を、心の中で呟いた。
どうやったって、自分は不利だ。
このクラスには、キレイどころがたくさん集まっている。
それも、ただキレイなだけではなく、頭脳明晰、運動神経抜群、さらには、性格だって悪いわけではない。
彼女達が集まっていると、それだけで華がある。
それに反して自分はどうだろう?
容姿は、悪いとは言わないし、自分でも結構可愛い方だとは思っていたりするが、どうやったって彼女達にはかなわない。
運動神経も発達しているわけでもないし、勉強の方だっていたって普通だ。
唯一の利点は、そう、隣りの席にいるということだけ。
それだって、2学期に入れば失われていくかもしれないものだ。
そこまで思考が進むと、彼女は意識せずにため息を出していた。

「はぁ……」

と、そこで、ふと彼女が視線を隣りへと向けると、こちらを見ている播磨と目が合った。
が、何もなかったかのように、播磨はすぐにふいと、顔を反らしてしまう。
まるで、自分には興味がない、自分なんて気に留める価値もない。
そう言われたような気がして、それがどうしようもなくショックで、彼女の目から涙が零れ落ちた。
それに気付いた近くの席にいた女の子が、慌てて駆け寄ってくる。

「どうしたの。なにかあったの?どこか痛いの?」

心配そうに問い掛けてくるが、涙で息がつまり、彼女は何も言えなかった。
例え何か言葉を発することが出来ても、何も言うことは出来なかったろう。
「好きな播磨君に目を逸らされたから泣きました」などと、言える筈もない。
クラスは俄かに騒然となり、次の授業が始まるどころではなくなった。
そんな中、カッカッと綺麗な足音を響かせながら彼女達へと向かってくる人影が一つ。
金髪のツインテールがチャームポイントの、沢近愛理だ。
沢近は真っ直ぐに播磨の席の前へと進み、厳しい表情をしながら播磨へと問い掛けた。

「あんた、彼女になにしたのよ。」

「な、なにもしてねーよ。」

自分が目をそらしたせいで泣いたとは夢にも思わず、わけがわからないといった様子で播磨が答える。

「嘘、何もないのに、いきなり泣く子がいるわけないでしょう。
 あんたが何かしたに決まってるじゃない。」

535 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 17:59 ID:PLlQlZGb
拙い、これはとてつもなく拙い。
彼女の心の内は、今焦りでいっぱいだった。
播磨は何もしていない、自分がただ勝手に泣いただけだ。
ただ、そういえば良いだけなのだ。
このままでは、播磨の自分に対する印象はどんどんと悪くなっていく。
でも、その言葉が喉に引っかかって出てこない。
何とか声にしようと努力しても、ただ嗚咽となって出て来るだけで、いっこうに意味をなさない。
そして、それを尻目にみるように、播磨と沢近の舌戦はどんどんとヒートアップする。
それが、さらに彼女の涙を流させ、事態はより悪化していく。
悪循環だ。

だが、二人が言い争う最中、そんな悪循環を断ち切る切っ掛けが訪れた。

「おい、お前も泣いてないで、俺が何にもしてないって言え。」

播磨が、彼女へと助けを求めたのだ。
が、助けを求めるといっても、たった先程まで沢近と口げんかを繰り広げていた、
いや、今も続いている最中で言い放ったその口調は、お世辞にも丁寧とは言えず、かなり乱暴な調子だった。
そのせいで、つい、彼女は体をビクっとすくませてしまった。

「ちょっと、泣いてる女の子に向かってなんて言い方するのよ。
 あんたがそんな風に言うから、彼女が怯えちゃってるじゃない。」

何も言えない彼女の様子、そして沢近の言葉にカチンときたのか、播磨は大きく舌打ちをし、机を蹴り上げる。

ああ、もうダメだ。
完全に嫌われてしまった。
そう思った瞬間、彼女は席を立ち、勢いよく教室を飛び出していってしまった。

「ちょっ、あんたなにすんのよ。」

「お、お、お、俺だって知るか。」

予想だにしなかった反応に、口喧嘩をしながらも狼狽する二人。
挙句の果てには、お互いにどうしようと相談し始める始末だ。
だが、そんな二人を見ていられなくなったのか、播磨のもう一つの隣りの席に座っている塚本天満が立ち上がった。

536 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:01 ID:PLlQlZGb
「どうしようとか相談する前に、追いかけなよ。
 彼女、泣いてたんだよ。
 それなのにほうっておくなんて可哀相じゃない。」

「あ、いや、でも、そのだな、天満ち―――」

「デモもストもないよ。
 早く追いかけに行きなさい。」

好きな人にはめっぽう弱い播磨。
思わずしどろもどろになるが、天満はそんな播磨を取り合わずに一喝し、その声に押されるように、播磨は慌てて教室を走り出して行く。

「ちょ、待ちなさいよっ。
 あんただけに任せたら、どうなるかわかったもんじゃないわ。」

そう言いながら、沢近も播磨の後を追っていった。
教室を出たところで、すぐに途方にくれている播磨に追いつく。

「しかし、追いかけるって言っても、あいつどこに行ったんだ?」

「私が知るわけないでしょ。
 とりあえず、昇降口に行って、学校の外に出てないどうか確かめましょう。」

そう言いながら階段を下りていく沢近。
それに遅れまいと、慌てて播磨も付いていく。
「なんでこんなことに」
「なんでこんなやつと」
などと、ぶちぶちと愚痴のような言い合いながら、二人は昇降口へと向かっていった。

537 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:02 ID:PLlQlZGb
「ちゃんと下履きはあるわね。
 ということは、まだ学校内にはいるってことよね。」

「だな。」

「でも、どうしよう。
 校舎内にいるってわかったって、どこにいるかなんてどうすれば……」

飛び出していったとはいえ、まだ校舎内にいると確認できたが、そこから先をどうするべきか思案し、どうしたものかと悩む沢近。
だが、そんな迷っている沢近を、まるで別の星の生き物みたいに見ている播磨がいた。

「何よ、その表情。」

「や、校舎の外に出ないでサボる場所なんてそうないだろ。」

その視線にうめいた沢近だが、播磨の返答に、思わずきょとんとした表情を浮かべる。

「え、どういうこと?」

「どういうことも何も、授業サボれる場所っつったら、せいぜい便所か、体育館、さもなきゃ屋上ぐらいのもんだろ。」

そう、播磨拳児は動物達に出会うまでは不良だったのだ。
当然、授業をサボるなんてお手の物。
学校自体をサボることだってざらで、そんな播磨からすれば、自分の経験から推測すれば良いだけのことだった。
そんなことは露知らず、沢近は
「意外とこいつって頭良いんじゃ……」
なんて思っているわけだが、その辺りは割愛させていただく。

「そうね……あんたの言う通りだわ。
 確か体育館は、今の時間は隣のクラスが使ってたはずだから、後はトイレと屋上ね。」

「んじゃ、俺は屋上いくから、お前は便所の方を頼むわ。」

「うん、わかったわ。
 それじゃあ、よろしく。」

そう言い、播磨は階段を駆け上がり、沢近は今いる1階の女子トイレを探し始めようとする。
と、そこでふと気が付くことがあった。

「私、あいつだけに任せられないからわざわざ付いて来たのに、なんで、あいつの言うこときいてるのよ!?」

その問いは、誰にも答えられることなく、ただ風に流され消えていくだけだった。

538 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:04 ID:PLlQlZGb
沢近が、ふと自分を見失いかけ困惑している頃、播磨の方はというと、何も考えずに、ただひたすら屋上へと向かっていた。
いや、何も考えていないと言うのは語弊がある。
今彼の頭の中は、クラスメートの危機を颯爽と片付けた自分に惚れる天満という妄想一色に染まっていたのだから。
天満ちゃん(;´Д`)ハァハァ
天満ちゃん(;´Д`)ハァハァ
天満ちゃん(;´Д`)ハァハァ
天満ちゃん(;´Д`)ハァハァ
天満にいいところを見せる、ただそれだけのために、名前もわからないクラスメートの行方を捜しているのだ。
ここまで来ると、表彰ものかもしれない。
そんな妄想を抱えながら階段を上っていた播磨だが、ついに屋上に繋がる踊り場へと到着する。
目の前には、屋上と踊り場を隔てる扉。
それが、今の播磨には、甘く切ない天満との恋人ライフの始まりを祝福する運命の扉に見えた。
いざ、行かん!とばかりに、ドアノブを捻り、めくるめくる幸せの世界を夢見ながらゆっくりとドアを開ける。
が、今もなお、今直嗚咽を漏らしながらうずくまる少女の後ろ姿が視界に入り、播磨は思わず固まってしまった。



光物を持ったヤクザにすら恐れず喧嘩を吹っ掛ける播磨拳児にも苦手なものがある。
勉強は当然で、貝類だって食べられない。
だが、そんなものが霞んでしまうほどの天敵がある。
それが、女性の涙だ。
天満に惚れた際に見た、あの涙を浮かべた表情をどうしても重ねてしまうのだ。
そうすると、ただでさえ不器用な播磨はどうにも弱くなってしまう。
相手が、例えなんとも思っていない名も知らぬクラスメートであっても。

539 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:05 ID:PLlQlZGb
「あのー……」

意を決し、恐る恐る播磨が声をかけると、少女ははっと振り向き、いや、振り向こうとしてバランスを崩し、尻餅をついてしまった。
ただでさえ泣いて赤くなっていた少女の顔を、さらに羞恥が赤く染める。

「いつまでそうしているつもりだ。ほら、捕まりな。」

赤くなったまま立ち上がろうとしない彼女を見かねたのか、播磨が手を差し伸べる。
だが、当の手を差し伸べられた本人は、それを不思議そうに涙で腫れた目で見上げ、固まったままでいる。

「ああっ、もう、面倒くせェ!」

このままでは埒があかないと思ったのか、播磨は強引に腕を取り、無理やり彼女を立たせる。

「な、なんで、ヒック、はっ播磨、君が、こっこに、い、いるの?」

ようやく、思考が状況の一部を理解し始めたのか、涙混じりで少女が播磨へと問い掛ける。

「ああ、そんなの、追いかけてきたからに決まってるだろう。」

追いかけて、の前に「天満に頼まれて」という言葉が省略された播磨の答えに、思わず彼女の顔が綻んだ。

「そんなことよりも、ちゃんと俺が何にもしてないってみんなに説明してくれよ。」

今だ。
ここにきて、もう一度謝る機会がやってきた。
今度こそは失敗しまい、と緊張しながら渇いた喉へつばを飲み込み、先程から後悔とともに頭の中で繰り返された言葉を口にする。

「うん、私のせいで播磨君に迷惑かけて、本当にごめんね。」

「ああ、まあ、いいってことよ。」

よかった、よかった、よかった。
心の中でその言葉を何十回と噛み締める。
決して好印象を与えたわけではないだろうが、もう2度と放せないと言った様な致命的な事態になるのは避けられた。
その思いが内側から溢れ、彼女の顔に安堵の表情が浮かんだ。
そして、播磨の優しさを再確認し、さらに播磨のことが好きになっていった。

540 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:06 ID:PLlQlZGb
「ところでなんだが。」

「え?」

そんな彼女の内心を遮るかのようにして播磨から声がかけられる。

「お前の名前ってなんだっけ?」

その言葉に、一転して彼女は奈落の底に叩き落される。

「ふ、ふふふふ。」

が、それとは逆に彼女の口から笑いが零れ落ちている。
自分のどうしようもない馬鹿らしさがおかしくて、堪えることが出来ずに笑ってしまう。
相手は、播磨は自分のことを本当になんとも思っていなかったのだ。
名前すら覚えてもらえないほど。
それなのに、自分は嫌われてしまう、だの、もう二度と話せない等と悲観して……
本当に馬鹿馬鹿しい。
今回のことがなければ、きっと自分は遠くから播磨を見つめるだけで、嫌われることもないが、記憶の片隅に残ることもなかっただろう。
そう、これはピンチの後にやってくるチャンス。
播磨に対する自分の印象を良くするも悪くするも、これからの自分の行動次第。
これからが彼女の恋の本当の始まりだ。
恋する乙女は強くなる。
さあ、まずは自己紹介から始めてみようか。

「私の名前は――――――」

ふっと、秋の訪れを告げる涼しげな風に背中を押され、彼女は目の前に広がる恋路への新たな第一歩を踏み出していった。

541 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:08 ID:WKLminaP
終わり?

542 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:11 ID:PLlQlZGb
同時に複数のキャラを書くことが出来ないため、かなり無茶な進行になってしまってます(;´Д`)
そのせいで、だいぶキャラに違和感が出てますね。
……もっと精進してくる(`・ω・´)ノシ
こんな俺も受験生。

543 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:16 ID:WKLminaP
なかなかGJだが受験生は頑張って勉強しろよ
息抜きに2chやってたらえらい目にあうぞ



俺みたいに

544 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:22 ID:169qJKXa
沢近を登場させた分散漫になってしまった印象があるが

GJ! 俺なんか2年連続取得単位0になりそうだけど生きてるぜ

……イマントコ。

545 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:33 ID:TMd3SZL+
GJ!
なんかこのスレ、神々しくすらみえるよ

546 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:37 ID:gMzn1PTL
GJ!

ただ、ちょっと読みにくい…


547 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:38 ID:4uHt/sg/
(――きっと、また天満の方を)
 見ている、と沢近愛理は内心ごちた。
 英語の授業中。
 風采の上がらない内容に退屈して、沢近は頬杖をついていた。
しかも、今は昼過ぎ。眠気に襲われるのは当然だった。
 あくびを噛み殺して、ちらっと後ろの席を見る。
 この夏休みに仲違いしかけてしまった、周防美琴。彼女も少し
眠そうにしている。
 その後ろには高野晶。眠そうではないが、授業とは関係ないこ
とをやっているようだ。
(何やってるんだか)
 そして――その後ろ、塚本天満。彼女はというと――寝ていた。
いつも通りのすこし間の抜けた、中学生のような可愛らしい顔で。
(予想通りだわ)
 ふう、と軽く溜め息を吐いて、少しだけ目線を横にずらす。
「……」
 なんだか得体のしれないヒゲがごそごそやっていた。天満を見
ては、意味不明な行動をしたり頭を抱えたりしている。
(頭痛してきた……)
 こめかみを抑えて、沢近は視線を黒板に戻した。
 播磨拳児。
 あのヒゲと――天満。
(一体……)
 どういう関係なのだろうか。
 キャンプで行った肝試しでの二人の会話。
 あれから妙に、播磨のすることが全て、天満に向かっているよ
うに思えてならない。
(別にいいじゃない)
 二人がいい関係だろうと何だろうと。近沢には何の問題もない
はずだ。
 しかし。
 どうしても、気になるのだった。
「バカ」
 誰にも聞こえないくらいで、彼女は呟いた。

548 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:39 ID:4uHt/sg/
(――きっと、あの子達のことを)
 考えているんだろうな、と塚本八雲は思った。
 現国の授業中。
 気だるい午後の日差しで半分近くの生徒が眠っている中、八雲は
しっかりと目を覚まして、授業を聞いていた。
 ただ、生徒のやる気が無ければ教諭にやる気が沸くはずもなく、
授業のペースは遅く、他事を考えるくらいの余裕はあった。
(動物園……)
 播磨が匿っていた動物達を、紆余曲折の後に動物園へ引き取って
もらったのは、つい最近の事だ。
 その紆余曲折の中で、播磨とは通じ合えた気がした。その事がや
けに鮮明に八雲には思い出されるのだ。
 いつもサングラスをしていて、背の高い先輩。播磨さん。姉、天
満を想っている人。
 コツン、と何かが頭にあたった。
「……?」
 少しだけ顔を後ろを向くと、斜め後ろの席のサラが手を振っている。
(何だろう……?)
 八雲が気付いたのをみて、彼女は前の席を指差し始めた。
(あ……よだれ)
 隣の席の生徒が見事に眠りこけて、よだれを垂らしていた。しかも
かなり間抜けた顔で。
 面白いでしょ?と言わんばかりにサラは笑う真似をする。
 八雲は苦笑した。
『塚本……今日もいいなぁ』
 突然聞こえた声に目を細める。本当の声というわけではない。
誰かの心の声だ。いつもの事なので、特に気にすることも無い。
(だけど)
 少しだけ、八雲は不満だった。
 播磨拳児。
 彼の心の声は、八雲には聞こえない。彼は八雲の事を異性として
好きではないということ。
(少しだけ、聞きたい……)
 ほんの少しだけでいい。もし、聞けるとしたら。
(嬉しいかもしれない)
「うん……」
 誰にもわからないくらいで、彼女は頷いた。 

549 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:41 ID:4uHt/sg/
 放課後。
 播磨はどこへともなく、校舎の中をぶらぶらと歩いていた。
 目的が無いわけではない。
(クソ、天満ちゃんを見失っちまうとは)
「一生の不覚だぜ……」
 今日こそ天満がきちんと自分の告白を受け取ってくれるよう、昨
晩は夜遅くまで練習して来たのだ。
「どこだ……どこなんだ!」
 いつまで経っても見つからない。どんどんと歩く速度が速くなり、
顔も厳しくなっていく播磨。
 最早、誰も話しかけられない。
「ああ、何なのよ……!?」
 沢近はその後を、小走りで追いかけていた。
 別に目的があるわけではない。無いはずだ。
(なんとなくよ、なんとなく)
 そう、何度も自分に言い聞かせる沢近。しかし、なんとなくとい
うには少し焦りすぎていた。
 つかず離れず、二人は歩く。
「天満ちゃん……何処なんだ!」
 播磨が叫ぶ。
 ズキン、と沢近は胸が痛んだ気がした。
「もう帰ったわよ……」
 小声で呟く。もちろん播磨には聞こえない。
 どうやら播磨は何か勘違いをしているらしかった。天満はもう帰っ
てしまったのだ。
 いつもの沢近なら、それを播磨に伝えただろう。
(言ったら、きっと帰るわよねー……)
 それが、少しだけ気に入らないのだ。
 天満がいないから帰る。
 天満がいるから来る。
(私がこうして後ろを歩いてることには気付きもしないのよね)
「……ふん」
 そうしてしばらく播磨の後ろを追いかけていると、突然播磨は図
書室に入った。そこに天満がいるとでも思ったのだろうか。
 小走りのまま、沢近は図書室に入ろうとした。

 ゴンっ

「きゃっ」
「いたっ」
 頭を打ってしゃがみ込む沢近。自分と同時に図書館に入ろうとし
た人と、思い切り頭をぶつけたのだ。
(誰なのよ〜〜)
 目に涙が浮かぶ。
「沢近、先輩?」
「へ?」
 顔を上げると、目の前で沢近と同じようにしゃがみこんで頭を抑
えているのは――天満の妹だった。

550 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:43 ID:4uHt/sg/
 まだ少しズキズキする頭を気にしながら――きっとたんこぶにな
る――八雲はベンチに座った。
 後ろに続いていた沢近も、その隣に座る。
「久しぶりじゃない」
「そうですね」
 二人きりになるのが、という意味。前回は肝試しの時。あそこで
も播磨に酷い目に遭わされた、と沢近は思い返す。
「痛かったわ」
 罰が悪そうに打った場所をさする沢近。
「……ごめんなさい」
「あ、あなたが悪いって言ってるんじゃなくて。あいつが」
 慌てて弁解して、言葉を詰まらせる沢近。
「……?」
「何でもないわ」
「……そうですか」
 八雲は頷いて、遠くを見た。
「あ……」
「何?」
 立ち上がる八雲。少し歩いてしゃがみ、両手を出す。しばらくする
と猫が一匹やってきて、彼女の手の中に納まった。
 柔らかく猫を抱きしめ、ベンチに座りなおす八雲。
「そのコ……イ……何だっけ?」
 沢近は見覚えのある猫を指差して言った。
「伊織です」
「伊織。いい名前ね」
 八雲は、沢近を見た。
 何故か、彼女は播磨に告白された時の事を――結局あれは嘘だった――
思い出した。
 何分経ったろうか。
「……ねぇ?」
 目を開けて、沢近は八雲に言った。
 しかし、返事は返ってこない。
 怪訝に思い、横を向くと――八雲は、寝息を立てている。
「こんなところで」
 苦笑する沢近。
「ほら、起きなさいよ」
 八雲の身体を揺するが、彼女は起きない。
「……まいったわね」
 頭を掻いて、沢近は辺りを見回した。

551 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:45 ID:4uHt/sg/
(……ん)
 また眠ってしまった、と八雲は思った。しかも話の途中に。
「あ、起きた! 八雲、大丈夫?」
「姉さん……?」
(どうして姉さんが)
 驚いて、八雲は起き上がった。
「あ……」
 身体に掛けられた毛布がずり落ちる。
「家?」
「お帰り、八雲! 心配したよ〜〜」
 姉に抱きしめられる八雲。
『良かった!』
 というとても強い心の声が聞こえてくる。
「……ただいま、姉さん」
「うん! でも良かった。愛理ちゃんが一緒にいなかったら
 どうなってたことやら……後でお礼言わなきゃダメだよ?」
(沢近先輩……)
「わかった」
 微笑んで、八雲は頷いた。
 天満は人差し指をぴっと立て、言う。
「あと、播磨くんにも!」
「えっ?」
(播磨さん?どうして……)
「播磨くん、帰る途中に二人の事見つけて、愛理ちゃんが自分
 じゃ力が足りないからって頼んだんだって!」
「……」
 呆然となる八雲。
「私も播磨くんが八雲をおぶってきたときは驚いたよ〜」
「……おぶって、くれた?」
 コクコクと頷く天満。どこか誇らしげだ。
『播磨くん、やっぱり更正してくれたんだね!』
 という心の声。
「播磨さん……」
 なんとなくだが、言い合いをしながら帰る沢近と播磨の姿が想
像できた。
「八雲、夕飯食べよ! おかずは買っておいたから!」
「あ、うん……じゃあ、今から作るね」
 立ち上がって、台所へ向かう。
(……お礼、何にしよう)
 お弁当でも作ってあげれば播磨さんは喜ぶだろうか――。
 ご飯を多めに炊いておこう、と八雲は思った。

552 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:46 ID:4uHt/sg/
…(つД`)
誤って八雲と沢近のやりとりを一部飛ばしてしまった…
吊ってきます。

553 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:47 ID:gMzn1PTL
戻って来い!

554 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:51 ID:hGw2mqgN
>>552
まて。せめて続きを書いてかr

555 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:53 ID:169qJKXa
>>552
どこにどういう会話が入るつもりだったのですか?

556 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:56 ID:4uHt/sg/
>>550の途中を一部。

 八雲は、沢近を見た。
「……どうしたのよ」
「沢近先輩は、この前のニュースを知っていますか」
「ニュース?」
「矢神神社で、山狩りをするという……」
「さぁ。ごめん、知らないわ」
 そうですか、と八雲は頷いた。
「そんな事があったんです。……それで、動物達を守るため、すごく頑
 張った人がいたそうです」
「そうなの」
 少し驚いた様子で沢近。
「すごく、優しい人です」
「はあ?」
(誰のことよ)
「――ごめんなさい」
「訳がわからないわ」
 肩をすくめて、沢近は言った。
「そうですね……」
 俯いて、伊織を撫でる八雲。そんな彼女を見かねて、沢近は
ふと思い出したように言った。
「――天満の事いっつも見てるバカがいるのよ」
「……姉さんの事を?」
 首を傾げ、訊き返す。
(もしかして――)
「授業もそっちのけ。まったく、あの……ヒゲ」
「ヒゲ?」
(播磨さん……?)
「もうちょっと、何か、こう……!」
「あっ」
 うまく言葉が出なくなって、手振りで何か伝えようとする沢近。
それに驚いたのか、伊織は逃げていってしまった。
「あ、ごめん」
「いえ」
 姿勢を直して、沢近は頬杖をついた。
「ふう――何だか気が抜けたわ」
「そうですか?」
 頷く沢近。そして急に面白そうな物を見つけた、という顔をする。
「ねぇ、あなた、好きな人はいるの?」
 一瞬だけ固まって、そして八雲は呟く。
「…………いません」
「変な間、開けちゃって。可愛いわね〜」
「そんな」
 顔を赤くする八雲。沢近は微笑んだ。
「ふう」
 三度溜め息を吐いて、沢近は目を瞑った。
 何故か、彼女は播磨に告白された時の――結局あれは嘘だった――
事を思い出した。

557 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 18:59 ID:169qJKXa
>>556
流れがスムースになるね。グッジョブ!

558 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 19:07 ID:hGw2mqgN
>>547
ありがとう。そう言いたいんですよ。ぼくは、

559 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 19:42 ID:d94pyRvd
>>547これはまだ続くのか?続くのか?

560 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 19:46 ID:169qJKXa
>>559
>>547->>551(途中に>>556を挟んで)で完結ではないでしょうか。

561 名前:547 :03/12/22 19:59 ID:4uHt/sg/
要望が多ければ書くかもしれません。とりあえず一つの話としてはこれで終わりですね。

562 名前:483とか498とか :03/12/22 20:33 ID:SbtPd2Rk
卒研の実験で慢性睡眠不足の状態で書いたものをそのテンションで
投下してしまい、朝になってからものすごい勢いで後悔していたのですが……
ほっと一息、皆様ありがとうございます。
実のところ先週の木曜日にふらっと単行本を買って初めて読んで、という
経緯なので、なんだか各人妙な部分は笑って許してください。

続きに関しては、やはりここまでの方がいいだろう、ということで、書いてない
部分で暗躍していた(天満の本とか)晶の一言に代えさせていただきます。

晶「命短し恋せよ乙女」

おあとがよろしいようで。

563 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 20:37 ID:hGw2mqgN
>>562
>命短し恋せよ乙女
なんだっけ?それ、

564 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 20:58 ID:ZiKTehfK
さりげなく>>482がかなりイイと思っているのは俺だけ?

565 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 21:00 ID:y4YuI0xG
>>563
大正時代の流行歌「ゴンドラの唄」の歌詞だな。
検索したらすぐ出るよ。

566 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/22 22:08 ID:WJxfRQcU
>564
(・∀・)イイ

567 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 00:11 ID:Ao9jks/k
ttp://cat.oekakist.com/schrun/?mode=&ThreadNo=141
<SSの絵。

568 名前:Dear Grand Father :03/12/23 00:27 ID:WVmd3CRv

 夏の日差しが大地を照らし、地面は耐え切れずに陽炎をつくりだした。蝉の
鳴き声もフルコーラスで、まさに蝉時雨。それでもときおり吹く風は、涼しさ
を含んで心地よさを伝える。それがもうすぐ、夏も終わることを教えていた。

 さわさわと竹林で音がする。その音に少し遅れてから八雲の顔に風が当たる。
強くはないが、この暑さだけに敏感に感じて取れた。
「八雲〜待ってよ〜」
 その声に歩きを止め、同時に振り向く。坂の下には姉が辛そうに歩いていた。
暑さに弱い、というか暑さが嫌いな彼女の姉は暑さとここまでの徒歩、さらに
問答無用の急な坂に四苦八苦していた。
「姉さん…日頃から運動しないから…」
「ふんだ、八雲はいいいよね、運動神経よくて。どうせ私はカメだもん」
 先の言葉で、なぜそうなるのか八雲は分からなかった。まあ、本人が自分に
対して評価が低すぎるのが主な理由だろう。
「もう少しだから…」
「うー分かってるけどーちょっと休もうよー」
 八雲が返事をする前に、すでに天満は横のベンチに座り込んでいた。仕方な
く、八雲も一息入れる。まあいいか、時間は十分にあるのだし――

569 名前:Dear Grand Father :03/12/23 00:28 ID:WVmd3CRv
「おーい、天満、夏休みのこの日、4人で海に行かねーか?」
「あ、ゴメン。その日は先約があるんだ」
「おやおや、誰との約束なのよ、まさか男?」
「違うよー! 八雲と出かけるの、それだけだよ」
「…どこに?」
「えーとね―――」

「ねえ八雲、この日って空いてる? コンサートのチケットががあるんだけど」
「…ゴメン、その日は姉さんと出かけるから…」
「あっそっかー、残念だなー…」
「…ゴメンね…」
「ああもう、そこが八雲の悪いところだよ? 先に予定があるなら気にしない
でいいの! それでちなみにさ、どこに行くの?」
「それは――」

570 名前:Dear Grand Father :03/12/23 00:29 ID:WVmd3CRv
「姉さん、そろそろ…」
「んーもうちょい…………よーし、充電完了! 行こっか、八雲」
 二人はまた歩き出した。木陰で休んでいた間、潜めていた汗が、すぐに吹き
出てくる。それでも、一時にくらべれば、ずいぶんと日差しも弱い。この調子
で行けば、もうすぐ目的地にたどり着けるだろう。
 道には二人以外は見えない。二人の足音に蝉が唱和し、葉が揺れる音が伴奏
を勤めている。騒がしく、静かな音たちが二人を包んでいた。
 休憩から15分後、二人は無事に目的地にたどり着いた。
 そこは、墓地であった。

571 名前:Dear Grand Father :03/12/23 00:30 ID:WVmd3CRv
「八雲ーお水持ってきたよー」

「あ、姉さん…お花はそこじゃなくて…」

「あれ〜八雲〜、ライターはー?」

「…姉さん、それは食べちゃダメ」

 10分ほどで準備が整った。
 今日は、祖父の命日であった。線香をあげ、花を沿え、お饅頭を供える。二
人はきちんと墓前の前に立ち、静かに目を瞑り、故人を思った。

 天満にとって、祖父は優しい人であった。
 八雲にとって、祖父は優しく、導いてくれた人であった。

572 名前:Dear Grand Father :03/12/23 00:31 ID:WVmd3CRv

 少し、過去の話である。

 いつだったか正確に覚えていない。ただ、それはいつの間にか八雲にとって
当たり前の事となっていた。
 最初は気のせいかと思った。次に、何かの精神病かと思った。最終的に、認
めることになった。
 自分に好意を持っている人の心が視える――
 現実にはありえない現象だった。しかし、確かに八雲にとっては現実だった。
正直、幼い最初のころは、戸惑い、悩み、苦しみ、そして悲しかった。
 言葉とは裏腹に打算的な人。やさしさの影に文句を隠していた人。そして、
最も辛かったのが自分をいやらしい眼で見る人たちだった。
 当時、八雲の能力は弱いもので、能力の発動は不定期だった。その結果、八
雲自身も不定期に落ち込む時期があった。そんな時は一人で過ごしたり、部屋
の中で過ごすことが多かった。
 その日も、八雲は部屋に一人でいた。先生の、イヤな心が少し見えてしまっ
たのだ。布団の中で丸くなり、じっと耐える。それでも、涙があふれてしまう。
 そのとき
「八雲…だいじょうかい?」

573 名前:Dear Grand Father :03/12/23 00:32 ID:WVmd3CRv

 祖父は不思議な人だった。いつも笑顔を絶やさない人で、笑った表情しか記
憶にない。それでも、どこか頑固なところがあって、いつも父母が溜息をつい
ていた。それに、妙に動物に好かれていた。
 そんな祖父を、八雲は大好きだった。
 姉が友人たちと遊びだしたころ、八雲はいつも祖父のところへ行った。祖父
が話してくれる物語や、教えてくれる不思議な話は、八雲にとって胸が躍り、
心をくすぐる、輝かんばかりの宝物だった。
 そんな祖父だからこそ、八雲は自分の秘密を打ちあけた。笑われるかもしれ
ない、そう思ったが、話した後、祖父はそっと頭に手を置き、優しい眼差しと
暖かい声で言ってくれた。
「そうかそうか、辛かったな。よう我慢してたな。もう大丈夫…」
 言葉が出なかった。涙が止まらなかった。夢中で胸に飛びついた。
 祖父はそれを受けとめ、そっと抱いてくれた。
 しばらく、八雲は赤ん坊のように泣き崩れた。

574 名前:Dear Grand Father :03/12/23 00:34 ID:WVmd3CRv

「いいかい八雲、お前の力は人にとっては過ぎた力かもしれん」
 祖父は八雲をひざに乗せて、ゆっくり語りかけるように話した。
「だからといって逃げてはいけない。でも、立ち向かうのも辛い…
だから受け入れる…静かに、そっと受け入れる、これが大切な事だ」
 よく分からない、そう八雲は言った、祖父は少し考えた後に続けた。
「人は全てがいい人ではない、それは間違いないこと。しかし、逆もまた
真なり。ええと難しいかの、ようするに、全てが悪い人ではない、といううこ
とだ。それは分かるかい?」
 うん、とだけ八雲は答えた。
「人には悪い心もある。しかし、それはどうしようもないこと。それはわしに
もあるし、八雲にもある。そしれでも人々はがんばっておる。悪い心に負けん
ようにな」
「負けない様に?」
「そう、全ての人が八雲が視た心のとおりに行動したわけではないじゃろう」
「うん」
「それはつまり、その人が悪い心を持っていても、それに負けないでいる証拠
でもある」
 なるほど、と八雲は思った。
「お前は優しい子じゃ。だからこそ、分かってやりなさい。皆には色々枷があっ
て、それでも頑張っておる」
「…うん…」
 そう言うと、祖父はにっこり微笑んで、こう続けた。
「八雲、お前は頭はいいが、まだ幼い。分かっていても我慢できなく時がくる。
その時はわしに所においで。そして、気が済むまで居ればいい」
 ありがとう、お爺ちゃん と言ってからポフッ、と祖父の着物に顔をうずめ
た。祖父はもう一度優しく抱きかかえてくれた。

575 名前:Dear Grand Father :03/12/23 00:35 ID:WVmd3CRv

 それからの八雲は大分楽になった。いつも祖父の教えを反芻し、多少のこと
では落ち込まなくなった。どうしても、辛いときは祖父の所へ向かった。祖父
はいつも甘いお菓子、暖かいお茶、そして柔らかい微笑みで迎えてくれた。

 そんな祖父も、余命幾許かになった。病院に入院しないか、という両親の提
案も、やんわりと、それでいてしっかりと断り、結局家で過ごした。

「八雲、ワシがおらんでも大丈夫かのう…」
 八雲はその言葉に、必死に反論した。まだ居てほしい、そして、そのためだ
けでなく祖父とまだ過ごしたい、と
「ありがとう、八雲。だがな、それは無理そうだ。わしはお前だ一番気が
かりだからのう…わしが逝く前に、ワシなしでも大丈夫になって欲しいんだよ」
 そう言われれば、八雲は頷くしかなった。

 結局、祖父は二週間後に逝った。父母は葬式では泣かず、家でひっそりと泣
いていた。姉は、ずっと泣いていた。八雲は葬式終わったあとに祖父の部屋で
独りで泣いた。
 そして、思った。もう、祖父には頼れない、いや、頼らないと。自分独りで
乗り越える、と。

576 名前:Dear Grand Father :03/12/23 00:37 ID:WVmd3CRv

 祖父が逝ってから疑問が浮かんだ。そういえば、八雲に祖父の心は視えな
かった。当時は気にしなかったが、考えれば父の心が視える時もあったので、
よくよく思い出せば不思議なことである。
 もしかしたら…
 祖父には不思議な所があった。まるで八雲の気持ちを分かるかのようだった。
それに、自分の荒唐無稽な話をすぐに信じてくれた。ひょっとすると、祖父は、
祖父も、それに類する能力をもっていたのではないか。そして、八雲の能力を
シャットアウトする能力も持っていた。そして、同じような力をもつ自分にア
ドバイスをしてくれたのかも―――
 そこまで考えて、八雲は止めた。たとえ祖父に不思議な力がったとしても
関係はない。大切なのは祖父に教わったこと、そして祖父との思い出なのだ。

577 名前:Dear Grand Father :03/12/23 00:39 ID:WVmd3CRv

「よーし、そろそろ帰ろっか」
「…うん…そうだね」

 最期に、祖父と二人で話をした。
「お前が男性をを好きになったら大変だろうの」
 なぜ、と八雲は聞いた。
「おそらく、お前が好きになる人の心はお前には視えないだうから…好き
になるからこそ…辛いのう」
 八雲はよく分からなかった。好きになる、という感情は、まだそのときの八
雲にとって難しかった。
「フフフ、今は分からないだろう。だが、八雲もきっと誰かを好きになる…
その時に…まあ、えか。恋は山多きほうが燃えるものだしの。それに、多分
ソレはずっと先じゃ。それよりもな、八雲。無理して強くならなくてもいい、
それよりも、優しい人になりなさい、分かったね」
 八雲は祖父と約束した、必ず優しい人になる、と。

578 名前:Dear Grand Father :03/12/23 00:40 ID:WVmd3CRv

(私は…優しい人になれたましたか…?)
 答える人は居ない、それでも問いた。返事はなく、風だけがざあ、とざわめ
いた。返事は期待していない。いつもそうやって問いかけることで、祖父との
約束を思い出すのだ。
(また…来ます)
 ぺこん、と頭を下げて、八雲は墓石に背を向けた。その時、かすかに祖父の
笑顔が見えた。そして「また来るといい」と聞こえた、そんな気がした。


「八雲〜? 置いてっちゃうよ〜?」
「あ、今行くから…

 たったった、と八雲は姉に向かって駆け出した。そして、また日常に戻る。
 いままでとは違う、これからの物語の始まりである。

 その後、祖父の予言は当たり、八雲が気になる男性の心が視えなかったのだ
が―――それはまた、別の話としよう。とりあえず、今はここまで。

 風は微風、気温は高め、本日は突き抜けるような晴天。
 花は咲き、線香の煙は吸い込まれるように青空へ溶けていく。

579 名前:369で411、たまに519 :03/12/23 00:41 ID:WVmd3CRv
 第4弾は、恋愛話から逃げました(えー)

 八雲の祖父のモデルはワタシの祖父デス(ここまで素晴らしくはないけど)。
 二巻を読んで、八雲一人ではこの境地まで行かないだろう、というわけで
おじいさんに登場していただきました。まあ、妄想ですネ(笑)
 それでは次回作を…もし出来たら――お届けしたいと思います。
 では。

580 名前:イイものはイイ :03/12/23 00:47 ID:mZgqToWX
>568-578

素でじ〜んときてしまた。
次回作マジ希望!

581 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 00:50 ID:uP9tu+Kc
GJです!
最高でした!
恋愛ものばかりでなく、たまにはこういう話も良いですね

582 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 01:36 ID:vUgmWm76
祖父とかの話は泣ける……

583 名前:祖父 :03/12/23 01:38 ID:fs6DY+vn
マダ 生キテルヨ…

584 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 01:43 ID:6ffdA8P/
そこで「もっけ」ですよ。
あのジジイは格好良すぎる。

585 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 01:45 ID:mJSdapx8
>>584
つまり瑞希=天満ということなのか。

586 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 02:03 ID:LxOkZ38w
>>532
あなたも(少なくとも漏れの中では)神の一員です。
これからもどんどん読ませてください。
受験もがんばってください。

587 名前:しあわせは子猫のかたち :03/12/23 02:05 ID:uca3k0vM
「姉さん、朝よ」
「うーん……あと2時間……」
「……そんなに寝てたら遅刻だよ」
 姉さんは妹の私から見ても、ちょっと抜けたところのある人だ。おおらか、
という言い方もできるけれど、おおらかすぎてトラブルに巻き込まれたり、
巻き込まれたことにさえ気がつかなかったりする、そんな人。
 でも私は自分の姉がこの人でよかった、と心の底から思う。
 姉さんは私の姉さんだから。
 これはそんな、私の大好きな姉さんの話。

 騒動の幕を開けたのは、やっぱり姉さんだった。
「八雲八雲八雲、どうしよう大変だよ!」
「どうしたの?」
 その日、いつになく取り乱した様子で姉さんは家に駆け込んできた。その
腕の中には、白い毛を赤く染めた子猫が一匹。
「姉さん、この子……!」
「そこの通りで苦しそうに倒れてたんだよ!八雲、この辺に獣医さんって……」
「伊織がお世話になってる人がいるから、すぐに行こう」
「うんっ」
 苦しそうにしている子猫の姿、そしてまるで自分がその子を傷つけてしまった
みたいに悲しそうな姉さんの姿に、私もすぐに立ち上がって獣医さんの所に向かった。

588 名前:しあわせは子猫のかたち :03/12/23 02:06 ID:uca3k0vM
 幸い、子猫の命に別状はない、ということだった。
 けれど。
「子供の悪戯じゃな、あれは」
「そう、ですか……」
 この子についてるから、という姉さんを奥の部屋に残して、私が先生から聞いた
話はあまり愉快なものではなかった。
「まったく、最近のガキどもは」
 苦虫を噛み潰したような先生。私も胸が苦しい。姉さんがこの場にいなくてよかった、
と本当に思う。きっと泣き出してしまうだろう、姉さんは優しすぎるから。
「でもまあ、無事だったんだからひとまずよしとせんとな」
 私を元気づけるように、気を取り直した声で先生が言う。
「それで、あいつどうするね。見たところまだまだチビだ、どこかの飼い猫の子供、
というところみたいじゃが」
「そうですね」
 確かに怪我をしていたとは言え、見ず知らずの私たちから逃げようとする素振りは
全然見せなかった。人に慣れていると私も感じた。
「あの、だったらウチで預かってもいいでしょうか」
「……姉さん」
「その、ちゃんと最後まで……」
 ここに置いてもらった方が、と私は言おうとしたけれど、それを制して先生が言う。
「ふむ、そうじゃな。八雲ちゃんのところなら伊織もおるしな、問題ないじゃろ」
「ありがとうございますっ!」
 ぺこぺこと見ている方が恥ずかしくなるほどお辞儀をする姉さん。
「先生……」
「なに、この年頃は傷の治りも早い。時々はワシのところに見せに来ればいい」
 それにな、とにやっと笑って付け加える。
「その程度にはお前さん達のことを信用しておるつもりじゃよ」
「……ありがとうございます」
 軽くウインクしてみせる先生のその言葉に、私も深々と頭を下げた。

589 名前:しあわせは子猫のかたち :03/12/23 02:06 ID:uca3k0vM
「へへ〜、ほらおいでおいで〜」
 先生の言葉通り回復は順調で、子猫はすぐに走り回れるようになった。
「姉さん、気をつけないと」
「え?なに〜、っと、あ゛!」
 およそ女の子らしくない声を上げてうずくまる姉さん。どこかぶつけたみたい。
「ほら、もう……」
「うー、今のは八雲が急に声かけるからだよー」
「……姉さん」
「冗談、冗談だよ。あいたたた……」
 そんなどこか微笑ましい光景が我が家の中で見られるようになった。伊織は
どこかツンとしているところがって、姉さんの遊び相手、という感じではなかった
けれど、この子はどうやら相性がいいらしい。
 その伊織はと言えば、普段は気のない素振りをしつつ、隠れて毛繕いをして
あげたりしているみたいで、なんだか気に入っているみたい。
「もうずいぶん元気になったから、そろそろ飼い主の人、探してあげないとね」
「……」
 何気なく言ったその言葉に、一瞬姉さんの動きが止まる。
「姉さん?」
「うん、そうだよね」
 よし、お前のご主人様を見つけてやるからな、と笑顔で答えたその表情に、
影はもうなかった。
 でも。

590 名前:しあわせは子猫のかたち :03/12/23 02:07 ID:uca3k0vM
「あの、張り紙を見たんですが」
 その日はすぐにやってきた。飼い主の方を探しています、という張り紙をして
数日後、人の良さそうな女性が家を訪れた。
 そして。
 姉さんは、まだ帰っていなかった。
「この子でしょうか」
「ああ……はい、そうです」
 嬉しさと安堵の表情を浮かべるその人に、今までの経緯を説明した。先生の所に
行ってもらえれば確認は取れますから、と言ったけれど、
「いえ、その必要はないと思うわ」
「あの、どうしてでしょう」
「貴女は嘘をつくような人には見えないもの」
 本当にありがとう、そしてごめんなさいね、これからはもうこの子に危ない目は
あわせないから、と。彼女はそう言った。
「いえ、そんな……」
 それを聞いて私も安心した。心のどこかにあった『飼い主がやったのではないか』
という嫌な想像が外れていると信じられたから。
「それじゃ、本当にお世話になりました」
「はい、それでは」
 そう言って送り出そうとした時に。
「あ――」
「姉さん」
 姉さんが帰ってきた。
 そして、子猫とその人、私を順に見つめて。
「そっか、ちゃんと見つかったんだね」
 笑顔でそう言った。
「お前、元気でいるんだぞ」
 笑顔で涙を流しながら、そう言った。
「姉さん……」
「あれ、どうしたんだろ私。変、だよね。あはは、初めましての人の前なのに」
 ごめんなさい、そう言い残して家の中に駆け込んでしまった。
「あの子は……」
「あの、すみません。私の姉なんですが、ずいぶんその子を可愛がっていて……」
 こんな時どうしていいか分からなくて、すみませんとしか言えない自分が情けな
かった。

591 名前:しあわせは子猫のかたち :03/12/23 02:08 ID:uca3k0vM
 そんな気まずい雰囲気でその人とお別れをしたあと、私も急いで姉さんの部屋に
向かった。
「姉さん……」
 部屋のまんなかで、膝を抱えて姉さんが泣いていた。
「分かってたんだよ、こうなるって。だから名前もつけないで、ずっとお前って」
 うつむけていた顔を上げる。
「でも……でもやっぱりお別れは悲しいよ。こんな、こんなに……」
「姉さん」
 ぎゅっ、と。
 その小さな身体を抱きしめる。
 いつも私を助けてくれる姉さんを。
「八雲、やくもぉ……」
「ねえさん……」
 いつの間にか私も涙を流していた。あの子のためか、姉さんのためか、それは
分からなかったけど。
 どれくらいの時間か、ずっとそうしていて、姉さんはいつの間にか眠りに落ち
ていた。顔にははっきり残る涙のあと。放っておくわけにもいかなかったけど、
起こしてしまうわけにもいかず、結局そっとベッドに寝かせておくことにした。
「……」
 姉さんをベッドに横たえたあと、私は表に出た。ただ無性に外の空気が吸いたくて。
「……伊織」
 足下にそっと伊織が寄り添ってくる。その姿にもどこかいつもの凛とした空気が
抜けている。それを見て、私は黙って抱き上げる。暴れもせずに素直に抱かれた伊織と
空を見上げる。
 欠けたところのない、満月だった。

592 名前:しあわせは子猫のかたち :03/12/23 02:08 ID:uca3k0vM
 翌日、日曜日。珍しくお昼近くまで寝過ごしてしまった私は、慌てて着替えて居間に
向かった。急いで姉さんを起こして食事の支度を、と思っていたら。
「おはよう、八雲」
「姉さん?」
 これもまた珍しく、姉さんが私より先に起きていた。確かにずいぶんと寝坊はした
けれど、いつもなら私が起こすまで寝ているような人なのに。
「あ、なんか驚いた顔してる。ひどいなー、八雲は私が一人じゃ起きられないって思って
るんだ。私だってそれくらいできますよー」
 昨日とは打って変わって、元気一杯のいつもの姉さんがいた。
「そんなこと思ってないよ。姉さんは私の姉さんだもの」
 そう言うと、えへへ、と笑ったあとで。
「それでね」
「何?」
「ちょっとお腹が空いたかなー、なんて……」
 食事の用意まではしていなかったみたい。
「もう、姉さんたら」
「あはは」
 場にあるのは温かな、いつも通りの空気。
 と。呼び鈴が鳴った。
「あれ、誰だろう」
 私が出るね、と玄関に向かう。ドアを開けたそこにいたのは――

593 名前:しあわせは子猫のかたち :03/12/23 02:09 ID:uca3k0vM
「ごめんなさいね、昨日の今日で」
「どうも、昨日は……」
 飼い主の方だった。胸にはあの子を抱いている。
「あのね、昨日のお姉さんの様子を見て、一晩考えたの」
 少し恥ずかしそうにして、その人は言った。
「私もこの子が大好きだけど、あれだけ好いてくれる人の所から連れて行くのも、
取り上げるみたいだと思うのよ」
「え……あの……」
「それでね、時々は遊びに来させようと思うんだけど……駄目かしら」
「いえそんな」
「本当ですか!?」
 後ろから飛び出すようにして姉さんが出てくる。
「ええ、もしあなた達がよければ、だけど」
「全然何の問題もちっともありませんっ」
 満面の笑顔で答える姉さん。
「そう、よかった」
 言って、私の方を見てにっこりと笑う。
「ありがとうございます」
 私も笑顔でそう答える。
「あの、この子名前、なんていうんですか?」
 ひとしきり喜んだあと、姉さんがそう訊いた。
「アリスよ。ほら、不思議の国の」
「アリス。アリスか……」
 白い子猫を抱き上げて、
「よろしくね、アリス」
 姉さんは初めてその子の名を呼んだ。


「姉さん、もう本当にぎりぎりだよ」
「まだだいじょーぶだよ……」
「もう……」
 ちょっと人より抜けてるところはあるけれど。
 誰より優しくて。
 誰よりも素敵な。
 私の姉さんは、そういう人です。

594 名前:After School Daysの中の人 :03/12/23 02:11 ID:uca3k0vM
なんだか579氏と方向性が被ってしまいました。
出直してきます……

595 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 02:14 ID:qY1VQZ9C
>>594
イイヨイイヨ-。
出直すほどに方向性が被ってるとも思えないぞ、もし

596 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 02:14 ID:9VHqJynV
問 題 な い で す !
乙!!!

597 名前:After School Daysの中の人 :03/12/23 02:29 ID:uca3k0vM
どうもです。
いや、自分も恋愛話から離れてみるか、という矢先だったので。
ちなみに言うまでもないですが、タイトルは乙一氏の作品からそのまま頂きました。

598 名前:beautiful_name :03/12/23 02:33 ID:WQQgBxAS
「八雲君! 僕のことも『花井さん』と読んでくれたまえ!」

 とある日の放課後。連れ立って帰ろうとしていた塚本八雲とサラ・アディエマスは、
背後から響いてきたどえらい大声に驚いたりげんなりしたりしながら振り向いた。
 彼女たちの先輩である花井春樹が仁王立ちに立っている。両手は腰。顔は微妙に上向き。
口は「くれたまえ!」の「え!」のまま。微動だにしない。
「?」(×2)
 疑問の表情を浮かべながら次の言葉を待つ。花井は動かない。
 根負けしたサラが右手を小さく上げて質問する。
「あの、花井先輩?」
「うむ、何かな? サラ・アディエマス君」
「フルネームじゃなくていいです。それより、えーと。もう少し判りやすく説明して
貰えるとありがたいです」
「む、確かにそうだ。僕としたことが性急に過ぎたな。すまん」
 花井は身体を斜めに構え腕組みをして頷く。

599 名前:beautiful_name :03/12/23 02:34 ID:WQQgBxAS

「実はだな、帰宅しようとしたら君たちを見つけてな。途中まででも一緒に帰ろうとして
近寄ったとき先ほどの二人の会話を聞かせてもらったのだ」
 なんてことを、とサラは呆れる。女子の会話を盗み聞くなど言語道断だ。
それが帰りしなの気安いものであったとしても礼儀に反する行為だ。
 恐らく花井も悪意があっての事ではないのだろう。普段は良識道理を重んじる男だが
想い人である八雲が絡むと途端に視野狭窄に陥る。普段が品行方正なだけになおのこと
性質が悪い。
 さすがに咎めようとサラが口を開くより早く花井が続ける。
「その話の中で八雲君は『播磨さん』と言っていたろう」
「え」
 八雲が声をあげる。少しばかり動揺を含んだ声。
 確かに二人は播磨のことを話題にしていた。先ほどばかりでなく、最近は播磨について
話すことが多い。というか、八雲が持ち出してくる話題は七割方彼に関することだ。
 カレーが好きなこと。伊織もやはり彼になついていること。休日に動物園で会ったこと。
播磨尽くしだ。
 ちなみ残りの三割は姉の天満に関して。

600 名前:beautiful_name :03/12/23 02:35 ID:WQQgBxAS

「それが、なにか?」
 サラが続きを促す。予想はついていたが、聞かないと話が進まない気がしたのだ。
 花井は大きく頷くと右手を大きく広げ左手を胸に当てる。ポーズ取らないと喋れないの
かしら? サラはいらん心配をしてしまう。
「うむ! 『何々先輩』より『何々さん』のほうが親しげな感じで播磨が羨ましくなったのだ!」

・・・

花井春樹。質実剛健を旨とし、誠実真剣に生きる男だが、惜しいかな「秘するが花」を
解せぬ男。『花』井なのに。
「と、いうわけだ! さあ八雲君! 僕のことも遠慮なくさん付けで呼んでくれたまえ!」
 ずずい、と八雲に迫る。気おされた八雲が後ずさりながら
「え、ええと。花井先輩」
「恥ずかしがることはないのだ八雲君! さあ!」

601 名前:beautiful_name :03/12/23 02:35 ID:WQQgBxAS

 もしかして、あの眼鏡って度が入ってないのかな? と心底呆れてしまうサラ。
 八雲の表情はどう見ても恥ずかしがっているものではない。困っている、というか
あれは消極的な否定だ。

 ・・・おや?
 サラは思考の引っ掛かりを手繰り寄せるために花井が現れてからのことを整理してみた。
 播磨の話題を花井に知られたときの八雲の動揺。
 花井先輩と播磨さん。
 そして今、花井の『さんを付けろよデコスケ野郎がぁ』な要求をどうやって断るか
思案している八雲。
 ・・・なるほど。
 全員の立ち位置と要望を把握したサラは妥協点を提案するために右手を挙げた。
「あの、花井先輩?」

602 名前:beautiful_name :03/12/23 02:36 ID:WQQgBxAS

「む、何かね? サラ・アディエマス君。今取り込んでいるので手短にな」
「だからフルネームは・・・いえいいです。それより先輩、なんていうか勘違いしてますよ」
「勘違い?僕が何を勘違いしているというのかね」
「そりゃもう色々と、じゃなくて呼び方のことです」
「話が見えん。もう少し判りやすく説明してくれるかね」
「先輩に言われるなんて・・・いえなんでも。つまり八雲は親しさで呼び方変えたり
してませんよ。天満先輩は姉さんだし、沢近先輩も周防先輩もさん付けだし、
高野先輩は部長だし。逆に『先輩』っていう呼び方のほうが少数派ですよ」
「少数派・・・」
「そう、少数派です。言い換えるなら特別扱いですか?」
「サラ!?」
 成り行きを見守っていた八雲がさすがに声をあげる。いいからまかせて、と
笑い返すサラに不安になりつつも引き下がる。
 一方花井は顎に手をやりサラの台詞を反芻していた。特別扱い。
 その言葉が心に染み込む。特別扱い。そうか、特別扱いか。

603 名前:beautiful_name :03/12/23 02:37 ID:WQQgBxAS

「そうか! なるほど! そうか! 特別扱いか! 素晴らしい!」
 ぅわははは。夕暮れの道に笑い声がこだまする。
 この人ってある意味ではものすごく幸せなのかも。失礼なことを考えるサラに花井が
向き直り、
「ありがとうサラ・アディエマス君! 確かに僕は勘違いをしていたようだ。
八雲君、すまないがさっきのはなかった事にしてくれたまえ。ではこれで失礼する。
二人とも気をつけて帰りなさい」
 ぅわははは。笑いながら帰っていく。途中まで一緒に、というのは忘れてしまったらしい。
 花井の姿が見えなくなってから額の汗をぬぐうふりをして、
「なんとかなったわね」
「なってない。サラ、どうしてあんな事言ったの?」
 どうしても責めるような口調になってしまう。けれどサラは笑ったまま
「そうね、嘘ついちゃった」
「え、サラ?」

604 名前:beautiful_name :03/12/23 02:38 ID:WQQgBxAS

「ちゃんとわかってるわよ。呼びかける機会がないから結果として少ないだけで、
男子の上級生は『先輩』って呼ぶんでしょ?」
「うん・・・」
 そのとおりだ。八雲がさん付けで呼ぶ男性は極めて少ない。父と、祖父と、もう一人。
「じゃあ、どうしてあんなこと」
「花井先輩いい人だし、申し訳ないと思うけど、私には友達の願いのほうが大事だし」
「願い?私の?」
「そう、八雲の。だって、特別扱いしたいのは『花井先輩』じゃなくて『播磨さん』
なんでしょ?」
「え? ええっ!?」
「いまさら驚かなくても」
 目を白黒させる八雲。
 私が? 特別扱い? 播磨さんを?
「違っ、違う。私、そんな、そんなこと」
 息が詰まる。胸が熱い。顔が赤くなるのが自分でわかる。

605 名前:beautiful_name :03/12/23 02:38 ID:WQQgBxAS

「あ、酷い。八雲、私に嘘つくの?」
「嘘だなんて、そんな」
 記憶がめぐる。合宿所の時、動物たちを守ろうとした時、初めて播磨さんと呼んだ時。
「そりゃあ私も嘘ついたけど、せめて呼び方だけでもっていうつつましい八雲の
願いを守るためなのに」
「そんな、サラ」
「白状しなさい」
 サラと播磨さんの話をした。教室で、帰り道で、家に帰っての電話口で。
「特別とか、そういうんじゃなくて、年上の人だし、礼儀として」
「八雲」
 色んな話をした。些細なこと、とんでもないこと、心の奥にしまっておきたい、
それこそ特別な出来事以外の全て。
「よく知ってる人だし、お世話になってるし」
「やーくーも」
「・・・」
 とうとう観念した八雲は、しかしやっぱり恥ずかしいのでとても小さな囁き声で
「はい。特別扱いしたいです」
「よろしい」



      おわりー

606 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 02:40 ID:WVmd3CRv
ぐはぁぁぁぁぁぁぁ!!
最後のサリフがたまりませんナァ!
乙です!

607 名前:beautiful_nameの中の人 :03/12/23 02:42 ID:WQQgBxAS
俺は旗派だったんですが、マガスペで変わってしまった
つーか播磨×八雲萌え
しかしけっこー気合入れて書いたのに酷い出来だ。

後、タイトルですが、洋楽は詳しくないのでゴダイゴで勘弁してください。

608 名前:The Four Seasons 前夜 :03/12/23 03:05 ID:yJcV5x4U
いろいろあって楽しかった夏休みも、もう終わり。
明日からいよいよ新学期。
「とりあえず明日持って行くものは…えっと…これだけでいいわよね」
教科書が無い分普段より軽めの荷物のチェックを済ました私はいつもより早めベッドに向かう。
明日は夏休み中と違いお昼過ぎまで寝てる訳にいかないし、
新学期早々から睡眠不足でお肌が荒れてたりしたらそれこそ私のプライドが許さない。
とはいえ一度染み付いた生活習慣とは簡単に変えれないものらしく私はなかなか寝付く事が出来なかった。
「う〜。なんで明日から、もう新学期なのよ。」
と理不尽なつぶやきも空しく消えて意味のない時間が過ぎていく。
「夏休み、楽しかったな……」
そう、いろいろな出来事があって本当に楽しい夏休みだった。
悔いがあるとすれば素敵な恋をするという夏休み最大の目標が達成できなかった事くらいだ。
いや、もう一つ…ではないけど、原因をたどれば一人のバカのせいで私の夏休みは災難だらけだった事を思い出す。
「あのバカ……」
原因となった男の顔を思い出し私の顔は思わずほころんでくる……訳ないでしょ!

609 名前:              :03/12/23 03:06 ID:yJcV5x4U
だいたいアイツは何考えてるのよ!
いきなり告白してきたと思ったら次の瞬間には美人のお姉さんに抱き着かれて
『今日の晩御飯は肉ジャガなんだぞ〜』ってなんなのよ!
カレーが好きって言ってたくせに!
いったい誰のためにカレー作る練習したと思ってるのよ……
て!誰もアイツのために練習したわけじゃないし!
アイツなんてお父様のついでなんだから、ついで!
ただ…やっぱし、その、でも、あの時のお礼はしなきゃいけないと思うし……。
どうせなら喜ばれた方が嬉しいし……。
べ、別にアイツの喜ぶ顔が見たいとかじゃないのよ!
どうせ作ってあげるのなら喜ばれたら嬉しいってだけで!
だいたいなんでアイツに手料理を作ってくれる人がいるのよ!
そもそも誰なのよ、あの女の人……。
「綺麗な…人だったな……」


610 名前:              :03/12/23 03:08 ID:yJcV5x4U
それだけじゃない。アイツのまわりには結構女の子がいる。
数学の刑部先生とも仲が良さそうだし、キモだめしの時は天満といい雰囲気だったし、
最近は天満の妹の八雲ちゃんにまで手を出そうとしてたし、
…それに美琴だって美琴はどうも思ってなくてもアイツの気持ちは分からないし。
「ハァ…」見事なハイレベルさに思わず溜息がでる。
アイツも身の程を知りなさいよね。
とはいえアイツが全然モテないのかと言えばそうでもない。
時々アイツの事が好きだという子の噂も聞く。
まぁ、どうせ学校さぼってるうちに流れた変な武勇伝が一人歩きした結果でしょうけどね。
だいたいアイツなんて知れば知る程ろくな奴じゃないのに…。
ま、そういう意味じゃ、みんなきちっと人を見る目ありそうだし大丈夫だと思うけどね

611 名前:              :03/12/23 03:08 ID:yJcV5x4U
でも、でもアイツ時々いい奴になるし……。
いや、でも、みんなそんなのに騙されるほど馬鹿じゃないよね。
一番心配な天満は烏丸君に一直線だし…うん、大丈夫、大丈夫。
あんなバカを本気で好きになる物好きなんている訳ないしね。
本当にもしそんな物好きがいるとしたら顔を見てみたいわ。
ま、叶わぬ願いでしょうけど。そんなの絶対にいる訳ないんだから。
まぁ、いる訳ないとは言え万が一にも間違いが起こったら大変だし、うん、しっかり監視しとかなきゃね。
でないと……てっ、べ、別にそうしないと私が何か困る訳じゃなくて……
え〜と、そ、そうそう、もし、あんなバカの事好きになった子がいたとしたらその子が可哀相じゃない……可哀相なの!
…でも、アイツって案外とやさしいところもあるし…
意外と、彼女とか大事にするタイプなのかな……。
でも絶対アイツって乙女心とか理解してないっぽいわね。
普通にデートの計画一つすら立てられないっぽいし…
ホント、アイツとデートとかになったらどうするんだろ……。
アイツに任してたらとんでもない事になりそうだし私が何処に行くとか決めるのかな…
でも、そうなれば私の好きなとこに行けるのか……
動…物園とか…言ってもアイツなら笑わないでくれるかな………。
………。
……。
…。

612 名前:              :03/12/23 03:10 ID:yJcV5x4U
て!あ〜!もう!私とアイツがデートする訳ないじゃないのよ!
だいたい、なんで私がアイツなんかの事でこんなに悩まなきゃいけないのよ!
私はもう寝るの、寝る!
恋愛において一番重要なのは第一印象なのに
新学期早々から寝不足なんて洒落にならないじゃない。
絶対に二学期こそ身を焦がすような恋をしてやるんだから!!

613 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 03:19 ID:fs6DY+vn
いったい今日はどうしたんだ?
神がこんなにも降臨されるなんて

614 名前:              :03/12/23 03:21 ID:TSgrJEzn
ようやく沢近SSキタ━━━━━━━━━━ !!!!!

615 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 03:24 ID:TSgrJEzn
自作自演失敗しました
吊ってきます
名前欄の事忘れてたよ_| ̄|○  

616 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 03:26 ID:rxAW0PfU
GJ!

つーか全国の俺等...どうしてこんなにも勢いがありますか?
リロードするたびにSSが追加されてるんですが...


617 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 03:27 ID:gQylQgxb
   n                n
 (ヨ )              ( E)
 / |    _、_     _、_    | ヽ
 \ \/( ,_ノ` )/( <_,` )ヽ/ / good job!!
   \(uu     /     uu)/
    |      ∧     /
       _n n_
  _、_  .(  ll  )    _、_
( ,_ノ` )  `/ /ヽ  ( <_,` )
(    ̄ ̄___/ ヽ___ ̄ ̄   )
 \   丶     /     /    good job!!
  _n                 n_
 ( l    _、_     _、_    l )  good job!!
  \ \ ( <_,` ) ( ,_ノ` )  / /
   ヽ___ ̄ ̄  )  (   ̄ ̄___/
     /   /    \   \
  _n
 ( l    _、_                _、_
  \ \ ( <_,` )           ( ,_ノ` )      n
   ヽ___ ̄ ̄  )   good job!!    ̄     \    ( E) good job!!
     /    /            フ     /ヽ ヽ_//

>>615
生`。そして全国の俺達の為にSSを量産し続けてくれ

618 名前:beautiful_nameの中の人 :03/12/23 03:31 ID:WQQgBxAS
>>615
俺を旗派に引きずり戻す神がー!
GJ&乙です
吊らないで後編書いてください

619 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 03:34 ID:aMM/IrFs
沢近SSキタ━━━━━━━━━━ !!!!!

620 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 03:51 ID:vUgmWm76

自作自演なんてしなくてもいいよいいよーw

621 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 04:00 ID:5Ijjv+k0
( ゚д゚)・・・
激しく神スレですな。

とりあえず受験生!自分に自信もて!それが受かる一番の秘訣だ。

622 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 05:40 ID:In5IWr7s
そろそろ次スレ建てたほうがよくないか
サイズがそろそろでかくなりすぎなのだが

623 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 06:17 ID:zi94aeXk
次スレは、男キャラ萌え&SSスレでつか?

624 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 06:30 ID:+RdeHvje
(゚∀゚≡゚∀゚)すげえな。SSスレになってからの、この爆発的人気ぶり。
容量で次スレが心配される程になるとは、奈良も本望だなw

625 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 06:47 ID:LxOkZ38w
奈良が証明したこと。
本来主人公キャラは、「主人公」という役職を取られたらただの背景、いっぱいいっぱい、豪華な面子の中で浮いて見える。

626 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 07:39 ID:B/XgWPu5
>>607
よかったですよ!萌えますた(*´д`*)ハァハァ

627 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 08:34 ID:X1Vwi5qf
>>601
>>『さんを付けろよデコスケ野郎がぁ』
激しく笑いました、花井は金田っすか
AKIRAネタイイ!

八雲「花井ぃぃいーーーー!!先輩・・・」
花井「さんを付けろよデコスケ野郎がぁ」

なんて浮かんじまった、アホか俺は


628 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 08:40 ID:/jLHunxs
>>623
SSスレでよかんべ

629 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 09:28 ID:kcWRelTC
ここ、いつのまにSSスレになったんだ…?

630 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 09:44 ID:I+EiOfX2
>>601
つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚
おにぎり派の俺にとって福音。貴方は現人神。
播磨が直に出てこないんで、そのぶん妄想が刺激されまつた。
花井を上手くあしらうサラもイイ(゚∀゚)!これで休日出勤も乗り切れるYO!



631 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 10:22 ID:jy+HeQ90
>628
奈良をネタにしつつSSに萌え転がるスレッドってことで。

632 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 11:42 ID:3AdCVYXr
次スレは明らかに棄てスレっぽい、

スクールランブル◆周防 美琴◆ファンスレッドpart1
ttp://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1071374536/
ここでどーか?



633 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 12:15 ID:cP6Gl5TI
あーそれいいね。
リサイクルリサイクル

634 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 15:12 ID:/KovmggM
地球(板)にやさしいスクールランブル
……リサイクル率高いなぁ

635 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 15:22 ID:z9oTqDq/
まだ213キロバイト、あと287キロバイト残ってる。

636 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 15:29 ID:YwNJAk8K
気が付いたらこんなもん作ってた俺がいた…。_| ̄|○

ttp://anoyoroshi.hp.infoseek.co.jp/flash/school.html

637 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 15:48 ID:OCiKD0Vm
>>607
いやもう、最後の遣り取りで発作を起こしました(スクラン3巻119pの播磨のごとく)

グッジョブ!

638 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 16:02 ID:fs6DY+vn
>>636
グレイト!

639 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 17:26 ID:RaSofJXk
まぁ、いつかバブルは弾けるものだ。灯が消えたように静かになっちまうのさ、
ここも。

640 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 17:27 ID:3luAkmFE
宇宙絶対神がご降臨あそばされた!!!>>636

641 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 18:51 ID:vHDNJKI+
>>639
今が楽しければいいのさ…

昔はジャぱんがすごかったんだったなぁ
毎週AAやらお絵描き絵やらで賑わったもんだ

642 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 18:53 ID:vgfnSgve
まあ、その辺は作者の腕次第だな。

643 名前:某”管理”人@”管理”人 :03/12/23 19:29 ID:C41LxSZI
>>636
SS置き場からリンクさせてもらってよろしいでしょうか?w

(´-`)。oO(フラッシュの置き方知らないなんて言えやしない・・・

644 名前:636 :03/12/23 19:49 ID:YwNJAk8K
>>643
あんなんでよければどうぞどうぞ。

645 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 19:56 ID:9VHqJynV
>>644 前バージョンはもうないのですか・・・?

646 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 20:11 ID:YwNJAk8K
>>645
( ゚Д゚)つ ttp://anoyoroshi.hp.infoseek.co.jp/flash/school2.html

647 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 20:26 ID:9VHqJynV
>>646 即刻保存いたしました! ほんっっっつと----に感謝です!!!


648 名前:無能作者 :03/12/23 20:34 ID:bUORUVVU
師走に入ったある日、ある少女が学校の校門で待ち合わせをしていた。
「もう、なんで外出したら突然降ってくるのかしら!日本の天気予報の曇りほど信用できないほどないわ・・・。傘もってなかったらテレビ局に文句の一つもいってやりたいわね、まったく。それより天満ったら・・・。」
そう、今日の朝は快晴だった。しかし天気などというものはきまぐれなもので、突然変わってしまうものである。そして人の心の変化も突然の・・・。
この少女の名は沢近愛理。簡単に彼女を説明しろと言われれば、少なくとも男子は、10人に9人は学園のアイドルと言うだろう。そしてそのことは本人も自覚している。
ではその少女がなぜ雨宿りをしているか・・・。それは同じクラスの塚本天満と待ち合わせしていたのだ。理由は天満に貸していた数学のノートを返してもらってなかったという単純なものだったのだが・・・。
「愛理ちゃん・・・数学ってなんでこんなに難しいんだろう・・・全然わかんないよ〜(フニャー)」「わかんないのは天満が(以下略)」「う〜〜〜愛理ちゃん、いっつもはっきり言うよね・・・。」


649 名前:無能作者 :03/12/23 20:35 ID:bUORUVVU
この塚本天満に宿題を見せたりすることはよくあることだった。普段ならば学校で返してもらえばよかったかもしれない。
しかし明日は期末考査ということもあり、さすがに前日何も勉強しないでテストをうけるほど彼女はチャレンジャーでもなかった。
そこで学校の校門で待ち合わせをすることになっていた・・・のだが・・・その待ち人はいつも約束に遅れてやって来る・・・。
そんな中校舎内からけたたましい声が聞こえてきた。
「おい、絃子!そりゃーどういうことだ!」


650 名前:無能作者 :03/12/23 20:37 ID:bUORUVVU
「まあそう怒るなケンジ君。なにも無償の奉仕をさせようと言っているわけじゃない。
時給も1200円といいじゃないか。」
「何が悲しくて正月に学校の用務員のバイトで泊まりこまにゃなんねーんだよ!」
彼の名は播磨拳児。典型的な不良の外見(本人は三国蜀の諸葛亮孔明のつもりらしいが・・・)、
漫画家、占い師、ヒモと多彩な(?)経歴をもつ男である。
そして、愛理に間違えて告白した経歴も・・・。

651 名前:無能作者 :03/12/23 20:38 ID:bUORUVVU
「げっ・・・ヒゲじゃない・・・。なに騒いでるのかしら・・・。まったくけたたましいわねいつも。ん・・・?
あれは刑部先生???なんでヒゲと刑部先生が一緒にいるのかしら・・・?」
愛理の疑問ももっともである。学校内で人気も高く、クールそうな教師である刑部絃子と
品行不正、サボリがち、成績最悪の播磨に接点などどう考えてもうかばない。
職員室にでも呼び出されて説教でもされてるならともかく、
その二人が親しげに会話しているのは普通に考えればおかしい。

652 名前:無能作者 :03/12/23 20:38 ID:bUORUVVU
「おい、てめーシカトすんなコラ。」
「君は口の利き方がなってないな。絃子さんと呼べ、
絃子さんと。詳しい話は家で聞くからさっさと帰るぞ。」
「おれはぜってー認めねーからな。」
「おや?そんな口を聞いていいのかね?外はこのとおり大降りだ。
まあ濡れて帰ると言うならかまわないが。」
「クソ・・・。」

愛理はこの会話を聞いてふと不思議に思った。
「詳しい話は家で・・・」これはどういう意味なのだろうか・・・。

653 名前:無能作者 :03/12/23 20:39 ID:bUORUVVU
「家・・・?どういうこと・・・???なんで刑部先生とあのヒゲが・・・?」
即座に答えなどでたがわからなかった・・・。いやわからないままでい
たかったのだろうか・・・。気付くと愛理の足は、
天満との約束もそっちのけで無意識のうちに彼等を追っていた。
「別にあのヒゲが気になるわけじゃないわ・・・。そんなわけないわよ。
ただ教師と生徒が交際しているって事実が(ブツブツ)」
愛理は自分に言い聞かせるようにいった。

654 名前:無能作者 :03/12/23 20:40 ID:bUORUVVU
愛理が播磨に対して変な感情を持つようになったのはいつからだろうか。
普段彼女は男子とよくデートしたりしている。しかしそれはあくまで遊び(悪い意味ではない)であり、
正式な交際ではない。そして未だに彼女は本当に心から人を好きになったということはなかった、
そんな彼女がある日突然告白された。いつものように、自分の外見を見ただけで告白してくる
チャライ連中とは違った感じをうけた。「聞いてくれ・・・、俺は・・・、前から君のことが好きだったんだ!
やっと・・・、やっと・・・、言うことができた!!」。決してタイプの男性だったわけではなかったが、
彼女にはいつもと違う何かを感じた。

655 名前:無能作者 :03/12/23 20:41 ID:bUORUVVU
しかしこの告白の直後、見知らぬ女性といちゃつく(一方的にいちゃつかれる???)のを見せつけられたことが
彼女の心をさらに揺さぶった。自分でもなんでこんなに心が揺さぶられるのかわからなかった。
どんな男子でも自分と遊べると言ったらホイホイついてくる。しかし播磨は違う。
自分のことなんかまるで眼中にないかのように・・・。

「だいたい、あのきれいな女の人ともなんか仲よさげで、そのうえ刑部先生にまで手をだしてるっていうの?そのくせ私に告白までして・・・。」

656 名前:無能作者 :03/12/23 20:42 ID:bUORUVVU
1人で反芻しながら播磨たちをおっかけているとどっかで聞いたような声が聞こえてきた、

「愛理ちゃーん、まってよー。遅れたのは謝るからー、ほんとごめんー・・・。」

天満が遅れてやって来た。当然のごとく傘をさしていない。
ウケを狙っているのかというくらいいつも天然である。
「天満、静かに!」
「えうー・・・それより傘いれてよー・・・。家でてちょっとしたら降ってくるんだもん・・・。
天気予報ってほんとウソツキだよね。もう・・・。八雲の言うとおり折りたたみもってくればよかったかな・・・。
それより愛理ちゃん、何してるの???傘さして電柱の影に隠れて???」

657 名前:無能作者 :03/12/23 20:43 ID:bUORUVVU
「天満、静かにして!、前見て!」
「えっ?あれー、播磨くんと刑部先生???どうして二人が一緒にいるの?」
「おかしいでしょ!あのヒゲがなんで刑部先生と一緒にいるのか。天満もそう思うでしょ?」
「う〜ん・・・、帰り道が途中まで同じとかかなあ・・・。」
「もうっ!さっき私聞いたのよ。『詳しい話は家で・・・(略)』ってね!これでも怪しくないって言える?!」
愛理はいつのまにか感情的になっていた。自分でもわからないが、
なぜか播磨の行動がいちいち神経に触っていた。ただ愛理はこれが嫉妬だとは気付いていない。
いや・・・気付かないふりをしてるのか・・・。


658 名前:無能作者 :03/12/23 20:44 ID:bUORUVVU
「え〜〜〜!!!播磨君・・・。そんな・・・あんなに約束したのに・・・。またお猿さんになっちゃったのかな・・・。」
「約束ってなによ???」

天満は愛理に茶道部の旅行の時の顛末を語った。「お猿さんはだめ」と諌めたこととか、
そしてそれを播磨が理解してくれたと思っていたこととかを。もちろんそのことを愛理は知っていたが、
まさか隣の部屋でノゾキをしていたとはなんとなくいいづらい。

「ふ〜ん・・・。ま、まあ、あのヒゲのことよ、野獣だわ。このままほっといておいたらまた
犠牲者がでるかもしれないじゃない。だから追ってたのよ。天満も気になるでしょ?」
「でも・・・本当に播磨君・・・お猿さんにもどっちゃったのかな・・・。」


659 名前:無能作者 :03/12/23 20:45 ID:bUORUVVU
そうして愛理と天満は播磨達をつけることにした。。。そして、その真実を知ることはできるのだろうか?
様々な思いがめぐるなか、今日も寒い一日が終ろうとしている・・・。

(続くのか・・・?)


660 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 20:45 ID:U9MvFWbA

            \     _n         グッジョブ   /
              \   ( l     _、_       /
               \   \ \ ( <_,` )    /
                 \   ヽ___ ̄ ̄  ) /
   _、_  グッジョブ      \    /    / /  _、_   グッジョブ
 ( ,_ノ` )     n        \∧∧∧∧/   ( <_,` )     n
 ̄     \    ( E)       < の  グ >   ̄     \    ( E)
フ     /ヽ ヽ_//        <      ッ >  フ     /ヽ ヽ_//
─────────────< 予  ジ >───────────────
   ∩               <      ョ >
   ( ⌒)       ∩ グッジョブ < 感  ブ >       |┃三     話は聞かせて
   /,. ノ      l 'uu       /∨∨∨∨\      |┃  ガラッ    もらった
  / /      / /"    /         \     |┃ ≡   _、_   グッジョブ
  / / _、_   / ノ     /    グッジョブ   \  |ミ\__( <_,` )
 / / ,_ノ` )/ /    /|    _、_     _、_   \ =___    \
(        /     /\ \/( ,_ノ` )/( <_,` )ヽ/\≡   )   人 \
 ヽ      |   /   \(uu       /     uu)/  \





661 名前:無能作者 :03/12/23 20:46 ID:bUORUVVU
なんか突然書きたい衝動にかられてしまった・・・。文才もないのにすいません・・・。

662 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 20:50 ID:dacLqGqP
イイ!

663 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 20:53 ID:uP9tu+Kc
愛理イイ!
GJです

664 名前:すれっどらんぶる :03/12/23 20:54 ID:uca3k0vM
「以上で説明終わり」
 スレッドの立て方の説明、などするほどのことだろうか、と思う晶だったが、
ギャラリーからはおおー、という感嘆の声が多い。天満を始め、初心者である
とかそういうこと以前の問題の人間が多いためである。
「分かったかしら」
「いや、全然だな」
 周防美琴、あっさり脱落。もともと興味が無いとも言う。
「やっぱり私にゃこういうのは向いてないね」
「ふん。努力が足りないのだ。そもそもこんなことで教えを請うこともない
だろう、ここは一つこの僕が……」
「あー、アンタも駄目ね」
「何?何の権利があってそんなことを……」
「だって結果が目に見えてるじゃない。それじゃ面白くないでしょ」
「当然だ!僕がつけるタイトルと言えばただ一つ、やく」
 どす。
 鈍い音共に花井のみぞおちに美琴の拳が突き刺さる。
「はい、馬鹿は始末したからね」
「不公平、だ……」
 一縷の望みをかけて晶を見る花井。
「私はどちらかと言うと不公平ね」
 花井春樹、玉砕。

665 名前:すれっどらんぶる :03/12/23 20:55 ID:uca3k0vM
 所変わって、塚本天満である。
「うーんと、こうして、こうして……」
「姉さん、大丈夫?」
 実のところ、言ってしまえばキーボードを打つだけなのだが、どうにも彼女が
やると危なっかしくて見ていられない八雲だった。
「平気平気。私が一番になるんだから。そして……」
 烏丸くんって名前をつけるの、とはさすがに口に出さなかった天満だったが、どのみち
八雲には筒抜けだったりする。
(姉さん、なんだかちょっと違うと思う……)
 思っていても口には出さない、姉思いの妹。
「よーし、できた!」
 彼女にしては奇跡的な早さである。が――
「あ、姉さんちょっと待」
 ぽん、と押されるエンターキー。確定。
「ん?どうしたの八雲」
「それ、名前とタイトルが逆……」
「へ?」
 画面に表示されたタイトル「塚本天満」(思いっきり本名)、名前「鳥丸くん」。
「それに『とりまるくん』って」
 わざと?、とはやっぱり言えない八雲である。
「え、やだどうしよう八雲。こういう時どうすればいいのかな」
「姉さん落ち着いて。最初からやりな」
 おせば、と言葉は続けられなかった。そこにあったのは慌てふためいてキーボードを
連打する天満の姿。
「なになに?もうわけ分からないよ〜」
 塚本天満、独り相撲。

666 名前:すれっどらんぶる :03/12/23 20:56 ID:uca3k0vM
「愛理はいいのかしら」
「キョーミないわよ、別に」
 問いかけてきた晶にそっけない態度を取る沢近。
「ふうん」
「……何よ」
「別に……」
 どこからどう見ても含むところのある言い方である。高野晶、魔性の女。
「知ってると思うけど、人気あるのよ、あなた」
「当然でしょう?」
 沢近愛理、見栄っ張り。
「だから新しいスレッドができれば、きっと……」
「……もう、だから何なのよさっきから」
「あら、言っていいのかしら」
 高野晶、悪魔の微笑み。
「別に私はなんともないわよ?」
 沢近愛理、やっぱり見栄っ張り。
「そう……」
 カタカタカタ、とキーボードを打つ晶。
『えりとはr
 ――ぱしゅん。パソコン、強制終了。
 そして沢近の手には電源コード(よい子は真似をしてはいけません)。
「私はただ『愛理と原宿を闊歩するスレ』と打とうとしただけよ」
 高野晶、悪魔。
「分かったわよ悪かったわよちゃんと考えるわよっ」
 くやし涙を堪えて叫ぶ。
 沢近愛理、結局意地っ張り。

667 名前:すれっどらんぶる :03/12/23 20:57 ID:uca3k0vM
「なんだかみんなにぎやかだね」
「うん……」
 ひとまず天満が落ち着いたので、サラと一緒にいる八雲。
「八雲は考えなくていいの?」
「私は……」
『烏丸くんって名前をつけるの』
 天満の言葉がやけに引っ掛かっている八雲である。
「サラは?」
 それを悟られないように聞き返す。
「私は八雲のお手伝いがしたい、って思ってるんだけど?」
「え、そんな……」
 妙に音符の飛び交う楽しげなサラの思考が聞こえてきて戸惑う八雲。
「そっか。でもあんまり深く考えないで好きな名前をつけたらいいと思うよ」
 それじゃあ私も考えようかな、と自分の席に向かうサラ。
「好きな、名前」
 ぽつりと呟いてから、キーボードの上を八雲の指が小さく踊る。
 h a r i m a s a n n
 変換。
『播磨さん』
「えい」
「あ――」
 後ろから伸びてきた手が、ぽん、とエンターキーを叩く。
「えへへ」
「サラ……」
 ちょっと困った顔をした八雲が削除をしようとしたその矢先。
「はいそこまで」
 終了を告げる晶の声。
「では最後に立てられたスレッドを活用することにします」
 もしかして、と思う八雲。そして悪い予感というのはえてして当たるものである。
「八雲さん、あなたね」
「あの、でもこれは」
「よかったね、八雲」
 抗議しかかった八雲だったが、横からサラに遮られる恰好になる。
 さらに。
「恩に着るぜ、八雲ちゃん!」
 これで俺と天満ちゃんの話が、などと、事前に晶にあることないこと(主にない
こと)吹き込まれて大人しくしていた播磨がその手を取ってぶんぶんと振る。心底
嬉しそうである。
「あ……」
 思わずうつむいてしまう八雲だったが、その手を振り払うことはなく。
「ふふ」
 そして、その姿を見ながら晶とサラが笑みを交わしていたりするのだった。


おしまい。

668 名前:すれっどらんぶる :03/12/23 20:57 ID:uca3k0vM
「でも変なスレッドたくさんできちゃったじゃない」
「あとで消しておくから問題ないわ」
「消しておくって晶、アンタ……」
「管理人、私だもの」

新スレ、なんて話に思いついた中途半端ネタSS。
うーあーごめんなさい。
しかし一日一話ペース、何をやってるんだろう、自分……


おまけ。

 深夜、八雲の部屋。
 カタカタカタカタ――
 キーボードを打つ音が響く。
「……うん」
 幾度目かの書き直しを経て、ようやく満足した表情で投稿しようとした時。
「あれぇ、やくもあにしてるのー」
「っ、姉さんっ?!」
 よほど驚いたのか、彼女にしては珍しいリアクション。
「ん?なにかかいてる?」
 いつも以上にすっとぼけた口調に、ただ単に寝ぼけているだけ、と悟って
寝かしつけようとする。けれど。
「おねーちゃんにみせてみなさいっ!」
 こういう時にしつこいのが天満である。
「姉さんでもこれはダメ」
「いーからいーから」
「駄目――」
 思わずブラウザを閉じてしまう八雲。数時間の苦労が水の泡である。
「あー!ふんだ、やくものいじわるー。もういいもんえー」
 そのままゆらゆらと部屋に帰っていく天満。さすがと言えばさすが。
「……」
 ふう、と溜息を一つ。
 それが安堵によるものか、落胆によるものか。
 塚本八雲、悩み多き少女である――

669 名前:369で411で519、たまに579 :03/12/23 21:02 ID:dacLqGqP
八雲カワイイ!

しかし、次のスレはホントにどうしようか?

670 名前:369で411で519、たまに579 :03/12/23 21:06 ID:dacLqGqP

 それは偶然、眼に入った。
(播磨…さん…?)
 窓の外をふらふらと播磨が歩いていた。
 その様子は某ボクサーのようで見ていて危ない。
 今すぐへへ、と笑って燃え尽きてしまいそうだった。
 それでも、なんとか校舎の外へと向かっているらしい。
(………………)
 不安ながら、じっと見ていると、播磨は倒れそうだ。
 あっ、と声を上げる。
「ドウシマシタカ? ミス・ヤク〜モ?」
「え、あ、いえ………」
 なんだなんだ、とクイス中の視線がそそがれた。
 ついでに、大量の心の中が見えてしまった。
 これは正味ツライ。
「あの…」
 その時、ついに窓の外の播磨は倒れた。
「あ………!」
 どうしようか、と数瞬迷った結果、なんと八雲は
「あの、私、トイレに…!」
 などとのたまうた。

671 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:07 ID:dacLqGqP

 …。
 ……。
 ………は?

 クラス中が静まった。
 え、あれ? と思いながらも八雲は
「先生、それで……」
「………………………あ、はい、ドウゾ」
 クラスを後にしつつ、自分の何が悪かったのか分からずに八雲は駆けていく。
 残された生徒と先生は、ぼけーっとその様子を眺めていた。
 ただ一人、八雲の友人であるサラのみが、笑いをこらえるのに必死で、体を
震わせていた。

672 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:08 ID:dacLqGqP

 校舎の外の播磨はぶっ倒れている。
 朝から腹が痛くて、熱っぽかったのだ。
 そして、ついに体が
「もう無理ですばってんヨロシクゥ」
 と、謎の言葉を残して機能停止したのだ。

 思い当たる節はたくさある。
 昨日食った色が変わったアンパン、昨日飲んだ臭い牛乳、風呂上りで素っ裸で
スチャート大佐ごっこをしたこと、どれもありえた。

「く、やべー…そろそろお花畑と川が見えそうだゼ…」
 結構、余裕というか、へらず口は叩けるようだが、実は強がりだったりする。
 まさに、もう一歩も動けましぇーん、といった感じで倒れ中なのだ。
 もしかして、俺はこのままなのか!? などという悪い予感がする。


673 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:10 ID:dacLqGqP

「あの…大丈夫ですか?」
 その優しい言葉…まさか俺の女神サマ天満ちゃんの登場?
 さすが俺…ピンチをチャンスに変えるとは…!

 などと都合よく解釈した播磨の眼に映ったのは
「お、惜しい…」
「…………?」

 妹の八雲であった。

「あの、惜しいって…?」
「いや、なんでもねえよ…妹さん」
「あの…大丈夫ですか…?」
「み、見てのとおり、だだだ大丈夫ですぜ…」
「………」

 見てのとおりなら、大丈夫そうではない。
 八雲は無言で播磨に肩を貸した。

「い、妹さん…?」
「あの、保健室まで送ります…」
「いや、そんなワケには…」
「…でも」
「……う!」

 見上げられた顔は泣きそうだった。
 そういう顔に播磨は致命的に弱い。


674 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:10 ID:dacLqGqP

「いや、その保健室にはもう行ったんだよ…それでまあ、帰ろうかと」

 …そうですか、分かりました、その八雲の言葉を聴いて、播磨はほっとする。
 愛する天満の妹に手を煩わせるワケにはいかなかったのだ。

「じゃあ…家まで送ります…」

 …その時の播磨の顔を、皆さんにお見せできなかったのが残念で仕方がない。

675 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:11 ID:dacLqGqP

「ここ…ですか?」
「…お、おう」

 結局、女の子に肩を預ける形で、播磨は自宅についた。
 道中、何度も説得も試みるも、八雲の
「―――――……」
 という無言の叫びと、きっと結ばれた口、そして強さそうな意思と裏腹の泣
き出しそうな瞳に、強く言うことができなかった。

「ありがとうよ…もう、十分だからよ」
「あ、はい」

 玄関で離れて、礼を言う。
 授業中だから、早く帰んな、と言って播磨は扉を閉じた。
 扉が閉まったあと、八雲が帰ろうとした瞬間――

 ドンッガラガッ!!

 という激しい音が聞こえた。
 急いで八雲が扉を開けると、播磨は玄関で倒れていた。

676 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:12 ID:dacLqGqP

 急いで八雲は駆け寄り、状態を見る。
 意識はなく、呼吸が荒い、体も熱い、汗も大量に出ている。
「風邪…」
 すばやく状況判断すると、八雲は播磨の重い体を一生懸命持ち上げた。


「………よいしょ」

 播磨を――恐らく彼の部屋であろう――少し汚い部屋のベットの下ろした。
 意識はまだ戻ってない。

 さて、どうするか。
 時計を見れば、まだ三時間目の授業の時間。
 自分は、このまま帰るべきか否か。
 常識的に考えれば、帰るべきである。
 いちおう、授業には出なければいけないし、そもそもここに残って看病するの
は八雲の役目かどうかは、疑問である。

 でも――と八雲は思う。
 播磨の容態は、あまり良くない。下手をすると脱水症状を起こすかもしれない。
 ここで彼をおいていって、何かあったら自分の責任ではないか?
 それに、病人を置いていくのは人道的見地からいって、間違ってるのではない
か。
 しばらく思案の末、八雲は台所へと向かった。


677 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:13 ID:dacLqGqP

 播磨はまどろみの中で気づいた。
 …布団の中?
 なぜか自分は布団の中にいた。
 あいまいな記憶を辿る。
 たしか、校庭で倒れた、妹さんがやって来た、かついでもらって家についた。
 そして、妹さんと別れてから…
 ………あれ?

 そこからの記憶はない。
 無意識に自力でベッドにたどり着いたのだろうか?

 すると、なぜか軽快な調理の音と、いい匂いがただよってきた。
(一体、なにが起きてんだ?)
 ワケが分からない。
 もしかしたら、イトコが帰ってきて、料理しているとか?
(いや、それはありえねえ)
 何気に失礼千万なこと考える播磨。
 それをもし、本人の前で言ったら恐ろしいことが起きるだろう。

 ともかく、謎で不思議な現象が自分を取り巻いている。
 しかし、そこは我らが播磨拳児。スバラシク自分本位な予想をくみ上げた!


678 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:14 ID:dacLqGqP

 妹さんは俺が風邪だと知っている。
 それを姉である天満ちゃんに話す。
「…そんな、待ってて播磨君、今行くから!」
 現在、俺のためにおかゆでも作っている
 天満ちゃんが持ってくる。
「すごい汗だね…拭いて…あげよっか?」
 マイボデーを拭いてもらう。
「わあ、すごい体…男の人ってスゴイね…こんな腕で抱きしめられたら…」
「天満ちゃん…」
「だ、ダメだよ播磨くん…まだ体調が…ああ…」

 はらりと落ちる 恋の花――

 こ、これかっ!? こんな状況なのか!?

 ……来た。

 来たぜこんちくしょう。
 神は居た。そしえマイ、スウィート女神が今ここに!

 ガチャ
 そして、いま運命の扉が開かれたっ!
「ええい、まどろっこしいぜ! いっそ一気に最後までイこうぜ天…」
「あ、大丈夫ですか…播磨さん」


679 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:15 ID:dacLqGqP

 …その天満ちゃんは
 髪型が違って
 体型が違って
 ついでに顔も似てるけど違って
 そういえば、妹さんに良く似ていマシタ。

 …。
 ……。
 ………

 あれぇ? おかしいなぁ?

 目の前に居るのは天満ちゃんではなく、なぜか妹の八雲サン。
 なんとなく、いろんな物が萎えた播磨であった。


680 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:16 ID:dacLqGqP

「あの…おかゆ作ったんですけど…」
「…」
「あ、えっと…帰ろうとしたら音がして、見たら播磨さんが倒れてて…」
「…」
「それで、家に勝手にあげちゃったんですけど、良かったですか?」
「…」
「……? あのう、播磨さん?」
「あ、いやなんでもねえ。えーとすまなかったな」
「…いいんです、その、勝手にしたことでしたから…」
「…」
「…」
 二人の会話が途切れてしまった。
 そのなぜか気まずい雰囲気、思い出したように八雲が手の上の茶碗を思い
出した。
「それで…これ、おかゆ」
「あ、おう、すまねえ、いたたぐわ」
「はい、じゃあ…」
 播磨は自然に両手を出して、八雲が茶碗を渡すのを待った。
 だがしかし、八雲はレンゲでおかゆをすくうと、自分の口の前にもっていき、
フーフーと息をかける。
 マヌケヅラでぼけっとそれを眺める播磨。
 自分で味見でもすんのか? という阿呆な考えをしていた。
 しかし、八雲は、そのレンゲ播磨の口元へもって行き。
「はい、どうぞ…」
 と、おっしゃった。


681 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:17 ID:dacLqGqP

「………」
 これには播磨くんはドッキドッキ?
 てーか超大混乱。
 エート、これはアレか、いわゆる一つの「はい、アーン」という奴か?

 …なんでだよ。

 などと考えるていると

「あの…食べないんですか?」

 とさらにお続けになる八雲サン。
 こころもち、表情が悲しそう。

「え、あ、では…」

 ぱくり、とおかゆを食べた播磨。

 …………なんだこりゃ、超恥ズイゾ。


682 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:18 ID:dacLqGqP
「あの、味はどうですか? …その、美味しくないとか」
「イエ…ソンナコトハ…」
「あ、それじゃあもう一口…」

 と言って、再び同じ行動
 → 口でフーフー
 → 目の前に持ってくる
 → 「…どうぞ」

 いや、えと、あのー

「播磨さん…?」
「…俺、自力で食えんだけど…」
「……………………………………………」

 その言葉に、八雲サン、活動停止。

683 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:18 ID:dacLqGqP

「………………………………あ」

 コトを認識してから、八雲が無表情になる。
 ついで、表情が崩れる。
 ボッ! と八雲の顔が赤くなる。
 本当に、火が吹いたのではないかと思うほど。
 もう、耳から首元まで真っ赤っ赤。
 そして、下を向いたままこっちを向かない。

 風邪の〜播磨さん〜困ってしまってワンワンワワン♪
 って、なんだそりゃ。

「…えーと、もらうぞ? このおかゆ」

 コクコク、と頷く八雲

 微妙な空気の中。もぐもぐと食べる播磨。
 うーむ、美味いのだが、なぜか味が分からない。
 風邪のせいだろうか?(多分、違います)

684 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:19 ID:dacLqGqP

「いやーうめえ、こんなおかゆ食ったの生まれて初めてだぜ!」

 八雲、反応無し、いまだ回復せず。

「いやーすぐに元気になれるぜ!」

 八雲、反応無し、いまだ回復せず。

(ええい、なんだこの雰囲気は!?)
「はっはっはー妹さんの旦那サンになる人は幸せだなァー」

 その発言を聞いた八雲がビックリした顔でこちらを向いた、そしてやはり
顔を真っ赤にしながらあの、その、それは…と続ける。
 が、突然、クラリとして

「………ぁぅ」

 という声と共に、プシューと謎の汽笛を鳴らして布団に倒れたこんだ。

「お、おーい? 妹サン? 妹サン!?」

 結果、播磨のみが一人取り残された。

685 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:20 ID:dacLqGqP

「すいません…その」
「ああ、いいっていいって」

 何に対して謝っているのか分からないが、とりあえずそう言うしかない播磨。

「えーとよ、とりあえずおかゆは美味しくいただいたからよ、アンガトな」
「いいえ、どうしたしまして」

 未だに顔を向けれない八雲。
 先ほどから、下を向きながら話している。
 うーん、どすりゃいいんだ? と考えていた播磨に、八雲が声をかけた。

「あの…あれは…いつも姉さんが風邪を引いたときに…していて」
「は、はあ」
「それで…姉さんも私にしてくれて…」
「マ、マジかっ!? うらやましいぜ…」
「え?」
「あ、いや、姉妹の仲が良くて、ってことな」
「はぁ…。ともかく、スイマセンでした…」

 そう言うと、八雲はすぐさまパタパタと部屋を出て行った。

686 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:21 ID:dacLqGqP

 我ながら、なんと恥ずかしいことをしたのか…
 八雲は思い出すたびに顔を赤くして、しゃがみこんでしまう。
 あんなことを男性にするなんて
 あんな、まるで恋人同士みたいなこと…

 ………。

 恋人同士?
 …恋人?
 …播磨さんと…私が?

 ………ボフッ!
「……………………………ぁぅ」

 塚本八雲、本日二回目の自爆。

687 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:22 ID:dacLqGqP

 自爆後、復帰に1時間行動不能だった八雲も、どうにか回復した。

 深呼吸をして、八雲は播磨のへの前に立つ。
 落ち着いて、落ち着いて、と自分に言い聞かせる。
 …よし。
「あの…播磨さん…入ります」
 ガチャリ、と扉を開けると

 ぐーぐーぐー

 寝てた。

 ずっこける八雲。
 なんとも機先を制された。
 まあ、一時間もほっとかれれば風邪引き人間は眠るものである。

 どうしようか、と考えていると、足に何か当たった。
 よく見れば、この部屋はそこらじゅう散らかっていた。

688 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:23 ID:dacLqGqP

「……ふう」
 掃除も一段落して、部屋も大分きれいになった。
 最初は地面の可視床率は50%以下だったが、今ではチリ一つない。
 散らばっていた雑誌は一つのところにまとめておいた。
 ゴミは可燃、不燃、再生ときちんと分けた。
 誰がなんと言おうと、文句のつけようがない状況である。

 片付けをしているときから、八雲にとって気になることが一つあった。
 播磨の机の上においてある写真立てである。
 机を整理しているときに気づいたのだが、見るのは失礼に当たると思い、
裏返したまま片付けた。

 駄菓子菓子!
 …失礼、だがしかし!
 妙に気になる。
 なぜか気になってしまう。
 非常に気になってしまった。
 ともかく気になってしょうがない。

689 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:24 ID:dacLqGqP

 そして、ついに八雲は己に負けてしまった。
 悪いことだと思いながらも、横目で播磨を見つつ、そっと机に向かう。
 目標へたどり着いたとき、もう一度播磨を見る。
 規則正しい寝息を立てて眠っている…っぽい。

 そっと、手を伸ばす。
 額に触れる。

 ゴソリ
「…!!!!!」

 心臓が跳ね上がった。
 そのままの姿勢で動けない。

 …どうやら、播磨が寝返りを打っただけらしい。
 ほっ、と息をつく、危ない危ない、大声を出してしまうところだった。
 …しばらくして動きがないの確認して、もう一度ひっくり返そうとする。

 心臓が早鐘のように鳴っている。
 視界がせばまる。
 そして、ひっくり返そうとした瞬間

「んん…」
「――!?☆♪!∵!?」

 今度は心臓が止まるかと思った。
 しばらく動くことが出来ない。

 …どうやら、ただの寝言のようだ。
 ほ、と息をつく。そして、視界を机に向けると――

690 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:25 ID:dacLqGqP
「………………?」

 そこには、誰かに頭をなでられている修治の写真が…
 いや、それにしては妙に古い。
 もしかしたら、幼いころの播磨だろうか。
 だとすると、ビックリするほどそっくりである。
 それでは、この女性はお母さん?
 残念ながら途中で切れていて、顔までは見えないので正確には分からない。
 ただ、なんとなく八雲は母親だろうと確信した。
 写真の播磨は、気持ちのいいぐらいに笑っていた。
 幸せそうな写真だ。

 やはり、悪いことをした。
 これは、播磨さんにとって一番大切なものだったのだろう。
 少し、八雲は後悔した。
 あとで、播磨さんに謝ろう、そう思った。

691 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:25 ID:dacLqGqP

 その後、ちょっと恥ずかしいのだが、八雲は眠っている播磨の服を脱がした。
 かなりドキドキしたのだが、汗をぐっしょりかいているので、タオルで拭い
てあげなければ、と思ったらしい。
 そのとき、ちょっとしたハプニングもあったのだが、八雲と播磨のために
ここでは語らない。というか、こんなところで語れない。
 まあ、端的言えば

「…お、大き…」

 と、言うことらしい。

692 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:26 ID:dacLqGqP

 しばらく静かに椅子に座っていた八雲だが、播磨の顔色を見ようと覗き込んだ。
 汗も引いて、大分顔色が良くなってきている、これなら明日には全快だろう。
 ほっと、一息つく八雲。
 …そこで、播磨が寝るときまでサングラスをつけっぱなしのことに気づいた。
 そういえば、素顔を見たことが無かったな…
 八雲は、これぐらいなら…と、播磨のサングラスを取った。
 その顔は、意外と、といっては失礼だが、なかなか整った造形をしている。
 ヒゲとサングラスで気づかなかったが、けっこう童顔だ。
 寝顔を見ると、子供のように見えてきた。

 先ほどの写真を思い出した。
 播磨の頭を撫でる女性…
 八雲は無意識に、播磨の頭を撫でだした。

(私…なにしてるんだろう…?)

 自分でも、恥ずかしいし、おかしいと思っていても、手の動きは止まらな
かった。
 まるで、考え事をしている自分と、体を動かしている自分が別人のような
感覚に陥ったような、不思議な感覚だ。
 数分がたつころには、純粋に播磨の頭を撫でることに楽しみを覚えている
自分が居た。

 播磨さんの髪、意外と柔らかい…

 そんなこを考えながら。

 しかし、その時だった。

693 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:27 ID:dacLqGqP

 播磨 イン ドリーム☆

 ついに帝王カラスマを打ち倒した播磨。
 傷つきながらも扉をあけると、そこには天満がいた。

「て…天満ちゃん…!」
「は、播磨君…」

 彼女が、だっと駆け出した。
 自分も走りだしたかったが、ケガで思うように動かない。
 ついには膝の力が抜け、その場に倒れてしまう。
 その時、駆け寄る天満がスソを踏んで転びそうになる。

「あ、危ない!!」

 播磨は起き上がり、上半身と手を伸ばし、彼女をしっかりと抱きかかえるも、
その場に倒れてしまった…。

694 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:27 ID:dacLqGqP

 んで、現実。

 いきなりの出来事だった。
 播磨が起き上がった、そして、何を思ったか自分に抱きつき、そして抱き
ついたまままベットに倒れたのだ。

「――!?☆♪!∵!?」

 あまりのことに、八雲は声も出ない。
 何事か、ふざけているのか、それともまさか押し倒されたのか?
 たくさんの考えが飛ぶが、何も考えていないと同じだった。
 色々な言葉が出ては消え、また飛び出してくる。

「えと……離してください…!」

 真っ赤になって訴えるも、播磨は答えない。

「播磨さん…その……だめです…!」

 それでも離さない。

「ダメ…まだ…!」←(まだ?)

 それでも以下略。

695 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:28 ID:dacLqGqP

 その間、八雲は一瞬が何秒にも感じた。

 ……というか、本当に何秒か経っている。
 それも、かなり。
 そして、それ以降なにも起こらない。

「……え?」

 さすがにこれ以上なにもおきないので、八雲も落ち着いてきた。
 いや、男性に抱きつかれているのだから、普通は落ち着かないはずなのだが、
拍子抜けというか、なんというか、ともかく、妙に冷静になってしまった。



 とりあえず、播磨さんは動かない。
 というより、グーグーと寝息が聞こえる。
 どうやら、ぐっすり眠っているようだ。
 つまり、寝ぼけていた…?

 なんじゃそりゃ。

 と八雲が思ったかどうかは知らないが、ともかくそういうことらしい。
 少し安心したような、残念だったような、まあ、とりあえず起きよう、とした

 だが

「…………ん?」

 だが

「……………え?」

 だが

「……………動け…ない?」

 …ともかく、そういうことらしい。

696 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:30 ID:dacLqGqP

 数分ほど、必死になって動いたが、一向に動けない。
 播磨がかなりの力で抱きついているようだった。
 いいかげん、あきらめよう。
 八雲はそう思い、出ようとするのを止めた。

 今のところ、自分の顔が播磨の胸に当てられている、腕は…
 考えたら恥ずかしくなった。
 播磨は、先ほど汗を拭いたばかりだからか、そんなに汗臭くは無かった。
 それでも、多少におうが、それは男の人の匂い、といったものだ。


 不思議と、不愉快さは感じなかった。

 誰かの胸に預ける感覚。
 久しぶりのその感覚に、八雲は心地よさをかんじた。
 誰かに抱きとめてもらう感覚。
 初めてのその感覚に、八雲はドキドキした。
 普通なら、恥ずかしい。
 いや、いまも恥ずかしいのだが、それよりもこのくすぐったい感覚を長く
感じたいと思う自分が、間違いなくいた。

(あ…いけない…だめ…こんなところで)

 ナ、ナニをするの? なんて世の男性は思うかも知れない事を考え出す八雲
 駄菓子菓子、期待するような(謎)ことではなかった。
 八雲のまぶたが閉じそうになったのだ。

 こんなところで眠ってはいけない。
 いけない、よ思っても、かなりの心地よさから眠気が襲ってくる。

「ん…………」

 健闘むなしく、八雲は56秒の激戦の末、睡魔に敗れてしまった。

697 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:31 ID:dacLqGqP

 ふたたびまどろみから覚める播磨。
 ふと、違和感を覚えた。

 ナニかいる。
 自分のすぐ横になにかいる。
 というか、なにかを抱きかかえている。

 そして、人の頭みたいなのが、目の前にある。
 …つーか、人の頭だった。

「なんだ、人の頭か…おどかすなよ」

 もう一度眠ろうとする播磨(おいおい) 

「…ん? 人の、頭?」

 そう、人の頭である。

「どぅぇぇぇぇぇ!!??」

 ようやく正しいレアクションをしてくれた播磨。
 眠気もマッハで吹っ飛んだ。

 がばりよ起きて、おそるおそる確認をする。
 誰が、一体誰が?

「………ううん」

 寝返り打ったその人は

「い、妹さん…?」

698 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:32 ID:dacLqGqP

 またしても、播磨脳細胞が創造の翼を広げた。

 妹さんと寝た(?)
「ひどい…播磨さん…!」
 お姉さんの天満ちゃんに、そのことを言う
「私というものがありながら(え?)…播磨君、最低だよ!」
 別れる(え?)。
 …死のう。

 つーか、もともと付き合ってないじゃん。という言葉は播磨には聞こえない。
 このまま、高飛びするしかない、いや、やはり首を吊るか。
 真剣に悩んでいたりする。
 とその時、なかなか事態は最悪の方向に跳んだ。

「……………ん」

 塚本八雲、起床。

「……………………!!」

 播磨拳児、声が出ない

699 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:33 ID:dacLqGqP

 播磨はとにかく、まくしたてた。

「これは違う! いや、実はよく分からんが、多分違う!」
「……」
 
 八雲、まだ寝ぼけている。

「いやまて、落ち着け。そう、アレだアレ!」
「……」

 八雲、眼が覚めだした。
 じっと播磨を見て、自分を見る。

「…………」
「…………」

 播磨拳児、あきらめた。
 塚本八雲、覚醒&状況認識&記憶再生


 結局、塚本八雲は今日何度目かの顔真っ赤現象を起こし、播磨に

「す、すいません!!」

 と大声で叫んでから、部屋と家を飛び出した。
 一人残された播磨は、最初はボンヤリしていたが
 その後、本気でどうしようか悩みだした。

700 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:34 ID:dacLqGqP

 播磨さんに…播磨さんが…播磨さんの…播磨さんと…播磨さんを…

 帰り道、熱いからだを夜風に涼ませながら、家路に着く。
 よくよく考えれば、今日一日でなにをしたか。
 思い出すたびに、恥ずかしさで死にそうになる。

 明日……顔が見れない……
 どうしよう…。

 心の底からそう思った。
 気づけば、すでに家についていた。
 玄関に、姉がいた。

「あ、八雲、心配したんだよ? 授業中、突然いなくなったって聞いて」

 あ、そうか、すっかり忘れていたが、今日は授業を休んだのだ。
 姉にいらない心配をかけたことに心が重かった。

「ごめん、姉さん…」
「うん、ちゃんと帰って来たから許してあげる。で、どこに行ってたの?」
「え…えと、伊織と遊んでて」
「あ、そっか。ならしょうがないね」

 一応、納得してくれたようだ。
 まさか、播磨さんの看病をして、それから………なんて言えなかった。
 また色々と思い出してしまい、顔が赤くなる。

701 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:35 ID:dacLqGqP

「うわ、八雲、顔が真っ赤だよ!? 風邪ひいたの?」
「え、ちが…」
「はやく布団に入って、ほらほら」

 家に押されるように入れられ、
 姉は問答無用で八雲を布団に押し込んだ。

「ともかく、ちゃんと治さなきゃダメだよ?」

(違うの…姉さん…これは風邪じゃなくて、これは播磨さんのせいで…)

「ん、八雲、なんか言った?」
「…………え、う、ううん、なんでもない」
「そう、じゃあおやすみ」
「オヤスミナサイ」

 布団の中で、八雲は考える。
 明日、どんな顔をして会えばいいのか。
 もしかしたら、会ってくれないかもしれない。
 播磨さんが、どんなふうな顔で来るのか。

 でも…とも思う。

 今日のことがあったあらこそ、会いたいとも思う。
 もしかしたら、私を意識してくれるかもしれない。
 塚本天満の妹でなく、一人の女の子、塚本八雲として…。

 そんなことを考えていると、いつの間にか八雲は眠ってしまった。

702 名前:A LOVE may develop into all kinds of illness. :03/12/23 21:35 ID:dacLqGqP

 翌日、結局八雲は播磨に会えなかった。
 どうやら、本当に風邪を引いてしまったらしい。
 一日中家で眠ってい過ごした。
 しかし、よかったような、残念なような…。

 お昼を過ぎたころ、姉が帰ってきた。

「八雲〜お見舞いの人が来たよ〜」
「八雲、大丈夫?」
「あ、サラ…」

 サラが手土産、おそらく果物を持ってやってきた。
 そして、意味深な顔で八雲を見る。

「…?」
「それからねーふふふ…」
「そうそう、八雲がビックリする人が来てるんだよ?」

 誰だろう、そう思った八雲の視界にその男性(ひと)が写った。
 背は高く、ヒゲを生やし、サングラスをかけた男性(ひと)が―――。

 八雲の機能が、再び停止した。


 fin

703 名前:369で411で519、たまに579 :03/12/23 21:36 ID:dacLqGqP
 えーと、ごめんなさい、ちょっと文が雑&粗いです。
 今回はプロットナシで書き上げたのですが…。
 まあ、たまにはこういふうに妄想と欲望に任した物もたまには書かないと。
 恥ずかしくて読み返せませんけど(えー)

704 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 21:37 ID:5F6+LIW7
リアルタイムでキター!
最高でっす!!
やばい、もへ殺されるかと思った。
しかしハリマウラヤマシスギルゾ、そしてナニヲミタンダヤクm

705 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 21:39 ID:PPCtgGsC
GJ
そろそろ次スレ移行せんで大丈夫かな?

706 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 21:39 ID:6ffdA8P/
なんなんだこのスレ……神とかそういう次元じゃないぞ。
光臨しすぎ。こんなシャーマニックなスレは初めてだ。

プロット無しでこの出来栄え……間違いねェ、あんたは現人神(あらひとかみ)だよ!!


そんな俺はせいぜい九十九神。

707 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 21:45 ID:3ts4s53w
God Job!!
 
生殺しな作品が多い中満足できましたYO!

708 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 22:05 ID:RaSofJXk
おまえら、よくここまで妄想できるな。でも、それを全部読んでしまう俺も馬鹿だ。

じゃ、卒論書きに戻るよ。卒業できなかったら中退、これほどわかりやすい構図もないしな。

709 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 22:10 ID:9G3ch9Bb
ネ申キタァー⊂(。A。⊂⌒`つー
マジで萌え死ぬ・・・永久保存ですな

710 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 22:13 ID:3AdCVYXr
ttp://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1071374536/
<再三言っているが、こちらで。せっかく立てられたスレは
有効活用しなければ。



711 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 22:24 ID:fs6DY+vn
グッジョブ!

次スレの心配はマダ早いべ

712 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 22:39 ID:imzEuWDL
素晴らしすぎて、一歩も動けません。

713 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 22:40 ID:IjaY+70h
GJ!
キャラの特徴が上手くでてるねーイイヨイイヨー

714 名前:無能作者 :03/12/23 22:54 ID:bUORUVVU
そろそろ次スレの予感?

715 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 23:07 ID:fs6DY+vn
なんで次スレの話題が出てるんだ?
500kb超えたら書き込めなくなるんだろ?
今259kbだぞ

716 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 23:11 ID:UPKSHIPy
>>670-702
GJ!
これだけのものが書けるなら現国は問題無しですな(w
ただ敢えて言わせてもらえば誤字脱字が多いのが気になる。本文がいい出来なだけになおさら。
投下する前に見直しをすればなお良しだと思いますよ。ガンガレ受験生!

717 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 23:32 ID:/etJRIGR
ああ、七転八倒ってこういう状態なんだ・・・萌え死。⊂⌒〜⊃*。Д。)-з

718 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 23:40 ID:elRhLwNE
絵板にもさっそく!
ここ最近のつながりはすごいですね。

719 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/23 23:45 ID:CqFemu2b
なんかスクランのムーブメントが来てるのを感じるなあ

720 名前:無能作者 :03/12/24 00:05 ID:aO5/3f6U
>>659の続き。
愛理は迷っていた。偶発的に校門で播磨と刑部先生を見つけたものの、このままつけていっていいのか・・・。
もしつけていって、そこで結果を知ることが怖かったのかもしれない・・・。しかし好奇心が先立つのも止められなかった・・・。
「ねえ、愛理ちゃん。どうしてそんなこわばった顔してるの〜?」
愛理はここに来てもう一つの不安に気付いた。この追跡調査の相方が、
学校でも3本の指にでも入りそうな塚本天満であるということに・・・。
もし天満がドジを踏んで播磨たちに追跡してたことがばれた場合なんとなく対面が悪い。
「天満、あなた突拍子もないことしないでよ。」


721 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 00:06 ID:3jxKuCs3
>>703
長いの乙〜。
作者が照れながら書いてる様子が伝わってきて、
なんかかわいいw


722 名前:無能作者 :03/12/24 00:06 ID:aO5/3f6U
「え〜?私そんなこといわれなくても変なことしないって、うわっ・・・ぷ・・・。」
言ってる傍からずっこげて水溜りにとびこみそうになった。
「もう・・・言ってる傍から・・・。だいじょうぶ?。」
「あっ、愛理ちゃん、前前!」

播磨と刑部先生がスーパーに入っていったようだ。
「愛理ちゃん。早くいこう!」

播磨達は今晩の夕食の材料でも買い込みに来たのかいろんなコーナーを回っている。
そんな中・・・
「愛理ちゃーん、これおいしそ〜。ほら試食だってさ!食べよ〜よ。」
「天満。私たち何してるかわかってるわよね。」
「ぶ〜・・・そんな怖い顔でにらまなくて・・・ふぎゅ・・・」


723 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 00:07 ID:RdhPAAWw
奈良くんのSSないの?絶対報われない奈良くんの。

724 名前:無能作者 :03/12/24 00:07 ID:aO5/3f6U
天満の弁解もそこそこに、愛理は天満の持ってた試食品を
全部口につっこんだ。

一方播磨達は・・・。
「ん?今マイハニーの声が聞こえた気が?」
「何をバカなことを言っている。そうそう、ボディーソープ
が切れてたから薬局のコーナーにいくぞ。」
「ちっ、石鹸で十分だ。石鹸で。」

「う〜・・・愛理ちゃん・・・何するの〜・・・。」
「ヒゲに見つかりそうだったのよ。もう。あっ、薬局
のコーナーにいくわよ。」
「はあ・・・もう少し食べたかったなあ・・・。(ブツブツ)」
「もう、じゃあそこで食べてなさい。ただチョコマカ移動しちゃだめよ。」


725 名前:無能作者 :03/12/24 00:07 ID:aO5/3f6U
「は〜い。」
天満をひとまず試食コーナーに置いて愛理は播磨達を追った。

「何を買ったのかしら???えっと、この一帯は、
ボディーソープに・・・、えっと、
こっちのほうは・・・・・・・・・・・・。」

思わず愛理は黙ってしまった。播磨たちが物色してたとおぼしき
避妊具があったからだ。

「うそでしょ・・・そこまで進んでるの・・・???」

「おい、イトコ。早くしろよ。」
「君は本当に口の聞き方のわからんやつだな。」
こんな会話をしているなか、あるカップルが仲よさげに
歩いていた。


726 名前:無能作者 :03/12/24 00:08 ID:aO5/3f6U
「ほう、今のカップルの女の子のほうは、君の思い人
の塚本君に似ていたな。」
「けっ、天満ちゃんはもっとかわいってもんだ。」
「まあ君も、彼女ができたならしっかり付き合いたまえ。
若くしてパパになったりしないようにな。」と言ってイトコ
は避妊具を手にとる。
「バカいうな。おれは・・・(ボソボソ)。」
「まったく君は小学生かね。」
外見は怖い播磨だが、そういう方面では全然子供だった。

愛理は阻害感を感じていた。自分よりお子様だと思ってい
た天満は烏丸と大人の関係(これも勘違いなのだが)にあり、
播磨も自分より大人な関係にある(これも勘違い)。


727 名前:無能作者 :03/12/24 00:09 ID:aO5/3f6U
自分は学校ではたしかに男子に人気があり、寄ってくる奴も
多いが、本当に好きな人もなく、本当は自分が一番お子様なの
ではないのかと思ってしまったのだ。

「ねえ、愛理ちゃん、どうしたの???播磨君たち早くしない
と見失っちゃうよ〜。」
「・・・あ、うん、そうね。」



728 名前:無能作者 :03/12/24 00:09 ID:aO5/3f6U
雨の道をしばらく歩き、愛理はついに言おうと決心した。
「天満、もうこんなことやめない?」
「えっ?なんで〜?ここまで来てどうして???」
「よくよく思うとあんなヒゲのために貴重なテスト前の日をムダにするのももったいないじゃない。また今度でもじっくり調べればいいし。」
「う〜ん・・・愛理ちゃんがそういうなら、そうなのかもね。うんっ!んじゃ、帰るね。あっ、・・・でも傘が・・・。」
「私の傘を貸してあげるわ。」
「でも愛理ちゃんは・・・。」
「私の家、ここから近いから。」
「う〜ん・・・わかったよ〜。アリガトウ。んじゃあ、また明日ね〜。」



729 名前:無能作者 :03/12/24 00:10 ID:aO5/3f6U
愛理にはどうしてもこれ以上天満と一緒にいる勇気がなかった。
お子様だと思ってた天満、そこにはすこし優越感もあったのかも
しれない。そういった負の感情が彼女を覆ってしまった。そして、
なぜか播磨達の秘密を自分1人で知りたいと思ってしまっていた。
たとえ雨に濡れても・・・。

何分くらい歩いただろうか・・・雨もつよくなってきた。寒い。
冷たい。しかし愛理は追跡をやめれなかった。

「・・・はあ・・・なんで私こんなことしてるんだろ・・・
なんか寒気もしてきたし・・・。でも今ここでやめたらそれ
こそバカみたいだし・・・。あっ、あそこの家なのかしら、
・・・どうしよう・・・。」


730 名前:無能作者 :03/12/24 00:11 ID:aO5/3f6U
愛理は迷った。直接ここで播磨たちにどういう関係かを問い
詰めるべきか、それとも黙って帰るか・・・。しかし彼女には
ここまで来て黙って帰ることはできなかった。

「先生っ!」
気付くと彼女は叫んでしまった。

「ん?君は・・・沢近君かな?」
「げっ・・・。(あのお嬢かよっ!なにしてんだ。)」
「先生と、播磨君は・・・」

ここまで言ったところで彼女の意識は途切れた・・・。


731 名前:無能作者 :03/12/24 00:12 ID:aO5/3f6U
ここまで言ったところで彼女の意識は途切れた・・・。

どれくらいたったのかはわからない・・・。気付くと彼女は
布団で寝ていた。少なくとも自分の家ではない。自分の家は
畳じゃないし、ベットだからだ。そして近くには播磨がいた。

「・・・。」
「おう、起きたのか。」
「・・・。」
「なんでそんなこわい顔してんだよ。突然ぶったおれ
やがって。」
「倒れたくて倒れたんじゃないわよっ!!!」
気付くと愛理は泣いていた。なぜ涙がでるかわからない。そして播磨もとまどってしまった。
お嬢でわがままな気の強い女だと思ってたぶん余計に驚いた。
「・・・わりい・・・って・・・!なんで俺が謝んなきゃいけねーんだ。」


732 名前:無能作者 :03/12/24 00:13 ID:aO5/3f6U
「あんた達が悪いのよ。」
「あぁ?なんだよ、あんた達って?」
「あんた、刑部先生と楽しそうに会話して帰ってたじゃない。
だからいったいなんなのかと思っただけよ!」

ガチャ。いい合いをしているとイトコが帰ってきた。

「おっ、お目覚めかね。具合はどうかな?」
「・・・」
「どうしたのかね。彼女は。」
「さあな。ご機嫌斜めらしい。」
「ああ、それはそうと、熱が酷いようだったから一応薬を
買ってきた。見たところ肺炎の疑いはなさそうだし、少し安静
にしてれば直るだろう、そうそう、このバカが何かしなかった
かね。まったく出来の悪い従兄弟で困っているのだ。」
「おいっ!出来が悪いとはなんだ、出来が悪いとは。」

その瞬間思わず愛理は戸惑ってしまった。
(えっ?従兄弟???????????????????)


733 名前:無能作者 :03/12/24 00:14 ID:aO5/3f6U
「先生たちは従兄弟の関係なんですか???」
「ん?ああ、そうだが。まあ、できればこのことは学校
では内緒にしといてほしいんだが。親戚が教師ということ
が分かると彼もやりずらいだろうしな。」
「ふんっ。おめーみてーながさつな従兄弟が教師なんて
わら、ふげっ・・・」
空気銃が炸裂した。(どこからだしたのだろうか・・・。)
「はははははははははは。。。」
愛理は思わず笑ってしまった。不思議な気持ちだった。
そして自分の勘違いの酷さに自嘲してしまった。(「天満のこと
笑えないわね・・・。(苦笑)」)
まあ愛理の笑いに播磨もイトコもわけがわからなくかしげ
てしまっていたが、そんなこと今の愛理にはどうでもよかった。
「まあ、沢近君。今すぐ帰るのには身体に悪いだろうから
少し休んでいったらどうかね?」
「いえ、帰ります。迎いに来てもらうので。すいません。
迷惑かけちゃって。あの・・・ここの住所教えてもらえますか?」
「ん?そうかね。えっと(住所)だ。」


734 名前:無能作者 :03/12/24 00:15 ID:aO5/3f6U
播磨がトイレに行っている間にイトコが話しかけてきた。
「彼が随分心配していたが、もう大丈夫かね?」
「えっ・・・?播磨君が?」
「ああ、あんな心配そうにしているのは久しぶりだったな。」
「・・・。」
愛理は少しうれしかった。なんだかわからないこのホワイト
アウトしたような気持ちの霧が晴れるようだった。

そして迎えを門でまつことにした。雨は小雨になっていた。
そして入り口まで播磨が見送りにでてきた。(というかイトコ
にむりやりだされた。)
「・・・。」
「・・・。」
「なんかいいなさいよ。」
「なんか。」
「ふざけないでよっ!」
「ふざけてねーよ。なんか言えって言うから
いっただけだ。」
「・・・まあいいわ・・・。それより迷惑か
けたわね・・・。」
「別にいいさ。病なんて突然くるもんだしな。」


735 名前:無能作者 :03/12/24 00:17 ID:aO5/3f6U
「・・・。」
「・・・。」
「前会ったときもこんな雨の日だったわね・・・。」
「?あ〜?そうだな。(よくおぼえてんなこいつ。)」

そして車がきた。
「お嬢様。お迎えにあがりました。」
「ええ、ありがとう。」
「んじゃな。」

愛理は思わず叫んだ。
「カレーと肉じゃがどっちが好き?!!!」
「カレー。」

今度こそカレーを作ろう。彼がだれを好きでもかまわない。
少なくとも自分が彼を好きならば・・・。そう、これは
冬のある一日の出来事
fin


736 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 00:17 ID:ie5YL12E
   n                n
 (ヨ )              ( E)
 / |    _、_     _、_    | ヽ
 \ \/( ,_ノ` )/( <_,` )ヽ/ / good job!!
   \(uu     /     uu)/
    |      ∧     /
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( ,_ノ` )  `/ /ヽ  ( <_,` )
(    ̄ ̄___/ ヽ___ ̄ ̄   )
 \   丶     /     /    good job!!
  _n                 n_
 ( l    _、_     _、_    l )  good job!!
  \ \ ( <_,` ) ( ,_ノ` )  / /
   ヽ___ ̄ ̄  )  (   ̄ ̄___/
     /   /    \   \
  _n
 ( l    _、_                _、_
  \ \ ( <_,` )           ( ,_ノ` )      n
   ヽ___ ̄ ̄  )   good job!!    ̄     \    ( E) good job!!
     /    /            フ     /ヽ ヽ_//


737 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 00:17 ID:JpYwDyto
GJ!

738 名前:無能作者 :03/12/24 00:18 ID:aO5/3f6U
epi@
天満「えう〜・・・。愛理ちゃんにノート返しに
いったのに返さなかったよ・・・。」
八雲「姉さん・・・」

epiA
愛理「・・・」
執事「お嬢様。体調はいかがですかな?」
愛理「死にそう・・・」
そして愛理は期末試験をうけれず、播磨と(天満と)
追試をうけることになるのはまた別のお話。


739 名前:無能作者 :03/12/24 00:19 ID:aO5/3f6U
えっと・・・とりあいずこれで完結って感じです・・・。なんか途中からキャラの特性が
おかしくなったりしてるかもしれませんが許してください・・・素人仕事ということで・・・。

740 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 00:19 ID:ie5YL12E
>>738
追試を播磨と受けることを知り一緒に勉強会という展開をキボンヌ

741 名前:369で411で519、たまに579 :03/12/24 00:27 ID:j1FR774T
>>716
ぐわ、痛いところを。次回から心がけます。
現国というか、国語が得意です。
…もしかして、高校生と思われてるのかでせうか?

742 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 00:28 ID:LdR3JiWb
>>740
アレか

沢近←(勉強を教わりに)─天満←(例の如くストーキング)─播磨

って流れで
三人揃って勉強会という異様な雰囲気に

743 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 00:28 ID:ZhaVzTm4
もうあれだ、おれは旗派で一生を過ごすよ。

744 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 00:29 ID:ie5YL12E
>>742
さては喪前は俺だな

745 名前:無能作者 :03/12/24 00:29 ID:aO5/3f6U
とりあいず3人で勉強会は作りたいけどどうやって八雲をだすかが難しくて困ってます・・・。

746 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 00:33 ID:LdR3JiWb
>>745
勉強会会場が塚本家というのが手っ取り早い方法となるが
「教科書やらノートやら文房具やらを忘れた天満。それをとどけにきた八雲」
というのなら、場所がどこでも八雲が出せそうですな

747 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 00:34 ID:ghzse6CZ
>>741
……ちょっと待て。
余計な詮索をするようだが、現代国語じゃなくて国語てことは、貴公まさか忠額性か?
いや、別に他意はないが、作品の出来に舌を巻いていただけに驚嘆しきりだ。
見習いたい。マジ見習いたい。今後も頑張ってくれ。

748 名前:無能作者 :03/12/24 00:36 ID:aO5/3f6U
>>741さん
すごいですな・・・そんだけの文章力にはほんと感嘆です。

749 名前:483で498で594で668 :03/12/24 00:50 ID:N3k+V84Z
>>669
さんくー。と言ったあとで741を見て絶句。
オジサンもっと頑張らなきゃと思いました。
そして作品の方はGJ!

750 名前:486 :03/12/24 01:21 ID:0iL6gpvq
>無能作者さん

ちと無粋な突っ込みなんですが、三点リーダ「…」が多すぎるような気がする。
句読点、ちょっとした地の文や台詞回しを変えるとベターかも。

ttp://www.asahi-net.or.jp/~mi9t-mttn/cstory/index.html

こっち参照にしてくれ。
視点の固定や、違和感のないセリフ、作文のルールとか俺も書けてないんだけどな_no
そんな未熟な俺なんで、逆に突っ込みも待ってたりする。

751 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 01:22 ID:3jxKuCs3
>>741はおさげの似合う小学5年生だったんだよ!

752 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 01:22 ID:/xtVvzDU
>>748 GJ!

いやいや、貴殿もすばらしいですぞ。
とゆうか、SSを投稿される方には感謝感謝です。
ところで、ずうずうしいのだが自分も勉強会キボン…
沢知と八雲の女の戦いハァハァ

753 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 01:29 ID:/xtVvzDU
>>752
×沢知
○沢近

754 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 02:06 ID:87vlVB83
いやいや、>>741は今流行りの中二の美少女なん(ry

755 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 02:37 ID:o3H84BAx
「萌え」つーのは年経たオタが持ち合わせる感情だと思っていたんだが
若年層でも持っている人が出てきて驚嘆。
慣習の伝播なのか獲得形質の遺伝なのか進化の一方向なんでしょうねー

要約するとGJ!神様!

みんなの「萌え」をオラに分けてくれ!(萌気玉)





756 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:21 ID:y5HqQLSi
勢いで書いちゃった。
---
「でさ、あたしは別にそういうこと期待してたわけじゃなかったんだけどさ」
「……」
「うそ、ホントはちょっとだけ期待してたかも。あたしだってあの人に子ど
も扱いされたくなかったから、慣れない化粧だってしたよ。ま、結局ぜーんぶ
ムダだったんだけどね」
 自嘲を含んだ言葉を一気に吐きだして、少しだけ沈黙する。
 こんなときどういう言葉をかけてやればいいか、わたしには思いつくことが
できなかった。

“「大丈夫だよ」と彼女は言った”

「ホラ、愛しいあの人に振られちゃった可哀想な美琴さんを慰めてよ」
 空元気とも取れるような台詞で彼女はわたしを強引に家へと誘った。
 普段はあまり通ることのない道を抜け、目的地へ向かう道すがら、休む間も
なく喋る彼女は、やっぱりどこか違って見えた。
 夕闇が下りた路地、皓々とした月明かり。気持ちの良い夜道のハズなのに、
彼女の言葉に相づちを打つだけのわたしには、どうにも居心地の悪い空間に思
えた。
 彼女の話は今のことから過去の思い出話までとりとめもなく続き、ウソかホ
ントか分からないような昔話にときおり苦笑したりした。
 だって、あのバカ真面目な委員長が昔はいじめられっ子だったなんて想像で
きると思う? 彼女も神妙な顔でその辺は思い出そうとしていたけど、ことの
詳細までは語ってくれなかった。
「ミコちゃんて可愛いのに、あたしもそう呼んであげようか?」
「バカ、今さらそんな恥ずかしい呼び方しないでよ」
「そう? 高野さんとかがそう呼ぶ所を想像すると結構……」
「やめてよ、ホントにそう呼ばれそうだから」
 何かあるのか心底イヤそうな表情できっぱり否定。そんな彼女の素の表情が
おかしくて、わたしは思わず笑ってしまった。彼女も表情が和らいで苦笑を浮
かべる。
 少しだけ。ほんの短い時間だけど。
 普段のわたし達に戻れたような気がした。


757 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:22 ID:y5HqQLSi
「ま、アンタの所に比べれば狭くて汚いところかもしれないけど、上がっちゃ
って」
 彼女の言葉が謙遜ということくらいは見てすぐに分かった。入り口から見え
た内装は、言うほど汚れてもいないし、しっかりと掃除も行き届いているよう
に見える。
「……おじゃまします」
 時間が時間なだけに少しだけ逡巡したわたしの心を見透かしたように彼女が
言う。
「あ〜、気にしないでいいよ、親父もお袋もその辺テキトーだから」
 年ごろの娘を持つ両親とは思えない放任ぶりにわたしは軽い目眩を覚える。
わたしの知る親娘像とは著しくかけ離れた現実がここにある。
 でも、中身と外見の果てしない断絶を感じさせるような彼女の言葉遣いの、
原因の一端を見たような気がした。見てくれはいいのに、そういう部分で損を
してるとわたしは思うのに。それとも、そういうのが好きな人って結構いるの
かしら?
「ささ、こんなとこで突っ立ってないで上がった上がった!」
 強引に押し切られるようにわたしは彼女の家に上がり込んでしまった。普段
では絶対しないような行動。やっぱり今日のわたしはどうかしてる。
「ただいまーっ! と」
「ちょ……っ」
「おう、美琴、遅いお帰りだな。てっきり朝帰りかと思ったぜ」
「ば、何言ってんだよ、バカ親父。誤解されるようなこと言うな」
「あ? ったく、ちったぁそういう甲斐性でも見せてみろよ……」
「ああ、もう! 友達来てるんだから変なこと言うな。部屋に行くけど覗く
なよ!」
「へいへい」
 突然の出来事に、わたしはなすがまま。強引に会話を打ち切った彼女は、わ
たしの手を引いて部屋へ連れ込んでしまった。
 バツの悪そうな表情で、
「悪ぃね。親父酒飲むといつもああでさ。あたしも嫌いじゃないけど今日は
ちょっと、ね……」
「あ……」
「ゴメンゴメン、適当に座っちゃって」
 クッションを投げてよこし、彼女は部屋を出て行く。


758 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:23 ID:y5HqQLSi
 まったく、せわしないのは外でも中でも、ということなのね。
 考えてみれば彼女の部屋は初めて。しげしげと見回すのも失礼な気もするが、
やはり好奇心が勝ってしまう。
 彼女らしい比較的シンプルな、でも清潔感のあるインテリア。女の子らしさ
はあまり感じないのはやっぱり彼女の性格なんだろうと思う。わたしだったら
こうするのに、とか勝手な模様替えを想像して楽しむ。
 でも、まぁ、わたしの部屋に彼女がいたらたぶん今のわたしと同じような気
分になるんだろうな。そんな空想が可笑しくて、少しだけ笑う。
「お待たせっ……と」
 おもむろに開けられたドアの音に驚きつつ声の主を見る。
「それは?」
「やっぱこういうときは景気づけが必要でしょ? 親父から拝借してきたさ」
「もう」
「へへへ、でもアンタだって結構イける口だろ? それともビールよりやっぱ
ワインとか洋酒の方が好みだった? あいにくだけどウチにはそんなシャレた
もんないから、我慢してよね」
「しょうがないわね。それで我慢してあげるわよ」
 売り言葉に買い言葉よね。彼女と話してると言葉遣いまでうつされてしまい
そうになる。荒い感じの言葉遣い。決して嫌いじゃないけど、あんな言葉遣い
はわたしにはできそうもないなぁ。それは彼女に似合う、彼女らしさのひとつ
だと思うし。
 つま先で自分のクッションをずらして、向かい合いで腰を下ろした彼女から
コップを受け取る。
「ちょっと、そういうのは女としてどうかと思うわよ?」
「あ? いいだろ、家ん中だし、今さらアンタ相手に気を遣うのも面倒だし」
「ま、いいけどね、アナタの好きにしなさいな」
「へいへい。っと、ホラ、注いであげるからコップくらいちゃんと出しなさ
いよ。全く気が利かないったらありゃしないんだから、アンタは」
「余計なお世話よ。それにどうでもいいけど女二人で酒盛りってやっぱり不
健康よね。これっきりにしたいものだわ」
「あ〜、そうですか。アンタはそうでしょうけど、でもどうせなんだから盛
り上がってよ。せっかくいろいろ話聞いてもらおうと思ってんだから、そんな
んじゃその気にならないって」
「誘ったのはアナタでしょう」
「ぐだぐだ言わずに飲め!」
「はい」
 ぴしゃり。続けようとした言葉を遮る彼女の勢いに押され、即答してしまう。
「うむ、いい返事です。あたしは嬉しいよー」
「わざとらしい芝居はいいってば。じゃ、乾杯でもする?」
「うんうん、やっぱそれがないとねー」
「ったく、なんでわたし、ついて来ちゃったんだろ……」
「はい、黙れ。……それじゃ」
 こほん、とわざとらしい咳払い。
「私(わたくし)、周防美琴の失恋を悼んで」
「……」
「かんぱーい!」
 カン、とグラスが高く冷たい音を響かす。
 久しぶりに味わったビールは、思っていたより苦かった。

759 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:24 ID:y5HqQLSi
「……ちょっと、さすがに飲み過ぎなんじゃないの? いい加減にしておいた
方が」
「うるさい! ……今日くらいはヤケ酒ぐらい飲んでもいいでしょ?」
「美琴」
「いいの、今日はいいんだってば」
「あ、……ごめんなさい」
「なんでアンタが謝るのよ! 久しぶりにあの人に会えるって、あたしが勝
手に舞い上がってただけなんだから、笑ってくれたっていいのよ? そりゃア
ンタみたいに器用に恋愛できればって思うよ。でもさ、あたしにゃこれで精一
杯だったんだからしょうがないでしょ」
「起用なんかじゃ……」
「ウソ言わないでよ、デートに誘われたって断ることしかできないあたしか
ら見ればずっと器用じゃない。あたしなんて、どうせ一緒に遊びに行ったって
つまらないんだろうけどさ」
 美琴は止まらない。
 あたしには止められない。
「今日久しぶりにあってよく分かったんだ。結局あの人にとってあたしなん
て単なる生徒だったんだって。家庭教師と生徒の間柄でしかなかったんだよ」
 知らなかった彼女の想い人のことを。
 しらふなら決して話すことはなかっただろう彼女の心の内を。
 わたしは聞こうとしている。
「キレイな人だったよ、先輩の彼女。考えてみたら、あたしなんて先輩の好
みのタイプとか全然知らなかったんだよね。多分先輩だって、そうなんだと思
う。先輩にあたしのこと知ってもらおうって何かしたかなんて思い出せないん
だからさ」
「もう、いいわよ……」
「よくなんてないってば! 結局あたしの好きって気持ちって何だったんだろ
? 好きってどういうコトなんだろ? 憧れだけじゃダメなの? 会いたいっ
て気持ちだけじゃダメなの? 同じ学校に通いたいってだけじゃダメなの? 
先輩のこともっと知ってれば違う未来もあったのかな? あたしのこと、もっ
と知ってくれてたら、先輩はあたしを選んでくれたのかな? ねぇ、教えてよ
!」

760 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:25 ID:y5HqQLSi
「わたしには分からないわよ、そんなこと」
「教えてってば!」
「美琴、落ち着いて。やっぱり飲み過ぎよ。いつものアナタらしくないわよ
?」
「それって、どんなあたしよ!? そんなことではぐらかさないで教えてよ。
あたしが先輩を好きになるコトってそんなに無茶なことだったの?」
「……分からないわよ」
「何よ! 人のことさんざんからかっておいて……。結局アンタだって何も
知らないんじゃない。何が場数を踏めばだよ……。何が本命だよ……っ。沢近
の方こそホントのあたしも知らないで好き勝手なこと言ってたってコトだろ!
? 教えてよ、アンタ、経験豊富なんでしょ!? それともこんな子どもの恋
愛ごっこには興味ないってコト!?」
「違うっ」
「違わないっ!」
「お願い、もう、止めてよ……。わたしには美琴の気持ちなんて分からない
んだから」
「いいから答えてよっ。あたしはあの人を好きになっちゃいけなかったの!
?」
「そんなのわたしが知るわけないでしょ!!」
「……!」
 知らなかった。
 こんな美琴をわたしは今まで知らなかったんだ。
 こんな激情をわたしにぶつけるくらい、好きな人がいたのに、その想いさえ
伝えることができなかったんだ。
 わたしなんかに分かるわけない。
 美琴の心の痛みを。
 わたしなんかが答えちゃいけない。
 美琴の問いに。

 胸の奥が痛い。痛い。痛い。痛い。どうして? わたしがどうしてこんな痛
みを感じるの?

 ──本当の、恋なんて、知らないのに──


761 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:25 ID:y5HqQLSi
「そんなの、わたしに答えられるわけないじゃない! 大好きな人がいるだ
けいいじゃない! わたしの方こそアナタが羨ましいわよ。なんでそんなに好
きになれるの? そんな素敵な恋なんて、わたし、知らない。全部捧げたくな
るくらい好きになったってコトなんでしょ? 男の子と遊んでたってそんな気
持ちになるわけないじゃない!? デートすることと、好きになるコトってイ
コールじゃないでしょ!?」
 格好悪い。
 なんでこんなコト言ってるんだろ、わたしは。
 美琴のこと笑えないわよ。
 こんなの、それこそ子どもの恋愛だもの。
 でも、許せない。
 こんないいコを振ったその人が。
 一度失恋したくらいで取り乱す美琴が。
 何より。
 今の美琴を羨ましく思っているわたし自身が。
 ホントの恋すら知らずに恋を語っていたいた、わたし自身が。
「もう、いいでしょ。わたしだって偉そうなこと言えないんだから」
「沢近、だってアンタ」
「そうよ、男の子と遊びに行くなんて普通だもの。別にお付き合いなんてし
てなくてもできるでしょ。ただの友達だもん。勘違いされてもわたしには関係
ないコトよ」
 ゼッタイ酔ってる。わたしはこんなコト話したいわけじゃない。
 美琴の話を聞いてあげなきゃなのに、何を言ってるの?
「一回や二回遊びに行ったくらいで、簡単に言えるのが好きって言葉なの?
 アナタが好きになった先輩も一目惚れってヤツなの? そんなの信じられな
いわ。見てくれだけで好きって言われても全然嬉しくないもの」
「違う……あたしは違うよ」
「だから、わたしには答えなんて分からない。アナタの話を聞くくらいしか
わたしにはできないのよ」
 ごめんなさい。と何に対してか分からない謝罪が口を突く。ろれつも怪しい
のに一気に喋るものじゃない。続けて大きく息を吸い込んだ。


762 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:33 ID:y5HqQLSi
「ふ……」
「?」
「あ、ははははは……」
「な、何よ?」
「あははははははは」
「美琴、壊れちゃったの?」
「あははは。なんだよ、もしかして、アンタの方がよっぽど子どもなんじゃ
ねーか? 何? あたし、すげー人選ミス? これだったら塚本の方がよっぽ
どマシだったかも」
 さすがにあのコと比べられてあたしが選ばれないのはシャクに障る。
「な、誘ったのはアナタでしょ?」
「あー、もう、いい。いーって、別にアンタが悪いわけじゃねーよな?」
 夜中だというのに声を上げて笑い転げるような美琴に、さすがにむっとなる。
「い、いいじゃないっ。別に。恋なんてこれからいくらでもできるでしょ!
?」
「アンタが言っても説得力ないよ、さ・わ・ち・かさん?」
 こうも鮮やかな形勢逆転なんてない。
「う、うるさいわねっ。わたしのことなんてほっといてよ! それよりアナ
タよ! その人の彼女のこと教えなさいよっ」
「……ど、どうでもいいだろ、もうあたしには関係ないんだから」
「そんなことないでしょ? アナタの方が魅力的だったらまだチャンスはある
はずよ? 同じ学校で会う機会も増えれば可能性はゼロじゃないでしょ?」
「別にそんなつもりじゃ」
「いいから、さっさと話しなさい」
「別に。きれーなひとだったよ」
「それだけ?」
「うるせーな。あのときは頭ン中真っ白でそれどころじゃなかったんだから」
「そうなの?」
「あぁ、あんなにショック受けるもんなんだなー。知らなかった。……でも、
さ。やっぱ自然な感じだったかな。先輩もずいぶんと雰囲気変わってたけど、
あの人と上手くいってるんだって分かっちゃった。そんなんばっかり分かって
もしょうがないのにね」
 笑顔で、笑い飛ばすように言う美琴。
 なんで、こんな笑顔ができるんだろう。

763 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:35 ID:y5HqQLSi
「ホント、アナタを振る方がバカなのよ」
「もういいって」
「良くないわよ。アナタを振ったことを後悔させてやるくらいの気持ちじゃ
なくてどうするのよ」
「アンタが言うな」
「あら、言うだけならいいでしょ?」
「お子様の意見なんて参考にならねーよ」
「い、いいのっ。わたしだってそのうち……」
「ふーん、アテはあるんだ?」
 にやり、と不適な笑みで迫る美琴。
「え?」
 唐突に、ヤなヤツの顔が浮かぶ。
 え? なんで?
「図星って顔してまぁ……」
「な、何よ!?」
 え?
 頭に血が上る。
 別にアイツなんて関係ないじゃない? なんであたしがうろたえなきゃいけ
 ないのよ?
「そ、そんなのないわよっ」
 わたしは認めない。あんなヤツ全然好みじゃないんだから。
 わたしに似合う男性なんだから、もっと紳士で誠実で優しくて……。
 あー、もう、わたしってばいったい誰と比べてるのよ!?
「ふーん、ま、そういうことにしておいてやるよ」
 ぽんぽんと両肩に手を置いて首を振る彼女。
「なんだかすごくバカにしてない?」
「そんなことねーよ。ま、そのときが来たら応援するから、教えろよ、な?」
「ゼッタイ、イヤ」
 そう、アイツとなんてゼッタイ、イヤ。

 イヤなんだから……。





764 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:36 ID:y5HqQLSi
「なー、別に泊まってったっていいんだぜ?」
 何が照れくさいのか、彼女らしくない遠回しな言い方。「今日は泊まってけ
よ、めんどくせーだろ」くらいは言いそうなのに。
「ありがとう。でも今日は帰るわ」
 これ以上追求されると、多分いろいろ困ることのなりそうだし。
「じゃ、途中まで送ってくわ」
「あら、それも結構よ? それにエスコートしていただくなら素敵な男性と相
場は決まっていなくて?」
「そんなヤツいねーくせに?」
「何ですって?」
「いえいえ、なんでもありませんよ?」
 くすりと、笑う。
「ね、美琴?」
「ん?」
「大丈夫?」
 何が、とは訊かない。
 陰のない笑顔が見れた。それだけできっと、
「ん、大丈夫大丈夫。悪いね、夜遅くまで付き合わせちゃってさ」
 その言葉も信じられると思うから。
「そう、それなら、そろそろ行くわね。お休みなさい」
「あー、お休み。二日酔いにならねーようにな」
「その言葉そっくりお返しするわ」
「はいはいっと」
 家に戻ろうとする彼女は、最後に振り返って一言。
「あー、沢近」
「何?」
「お前の方こそ、大丈夫か?」
 そんなことは分からない。
 わたしはまだスタートラインにすら立っていないかもしれないんだから。
 それでも、先を行く彼女の背中は見失いたくないから。
 今日みたいなことは、これからもきっとあると思うから。
 覚悟を決めよう。
 そう、きっと。
「大丈夫よ」
 笑顔で、言えたと思う。

「じゃ、次に飲むのはアンタの失恋慰め会ってことで」
「それはお断り」

765 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:37 ID:y5HqQLSi
 月が傾き始めるような時間に。
 わたしは一人で道を行く。
 お酒のせいか頬が熱い。そう、きっとこんな高揚した気持ちはお酒のせい。
 素敵な恋ができればいいと思う。
 辛い失恋は味わいたくないけど、それはそれでいいかもしれないと思った。
 そう、まずは恋を始めよう。
 素敵なヒトと素敵な恋を。
「でもね……」
 さっきから脳裏を離れないアイツの仏頂面に言ってやる。
「アンタとなんかじゃないんだからね!」
 宣戦布告を叩き付ける。
 わたしのスタートラインは、もう少し先にあるようだ。

−了−


766 名前:756-765 :03/12/24 03:39 ID:y5HqQLSi
 4年ぶりにSS書きたいと思って一気に書きました。
 まだキャラが上手く動いてくれないので苦労しきり。

 萌え度が低くてゴメン。
 こういうのしか書けないんだよう。
 

767 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:39 ID:nwmz/+Cd
神、降臨しすぎ
あなた達は俺を萌え殺す気ですか

768 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 03:47 ID:yxXhQIAK
GJ!
どんどん萌気が集まってますね!

769 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 05:12 ID:rUhR+JFL
GJ!
……この世はこんなに神が満ち溢れていたんだ!

770 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 06:29 ID:hP4+yCTQ
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! グッジョブ! 激しく萌えます(´д`;)ハァハァ
やっぱり沢近と美コちんの友情はイイなぁ・・・
2人とも幸せになって( ゚д゚)ホスィ

771 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 12:06 ID:/V+A6vot
書き込めれるか…?

772 名前:PARLOR, BEDROOM AND BATH :03/12/24 12:07 ID:/V+A6vot
「もー、終わらないよ〜。美琴ちゃん、どうしてこうなっちゃったの〜……」
『あんたが私の注意聞いてないからだろぉ?』
 受話器から呆れ果てた声が返ってくる。
 塚本天満は机に向かって、必死になってペンを動かしていた。頬と肩で受話器を
挟んでいる。
「…そう、だけど。でも〜」
 涙声で訴える天満。しかし電話の相手――美琴は取り合おうとしない。
『はいはい。烏丸に見とれたんだろ。自業自得な』
「はぁい……」
 一週間がかりでやる宿題を、提出日の登校中にドブに落とす。「危ねーぞ」とい
う美琴の忠告も忘れて。
(だって、烏丸君がいたんだもん……)
 責任逃れである。
『ってーか、アンタ私とこんな電話してていいのかぁ?まだその様子じゃ』
「うん、半分も終わってないの」
 はあ、と大きな溜め息を吐いて、美琴は言った。
『先生はいつまで待ってくれんだよ?』
「明日……」
『はぁ? きちんと事情話したのか?』
 一週間もかかる宿題を、一日でやれとは。いくら自業自得とは言え、厳しいもの
がある。
「一応話したよ……でもダメだって」
『そんなにキツイ人だったっけなぁ……まぁいいや、そんじゃがんばりな』
「うん。おやすみ、美琴ちゃん」
『おやすみ』
 受話器を置いて、天満は俯いた。
「……話してないもん」
 烏丸君に、宿題を忘れたところなんて見せられない――と、天満は思い、授業後
に先生の許を訪ねて事情を説明しようとした。しかし、運悪く烏丸が先生に張り付
いていたのだ。 
「うう」
 ガチャ――と、ドアが開けられる。
「姉さん、お風呂沸いたけど……姉さん?」
「八雲先入って」
「……わ、わかった」
 機嫌の悪そうな天満に少したじたじになりながら、八雲は返事をした。

773 名前:PARLOR, BEDROOM AND BATH :03/12/24 12:08 ID:/V+A6vot
『おやすみ、美琴ちゃん』
「おやすみ」
 周防美琴は電話を切る。
(まったく、変わらないんだよなぁ天満のヤツ)
 春先からこっち、烏丸との関係は進展しているのかどうかもわからない。
「こっちは色々あるってのに」
 一人、愚痴る。
 憧れの先輩にはフられるし、今鳥にはしつこくされるようになるし、沢近とは……
今更言うまい。思い出すだけ気持ちが沈む。もう今は大丈夫なのだから、わざわざ思
い返すこともない。
「ったく」
(いくら高2とはいっても、限度があるだろーがよ、限度が)
 美琴はベッドに転がって、短くしたばかりの髪を手でいじった。
「ま、さっぱり……できたかな」
 頭の後ろで腕を組んで、枕にする。
「ふぁ〜あ……」
 段々と眠気が頭を侵食し始める。それに身をまかせ、意識は段々と落ちてゆく。
「……」
 ゆっくりと目を閉じると、夏の思い出が一気に流れ込んできた。
『美琴ちゃんはDカッ――』
「だぁぁぁ!」
 起き上がって、ワナワナと震える美琴。
「なんであんなモン思い出すんだよ私! あーもうチクショー!!」
 これ以上妙な物を思い出すわけにもいかない。
 美琴はベッドから降りて、バスタオルを手に取った。
「冷や汗出てきたってーの……入りなおしだ入りなおし!」
 ドスドスと足音をたてながら、美琴は風呂場へ向かった。

774 名前:PARLOR, BEDROOM AND BATH :03/12/24 12:10 ID:/V+A6vot
「〜♪」
 サアァァ――という、湯の流れる音。視界は湯気に包まれている。
 沢近愛理はシャワーを浴びていた。
 艶のある長い金髪、張りのある白い肌。愛理は、自分の容姿に自信を持っている。
それだけにケアはいつもしっかりとしなければならない。
(今日も一日ご苦労様)
 と、自分の身体に言い聞かせたりする。
 実際、綺麗なのである。父親譲りの金髪に、やや長身で細身、だがしっかりとつ
く場所にはついている質感のある身体。そして顔も、十人に聞けば十人とも絶賛が
返ってくるだろう、という程に整っている。
 キュっと蛇口をひねって湯を止め、愛理は浴槽に身を沈めた。
「ん〜〜」
 泳げる程ではないものの、平均からすれば随分と広めの浴槽の中で、愛理は思い
切り身体を伸ばす。
「はぁっ……」
 ゆっくりと息を吐いて、顔を半ば湯の中に沈める。まとめられていない髪が、
水面に浮いて大きく広がった。
(今日は、何も無かったわね……)
 ぷくぷくと口元から泡を出しながら、物思いにふける愛理。
 平和な一日であった。しいて言うならば、天満がやけに落ち込んでいて、晶がそ
わそわしていたことぐらいか。
(あと……)
「ぷは」
 息を大きく吸って、愛理は目を瞑る。
「あと……何よ」
 何故かいらいらした声で言う愛理。こめかみがひきつっている。
「あと、何だってのよ。だから……あと! 今日は何も無かったのよ!」
 とうとう青筋を浮かべて、愛理は立ち上がった。身体についた水滴がぽたぽたと
したたる。女神かと見紛わんばかりの裸体の上には般若の顔。彼女にこんな表情を
させる人物とは。
「あンの、ヒゲ……!!」
 ヒゲと何かあったようだ。
 愛理は身体を隠すことも忘れて、浴室を出て行く。美しさも何もあったものではない。
 蛇口から、水滴がポトン――と落ちた。

775 名前:PARLOR, BEDROOM AND BATH :03/12/24 12:11 ID:/V+A6vot
 パチン、と爪を切るような音が部屋に響いた。
「……」
 高野晶は無言で何かに集中している。
 パチン、パチン、パチン――。
 同じような音が響く。どうやら爪を切っているのではない。
 次に、ザリザリと何かを磨く音。
 そして、カチ、という何かを合わせるような音がした。
「……」
 手に持った物を目線の高さまで持って来る晶。
 様々な角度で眺める。それはプラスチック製のようだ。
「よし」
 満足した様子で、箱の中へ戻す。
 再びパチン、という音が鳴り始めた。
 しばらくして、電話が鳴った。
 晶はパジャマについたクズを払い落としながら立ち上がり、受話器をとった。
「もしもし、高野です」
 クールな声で応答する晶。
「――サラ。どうしたの」
 何度か頷く晶。特に実の無い雑談らしい。
「明日は――何もしない。休み」
 少しそわそわしながら、後ろに置きっぱなしのそれを見る晶。
「そう。それじゃあおやすみなさい、サラ」
 手早く電話を切る晶。
(焦りすぎた)
 サラが気を悪くしたか――と、少しだけ晶は後悔した。
 そして、元の場所へ座り込んで、再び作業を始める。
 ――まだまだ完成は遠そうだ。

776 名前:PARLOR, BEDROOM AND BATH :03/12/24 12:12 ID:/V+A6vot
「……」
 サラ・アディエマスは電話を持ったまま立ち尽くしていた。
「ヘンなの」
 茶道部の部長、晶の態度だ。いつもと何か違う気がする。
「明日聞けばいいか」
 少々の事は気にしない。
 サラはキッチンへいって、紅茶を淹れる。ダージリンのセカンドフラッシュ。
紅茶のシャンパンとさえ呼ばれるもの。
「……ん」
 香りを楽しんだ後、一口飲む。
「おいしい」
 偶然手に入ったものだが、さすが最高級品、とサラは納得した。
(八雲にも薦めれる)
 日本へ来てからのサラの一番の親友、八雲。茶道部にも随分慣れて
きた。
(あれで花井先輩が余計な合いの手入れなきゃなぁ)
 八雲と二人きりでもっとゆっくり話ができるのに、と少し残念そう
な表情になるサラ。どこで隙を狙っているのか、気付くと彼はやって
くる。
「……まぁ、これも良いかな」
(ハランバンジョーって言うのかな)
 最近覚えたばかりの言葉にぴったりの状況な気がして面白い、とサラは
思った。
「あ、八雲に知らせなきゃ」
 紅茶を飲み干して、電話を取る。
 明日は茶道部は休みだ。


777 名前:PARLOR, BEDROOM AND BATH :03/12/24 12:14 ID:/V+A6vot
「ん……」
 うつらうつらとするのをこらえるのも、意外と辛いものがある。
 塚本八雲はそんな睡魔との闘いの真っ最中だった。
「……」
(寝て……しまう)
 TLLLL!
 急に鳴る電話に八雲はビクっとなった。
 素早く受話器を取る。
「はい……塚本です」
『あ、八雲〜〜こんばんわっ』
「サラ」
(どうしたんだろう……こんな時間に)
 何か大変なことでもあったのだろうか、と八雲は気が気でない。
「どうしたの……?」
『眠そう……ごめん、起こしちゃった?』
「ん、そんなことない…」
 良かった、という安心した声が返ってくる。八雲の表情も緩む。
『あのね、明日部活お休みだって』
「え……」
 明日は部長も交えて、ゆっくりと談笑でもするつもりだったのだ。
「そう……」
『あ、でも、私新しい紅茶手に入ったから、二人で飲まない?』
「……いいの?」
『もちろんよ!』
 八雲は微笑んで、頷いた。
「うん」
 と、その時。
「おわった〜〜〜〜!!!」
 家中に、大声が響いた。
『な、何? 今の声』
 八雲は顔を赤くする。
「姉さんみたい……。ごめん、サラ。今日はもう」
『……なんか、その方が良さそうね。遅いし。それじゃあ、おやすみ八雲』
「おやすみ……サラ」
 受話器を置いて、八雲は振り返った。
 姉が風呂場へ走るのが見える。よっぽど早く寝たいのだろう。
(……姉さんが、出てくる、までは)
 閉じそうになる目を下へ向けると、床で伊織が欠伸をしていた。
 それをしばらく見つめていた八雲は口元を緩めて、
「ふぁ……」
 欠伸をした。
(伊織の、真似……)
 夜はふけていった。

778 名前:PARLOR, BEDROOM AND BATHの中の人 :03/12/24 12:16 ID:/V+A6vot
話の無い話が好きだなぁ俺(;´Д`)
なんだかわかりませんが終わりです。

779 名前:無能作者 :03/12/24 13:58 ID:aO5/3f6U
GJ!よく特徴でてますね。。。

780 名前:無能作者 :03/12/24 19:04 ID:aO5/3f6U
「Happiness of holy night」
2学期も終わり、あと数日で今年も終わり。そんな聖夜の夜の一日。

<前置き>
前の播磨・イトコの関係を勘違いした愛理は風邪をひき期末試験をうけれず補習
をうけることになってしまった。他に補習のメンバーは、当然のごとく、万年赤点の
天満と播磨だけだった。そこで、愛理たち一行は、クリスマスパーティーをやる前
に勉強会をやることになったのだが。

「もう、なんでよりにもよってこんな日に勉強しなきゃならないのよ。」
「それは私たちが赤点だからだよ〜。」
「そんなこともわかんねーのか?」
「万年赤点のあんた達に言われるとなんかムカツクわ。」

事の発端はこうだった。普段はおよそ赤点など関係のないはずの愛理が風邪
をひき期末試験をうけれなかった、そんな中、万年赤点の天満が、
「愛理ちゃん、クリスマスパーティーやろうよ〜。」ことに始まった。しかし、
美琴や晶が夕方からしかこれないということになり、せっかくなら、午前中は勉強会
をやろうということになったのだ。


781 名前:無能作者 :03/12/24 19:05 ID:aO5/3f6U
「それより、なんであんたいんの?」
「いちゃわりーか?」
明らかにうざったそうに返答する播磨。
「えっとね、播磨君も赤点だったからさそったんだよ。」
「赤点なんてどうやったらとれるのか知りたいわ。」
「そういうお前も補修じゃねーか。」
播磨がつっかかった。どうしてか播磨と愛理が話す
とついつい口論のようになってしまう。
「もうっ。愛理ちゃんいじわるしないでよ〜。播磨君もつっかからないのっ。
早く始めないと夕方になっちゃうよ。」
「そうね。バカやっててもしかたないわn。」
「おうっ!(さすが天満ちゃん。このお嬢と違ってかわいいぜっ!今日はクリスマスだ!クリスマスは
人間を変える!今日こそ決めるぜ!)」
そうして天満達は勉強会を始めたのだが。。。


782 名前:369で411で519、たまに579 で実は703 :03/12/24 20:12 ID:a1i0b9a8
12時過ぎにss投下…予定
予定は未定ということでヨロ。

783 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 20:13 ID:VxVxnVqN
おちけつ。
文章がちょっとめちゃくちゃだぞ。
前回は「・・・」を使っているのに、何故か今回は「。。。」になっているし。


784 名前:Merry Christmas :03/12/24 20:17 ID:N3k+V84Z
 クリスマスイブ、と言えばパーティーである。
 短絡的と言えば短絡的ではあるものの、選択肢として間違ったものではない。
 と、言うわけで。
 塚本家を会場に、いつもの面々でクリスマスパーティー――発案・天満(無計画)、
企画立案・八雲――が開かれたのだった。こんな時でもカレーを食べに出かけてしまう
烏丸くんを除き、奈良くんから果ては絃子まで参加したパーティーは、多少のハプニング
を交えつつも盛大な盛り上がりを見せ、無事終了した。
「それじゃみんな、またね〜」
「それでは……」
 ノリノリのサンタコスの天満と、こちらは恥ずかしげにやはりサンタコスの八雲に
見送られて暇を告げる面々。最初は二桁を超える一団だったが、道すがら人数は減って
いき、そして――
「……」
「……」
 播磨は沢近と二人で歩いていた。絃子はと言えば、
『ちょっと用事があるのでな。ではよろしくやりたまえ、拳児君』
 と、早々に姿を消している。ちなみに従姉弟という関係もばらされてしまっていたり
して、ちょっぴり頭の痛い拳児君。
「……」
「……」
 そして妙に気まずい。双方共にその理由は異なっているのだが、普段とは違うその
微妙な距離感に手を出しあぐねている感じである。
 そうやって二人黙々と歩いたままだったのだが。
「……あ」
「……お」
 同時に息を呑むこととなった。
 雪、である。
 お話や歌で語り尽くされたホワイト・クリスマス。実際言うほどこの時期に雪が舞う
ことは多くないのだが、今年はどうやらその数少ない当たり年だったらしい。

785 名前:Merry Christmas :03/12/24 20:17 ID:N3k+V84Z
「……」
「……」
 先ほどとは違う静寂の中、空を見上げる。見かけによらず、と言っては失礼だが、
こういうものに弱い二人だった。
(コイツもこんな顔するんだな)
 何気なく隣を見てそう思う播磨。彼の中では『触るな危険・寄るな危険・とにかく危険』
となかなか類を見ない評価の沢近、意外な一面、といったところである。
「おい、そろそろ行くぞ」
「……あ、うん」
 とは言え、この寒さの中いつまでもそうしているわけにもいかない、また歩き始める二人。
雪は止む気配を見せず、ただしんしんと降り積もる。
(そう言えば、コイツんちはけっこう遠いんだっけか)
 以前成り行きで途中まで送ったことのあった播磨は、ふとそんなことを思い出した。
(どうすっかなあ……)
 そんなことを考えているうちに、
「播磨君の家、ここじゃないの?」
 何故そんなことを知っているかは……いろいろあるのだ、彼女にも。
「ん?ああ、そうだ」
 いつの間にか家までたどり着いていたらしい。それじゃ、と当然のように帰ろうとする沢近。
(まあ、しゃーないよな。この場合)
「待てよ」
 その背中に声をかける播磨。
「送ってってやるよ、ちょっと待ってろ」
 え、という沢近の反応を気にも留めず、とりあえず傘はいるよな、と家の中に取りに入る。
「……で、なんで絃子のしかねえんだよ」

786 名前:Merry Christmas :03/12/24 20:18 ID:N3k+V84Z
 そう言ってから、つい先日自分が壊してしまったことを思い出して落ち込んでしまったり
するが、ともかく気を取り直して表に出る。
「あー、ほれ」
 ずい、と傘を差し出す播磨。
「そんな……いいわよ別に。一人で帰れるし」
「そう言われればそうなんだけどな、なんかあったら寝覚めが悪い」
 なによその理由、とは思ったものの、悪気はなさそうな播磨の様子に、
「分かったわよ。じゃ送らせてあげる」
 素直じゃないのが沢近愛理。
「あげるってなあ、お前……」
「ほら、さっさと行くわよ」
 差し出された傘を広げて颯爽と歩き出す。それを見て播磨も慌ててついていく。
 で。
「……」
「……」
 やっぱり無言である。
 コイツと話すこと、つってもなあ、と思っていた播磨だったが、ふと見ると沢近が何かを
言いたそうな素振りをしている。
「どうした?」
「……なんでもないわよ」
 一旦はそう言ったものの、しばらくしてから思い詰めたような表情で尋ねる。
「播磨君さ……クリスマスプレゼント、って欲しい?」
「はあ?そりゃもらえるもんならもらいてえな」
 あまり深く考えずに答える播磨。
「そう……」
 じゃあ、と言ってバッグから小さな箱を取り出す沢近。その間になされた葛藤については、
あえてここでは語らないこととする。なんかこう、容量的に。
「あげるわ、これ」

787 名前:Merry Christmas :03/12/24 20:19 ID:N3k+V84Z
「……は?」
 さすがの播磨も心底驚いた様子である。会話の流れからすれば不自然ではないのだが、
(コイツが?俺に?どういう風の吹き回しだ?)
 また新手の嫌がらせだろうか、といらぬ警戒をする播磨。その態度にかちんときたのか、
「いるの?いらないの?どっちよ」
「いやいやいやいやありがたくいただきますよ、ハイ」
 押しに弱い男である。
「それじゃ、はい」
 そう言って、小箱と一緒に傘も差し出す。
「おい、」
「言ったでしょ。一人で帰れるわ」
 有無を言わさず受け取らせると、小走りに駆け出す。
「ちょ、待てよおい」
 その声に反応したのかどうか、数メートル先で振り返り、
「Merry Christmas!」
 流暢な発音でそう言ってから、くるりと身を翻して雪の中を駆けていった。
「あー……」
 所在なげに頭をぽりぽりとかく播磨。その手にはラッピングされた小さな箱。
(どうすっかなあ……)
 と思いつつ、仕方がないので家路につく。
「アイツも差してなかったしな」
 ぽつりとそう言ってから、傘を畳んで雪道をてくてくと歩く。
 冷たいはずのその雪が、何故か播磨にはどこか暖かく感じられた。

おしまい。

788 名前:483で498で594で668 :03/12/24 20:20 ID:N3k+V84Z
 後日、もらったもんは使わねえとな、とプレゼント――アンティークの懐中時計――を
持ち歩く播磨がいただとか、年明けには差出人の名前がない年賀状が届いただとか、
それはまた、別の話。


血湧き肉躍るパーティーの様子をお届けできなかったのが残念でなりません。
……と言うか自分には無理でした。
そして「萌え」には縁遠い作風のためこの辺が精一杯、毎度毎度申し訳ないのことです……

789 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 20:36 ID:7KUNd57X
>>788
萌えたよ、gj

790 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 20:49 ID:rBIjxxLQ
>>788
いい仕事してますね。ナイス神様

791 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 21:21 ID:6oM0T0w1
神がいっぱいいるね…凄すぎ…
こういうお話を書けないので
まじで尊敬。
ただ、ら抜き言葉が妙に気になるなぁ…


792 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 21:22 ID:pNmcVQq/
>>788
もへもへ。gj!


793 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 21:58 ID:aO5/3f6U
すげえ不思議になったんだが・・・
八雲with播磨 沢近with播磨 は多いのに、天満with播磨は
ほとんど皆無なんだろうか・・・。

794 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 22:01 ID:/Ni4p3VX
>>793 そんなことはない 王道派はここにいるぞ

795 名前:あー、なんというか、非常にスマンです。 :03/12/24 22:19 ID:GOVqepRx
天満ちゃんはホントにいい子ですよネ……

あの娘はいい奥さんになりますよ。エロい。

俺、天満ちゃんと結婚する。ガチで。

オイオイそりゃあオメー無理だよ
見りゃあわかるだろ?天満ちゃんは烏丸君にゾッコンLOVE。

それでも〜〜俺は〜〜天満ちゃんと〜〜結婚するの〜〜ッ
天満ちゃんとーッ 結婚がーッ してえーーッ してえーーーッ!!
天満ちゃんと天満ちゃんと天満ちゃんと結婚結婚結婚結婚
結婚ッ結婚ッ結婚ッ結婚がしてぇーーッ!!

一ツだけ方法があるぞ従姉弟よ

マジで!?

天満ちゃんは烏丸君にゾッコンラブ……
しかし烏丸君さえいなくなれば……ホレ?ん?

烏丸の野郎ーーー!!ブッ殺してやるーー!!

ヤッヂマイナーー!!

さっそくお絵かき板行って職人に頼んできます

行ってらっしゃい


796 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 22:23 ID:a1i0b9a8
ワラタ。ヘルシングネタイイ!
さりげに絃子なんでつね

797 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 23:05 ID:w2K3TOFf
天満と花井でお話作ってください。二人でひたすらボケ倒すお話でも良いです。

798 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 23:09 ID:YzATatMl
「うおおーッ!!八雲くーんッ!」
「お姉ちゃんパワーッ!!」

ガシッ!
ヘアッ!

そして二人に友情が芽生えた。



799 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 23:13 ID:w2K3TOFf
素晴らしすぎて涙が出てきました。ありがとう。

800 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/24 23:38 ID:YzATatMl
>>799
まあ、その、なんだ。すまなかった。

801 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 00:03 ID:1UgBQMbq
メリークリトリス

802 名前:ebony_and_ivory :03/12/25 00:07 ID:mtoKMyfn

 バターは多目に、チョコは苦目を

 卵も多目に、シナモンを少し

 甘過ぎるのは苦手だろうか? 沢山作ったほうがいいかな?

 硬すぎないように、柔らかすぎないように

 弱火でゆっくり、時間をかけて

 彩る程度に、粉砂糖をかけて

 ・・・よし、出来た

 不味くないかな? そりゃあもう!

 大丈夫かな? もちろんよ!

 いこう、サラ がんばれ、八雲

   ・  ・  ・

「八雲君! 話は聞いた!」
 4限目がすんだ土曜の放課後。教室に戻ろうとしていた塚本八雲とサラ・アディエマスは、
背後から響いてきたどえらい大声にまたかと思いながら振り向いた。

803 名前:ebony_and_ivory :03/12/25 00:08 ID:mtoKMyfn

 彼女たちの先輩である花井春樹が仁王立ちに立っている。両手は腰。顔は微妙に上向き。
口は「聞いた!」の「た!」のまま。周囲の視線をものともしない。
 予想はしてたけど、とため息をつきながらサラが右手をあげる。
「花井先輩。今度は何を聞いたんですか?」
「うむ! 1−Dの女子は今日の家庭科実習でクッキーを焼いたそうだな!」
 廊下に片膝を突き左手を胸にあて右手を八雲に差し出して、
「僕に! くれたまえぇぇ!」
 腹から響くいい声だ。廊下に反響して実にやかましい。
「ありません」
 答えたのはサラだ。花井は「む?」と眉を寄せて聞き返す。
「ありませんとは、どういうことかね? サラ・アディエマス君」
「だからもう無いんです。八雲が焼いた分は二人で食べちゃったから。私が焼いたのが
まだ残ってるからわけてあげますね」
 クッキングペーパーからつまみ出したクッキーを二つ、差し出されたままの花井の
右手にちょいちょいと載せる。

804 名前:ebony_and_ivory :03/12/25 00:09 ID:mtoKMyfn

 花井は「んが」と顎を落とし、クッキーを見て、八雲を見て、サラを見て、もう一度
クッキーを見てからがっくりとうなだれた。
「そうか、ないのか。では失礼する。クッキーをありがとう、サラ・アディエマス君」
 ぽりぽりとクッキーをかじりながら帰っていく花井。
「ごめんなさい、花井先輩。また嘘ついちゃいました」
 サラは花井に聞こえないように、小さな声で彼の背中に謝った。

   ・  ・  ・

「しかし、なんというか」
 茶道部の顧問である刑部弦子は、口元に笑みを浮かべて部室の風景を評した。
「実になんとも、似合わないな。自覚はあるかね? 播磨君」
「うるへぇなぁ。言われなくってもわかってらぁ」
 高価ではないが、造りのしっかりした洋椅子に、はす足組みに座った播磨拳児は
椅子と揃いの円卓に頬杖を立てて毒づいた。

805 名前:ebony_and_ivory :03/12/25 00:09 ID:mtoKMyfn

 確かに、他の学校の茶道部と違い英国様式でまとめられた部室と、
ガラの悪い諸葛公明にグラサンをかけたような播磨は相性が良いはずも無い。
播磨の周りだけ切り取ったように浮いていた。
「ごめんなさい。私がお茶に誘ったんです」
 八雲が申し訳なさげに頭を下げる。おや? と思った弦子はもう一度部室を見回す。
立ったままのサラと高野。向かい合って座る八雲と播磨。その間に置かれた
ポットとカップと、そして皿に山盛りのクッキー。
 ・・・なるほど。
 つまりは、こうだ。月末に金欠で苦しむのが常の播磨と、このままでは
貧乏をこじらせて寝込んでしまうと見かねた八雲。とはいえ、手弁当を渡すほどの
度胸は無い。なので家庭科実習を口実に、山ほどのクッキーを焼いて播磨を誘ったと。
「で、君はその厚意に一も二もなく飛びついたわけだ」
「ああそうだよそのとおりだ。悪かったな意地汚くて。昔っから飢えては食を選ばず
っつって・・・あ、いやすまねぇ妹さん。今のは無しだ」
 慌てて八雲に頭を下げる播磨。謝られて逆に困っている八雲。弦子はそんな二人
を見て楽しげに含み笑い、

806 名前:ebony_and_ivory :03/12/25 00:10 ID:mtoKMyfn

「まあ、高野君が君を追い出してないのなら私に言うことはないよ。
ゆっくりお茶を楽しんでいくといい」
 そういって部室を去る。サラと晶は弦子を見送ってから、
「さて」(×2)
 晶は八雲の右肩をぽんと叩いて
「茶葉の残りが少なくなってきたから買出しに行ってくるわ」
 サラは八雲の左肩をぽんと叩いて
「お留守番と播磨先輩の相手、お願いね」
 張り付いたような笑顔で変なプレッシャーを与えつつ部室を出て行く。
 気おされていた八雲はふと我に帰ると、幾分慌てたように
「あ、えと、どうぞ、召し上がってください。播磨さん」
「お、そうか? ほんじゃま遠慮なく」
 おあずけを解かれた犬のようにわしわしとクッキーをむさぼりだす播磨。
そのまま十数枚ほど平らげたところで、
「いけね。遠慮がなさすぎた、俺ばっか食っちまって」
 ばつが悪そうに手を引っ込める。

807 名前:ebony_and_ivory :03/12/25 00:11 ID:mtoKMyfn

「いいんです。私は実習の後で食べましたから。よければ、全部どうぞ」
「いいのか? ほんとすまねぇな」
 心底から嬉しそうにクッキーを頬張る播磨と、それをやはり嬉しそうに
眺めている八雲。山盛りのクッキーは見る間に減っていき、程なく
播磨の胃袋に消えた。
「ふぅっ。ごっそさん。うまかった」
 紅茶を飲み干し、両手をぱんと打ち合わせて礼を言う。
「ホントに助かった。感謝してもしたりねぇくらいって・・・ありゃ」
 いつのまにか八雲は眠りに落ちていた。播磨は困ったように頭を掻き、
「まいったな。礼もいわねぇで帰るわけにもいかねぇし」
 寝ているのを無理に起こすのも気が引ける。
「・・・優しい娘だよな、実際」
 気持ちよさそうな寝顔を見ながら、ポツリとつぶやく。
結局、目を覚ますまで待っていることにした。
 そのまま、何をするでもなくぼんやりと過ごす。日が傾いて、夕日が
差し込み始めたころにサラと晶が帰ってきた。

808 名前:ebony_and_ivory :03/12/25 00:12 ID:mtoKMyfn

「ただいま戻りました」
「播磨君、塚本さんに変なことしてない?」
「しねぇよ! 妹さん寝てたんだからな」
「なおさら不安」
「人を何だと思ってやがるんだ。しねぇっての」
「あ、起きた。おはよ八雲」
 目を覚ました八雲は、サラを見上げてまだぼんやりした声で
「おはよ、サラ・・・そっか、私」
 顔を前に向け、播磨と正面から向かい合い、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!!」
 大きく目を見開いて息を呑んだ。
「八雲?」
「塚本さん?」
「どした? 妹さん。どっか具合でも悪いのか?」
 掛けられる声にも気づかないように播磨を見つづける。
いきなり顔が赤くなっていき、

809 名前:ebony_and_ivory :03/12/25 00:12 ID:mtoKMyfn

「わた、私。ごめんなさいっ!」
 首筋まで赤くして立ち上がり、わたわたと部室から逃げ出していってしまう。
 三人とも呆然と見送り、最初に我に帰った晶が
「・・・播磨君。やっぱりあなた」
「待て! ちょっと待て! ホントに何もしてねぇんだって! 信じろよ!」

   ・  ・  ・

 はあ はあ はあ はあ
 洗面台の鏡の前で、八雲は荒い息をどうにか収めようと胸を抑えていた。
「・・・私、あんな夢・・・」
 真っ暗な海の底のような眠りから、真っ白い霧のような目覚めに浮かび上がる
その間際に、八雲は短い夢を見た。
 良く晴れた青い空の下、動物たちに囲まれながら、播磨と二人でお茶を飲む。
そんな幸せな夢を見た。

810 名前:ebony_and_ivory :03/12/25 00:13 ID:mtoKMyfn

 夢のさなかで、八雲は播磨の心を視た。優しい娘だと思ってくれた。

 そう、
 彼女を想う花井のように、自分に好意を寄せる者達のように、八雲は播磨の心を視た。

 そんな夢を見るということは、つまり彼女がそれを望んでいるということで。
 鏡を見る。ひどく顔を赤くした自分がいた。
 水を出して、顔を洗う。何度も水をすくい、何度も顔を冷やす。
 そのうちに、心が落ち着きを取り戻し、ほつれた糸がほぐれるように、
元の形を取り戻す。顔を上げて、もう赤くない自分に頷く。よし、決めた。
「優しい娘になろう」
 夢が本当になるように、少しずつでも自分を変えよう。
 夢のさなかで視たように、播磨の心が視えたなら、それはどんなにか幸せだろう。
 夢のさなかで視たように、播磨に想って貰えたなら、それはどんなにか満たされるだろう。
「優しい娘になろう」
 心が視えてしまうほど、心を許してもらえるような、そんな優しい娘になろう。
 もう一度、頷く。

 大きく深呼吸をして、八雲は歩き出した。夢を本当にするために。


      おわりー

811 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 00:15 ID:H8zV6LG8
>>801 おまえはたつひろか!!

812 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 00:16 ID:/SaPxn4c
イイ! 萌え転がりました。
読んでてにやけてくる…
タ マ リ マ セ ン ナ ァ。

813 名前:ebony_and_ivoryの中の人(元607) :03/12/25 00:17 ID:mtoKMyfn
 どうも、また書いてしまいました。
おっかしーなー。旗派に引きずり戻されたはずなのに。まいいや。

播磨って思ったより動かしづらかったです。
天満が絡まないと普通にいい奴だからなー。無茶な動かし方が出来ない。

んじゃ皆さん、メリクリ。ホントになにやってんだ俺こんな日に。

814 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 00:17 ID:ehskTyOQ
キタ━ヽ(゚∀゚)ノ━ヽ( ゚∀)ノ━(  ゚)ノ━ヽ(  )ノ━ヽ(゚  )━ヽ(∀゚ )ノ━ヽ(゚∀゚)ノ━!!!!
このスレ、播磨×八雲派にはたまらんですなw

815 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 00:19 ID:hu0CL4Uz
うわああああああ、もうダメ。すごく顔がニヤケてる。
タオル、タオルはないか! 口元を隠さないと!


816 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 00:33 ID:xE+ePqMP
>>802-810
もへたぜコンニャロm!
タイトルを見て一瞬だけデビrメイクライを連想してしまた。
二丁拳銃なやくm。疲れてるな、このもへを胸にして寝よう。

817 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:33 ID:/SaPxn4c

 いつものように、メールはやってきた。
 送り主は、すぐ分かる。
 それは、その日の運命を決める大切な手紙だから。


818 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:34 ID:/SaPxn4c

 二学期も終わり、もう冬休み。息は白く、風も冷たい。それでも街は、目前
に迫ったクリスマスに向けて、賑わっていた。
 スレた人間は、なにを浮かれてやがると悪態をつくかもしれないが、この世
の中である。一ヶ月ぐらいは、無意味に騒いでいいだろう。
 街にイルミネーションがあふれ、どこもかしこまクリスマス色。そんな赤と
白で飾り付けられた喫茶店でお馴染みの4人娘が話を咲かせている。
 四人でテーブルに座り、イブの予定を話し合っている。各自がケーキを食べ
ながら、天満はオレンジジュース、愛理はコーヒー、美琴はコーラ、そしおて
晶は…なぜかメニューにない日本茶を飲んでいた。

「で、今日のイブの夜はどうすんだ?」
 私は予定が入ってないよ、と美琴は続けた。天満も、私もーと唱和し、晶は
右に同じと続けた。うら若き少女としてはむなしい発言である。
 そして、3人の視線が沢近に集まるが
「あ、ゴメン、私今夜は先約があるの」
 意外、といえば意外な返事であった。
「えー、愛理ちゃんそうなのー?」
「なんだよ、つれねえな。デートか?」
「ま、素敵な男性と過ごすのは間違いないわね」
 不敵な笑みで、沢近は応答した。
「…どうゆう意味?」
「秘密よ、秘密」
 沢近はそう言うと、手首につけた時計を見て席を立つ。

819 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:34 ID:/SaPxn4c

「なんだよ、もう帰んのか」
「そ、今夜の準備よ」
 嬉しそうに宣言すると、とっとと出口に向かっていく。残りの3人はその後
姿をながめるだけである。
「デート…にしては妙だな」
「そうだね、珍しく楽しみにしてるみたい」
 うーむ、と美琴と天満は腕を組んで考え込んだだ。晶はズズッ、とお茶をす
するとと、キラリと眼を光らせてこう言った。
「…私がただ一つ分かることは」
「「わ、分かることは…?」」
 ゴクリとつばを飲み、身を乗り出す。
「あの娘、自分のケーキとコーヒー代を払ってないわ」
 二人はガクリとズッコケた。

820 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:36 ID:/SaPxn4c

 スーパーで買い物をする沢近、足取りは軽く、表情は明るい。店内に流れる
クリスマスソングを口ずさんでは、周りの人から微笑まれていた。
「お肉でしょ…たまねぎ、それからじゃがいもよね」
 あと、自分のための赤のワイン、それ相手のための白のワイン、二つをカゴ
に入れて、愛理はレジへと歩を進めた。

 今度こそは、と愛理は思う。今度こそ、食べてもらおう、と。

 今年は、なんとか帰れそうだよ

 相変わらず飾り気の無い文章。ほんとうにさりげなく書かれていたので、あ
やうく見逃すところだった。
 二日前にとどいたメール。外国の父からだった。いつものように、自分を案
ずる内容で、相変わらず自分のことは心配するなの一点張り。忙しいのに娘の
ために毎回メールを送ってくる父の姿が想像し易く、ちょっと微笑ましい。

821 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:38 ID:/SaPxn4c

 店を出れば曇りだった。まあ、小説や漫画のように、心が晴れているからと
いって、本当に晴れるわけではない。それでも、ちょっとは考えてほしいもの
だ。せっかくのめでたい日なのだから、と思わずに入られない。

 家に向かうとき、道行く人の中に、小さな女の子が居た。父親の手を引っ張
り、ショウウィンドウの前で大声で叫んでいる。
「こえーこえー、知恵、サンタさんにこえもやえゆー?」
「うーん、いい子にしていたら、サンタさんがご褒美にくれるさ」
「ほんとー!? じゃあ知恵いいこいいこしてゆー」
「そうか、それならきっと明日の朝にはプレゼントがベッドの横にあるよ」
 わーい、と満面の笑みを浮かべて父親に抱きつく女の子。父親は困りながらも
抱き上げると、そのまま歩いていった。今も向こうから楽しそう親子の会話が聞
こえてくる。

822 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:39 ID:/SaPxn4c

 私も…あんなころがあったな…

 それは、愛理がまだ小さいころだった。

「お父様〜明日はクリスマスだねー」
「そうだな、パーティーが楽しみだね」
「う〜ん、わたしはプレゼントがたのしみー!」
「そうなのかい? じゃあ愛理はサンタさんに何を頼んだのかな?」
「んーとね、うさぎさんのぬいぐるみ!」
「そうか…」

 父が微笑みながら頭を撫でてくれた。その部分がくすぐったい。エヘヘ、と
甘えるように父に抱きつく。父は、長い間自分の頭を撫でていてくれた。


「愛理、クリスマスはね…」

 自分をひざの上に置きながら、父はゆっくり語りだした。

「クリスマスは…偉い人の誕生日でね、その人は、人を愛することを大切にし
なさい、と皆に教えたんだよ」
「その人って、せんせーだったの?」
 子供らしい質問に、父は苦笑しながらも答えてくれた。
「まあ、そんなものかな。…だからね、クリスマスで大切なことは、自分の好
きな人と一緒に過ごすことなんだ」
「ふーん、じゃあ、わたしはずーっとずーっとおとうさまと過ごすー!」
「…フフフ、そうか、ありがとう、愛理…」

 父は自分の額ににそっと口付けをしてくれた。

 それから、父は忙しくなって、毎年一緒に過ごせるようにはならなかった。
それでも、自分は我慢した。わがままを言って、大好きな父に迷惑をかけたく
なかったから。
 そしていつか、いつか必ず一緒に過ごせる日を信じていたから。

823 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:41 ID:/SaPxn4c

「お嬢様…本当に大丈夫でございますか?」
「中村、心配は無用よ」
「ですが、シェフに作らせになられれば…」
「中村?」
「…失礼いたしました。なにかあれば、内線でお知らせください…」

 執事とシェフを追い出し、調理室に一人になる。ここからが勝負だ。
 作り方は晶と美琴に教わり、秘伝のレシピを手に入れた。食材はありふれた
ものだが、手間と愛情をかければ、それはきっとおいしい料理になるはずである。
 …多分。

 シェフが扉の向こうでハラハラしながらも、苦闘1時間。ついに完成した。
あとは味を整えるだけである。自分でも満足いく出来に、納得する。
 父はこの味に満足してくれるだろうか…。

 その時内線電話が鳴った。あわててとると、声は中村だった。

「どうしたの?」
「…旦那さまからお電話です」

 なんだろう、今空港についたのだろうか。しかし、そんなことで父は電話し
ない。それに、いつもこういう時にかけてくる内容は―――
 一抹の不安とともに、外線ボタンを押す。

「もしもし、お父様…」

 父の第一声は、謝罪だった。

824 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:41 ID:/SaPxn4c

 まあ 正直 電話の内容は なんとなく予想できてて

 頭の中で 分かっていて でも 心の中 すごく ぐちゃぐちゃで

 なんか 妙に明るい自分が 悲しくて

 なぜか 心とは 逆の言葉ばかりで―――


「そう…ううん大丈夫、もともと友達との予定が入ってたから。うん…分かっ
てる…じゃあ…はい」

 がちゃり、と受話器を置いた。
 目の前には、さっきまでは美味しそうだった肉ジャガが煮えていた。
 でも今は、もうどうでもよかった。

825 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:43 ID:/SaPxn4c

 所と時間は変わって、某ケーキ店の前である。

「さあ皆さん! 美味しいケーキだ! 買ってくれたまえ!!」
「…………………ケーキだとよ」
「あ、そこいく奥さん、いかかですかパーティーにぜひ!」
「……………ぜひだとよ」
「…」
「…だとよ」
 サンタの格好をした男性が、やる気のない相方の男性に向かって叫んだ。
「播磨ぁ! しっかりバイトせんか!!」
「ザケんなァ! こんな格好でまじめにやってられっか!」

 ふーふー、とお互いを威嚇しながらにらみ合う双方。

「だいたい、この僕が紹介してやったバイトだろうが!」
「知るか! こんな格好だと知ってりゃあ頼まなかったんだよ!」

 こんな格好
 全身トナカイの着ぐるみ。
 播磨の顔 in トナカイの首の部分。
 角にはでっかい赤いリボン。
 おまけに今時蝶ネクタイ。
 一言で言うとオモシロイ格好(変とも言う)

826 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:45 ID:/SaPxn4c
 まあ、分からないでもない。さすがに道行く人に笑われ続けること既に3時
間。彼のイライラは絶頂に達している。

「おい、花井」
「なんだ」
「衣装を代われ」
「いやだ」
 速攻で拒否する花井の腕をがしりと播磨はつかむ。
「か・わ・れ」
「い・や・だ」
「こんなマヌケなかっこうはお前にお似合いなんだよ!」
「君みたいな悪役面はサンタは無理なのだよ!」

 二人の視線が交わるところで、バチバチバチ空中放電が巻き起こる。
 突然、彼らは視線をはずし、お互いの背を向けた。そして、屈伸や伸びを始
めだす。播磨は首と拳をバキバキとならして、花井は少林寺の型と深い深呼吸。
 おたがいの動きが止まった。

「確か、俺の56勝55敗だったな」
「何を言う…僕の56勝55敗だ」
「…」
「…」

 聖夜前夜祭なのに、グラサンつけた着ぐるみヒゲトナカイと逆にヒゲがない
眼鏡サンタが、お互いの間の空間を歪ませて対峙した。その緊迫した状況に、
群集は歩みを止め、その対決を見守る。ごくりとつばを飲み込む音が聞こえた。

 勝負は最初の攻撃。二人の目が閉じられる。
 子供が、持っていたおもちゃの箱から手を離す。その瞬間に二人の眼が開い
た。おもちゃが地面に落ちる、それが合図――

「はぁなぁいいぃぃぃぃぃ!!」
「はぁりぃむあぁぁぁぁあああ! 」

 二人の拳が引かれ、そして―――

「「最初はグー、じゃんけん ぽん!」」

 じゃんけんだった。
 周りの人間が全員キレイにすっころんだ。

827 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:46 ID:/SaPxn4c

 結果は、播磨がぱー、花井がぐー、である。

「フ、俺の勝ちだな…」
「く、そうきたか…! まさか裏の裏の、そのまた裏を読むとは…」
「ふん、このヒゲをなめたのが運の尽きよ。そんじゃあ衣装をかわれや」
「…く」
 この結果に花井は了承しずらい。常識人である花井にとて、あんなお笑いな
格好は耐えられないのだ。もともと、播磨は贄としてつれて来たのである。花
井は卑怯な手段に出た。
「負けたら交換とは言ってなかったな」
「…ああ?」
 突然の発言に播磨が殺気だつ。
「だから、もう一回…」
「なめんな」
 ビシ。
 播磨がチョップした。
「…痛いじゃないか」
 バシ。
 花井が蹴った
「ざけんな」
 ドゴ。
 播磨のボディブロー。
「何がだ」
 ガス
 花井のアッパー。
「…」
「…」

 カーン!
 どこからか、ゴングが聞こえた。

828 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:48 ID:/SaPxn4c

「今日は皆、お休みにしていいわよ」
 突然の宣告だった。召使たちが一同に集められ、急に休日を言い渡された。
 あまりに急なことなので、理由を問うと、若い雇い主は
「だって今日はイブよ? みんな恋人や家族と過ごしたほうがいいわ」
 とのことだった。召使いたちは、遠慮がちに喜んで、いそいそと片付けを始
めた。ただ一人、執事の中村だけがすいと愛理に近づく。
「お嬢様、よろしいので?」
「いいのよ、主がいない家に召使いがいてもしょうがないわ」
「…左様でございますか」
「中村も家に帰っていいわよ」
「私めの家はここのお屋敷しかございませんゆえ。それに、誰か一人は残った
ほうがよろしいかと」
 愛理はその提案に納得し、後は中村に任して家を出た。


 道行く人は、みな幸せそうだった。
 今朝の自分なら、それを見て自分も嬉しくなったが、今ではダメだった。
不機嫌になるのを抑えるので精一杯だ。あまりその姿を見たくないので、沢
近は空を見た。まるで、自分の心のような曇り空だ。

 その時、駆け行く人たちの、謎の会話が耳に入った。
「おい、眼鏡のサンタとグラサンのトナカイがガチバトルだってよ!」
「見世物じゃなくて、まじスゲェんだって!」
「片方が少林寺で、片方が喧嘩空手らしいぜ、両方ともただもんじゃねえ超
ハイレベル! 急げ!」

 …グラサン、めがね、少林寺でケンカ殺法?
 妙に思い当たるフシがありすぎる。でも、まさかねーと思いながらも、でも
まさかが起こりうる二人だ、とも思う、結果、沢近はその現場へと向かうこと
にした。

829 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:49 ID:/SaPxn4c

「ふ、流石だな播磨…貴様が只者ではないとは思っていたが、これほどとは」
「てめえも貧弱武術家にしちゃあ、やるぜ…」

 お互いが不敵に笑いあう。もう、二人とも余力は残っていない。
 次がラストの一撃だ。

 播磨が叫ぶ。
「うなれ、嵐の上腕筋! 燃えろ、炎の後背筋! しなれ、疾風の大腿筋! 
叫べ、雷の三角筋!」

 花井が叫ぶ。
「大宇宙の名の下に! 宇宙の平和、守るためッ! 愛と! 勇気と! 
フレンドシップ!」

 二人が咆哮する!
「荒ぶる肉体(からだ)に全てをかけた、この一撃!!」
「三つの心をひとつに合わせッ!! 今こそ放つ絶対無敵の必殺技!」

 双方が己の最強技を繰り出そうとしている。ギャラリーも固唾を呑んで見守
る。その時、だれかが高速で疾走する金色の影を見た。

「くらえ、不動禁にく…」
「見よ、ビッグバン…」

 二人の奥義が交錯する一瞬前――
「なにしてんのよ!」
 ごつん。×2

 強烈なげんこつが播磨と花井を襲った。

「ぐおぉぉぉぉぉぉぉ…」
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ…」

 見目麗しい、金髪美女が二人を轟沈した。

「ったく、道の真ん中で恥さらしてんじゃないわよ…」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 矢神通り 前夜祭カーニバル異種格闘技戦 ver.クリスマス
 試合時間 8分23秒

  グラサントナカイ    ×    眼鏡サンタ
        (第三者によるダブルK.O)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

830 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:50 ID:/SaPxn4c

「で、何してたの、アンタたち?」
「いろいろとな…」
「うむ」

 はあ、と沢近はため息をつく。騒ぎの中心にやってきたと思ったら。ギャラ
リーによって作られたリングで闘っていたのは、外れて欲しい予想だったが、
予想通り、見事に自分のクラスメイトだった。

「まったく、ホント何してんのよ、せっかくのイブの夜に」
「そういうお前だって、なにしてんだよ」
 播磨が悪態をつく。沢近は少し言葉が詰まったが、強がった。
「…アンタには関係ないでしょ」
「けっ、約束してた男に振られたか」

 パシン!

 突然、乾いたいい音が播磨の右ほっぺから響いた。

「い、いて! この野郎、何すん…だ…?」

 播磨の目の前の沢近は、きっと睨み、くちを結んで、そして両の目から涙が
あふれていた。
 意外な反応に、二人とも身動きが取れない。
 愛理は振り返ると、一目散に駆け出した。それを呆然と眺める播磨。
 そこに
 ガツン。と花井が拳を下ろした。
「…何しやがるッ!?」
「今のはお前が悪い」
 真面目な、花井の場合いつもだが、それでも真剣な表情で播磨に言った。
ぐうの音も出ない播磨。花井は店の方に向かいつつ、播磨に言葉を投げかけた。
「…今は客が少ない、僕は一人でも大丈夫だ。早く追いかけて来い」
「…わあったよ…」
 播磨は礼など言わずに、沢近が走っていった方向へと一目散に走り出した。

831 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:51 ID:/SaPxn4c

 見つけるのって、無理じゃねえか? と播磨は思っていただが、すぐに沢近
は見つけることができた。大通り前公園の噴水に一人ぽつんと立っている金髪
女性を発見したのだ。
 後ろから、近づいていく。なんと話せばいいのか分からない。とりあえず、
播磨は声をかけた。

「…よぉ」
「…」
 返事は無言。
「えー、悪かったな」
「…」
 また無言。
「…スイマセンデシタ」
「…」
 またまた無言
「申し訳ございません」
「…」
 またまたまた無言。

 ええい、どうしろってんだよ!?
 と叫びたいのをぐっと我慢して、

「わりい、なんか傷つけちまったみてぇで…」
 再三の謝罪に、ついにこちらを向き、沢近が反応した。
「ぷっ…アハハハハハハハハ!」

 なぜか大笑いで。

832 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:52 ID:/SaPxn4c

「…おいテメェ! こっちが謝ってんのに何を笑ってんだ!」
「あーおかしー…だって、アンタ、その格好で言っても決まらないをよ?」

 腹を押さえつつも、沢近は言った。
 それではミナサン、ここで播磨君の格好の復習。

>こんな格好
>全身トナカイの着ぐるみ。
>播磨の顔 in トナカイの首の部分。
>角にはでっかい赤いリボン。
>おまけに今時蝶ネクタイ。
>一言で言うとオモシロイ格好(変とも言う)

 いやはや、この格好では、何を言ってもただのアホである。
 むしろ、必死でかっこいいほどほど笑えるという罠。

「…ち、心配して損したぜ」
「ふーん、心配してくれたんだ…それなら」

 そう言って沢近が播磨に近づいてくる。なんともなしに後退する播磨。
しかし、接近する沢近のほうが早い。がし、と腕をつかむと
「せっかくだから、謝るついでに付き合いなさいよ」
 にっこり笑ってそう言った。

833 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:54 ID:/SaPxn4c

「つまり、わたしはもう、毎年毎年待ってるわけよ!」
「…はぁ」
「それなのにお父様ったら、こんな可愛い娘を放っておくのよ?」
「…そ、そうなのか」
「そうなのよ!」
 と言って、再び空いたグラスに並々とワインを注ぐ沢近。
 なぜこんなことになったのか、播磨は思わずにはいられない。

 なぜか、家に連れてこられ、なぜか、彼女の愚痴を聞いている。
 なぜか、彼女が飲みだして、なぜか、彼女にからまれる。

 さらに、播磨にも酒を出し、なぜか軽い食べ物や肉ジャガもだしてきた。

 どこでどうなったて、今こうなっているのかさっぱり分からない。
 とはいえ、自分のせいで泣かせてしまったのだからしょうがない…と思う
のだが、実は本当にさっき泣いていたか疑わしくなってきた。

「…はあ、なんでアンタなんかイブを過ごしてんだろ」
 知るか、つーかお前のせいだろ、と言いたかったが。懸命にも播磨は黙って
「…悪かったな」
 とだけ付け足した。

834 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:54 ID:/SaPxn4c

 その後、さんざん父親の愚痴を言った沢近は一通り言い終わったのか、黙っ
てワインを飲みだした。播磨としては、もともと話す話題などないので、同じ
く黙って飲む。
 すると、沢近が話しかけてきた。
「はー…なんかイロイロ言ったらすっきりしちゃった」
「そりゃ良かったな」
「…なんか悪いわね、付き合わせちゃったみたいで」
「気にすんな、こっちはタダ飯、タダ酒もらってんだ」
「そっか」
「おう」

 しばしの空白。

「…アンタ、約束とか、イブの予定とかなかったの?」
「あったらバイトしてねえよ」
 播磨としては天満を誘いたかったのだが、月末で金がない。それならいっそ
正月にかけるべし、とバイトを入れたのだ。クリスマスイブや当日は時給が高
いので、一石二鳥だった。
「そっか…そうよね」
「ま、ホントは…自分の好きな人過ごすのが一番いいんだけどよ」

 ―――クリスマスで大切なことは、
     自分の好きな人と一緒に過ごすことなんだよ―――

835 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:55 ID:/SaPxn4c

 播磨は、自分らしくないつぶやきにはっとしたが、沢近は聞いてない様子
だった。というよりも、彼女の様子が変だった。

「オイ…お前…?」

 沢近は、今度こそ、間違いなく泣いていた。顔は無表情でも、眼から涙があ
ふれている。

 急な事態に、どうしていいか分からない播磨。またしても何かしてしまった
のだろうか。とりあえず、ハンカチを差し出すも、沢近は動かずに泣いている。
 ついで、おい、と声をかけて肩に手をかけると沢近が濡れた瞳で播磨を見る。
 表情が、みるみる崩れていった。

 そして、わっと播磨に抱きついた。

「おいおいおおいおいおおい!!」
 播磨は引き剥がそうとしたが、むしゃぶりつくようにしがみつく沢近。
しっかりと自分の服にしがみついて、わんわん泣いている。無理に引きはがそう
とすれば、首を振ってさらに握り締めてくる。
 仕方がなく、播磨は胸を貸すことにした。

836 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:56 ID:/SaPxn4c

 とりあえず、沢近は泣き止んだ。それでも、未だ播磨にしがみついて離れない。
播磨としては、少し困るのだが、無理に引き剥がすわけにもいかない。
 しかし、なんというか、この俺の両手はどうすればいいんだ、とか、当たって
るんですけど、とか、なんか香り…て、落ち着けい! みたいな感じで一杯一杯。
 そんな播磨を知ってか知らずか、沢近はポツリ、ポツリと自分の心情を
話し出した。

「…ほんとはね、電話したいのよ。そして、お父様のバカって言いたいの」
「…そ、そうなのか」
「ん、アンタが食べた肉ジャガもね、ほんとはお父様のために一生懸命作ったん
だけどね…無駄になっちゃった」
「…そうだったのか」
「…そ、でもね、そんなこと言えない。お父様が私のために頑張ってくれてるっ
て知ってるし、それに、本当に私のことを思ってくれてるのも分かってるから…」
「…でもよ、まだ子供なんだから、親に文句言うのもいいんじゃねえか?」
「…そうかな」
「おう、子供が親に我がまま言うのは義務で権利だからな」
「…そっか」

 フフフ、と沢近は笑った。その吐息が播磨にとってはくすぐったい。

837 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:57 ID:/SaPxn4c
「意外、アンタがそんなこと言って慰めてくれるなんて」
「…今は酔っ払ってんだよ、俺は」
「ふうん…」

 またしても、二人は黙ってしまう。お互いの体温だけを感じる時間が過ぎる。
 しかし、播磨としてはそろそろ限界である。

「おい、そろそろ離れて…」
「イヤ」
 意外な返事を沢近は即答した。
「…あぁ?」
「もう少しだけ…別にいいでしょ」
「…おまえこそ、今日はなんか変じゃねーか」
「私も酔ってるのよ、きっと…」
「…」
 なんだそりゃ、と思いながらも、結局播磨はそのままの体勢でいた。

838 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:59 ID:/SaPxn4c
 どれぐらいたっただろうか、
 もう、いいかげん離れてくれ、と言おうとした播磨だが、当の沢近はというと

 スー、スー

 と健やかに寝ていた。
 おいおい、と思いながらも、引き剥がそうとする、沢近は、
「う、ん…」
 とか言ってなかなか離さない。
 コイツ、ホントに寝てんのか? と思いながらも、ようやくはがすことに成
功する。
 で、どーするよ、と悩んでいると。扉が開く音がした。そこに立っていたのは
ヒゲをたくわえた妙齢の男性だった。
「失礼致します、ワタクシ執事の中村と申します。僭越ながら、お嬢様をご
自室へ運ぶのを手伝っていただけますかな?」
「はぁ」
「では、お嬢様をかつぎください。そして、ついてきてくださいませ」
 そう会釈すると、中村はピシリと動かない。播磨は急いで沢近を抱きかかえ、
扉のほうへと向かう。中村はうやうやしく扉を開けた。

839 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 00:59 ID:/SaPxn4c

 沢近を部屋のベッドで寝かせたあと、播磨が帰ろうとすると中村が立ちふさ
がった。
「もう夜分遅くでございます。今夜はお泊りになってはいかがでしょう?」
 播磨はそこまでは、と遠慮しようとしたのだが
「お嬢様のお客様を、こんな遅くに帰すわけにはまいりません。どうか、わた
くしめの為に泊まっていっていたふだけないでしょうか」
 その後、真摯な態度と丁寧な言葉使いに押し切られ、播磨は結局、沢近邸に
泊まることにした。


 長い廊下を歩いている間、中村がこちらを向かずに話し出した。
「これは、ワタクシの独り言でございます」
 ん? と思ったが、播磨は黙って耳を傾けた。
「お嬢様は、毎年イブとクリスマスのご予定を空けております。ですから、本
日は驚いております。そして、嬉しくも思います。お嬢様が誰かと過ごしたの
は、もう何年になることか」
「召使いや、執事のアンタがいるじゃねえか」
「ワタクシ共は。お嬢様の下僕であって、家族や友人ではありません」
「…」
「ワタクシはあなた様に感謝しております。これからも、お嬢様ろ仲良くして
いただきたく思います…」

 いつのまにか、客室についていた。客室といっても、、ホテルのスイートルー
ムのような豪華さである。
 最初はとまどったが、適応は高い播磨、柔らかいベッドに入ると、すぐに
眠気が襲ってきた。
 ふと、ベッドまどろみの中で考える。あいつは、意外と寂しがり屋なのかもし
れない、と。

840 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 01:00 ID:/SaPxn4c

 ある一室。

「…これはこれは、お帰りなさいませ、旦那さま」
「…ああ」
「どうなさいましたか、ご連絡では今日は無理だとうかがいましたが」
「ちょっと無理をしてきた、すぐに発つ」
「左様でございますか」
「…愛理は?」
「もうお休みなられております」
「そうか、今年も父親失格だな」
「…」
「それで、どんな様子だった?」
「ご友人と屋敷でお過ごしになっておられました」
「ほう、珍しい。一体どんな?」
「トナカイ、でございます」
「…?」
「おそらく、遅刻したサンタクロースの為に、しばしの間、お嬢様のお相手を
していただいたのかと」
「……なるほど…それは有難い」
「…」
「それでは、遅刻したサンタクロースはプレゼントを靴下の中に入れてくるとし
よう」
 中村は、うやうやしく頭を垂れた

841 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 01:01 ID:/SaPxn4c

 そっと部屋に入る、見ればぐっすり眠っているようだ。
 髪を撫でると、少し反応したが、起きることはなかった。

 本当にすまない…

 優しく口付けをして、プレゼントを枕元に置いておく。
 もう一度、顔をのぞく、笑っていた。

「…ん、お父様…?」

 少し、驚いた。
 しかし、寝言のようだ。
 オヤスミ、そして、来年こそ――

 入った時よりも静かに、部屋を後にした。

842 名前:Merry Christmas,my lady :03/12/25 01:02 ID:/SaPxn4c

 朝、なんだかいい夢を見た気がする。どんな夢かは忘れてしまったが、とに
かくいい夢。腕をうーん、と伸ばして伸びをする。あすると、右手になにかが
触った。
 それは梱包された箱だった。赤いカラーに白いリボン。派手さはないが、綺
麗な箱だった。
 一気に眼が覚め、眠気が吹っ飛ぶ。期待で一気に破って開けた。

 中には、可愛い動物のぬいぐるみ、そして一枚のカード
 見覚えがある文字、そしてその内容は――



「さっさと起きなさいよ!」
「…んー?」
 まだ寝ぼけている播磨を揺さぶって起こそうとする。
「ほら、いい加減起なさいってば! もう…」
「んだよ…まだネミーんだよ」
「知らないわよ、そんなこと! はーやーくー起ーきーなーさーいー!」
「ええい、うるせーな、今日は予定はねえからもうちょっと寝させろ…」
 すでに、人の家ということを忘れている播磨。布団をかぶって出てこない。
「あら、アンタ、今日の予定はあるのよ?」
「…ああ?」
 にっこりと微笑むと、沢近は宣言した。
「今日の私はすこぶる機嫌がいいの。昨日のお詫びとお礼を兼ねて、
アンタとデートしてあげる」
「…はぁ?」
「喜びなさいよ? 私が誘うなんてそう…って、ちょっと何寝てるのよ!?」
「うるせぇ! いい加減にしろ!」

 喧々囂々、その後も口論が耐えないようである。
 それでも、数分後には沢近は笑って出てきて、播磨は不承不承で出てきた。
 結果は…まあ、簡単である。

 こうして沢近愛理にとって、数年ぶりに誰かと過ごすクリスマスがやって来た。
 その彼が、果たして父親の代わりなのか、それとも新しい人なのか。
 そして、来年はどうなるのか…?

 それはサンタクロースだって知ったこっちゃないことだ。

843 名前:369で411で519、たまに579で実は703 :03/12/25 01:05 ID:/SaPxn4c
 さりげな旗派な小生。今まで八雲×播磨ばかりだったので、軌道修正ドッコイショー。
 でも、沢近だけの話みたいにになってしまった罠。ド,ドウシヨウ。
 まあ、男女の絡みは前回でおなか一杯、しばらくイラネーヤイ。
 それにしても、後半が少しダレてしまった。ちょっと後悔。
 次は播磨・沢近・八雲の三人の話…かな?

 制作秘話
 その1・野郎二人の奥義のセリフを探すのに時間がかかった。
 その2・執事の名前をギャリソン時田かウォルターかミュンヒハウゼンか迷う。
     が、本編にすでに名前が出てて_| ̄|○

844 名前:483で498で594で668で788 :03/12/25 01:05 ID:ydAGmTPF
チクショウ、自分が書いたヤツが情けなくて見られねえじゃねえか。
お前ら二人とも最高だ!

845 名前:369で411で519、たまに579で実は703 :03/12/25 01:06 ID:/SaPxn4c
追記 ・…誰か技の掛け声のモトネタ分かる人いるかいのう

846 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 01:07 ID:K3H9Qm6R
>>843
凄まじくGJ!!

847 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 01:08 ID:YSgS/IhY
GJ!

>>845
練馬の平和かw

848 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 01:09 ID:xE+ePqMP
>>845
とりあえず、魔人かよ!とツッコンどきますw
孤独なクリスマスが癒されます!
Gj!


849 名前:ebony_and_ivoryの中の人(元607) :03/12/25 01:10 ID:mtoKMyfn
>>843
また引きずり戻されるー。
いや嬉しいんだけど。

850 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 01:12 ID:F2Bvgajy
>843
夜更かしして良かった・・・
GJ!

851 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 01:17 ID:X44uGesN
結構リアルタイムで読んでる人いるみたいね。
>>843
GJ!

852 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 01:17 ID:hrc4WQL0
ウォルターと書いてバトラーと読むんですよね?(何

853 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 01:21 ID:qpttl6jV
一体このスレに何が起きたのでありましょうか……神 だ ら け。

>>813
貴方のSS大好きです。八雲は言うに及ばず、何気にサラの喋り方が可愛くて可愛くて(;´Д`)ハァハァ

854 名前:369で411で519、たまに579で実は703 :03/12/25 01:29 ID:/SaPxn4c
>>853激しく同意。
その可愛いしゃべりをモノにしてみたい…。

855 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 01:37 ID:eoAqC6yw
>>813
すぐbeautiful_nameの中の人だとわかりますた。
つか貴方の八雲&サラはツボです。やっぱ現人神。

>>843
おにぎり喰いながら旗振る俺なんで美味しく頂きまつた。
魔人+エン伝ネタも少し入ってる?
なんにせよ仕事疲れが癒される( ´-`)


856 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 01:40 ID:56KAwbPU
い……いや……体験したというよりは、全く理解を超えていたのだが……
あ……ありのまま、今起こったことを話すぜ
『おれはこのスレのSSを読んだと思ったら、いつのまにか顔がニヤケていた』
な……何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった……
頭がどうにかなりそうだった……
萌え記号だとか安易なエロだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしい萌えの片鱗を味わったぜ……

857 名前:ebony_and_ivoryの中の人(元607) :03/12/25 01:45 ID:mtoKMyfn
>>854
結構簡単ですよ。
漫画やゲームに出てくる英語交じりのヘンな外人に
「極力英語を使わせない」だけです。

858 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 01:49 ID:F0QvVXth
>>857

> 漫画やゲームに出てくる英語交じりのヘンな外人
これに遊戯王のペガサスを想像してしまったのは私だけでしょうか、、

859 名前:766 :03/12/25 01:54 ID:FLARRNIJ
くそう、みんないいSS投下しやがって。
創作欲が刺激されちまうじゃねーか。

しかし、なんでそんな萌えるSS書けるんだろう。
萌え道はかくも奥が深いものか。

860 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 02:14 ID:+MaxMQKj
今、二時間以上かけてこのスレのSSを全部読んだとこだが・・・

こ こ は 神 ス レ で す か ? (;´Д`)

しかもSS投下され始めたのはつい最近!いやはや全く・・・驚愕するばかりです。
>>843
泣きながら播磨の胸にむしゃぶりつくようにしがみつく愛理タン(;´Д`)ハァハァ

861 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 03:24 ID:+MaxMQKj
えーと、ちょっと質問なんだけど、マガスペの方の話ってどっかに収録されるのかな?
今まで見逃してたのが凄い気になるんだけど・・・

862 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 03:34 ID:G2IRwWV+
>>861
マガスペの話は、本編の#ナンバーに対して♭ナンバーになっていて、単行本に2〜3話
ずつ収録されます。現在、3巻までに♭08までが収録されてます。
八雲×播磨派の人のいうおにぎり派というのは、♭11のエピソードからきています。

863 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 03:41 ID:+MaxMQKj
>>862
どうもありがd( ´∀`)ノ

864 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 03:54 ID:GZJkT4sU
お前たち、アホ? バカ?
スレタイ読めないのか?
何で奈良が出てこないSSばっかりなんだ?
激しくスレ違い。ヴォケ。

865 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 04:09 ID:sDVH3TGg
>>864
まぁもちつけ。

866 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 04:14 ID:WLPZ45AQ
ラブはもう十分なのでコメをください。

867 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 04:14 ID:7wtiM54N
>>864
0点
どうせ煽るなら、もう少し上手に煽れよ
駄作のSS作者を徹底的に叩くとか、馴れ合いを叩くとか
味方を付けなきゃスレは上手く荒れてくれないゾ☆
まぁ、精進して出直してくれ

868 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 04:16 ID:qZaBbGFD
>>867
そいつ(>>864)は糞コテの奈良ではないかと推測する。
態々ご苦労なこった(w

869 名前:お絵かき板ではDOM(?) ◆Sa5SBMSRMc :03/12/25 07:00 ID:CbHufBuM
ちと気が迷って奈良くんが主人公のSS書いてしまったよ。
まぁ駄文だと思って暇な人だけ読んでくれ

870 名前:Tu Seras Terriblement Gentille :03/12/25 07:01 ID:CbHufBuM
「美琴ちゃ〜ん ここの問題教えて〜」
「はぁ? まったくこんな問題もわからないのかよォ」
「だって この問題例題にもない問題なんだよ〜」
「どれどれ って、こりゃ中学の復習問題じゃないか!? アンタよくこれでこの学校入れたな」
「ひっど〜い これでも中学の時は八雲に勉強教えてたんだよ〜」

塚本の声が気になる・・・・
夏休みにプールで逢う前から僕は塚本のことが好きだった
塚本は去年の夏の思い出を覚えてるだろうか、僕がはじめて塚本と話をしたあの日の事を

入学してすぐの頃から、クラスでずっと気になっている娘がいた
一目惚れだった。入学式の席で僕は彼女の隣の席に座っていたのだ
「えへへっ 私、塚本天満って言うのよろしくね。」
彼女はすぐにクラスに溶け込んでいった
いや、違う。彼女がクラスの中心になっていた

塚本は男も女も気軽に話せる、話しやすい女の子。だからクラスの中でも評判はよかった
好きな男もたくさんいたのは間違いない
僕の周りの男は「いい友達」と言っているが、休み時間にボーっと塚本を見ている奴は何人もいた
もちろん僕も塚本の事は好きだし、他の男にとられたくはなかった
だけど、僕はクラスでも影が薄い。友達もクラスでは特にいなかったし、休日は別の学校に行った中学の時の友

達とばかり遊んでいた
クラスにもあまり馴染めなかった。いや馴染もうとは思わなかった


871 名前:Tu Seras Terriblement Gentille :03/12/25 07:03 ID:CbHufBuM

4月の終わり頃、僕は塚本と一緒の日直になる日がきた
塚本と誰よりも親しくなるチャンス 僕は普段より1時間はやくおきた
時間をかけていつもは触らない髪を溶かし、少し香水をふった
いつもより30分早く登校、もちろんクラスには朝練をしている部の人の鞄しかなく、真っ黒な黒板には前日の日

直の人が書いた「日直 塚本・奈良」の文字だけがそこにあった
自分の席に座ってじっとその文字を見る。こころなしかその二人の名前が寄り添うように並んでいるように見え


僕は日直日誌を開いて日直者の欄に自分と塚本の名前を書く。塚本の名前を「塚本天満」といれたら、僕の名前

が苗字しか入らなかった。前日までの分をよく見るとみんな苗字しかいれてないようだった、途端に恥ずかしく

なり僕は二人の名前を消した

1人、1人と教室に生徒がやってくる
僕は教室の扉が開くたびに扉のほうを振り返った。だけど塚本はまだこなかった
やがて朝のHRを伝えるチャイムが鳴る。塚本はまだいない
「よーし、じゃあ出席をとるぞー。麻生・・・」
先生が出席をとりはじめる。塚本はもしかして遅刻なのだろうか、彼女は週に1度位遅刻する。もしかしたら今

日も遅刻なのかもしれない
「高野ー、塚本ー・・・・・、おい塚本はいないのか?」
先生が塚本の席を見てクラス中に問いかける。しばらくシーンとなっていたが・・・
「先生、今日の朝電話があってあの子は風邪ひいたらしくて休むそうです」
高野さんが手を挙げて先生に言う
「そうかぁ、じゃあ奈良今日はお前1人で日直になるが大丈夫か?」
「あ、は、はい。」
そうか、風邪なのか
途端に今日の張り切った気持ちが崩れた。自分自身が馬鹿らしく思えた


872 名前:Tu Seras Terriblement Gentille :03/12/25 07:03 ID:CbHufBuM

帰り道、僕は1人で帰っていた。本当は1週間ほど前に友達にでかけないかと誘われていたが断った
「僕は何ひとりで期待してたんだろ・・・・・、馬鹿だな・・・」
自分に嫌気がさしてきた。そしてタイミングを計ったかのように、途端に雨が降りだしてきた
 ザーッ ザーッッ.....
傘も差さずに僕は歩いた。鞄の中に折りたたみの傘が入っているがとりだして差そうとは思わなかった
もう自分がどこを歩いているのかもわからない
僕は歩きつづけた。どこに行き着くのかわからない、知らない景色が僕の横を通り過ぎていく
幾つ目かわからない曲がり角がまた僕の前に迫ってくる

  どんっ
「あっ!?」
 バシャ−ンッ
見知らぬ女の人にぶつかった、急の事で僕は地面の水溜りに尻餅をつく
「あっ スイマセン ぼーっとしてて...」
僕は謝る。非はこっちにあるのだから
「そ、そんな、私のほうこそ急いでいて。それより大丈夫ですか? 今ので泥だらけになったんですけど・・・


女の人が手に持った傘を僕の上に掲げて頭をさげる、よく見るととても綺麗な人だ
こんな綺麗な人は今まで見たことない。まるでテレビの中の芸能人が抜け出してきたみたいだ
こんな自分と気軽に話すような相手じゃない、僕は途端に恥ずかしくなってきた
「あっ はい。だ、大丈夫です、では失礼しま」
「待ってください!」
立ち去ろうとする僕の手を女の人が掴む
「あの・・・」
女の人はそのまま僕の頭上に傘を掲げ
「私にも原因がありますから。家がそこなんで洗濯とアイロンかけさせてもらえませんか」
「え・・」
僕は彼女の真剣な眼差しに断る事ができなかった


873 名前:Tu Seras Terriblement Gentille :03/12/25 07:04 ID:CbHufBuM

「家はここです。どうぞ」
「し、失礼します」
僕は彼女の案内する家に入った
彼女に肩を抱いてもらい、恥ずかしくてずっと地面と睨めっこしながら歩いていると2,3分で家に辿りついた
「今からすぐ洗濯して乾かしますから、お風呂に入ってもらえませんか?」
「は、はぁ・・・・」
他人の、しかも見知らぬ綺麗な人の家のお風呂。僕は濡れた服を脱ぐと、恥ずかしくなってトランクスを持って

風呂場にはいった

「急いでしますから。時間のほうは大丈夫ですか?」
「あっ はい。大丈夫です。すいません気遣ってもらえて」
僕は、体を温め脱衣所から女の人の気配がなくなるのを確認すると風呂場をあがった
「でも、着る物がないぞ。どうしよう」
そうだ、服は洗濯して今は洗濯機の中で回転している。今の僕はパンツ一丁だ
「あれ?」
バスタオルの横に男物のシャツとジーンズが置いてある
『服はまだ乾かないのでこの服を着てください』と書かれた紙が添えてある
「ここの家の人の服かな? でも着る物ないからせっかくだから着させてもらおう」
僕はジーンズを穿きシャツをきる。シャツからはうっすらとタンスの匂いがした
「ありがとうございます。わざわざ」
僕は脱衣所をでて女の人のいるであろう 家のリビングに向かった


874 名前:Tu Seras Terriblement Gentille :03/12/25 07:06 ID:CbHufBuM
「ごめんなさい あと1時間もあれば渇くと思いますから」
女の人は頭を下げながらおかわりのコーヒーを僕にさしだしてくる
「い、いえ」
僕もペコペコ頭を下げながら彼女のいれたコーヒーを口に含む
やがてどちらも喋らなくなり、乾燥機の廻る音だけが部屋に響く
さっきから、これの繰り返しだ。彼女はどうやら無口なほうらしい。あまり自分から話すのは苦手といった感じだ
僕も自分から話すのはあまり得意ではない。それにこんな綺麗な人と話したことがないから心臓はずっとバックンバックン鳴りつづけている

 グォンッ グォンッ グォンッ グォンッ

乾燥機の音が響く。そう言えば・・・彼女はそわそわしている
時間を気にしているようであったり、10分に1回くらい乾燥機の様子を見に行く
もしかして何か急ぎの用事でもあるのだろうか?
そういえば、僕にぶつかった時も彼女は急いでたみたいだし・・・
もしかして、今僕相手にこんな事やってる場合じゃないのではないのだろうか。そうだとするととてもすまない気持ちになる
「あのー少し聞いていいですか?」
「はい?」
「あのー、もしかして何か急用があったとか、ないですよね・・・?」
「いえ、急用ってほどでは・・・・」
そう答える彼女の瞳は、だけど急いでいたというのを物語っていた
「もしよければ教えてもらえませんか? ここまでお世話になりながら黙って帰るのは申し訳ないので・・・」
「は、はあ。」
彼女は「反しても問題ないか」という顔で僕に事情を話した


875 名前:Tu Seras Terriblement Gentille :03/12/25 07:14 ID:CbHufBuM
一番下の行

「反して」⇒「話して」

です。間違えました

876 名前:Tu Seras Terriblement Gentille :03/12/25 07:15 ID:CbHufBuM

彼女はこの家から徒歩15分ほどの場所にある公園に姉を迎えに行くつもりだったこと
姉は風邪をひいてるのに外にでかけたこと
公園には公衆電話があってそこから電話をかけてきて今は屋根のあるベンチで待っていること

「そうですか・・・。でも何で風邪をひいているのに公園へ?」
「友達にノートを借りてて返しに行ったらしいです」
彼女はため息をついた。あきれているというよりは「こんな状態でも律義なのだから・・」といった表情をしていた。それを見て二人は仲のいい姉妹なんだな、と思った
でも、そうなると1時間以上待たせている事になる。幾ら雨を防げる場所にいるとはいえ風邪をひいた人間が長い間待つのは体に良くない。ましてや濡れて帰ってきたりしたら・・・
「その公園まで、僕が迎えに行きますよ。お姉さんを」
僕は決めた。彼女の話ならその公園まではここから真っ直ぐだ。こんな天気で公園に公園のベンチで座っている女の人なんて何人もいないだろう
「えっ でも・・・・」
「今すぐ迎えにいかないとお姉さんの風邪がひどくなるかもしれません。それに・・・、僕がこの家に残るわけにもいかないし、もしかしたらお姉さんから電話かかってくるかもしれないし、ここから15分ほどなら僕でも迷わないだろうし、それに、えっと、それで・・・」
なんだか自分で言ってて恥ずかしくなってきた。彼女はじっと僕の目を見て、僕の一挙一動を見つめるからだ
「・・・はぁ」
彼女はどうやら押しに弱い性格のようだ。最初は半ば強引に家に連れてこられお風呂に入らされ、彼女は自分の意見を中心にする人だと思っていたが、違う。彼女は本当は誰にでも優しい人なんだ
(この美人さでこの性格ならモてるだろうなぁ)
僕はさっそく彼女に公園への道のりを教えてもらった。家から約1km、大丈夫これなら迷わずいける
「すいませんけど、お願いします」
彼女は玄関で僕に深く頭を下げる
「い、いいですよ。僕も服を乾かしてもらっているんで」
僕はもう何度目かわからない恥ずかしさをごまかすため駆け足で家をでた


877 名前:Tu Seras Terriblement Gentille :03/12/25 07:15 ID:CbHufBuM

公園へはすぐに辿り着いた
家を出て5分ぐらいだろうか。ずっと走ってきたからだろう、ジーンズの襟はびしょびしょに濡れていた
(借り物なのに・・・、戻ったら謝ろう)
僕は公園の入り口のを抜け、ベンチがあるであろう遊具置き場に向かった
公園に入ってはじめてわかる、この公園は広い。木が生い茂り、林道が入り口からいくつにもわかれている
「すーいませーん、ええっと・・・・・お姉さんはいますかー?」
自分でも間の抜けた事を言っているなと思った。今更だが姉妹の名前も、苗字すらもしらないのだ
「くそっ せめて家の表札を見てきたら・・・」
僕はそう毒づいて林道を抜ける、すると・・・・
「あっ!」
女の子
女の子がベンチにうつ伏せになって倒れている。背格好は中学生みたいでとてもあの人のお姉さんには見えないけど、恐らくこの子が探していたお姉さんだろう
「だ、だいじょうぶですか!?」
僕は急いで駆け寄る 女の子は肩を震わせながら「ハアハア」とつらそうな声をあげている
僕は横に座り、後ろから彼女の両肩を持ってゆっくり持ち上げる
「あ、あのすいません。僕、妹さんから頼まれて」
「ハア、ハア やく、もに・・・?」
彼女がゆっくり肩を上げながら返事を返してくる。よかった意識はちゃんとあるようだ
「やくも? 妹さんの名前かな? 偶然ぶつかっ・・・」
伏せていた彼女が振り向いた・・・・
顔を赤くして、汗で濡れた前髪が顔を半分おさえているが、この顔は


878 名前:Tu Seras Terriblement Gentille :03/12/25 07:16 ID:CbHufBuM
「つ、塚本!?」
「ハァ ハア な、奈良・・・・く、ん・・・?」
一瞬何がなんだかわからなかった
塚本は今日風邪で欠席していて
僕は帰る途中に知らない女の人とぶつかって
その女の人の姉が風邪なのに公園で待っていて....
え? ええええええ?
じゃあ あの女の人は塚本の妹!? じゃあ ぼ、ぼくは塚本の家のお風呂に!!
「な・・・・・なら君、だよね・・・・、どうし、て・・こんなところ、に?」
「えっ あ、ああ、えっと。実は偶然僕がここに向かおうとしてた妹さんにぶつかっちゃって・・」
「そう・・、なんだ・・・・・」
「うっ うん、ごめんね僕のせいで遅れて。それより立てるかい?」
「うん・・・・、だいじょ」
  ズルッ
僕の手を離れて起き上がろうとした彼女の体がすべる
「あ、あぶない!」
急いで手を伸ばして彼女が倒れるのを止める
「ふー。」
「ごめん・・なさい・・・」
彼女が小さな声で言う
「いいよ。それより、ずっとここにいたら風邪がひどくなるから。僕の背中に乗せるよ、いい?」
返事も待たず僕は彼女に背をむけ、両腕を後ろ手に掴む
「えっ・・・でも、・・・傘させないんじゃ・・・」
「大丈夫、それくらいできるから」
僕は彼女を半ば無理やり背負い彼女の頭が添えられている肩の反対側の首に傘をたてかけて差した
「わぁ・・・すごい・、器用だね・・・奈良君」
「大丈夫だよ。病人は家までおとなしくしてるんだよ」
「うん・・・・・」


879 名前:Tu Seras Terriblement Gentille :03/12/25 07:17 ID:CbHufBuM
帰り道―
 ザーッ 
雨は降りつづける
地面には土で汚れた水溜りが広がり
遅咲きの桜の花が雨にうたれ少し寂しい色の花びらを降らす
僕は黙っていままで来た道を歩いていた
背中からは塚本の心臓の音が聞こえる
首元に一定感覚であたる呼吸が、彼女の体温が普通の人よりはるかに高い事を知らせる

「ねぇ・・・、奈良君・・・・私・・・、重くない?」
「大丈夫。全然重たくないよ。塚本って痩せてるんだな・・・」
「・・・・・・・」
実際、彼女は軽かった。風邪のせいもあるかもしれないが背中に感じる彼女の体重は全く負担に感じなかった
まるで、小学生をおんぶしているみたいだ、本人に言ったら文句言われるだろうけど
「・・・・奈良、君?」
「どうしたの? 体調悪い?」
「ううん・・・ちがうの、ごめんね・・・今日・・・わたし、奈良君と、日直だったのに・・・・」
「えっ あ、ああ 大丈夫だよ。どうせ大した仕事じゃないし。それよりも今日はちゃんと布団で休むんだぞ」
「う、うん・・・・ありがとう」
そうか。塚本は今日日直だった事覚えてるんだ・・・、それが少し嬉しかった
やがて彼女の家が見えてくる
玄関の見えるところまで近づくと近づくと、家の表札がハッキリと見えた。表札には『塚本』と書かれていた
「ここ、でいいんだよな。塚本の家は」
彼女が肩から顔をあげる、体温を通じてその動きが伝わる
「うん・・、そうだよ。・・・ありがとう」
安心したような声、そして
「姉さん!!」
玄関からあの女の人−塚本の妹さんが出てくる
「あ・・、やくもぉ・・・・ただい、ま」
「ね、姉さん あ、あのすいません 姉さんを部屋へ運ぶのを手伝ってもらえますか!?」
「え、ええ」
出あった時と同じ強引さで僕は彼女を背負ったまま部屋まで連れて行かれた・・・・


880 名前:Tu Seras Terriblement Gentille :03/12/25 07:17 ID:CbHufBuM
結局、塚本は3日学校を休んで4日目には何事もなかったかのように登校した
僕が2日目に彼女の見舞いにいった時は彼女はおでこに氷嚢を載せて眠っていた
今はあの時の面影もなく元気にクラスのムードメーカーの彼女がここにいる
「あっ 奈良君 この前はありがとねー 八雲もお礼言ってたよー」
彼女が休み時間にかけよってきて僕の手を掴む
「あ、うん。でも元気そうでよかったよ」
それから塚本は僕の手を何度も上下にぶんぶん振りながら「ありがとう」と言った
クラス中の視線を浴びて少し恥ずかしかった。でもこの恥ずかしさは、とっても気持ちが良かった
「おい、お前塚本と何があったんだよ?」
「えっ 何何? 逃げるなよ奈良〜」
いままでただの同じクラスの人だった人たちが僕に話し掛けてくる。少し、クラスに馴染めた気がした


あれから1年以上たった
時間と共に塚本と話す時間、塚本との話題は減り、僕はクラスで仲のいい男子とばかり交流を持つようになっていた
よく考えると、進級してからもプールで逢うまで一度も塚本とは話をしてなかった
それはたぶん、彼女が好きだから、恥ずかしがり屋の僕が話をできなかったんだろう、いやそうに違いない!
明日は塚本たちと海に行く
おそらくこの旅行が一番のチャンスだろう
いままで隅っこで我慢していた自分をもっといい自分に、自分の望む自分に
「よし、僕は決めるぞ。塚本は播磨君も狙ってるみたいだからな、絶対負けないぞー!!」
僕は旅行バッグの紐を閉める、明日こそは、明日こそはきっと・・・


きっと#41あたりに続く・・・・・

881 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 07:26 ID:CbHufBuM
奈良SS キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!





と自演しときます
へたれな文章で愚民なさい

882 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 07:34 ID:2edcZLIm
GJ リアルタイムで読ませていただきました。

そして
-奈良は-
2度と物語の中心へは戻れなかった・・・。
エキストラと脇役の中間の生徒となり
一年間2-Cをさまようのだ。
そして ストーリに絡みたいと思っても絡まらないので
-そのうち奈良は 考えるのをやめた。

883 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 07:42 ID:7W8q8vnN
GJ!乙!


と言いつつも奈良が主人公なのに激しく違和感がw

884 名前:お絵かき板ではDOM(?) ◆Sa5SBMSRMc :03/12/25 07:48 ID:CbHufBuM
ありがとう藻前等。・゚・(ノД`)・゚・。
つか、txtを貼ったからだいぶずれてるな・・・

最期にちとネタバレ(ほとんどの人には意味がわかりません)

お絵かき板ではDOM(?)#けい
お絵かき板ではDOM(?) ◆Sa5SBMSRMc

885 名前:お絵かき板ではDOM(?) ◆Sa5SBMSRMc :03/12/25 08:02 ID:2edcZLIm
奈良んちゃ

886 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 14:03 ID:jT5J5mhH
お前等時代を先取りしすぎだ。まだ、沢近も八雲も……

887 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 14:58 ID:CepAXU4z
そうだよな、良く考えたら奈良は天満とくっついても何の問題もないんだよな。

888 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 15:01 ID:1i0dsEfO
そうだよな、良く考えたら奈良は麻生とくっついても何の問題もないんだよな。

889 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 15:08 ID:U1Kbzm1d
そうだよな、良く考えたら奈良は伊織とくっついても何の問題もないんだよな。

890 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 15:18 ID:2edcZLIm
そうだよな、良く考えたら奈良はメカ沢近とくっついても何の問題もないんだよな。

891 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 15:27 ID:O6dKadjo
そうだよな、良く考えたら奈良は天満とくっついても何の問題もないんだよな。


892 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 15:33 ID:CepAXU4z
クリスマスなのに暇な奴らめ・・・(;´Д`)

893 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 16:51 ID:3IXxOg3n
うー、海!海!

今塚本との接点を求めて旅行に来ている僕は
2年C組のごく普通の男の子
しいて違う違う所をあげるとすれば、全然目立たない所カナー
名前は奈良健太郎

そんなわけで旅行先にある
旅館のトイレにやって来たのだ

ふと見ると
ベンチに一人のヒゲが座っていた

ウホッ!いいグラサン…

ハッ

そう思っていると突然その男は
僕の見ている目の前で
突然服を脱ぎはじめたのだ…!

ジジー…

やらないか

そういえばこの旅館には播磨君も一緒に来ているのであった
不良に弱い僕はホイホイ付いていってボコられちゃうのだった

894 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 17:02 ID:Esje6Jb4
いまいち

895 名前:三巻中盤あたり :03/12/25 17:15 ID:aKd1xpAC
アーーーアーーーー
アローアロー聞こえますかーーー
海へ旅行予定のミナサマ コンニチワーッ アローッ
どうしようもない 本来なら主人公キャラのくそ・・えっと 奈良ちゃんもきいてますかぁ?
僕様チャンたちの名前は播磨兄弟ーーーッ
兄の拳児でーす 始めましてー よーろーしーくーねー
こちらはただ今誤解で根にもたれてる真最中ゥ
金髪お嬢の怒りの視線を虚しく避けてまーす

今からブッ潰しに行くぜ
小便すませたか? 神様にお祈りは? 友達のケガで中止になった事を相談をする心の準備はOK?

まぁ 代わりの人を呼ぶ時間はあるかもしれないから呼べば? オススメ
じゃあねーッ 天満ちゃん愛してるよーッ ブツッ ザッザーッ

896 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 17:22 ID:2edcZLIm
奈良健太郎って名前が嫌われる一番の要因だな

吉野健太郎にしてたらここまで嫌われることは無かった!間違いない!m9( ・∀・)

897 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 17:25 ID:aKd1xpAC
>>896
健太郎といったら矢吹だと思うがどうだ?

898 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 17:26 ID:2edcZLIm
知欠にしたら余計荒れるだろw

899 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 17:32 ID:ee7hMDQx
建太郎ならベルセルクでいい感じなのだが……

900 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 18:59 ID:UMbFNAt9
お前等、奈良を舐めるな
駅前の行基像前で待ち合わせして何が悪い
奈良ファミリーにいけばなんでも買えるんだぞ

901 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 19:29 ID:zU973pc1
>>897 竹熊健太郎がいちばんに思いつく

902 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 20:06 ID:OpmoDden
>>895の元ネタってあるの?

903 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 20:07 ID:aKd1xpAC
>>902
ヘルシング二巻です

904 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 20:07 ID:jeV/i9OV
>>902ヘルシング

905 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 20:13 ID:83CI5fE0
このままスレ移行するのはもったいないので、誰かまとめページつくらんかい?
俺?天満分が18足りんのでムリ。

906 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 20:32 ID:GrBw3jCY
分校に行け

907 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 21:39 ID:Z7j3jh0d
花井ってあれだけマメで頼りになるんだからモテないわけ無いよね。

908 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 21:43 ID:2edcZLIm
だから、黙ってたら文句ないみたいなこといわれてたろ

909 名前:Not Logic, But Magic. :03/12/25 23:05 ID:ydAGmTPF
「恋愛というのはだな、いいか周防、ロジックじゃなくて――」


 シュン、と風を切る音が道場に響く。花井春樹、今日も朝から稽古である。
クリスマス、という祝祭のせいか、普段はちらほらと人影の見えるその場所も
今日は彼一人である。
「……ふう」
 一通りの型を終え、息をついたその矢先。
「あれ?いたんだ」
「周防か」
 胴衣姿の美琴が入り口に立っていた。目的はどうやら同じらしい。
「お前も暇だなぁ、せっかくのクリスマスだろ?誰かとどっかに行きゃいいのに」
「その言葉をそのまま返してやろう」
 それにな、と無駄に胸を張る花井。
「僕には八雲君とデート、という素晴らしい予定があったのだ!」
「……どーせ断られたんだろ」
「甘いな。彼女は『また今度……』と言ったのだ。いささか消極的ではあるが
肯定には違いあるまい」
「あたしにゃ消極的否定に聞こえるけどね……」
 そう言い合いつつも、自然と試合の間合いを取る二人。別にけんかをちようと
いうわけではない。二人がいてここが道場であるのなら、幾度となく拳を交えた
仲である、当然の結果だ。
「こりないね、まったく」
「僕が八雲君を想う気持ちにやましいところなど一つもない。何を恥じる必要がある?」
 向かい合って言う。
 次の瞬間、美琴は動いた。
「――怖くないの?」
 何が、とは言わない。
 その問いかけと同時に、流れるような動作で拳を突き込む。
 が。
(ふむ。迷い、か)
 らしくないな、と思いつつ、花井はその腕をあっさりと捌ききる。
「……っ」
 体勢を崩す美琴の無防備な姿。一撃で勝負は決する。しかし、花井はそうしなかった。
「知っていると思うが、八雲君は姉の塚本君と違ってすこぶる消極的だ」
 まあ彼女も彼女で問題なしとは言えないが、と付け足す。
「……それが?」
 へたり込んだ恰好のまま聞き返す美琴。
「それ自体は決して悪いことではない。むしろその奥ゆかしさがだな……いやそれはいい。
ともかく、だ。もう一度言うが、それは悪いことではない。だがな」
「それだけじゃ、ダメ?」
 うむ、と頷く花井。

910 名前:Not Logic, But Magic. :03/12/25 23:07 ID:ydAGmTPF
「時間をかければ誰しも彼女がそういう人間であると分かるだろう。しかし、世の中には
その時間さえ惜しむような連中が存在する」
 残念ながら、な。それは自分をも戒める言葉のように美琴には聞こえた。
「だから僕は彼女の答を聞きたいと思っている。例えそれが否定でも、だ。彼女が誰かの
ことを想っているというのであれば、協力もしよう」
 それがあの男だとしても、というのはさすがに口には出さない。
「……花井はさ、いいの?それでも」
 心なしか震えているその声に気がつかない振りをして、花井は続ける。
「もちろん肯定にこしたことはない。だがな、それ以上に僕は彼女に答を出して欲しい。
ひどく些細なことかもしれないが、変わってもらいたいと思っているんだ、彼女に」
 美琴の目を見つめて言う。
「恋愛というのはだな、いいか周防、ロジックじゃなくて――」
 一呼吸。
「――マジックなんだ」
 人は誰でも変われるんだ、自分の意思で。
 そう締めくくった。
「……」
 肩を振るわせてうつむいている美琴。
「どうした?まさか……」
「く、は、あははははは!」
「お前な、人がせっかく人生の教訓をだな」
「あー、悪い悪い。いや、お前がそういうこと言うなんて全然思ってなかったからさ」
 涙目で笑いつつも、そこにはいつもの美琴の姿があった。
「前から思っていたんだがな、一体僕のことを何だと思っているんだ」
「だから悪かったって言ってるだろ」
 と、そう言ってから、そうだ、と手をポンと打つ美琴。
「ためになる話を聞かせてもらったお礼。今日一日付き合ってあげるよ」
「何?だいたいお前、稽古をしに来たんじゃ……」
「いーからいーからそんなの。ホラ行くよ!」
 先ほどの弱気はどこへやら、完全復活の美琴の姿。
(単純と言うか、まったく……)
 苦笑混じりにそんなことを思う花井。
「分かった。今行くから待ってろ」
 着替え終わって表に出る頃には、既に時刻はお昼前。
「さ、半日しかないからね。遊ぶぞ!」
「ほどほどにな」
 まあこんなクリスマスも悪くはないかな。
 そう思う二人の姿がそこにあった。

おしまい。

911 名前:483で498で594で668で788 :03/12/25 23:08 ID:ydAGmTPF
八雲・沢近は昨晩素晴らしすぎるものを見せていただいたので、自分はちょっと離れて、
と思ったら、なんだか上のレスとシンクロ風味。
そしてなんか花井が変に……

912 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/25 23:26 ID:88X95n8a
(・∀・)イイヨイイヨー

913 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 00:20 ID:cJFrgsh+
グッジョブ。
この二人って、ずっとこういう感じの付き合いをしていくんでしょうなー。
例えそれぞれ別の人間とくっついたとしても。

914 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 00:59 ID:XjwxTX0V
ここは神がいっぱいですね

915 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 01:20 ID:G9AVWvKh
>>897
まあ、俺も奈良といったら「幕張」のアレを思い出すクチだが。

916 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 01:28 ID:ieg8FvCZ
>911
マターリさせていただきました

次はもっと二人のらぶな話も見てみたいな

917 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 01:29 ID:rvfmjEUb
奈良県☆太郎

奈良のためにPNを考えてやったぞ。

918 名前:奈良県☆太郎 :03/12/26 02:15 ID:KchRnjys
・・・・・・夢・・・だったんですよ・・・ 僕に残された・・・ 最後の道・・・ 
・・・スレッドをね・・・ 立てたんですよ・・・
それで少しだけ有名になって・・・ どこかで
あの娘・・・昔 好きだったあの娘が偶然 2chの落ちる寸前にある僕のスレをクリックして・・・・・・
「変なの」ってほんの少し笑って・・・
それだけで幸せだったんです・・・
幸せだったんですよ・・・僕は・・・・・・

・・・・・・H・Nは・・・
奈良県☆太郎・・・・・・
2チャンネラーが・・・面白がって呼べるように・・・・・・

919 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 02:21 ID:gbYJ6u3f
>>918
最後の道も無残に散ったんだな…

920 名前:影薄帽子 :03/12/26 06:15 ID:wenblKvn
昔々あるところに、奈良健太郎というとても影の薄い男がおりました。
あまりに影が薄いため、健太郎を育てているお爺さんやお婆さんは、すぐ傍に健太郎がいるのに
「お婆さんや、健太郎はどこにいるのかね?」
「さあ、わかりません。
 きっとどこかに出かけているのでしょう」
と話し出す始末。
これを聞いた健太郎、親にこうまで思われるとはあまりに悔しいと、家を出ることにします。
刀と路銀をお爺さんとおばあさんにもらい、そうして、後ろ髪を引かれつつも健太郎は旅に出たのでした。


旅を続けているうちに、健太郎はある噂を聞きます。
なんでも、頭を丸めた体の大きな天王寺という名の鬼が出ゴマの小槌という物を持っていて、それがあると、脇役は存在感が増し、出番も増えるらしいという話です。
それを聞きつけた健太郎、鬼は怖いが、出番は欲しいと、勇気を振り絞り、その鬼のいる島へと船を出しました。

921 名前:影薄帽子 :03/12/26 06:18 ID:wenblKvn
その島にたどり着いて健太郎が目にしたのは、数多くの返り討ちにされたモブキャラの死屍累々でした。
健太郎はこれに怯え、やはり帰ろうとします。
しかし、どこからか健太郎が来たのをかぎつけたのか、どしんどしんと地響きを立てながら、天王寺がやってきてしまいました。
健太郎は、鬼を見た瞬間に体が竦み、もはや逃げるところではありません。
ガクガク((((;゚Д゚)))))))))ブルブル
しかし、天王寺は健太郎のすぐ傍に来てもいっこうに何もしようとしません。
「おかしいな。
 また、新しい喧嘩を売りに来たやつが来たのかと思ったんだが」
そう言いながら、天王寺はいぶしげに首を傾げます。
これを聞いた健太郎の心境を一言で表すのなら
キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
です。
そう、健太郎のあまりの影の薄さに、天王寺は、その存在に気付く事ができなかったのです。
そうとわかれば天王寺など怖くはありません。
健太郎は天王寺の後ろから「エイヤ」とばかりに殴りつけます。
何度も何度も殴り続けます。
これには参った天王寺。
「お化けか、お化けなのか!?」
と、恐れおののき、持っていた出ゴマの小槌を始めとし、杖、ムチなど何から何まで打ち捨てて、島の北西、ビキニの水泳パンツを売っている極楽浄土へと逃げ出していきました。

922 名前:影薄帽子 :03/12/26 06:21 ID:wenblKvn
ようやくこれで出番がもらえる。
健太郎は出ゴマの小槌を前にし、感無量のあまり、涙を流しています。
そして、涙をぬぐい、さあ、と出ゴマの小槌を拾おうとすると、既に
その姿はありません。
どうしたことだと辺りを見回すと、かわいらしい女の子が小槌を持って、嬉しそうにクルクルと小躍りしている姿が視界に目に映りました。。
「わーい、これで烏丸君と一緒の話がもっと増える♪」
「ちょ、ちょっと待って!!」
焦りながら女の子に声をかけるが、女の子はそれに気付く様子はなく、どうやら彼
女が乗ってきたらしい船へと乗り込み、そのまま去っていきました。
「ああ、さっきは影が薄いことが役に立ったのに……」
そう言い、健太郎は先程とは違う涙を流しながら、真っ白に煤けていったのでした。
その後、この話から影薄法師と呼ばれることになった彼がどうなったかは、その影の薄さからいっこうに知ることは出来ないそうな。



ちなみに、全然脇役じゃない女のにに拾われた出ゴマの小槌を方はというと……
「もーなんでわざわざ危ないって言う島にまで、出ゴマの小槌を取りに行ったって
 いうのに、烏丸君との話が全然出ないのよー!!」
「姉さん、ちょ、ちょっと落ち着いて……」
「もうこんなもんこうだー!!」
「あっ!」
ひゅ〜〜〜〜〜ぽとん。
「あれ、なんだ、これ。
 そうだ、ちょうどじいさんの肩叩きにちょうどいいかも。」
これを拾ったのは誰か、それも依然として知られていない……

923 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 06:33 ID:wenblKvn
ごめん、改行失敗してる_| ̄|○
ヽ(`Д´)ノ読みにくいよ!ウワァァン


924 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 10:05 ID:LOcIl8pf
GJだけど奈良の話は華が無いからもうおなかいっぱい

925 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 15:09 ID:5Lr3sy9D
                 , ..:::´:  : : :.:.:.:.: : :.:.:.:.:.:.::.:.::::::.:.\
               ,..:´::.:.: : :     . .:.:. . .    : :.:.:::.::ヽ
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             〃//:::::::.:.:.:::/::::::::/:::::::::::::::::.::.:.:: :  :.:.:.: ::',
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ ///:::::::::::::::::::/l::::::〃:/l:::::::::i:::::::::.:.: :  :.: : :.:!
             レ':/:::::/:::::::::,へ|::/ //  !::::::ハ:::::::i:.:.: : :  : :.:.l
   >>1    え   {l l||:::/::::l::::/ ぇレ\l|    !::l| l|::::ll::.:.:. : : . : :.:.l
             | { {/レ1ハ/ / ,_)::::lヽ   Nj  !|::::!|:::||:.:i:.:.:.:::::/
    さ    ら    | /:::::l{hl| {  {L_::j     テ〒ミ、ラll:::l::.:.:::/〉
             | /:::/:yヽj   ゞ='       ,ヘ)::::lヾ} !::l|::::/_/ ̄ヽ
    ん   い   /:::/::/::::::|  ::::::   ,    lヒ=ン } l|/l/:::l``ヽ:::',
            ./:::::::〃::::l:::',            ` ̄´ /リイ::::::i:::!  }:::}
    !      /:::://_ム__.ヽ   f⌒ヽ        /i:::::|::::::l:::l  j:::j
\__________, --y'⌒ヽ´ ̄ヾ`ヽ  /\   ノ    , ィ'´:::::::l|::::l::::::l::::!. ノノ
    , ---7  /     ヽ  ヽ ゙、    ー─ァ"「ト、 /:::::::j|:::::!:::::l:::::l ´
   ノ   l  (⌒ ー' / |   ヾ.、        /  j | \:::/ !::::|:::::|::::::!
  厂l   |  `r一"  l    ヽ\    /   //    Yl::|::::'::::::!::::i:|
  ! |   |   j,     ゝ、    \`ヽ、__,//    }|::|::::::i:::::!:::l::!
  | {    {   )_      ヽ ..__  `ー─一'     /::!::l:::i:::|::::l、:}::}
  ゝ_ゝ‐一' ̄ ̄  `‐- ∠    ))         | /::/::/l::|:::l::::!}:}::!
    \         | !`ー‐''"  ∩ ∩      !/::/::/ /:j::::l、}ノl:{
      `ーァr-─‐--1 j  /    l l  | |     |::/::/ /::/::::l }:l l:|
       /,イ| |   //_/      ! !__」 l      !;'::/ /::/:::::/ l:| |:!
      {l | !|ゞニ ,/´      /:::::::::::::ヽ   /::::/ /::/::::/  !|  !|
      リノ{l| l; |}        (::::::::::::::::::::::)/:::::/ /::/::::/   ノ! ノl
       ノl  /          ー---‐ァ'::::::/ /::/::::/   ノ ( }



926 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 15:54 ID:OK/QtDH0
                 , ..:::´:  : : :.:.:.:.: : :.:.:.:.:.:.::.:.::::::.:.\
               ,..:´::.:.: : :     . .:.:. . .    : :.:.:::.::ヽ
              /::/::.:.: : : . : :.:.:.:.:.:::::::::::::.:.:.: : : .  : :.:.:.: ::',
             〃//:::::::.:.:.:::/::::::::/:::::::::::::::::.::.:.:: :  :.:.:.: ::',
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ ///:::::::::::::::::::/l::::::〃:/l:::::::::i:::::::::.:.: :  :.: : :.:!
             レ':/:::::/:::::::::,へ|::/ //  !::::::ハ:::::::i:.:.: : :  : :.:.l
   >>1    エ   {l l||:::/::::l::::/ ぇレ\l|    !::l| l|::::ll::.:.:. : : . : :.:.l
             | { {/レ1ハ/ / ,_)::::lヽ   Nj  !|::::!|:::||:.:i:.:.:.:::::/
    さ    ロ    | /:::::l{hl| {  {L_::j     テ〒ミ、ラll:::l::.:.:::/〉
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    ん   い   /:::/::/::::::|  ::::::   ,    lヒ=ン } l|/l/:::l``ヽ:::',
            ./:::::::〃::::l:::',            ` ̄´ /リイ::::::i:::!  }:::}
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\__________, --y'⌒ヽ´ ̄ヾ`ヽ  /\   ノ    , ィ'´:::::::l|::::l::::::l::::!. ノノ
    , ---7  /     ヽ  ヽ ゙、    ー─ァ"「ト、 /:::::::j|:::::!:::::l:::::l ´
   ノ   l  (⌒ ー' / |   ヾ.、        /  j | \:::/ !::::|:::::|::::::!
  厂l   |  `r一"  l    ヽ\    /   //    Yl::|::::'::::::!::::i:|
  ! |   |   j,     ゝ、    \`ヽ、__,//    }|::|::::::i:::::!:::l::!
  | {    {   )_      ヽ ..__  `ー─一'     /::!::l:::i:::|::::l、:}::}
  ゝ_ゝ‐一' ̄ ̄  `‐- ∠    ))         | /::/::/l::|:::l::::!}:}::!
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      `ーァr-─‐--1 j  /    l l  | |     |::/::/ /::/::::l }:l l:|
       /,イ| |   //_/      ! !__」 l      !;'::/ /::/:::::/ l:| |:!
      {l | !|ゞニ ,/´      /:::::::::::::ヽ   /::::/ /::/::::/  !|  !|
      リノ{l| l; |}        (::::::::::::::::::::::)/:::::/ /::/::::/   ノ! ノl
       ノl  /          ー---‐ァ'::::::/ /::/::::/   ノ ( }


927 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 17:42 ID:NFZ60rhD
キャンプ編の天満かわいいよなー。もう全てが。

928 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 18:23 ID:yWYSD+sr
>>927
禿同。
あの時の天満はなんかすげー萌えた。
床屋でマガジン読んでたんだけど、いつのまにかニヤけてて主人にニヤケがバレてるか心配だった。



バレてた。_ト ̄|   −=≡●

929 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 19:19 ID:hDyMx9nx

.∵     ○ ノ
 ':.    | ̄
_| ̄| / > −=≡●




930 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 19:28 ID:nlFhZpBB
出ゴマの小槌って初めて聞いた。
打ち出の小槌じゃなかったっけ?

931 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 19:39 ID:H4jEmHBt
>>930
マジレスすると「出るコマが増える」という意味から「出ゴマ」となっているのだと思われ

932 名前:882&918 :03/12/26 19:57 ID:KchRnjys
今のところ俺の作品が最優秀だな、いくらSSスレになったといっても奈良のことを書いてるし。
で、いいアイディアもらったので改ver

-奈良は-
2度と物語の中心へは戻れなかった・・・。
エキストラと脇役の中間の生徒となり
一年間2-Cをさまようのだ。
そして ストーリに絡みたいと思っても絡まらないので
-そのうち奈良は 学校をやめた。

933 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 20:19 ID:dCs0V7++
('A`)

934 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 20:37 ID:nlFhZpBB
>>931
な〜る。そういうことか、ありがと。 

935 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 21:00 ID:uNGfXdrI
そろそろ次スレの準備をしようか。

936 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 21:06 ID:se8ap0+p
>>935
あるって。

スクールランブル◆周防 美琴◆ファンスレッドpart1
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1071374536/

937 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 21:07 ID:rvfmjEUb
美琴スレはAA投稿スレとして再利用されてるみたいだし。

SSスレでもう一本立てる?

938 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 21:11 ID:RpOoYwc6
>>937
俺もそれが言いたかった。

939 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/26 23:57 ID:gbYJ6u3f
美琴スレに移行でいいだろ
てか、あそこに貼られてるのって既出AAだべ
だからAA投稿スレではないぞ

940 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 01:13 ID:kdhFSk7f
SS専用がええよ。

941 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 01:24 ID:qNyG89wh
>>940
資源は大切にね

942 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 01:29 ID:U39HhJBA
それ以前に、これからもSSが投下されるのか…。
波が終わった?

943 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 01:38 ID:qNyG89wh
>>942
投下されないなら自分が投下すればいいんだよ

944 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 01:43 ID:h5Co1xZ2
というかだね、1日とか2日でSS書けるもんじゃないよ。

945 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 01:43 ID:yxbTryIA
950がヨロシク

946 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 01:59 ID:U39HhJBA
>>944それもそうだ…スマンかった。
ここ数日が異常だったのか。
自分がネタ切れ気味だからといって、考えが早すぎでしたな。
でも、反論するわけではないが、
妄想力絶好調時なら1日で1作ペースで作れる。というか、作っていた。
今考えるとかなりビックリ。…ただし、現在ネタ切れ中(´・ω・`)ショボーン。

947 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 02:01 ID:NCTeZhss
>>942
世の中には推敲と言う言葉もあるんだよ。
それにしてもここは、全員完結してから書き込むんだよなー
俺がよく行くSSのスレは、ほとんどが連載っぽい感じで書くから、ちょっと不思議。

948 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 02:07 ID:u+AQCLDf
全体を眺めて推敲すべき。
それに連載にすると、どうしてもノイズが混じるし読みにくいよ。
今の形式がいいな。

949 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 02:45 ID:Y3h/+wyH
つーか連載の方が少ないと思われ

950 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 02:52 ID:qNyG89wh
次スレ
ttp://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1071374536/


951 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 05:21 ID:pZvzPLAu
>>950
おつ〜

まぁ 多すぎると何かと目立つしこれでいいんじゃね?

952 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 10:04 ID:k51JwbRq
次スレここでいいじゃん

スクールランブル@エロパロ板
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1070069061/

953 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 10:59 ID:yxbTryIA
つうか SSスレもしかしてこのまま消滅?
リンクも何もないからミコすれはやめたほうがいいと思うぞ、新スレたてれ

954 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 11:13 ID:k51JwbRq
じゃあ晶スレをサロン辺りに立てるとか…
サロンに立てるならスクランSSスレでいいのかも…

955 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 11:27 ID:MFJNBemM
次スレ
スクールランブル◆周防 美琴◆ファンスレッドpart1
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1071374536/l50

移動よろしく

956 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 14:33 ID:vmxDV9vJ
パンがないなら飢えて死ねばよいではありませんか。


957 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 14:56 ID:m+AdOiyB
埋めるか


958 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 17:25 ID:6+FjIr9V
じゃ、埋め立てネタ。
あなたがスクランの中で一番好きなセリフは?

沢近「アンタをフる方が馬鹿なのよ・・・」

959 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 18:20 ID:k51JwbRq
>>955
次スレを美琴スレにするのはやめて欲しい、あそこはそれなりに楽しいので。
次スレ立てるならマロンに立てたりして欲しい

960 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 18:27 ID:qNyG89wh
ちなみに今ある関連スレ
まともに使われてないのを先に消費しようや

【2週間も】スクールランブル#23【絶えられない】
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1072417017/
スクールランブル◆周防 美琴◆ファンスレッドpart1
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1071374536/
スクールランブル萌えスレ♭2‐ネタバレ-
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1071378302/
スクールランブルの奈良くん萌えスレッド
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1060335566/
スクールランブル@エロパロ板
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1070069061/
■スクールランブルに出演している奈良健太郎です■
http://etc.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1060444922/

961 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 18:38 ID:NpvbHwNm
さすがに他の板までは責任取れないよう

962 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 18:56 ID:dnyuoViD
新スレ立てるのが一番だとおもう

963 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 19:18 ID:HidFjqK0
全国の漏れへ・・・・。一時間以内にたててくれ===。まじでたへらんない

964 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 19:20 ID:c+TY1ZQP
立てるとしてだ……

スレタイはどうするよ?

965 名前:963 :03/12/27 19:28 ID:HidFjqK0
>>全国の漏れ スレタイ候補きぼーん

966 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 19:31 ID:qNyG89wh
>>965
スレ立てる立てないは別にして言う
さげれ

967 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 19:34 ID:fnKzrxnG
次スレ
http://tmp2.2ch.net/test/read.cgi/tubo/1072268926/

968 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 19:37 ID:qNyG89wh
>>967
そこはスレタイにこそスクランと入ってるが
中身はスクランスレでは無いだろ

969 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 22:06 ID:dnyuoViD
なんにせよ次スレをどうするか決めなきゃ
神が書いた新作が読めないわけで

970 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 22:14 ID:HmEkYHuF
↓このスレ使えばいいじゃん
  沢近スレだってリサイクルされて萌え+ネタバレスレになったんだし。

スクールランブル◆周防 美琴◆ファンスレッドpart1
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1071374536/

971 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 22:52 ID:N57qTl86
話題がループしてきました。

このまま放っておいても決まらないし、
勝手に決めても自治厨って言われるだけだし。
話し合ってる間に 1000 行きそうだし。
誰か鶴の一声で決めてくれ。

972 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 22:58 ID:GC/QuKlP
鶴の鳴き声ってどんなだったっけ。クェーッとか?

973 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 23:00 ID:2h7fkKdB
立てたい奴は立てろ。そしたら使うから。
もし立たなかったら美琴スレ使うまで

974 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 23:41 ID:c+TY1ZQP
もっとスクールランブルの奈良くん萌えスレッド
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1072536035/

半分投げやり気味に立ててみますた
テンプレはよくわからんからやりませんですた

975 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 23:43 ID:GHehh33+
本当に投げやりだ……

別に奈良にこだわらなくても良かったのに。

976 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 23:44 ID:c+TY1ZQP
麻生とかにしようかと思ったが、それはそれでアレなので廃棄…

ちょうど「あぶない刑事」の劇場版見てたから、そのノリでああいうスレタイにしますた

977 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 23:46 ID:Rf8/DNCH
つうかあまり乱立させて自治に目をつけられても知らんぞ。

978 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 23:49 ID:GHehh33+
週漫板に自治なんてないからそれは気にしなくてもいいよ。

あったら、まずハンタスレから消えるだろし。

979 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 23:57 ID:5/P1Uzg3
60 :名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 23:46 ID:GHehh33+
AAスレとして使いたいヤシがいるそうです。


お前が使いたいんなら、そう書け。

980 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:01 ID:Wp3FRWqq
>>979
使いたくないから、そう書かない。

981 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:02 ID:dBzxZqSV
某A松漫画のキャラスレ群の二の舞になる悪寒。

982 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:06 ID:nCN6bNMO
ネギまヲタと同レベルでウザがられるのだけは勘弁。

983 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:08 ID:lQ4Y3fCr
とりあえず埋めるか……

984 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:11 ID:Z/EoahAN
せっかく立ったんだし次スレは>>974ってコトで

埋め。

985 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:12 ID:6RBHF3Km
早く神SSが読みたいからみんな埋めろ。

986 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:13 ID:Q2sFxWAw
343 :名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 23:48 ID:c+TY1ZQP
もっとスクールランブルの奈良くん萌えスレッド
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1072536035/

奈良スレ次スレです〜
向こうの1の責任で紹介してみるテスト


ここまで書いたのなら責任持って埋めるか盛り上げれ

987 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:22 ID:lQ4Y3fCr
あと少しで埋まるな……

最近、播磨がガンダムに見えてしょうがねぇ

988 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:22 ID:4uLQxeyZ
神の光臨を待ちながら埋め

989 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:25 ID:Q2sFxWAw
959 :名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/27 18:20 ID:k51JwbRq
>>955
次スレを美琴スレにするのはやめて欲しい、あそこはそれなりに楽しいので。
次スレ立てるならマロンに立てたりして欲しい


こいつも責任持って美琴スレ埋めるか盛り上げれ

990 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:36 ID:4uLQxeyZ
個人的には沢近が播磨ジャージを着るまでの話が読みたい

991 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 00:37 ID:Wp3FRWqq
>>990
体育祭編を待て。

992 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 01:19 ID:l0iGZvgE
明日は一日目〜


993 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 01:21 ID:Wp3FRWqq
明後日は二日目〜


994 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 01:36 ID:Z/EoahAN
明々後日は三日目〜


995 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 01:45 ID:VafzZ0vq
その次の日は大晦日〜


996 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 01:46 ID:VOv2Hz/7
1000とった人が もっと〜 が荒らされる前ににテンプレ張るように
m(__)m

997 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 01:50 ID:6sw4gd2g
↓がんばれ

998 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 01:52 ID:JTCMAI5n
998

999 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 01:56 ID:8/Tyiets
999

1000 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい :03/12/28 01:56 ID:8/Tyiets
1000

1001 名前:1001 :Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。


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